アツキタケトモが疑う常識と、問いか
ける幸せ。海外のポップスと歌謡を融
合する新鋭に迫る

3つの芸術体験

アツキタケトモの新作『幸せですか』には、この社会に対する疑念と希望が赤裸々に綴られている。「幸せですか」という問いは、聴き手に投げかけるメッセージである以上に、彼自身が自らに問うてきた生涯のテーマなのだろう。言い換えればそれは、この陰惨な社会で“どう生きるか”という課題でもあり、そこで“何を大切にしていくのか”という意思表示でもあるはずだ。彼はそうした自身の思索を、敬愛するポップミュージックからの影響と共にアウトプットする。3歳の頃から歌に目覚めたというアツキタケトモは、高校生の頃から本格的に作詞作曲を開始。既に300曲以上のストックがあるという気鋭のシンガーソングライターである。作詞・作曲・編曲だけでなく、演奏や録音までをひとりでこなす彼は、昨年初のアルバム『無口の人』をリリース。それから10ヶ月というスパンで発表されたのが、2枚目のアルバム『幸せですか』である。Dirty ProjectorsBon Iverを敬愛し、オルタナティブの立場から歌謡の可能性を模索する。アツキタケトモのルーツを紐解きながら、その表現に迫る。
ー影響を受けた芸術体験はありますか。
何段階かあって、1番最初は3歳か4歳の時に見たモーニング娘。です。
ー随分早いですね。
たぶん「LOVEマシーン」が流行っていた時期で、テレビで歌ってるキラキラした姿を見て、憧れたのかなって思います。僕はその時から歌手になりたいと言っていて、“将来の夢は?”って聞かれた時に、それ以外の回答をしたことないんです。
ーふたつめの段階は?
小学生の時に聴いたMr.Childrenの『Atomic Heart』です。僕はあのアルバムを聴いた時にロックを感じたんですよね。ストーンズ(The Rolling Stones)の影響を受けた頭打ちの曲が入ってるとか、桜井さんがどういう影響受けて作った作品であるのかっていうのは、当然後々分かったことなんですけど。多くのミュージシャンが抱く、ビートルズ(The Beatles)やストーンズへの憧れを、僕はミスチルに感じたんです。それまでの“歌手になりたい”という思いが、“音楽を作って歌うシンガーソングライターになりたい”という思いに変わった瞬間だったと思います。
ーなるほど。
そして、もうひとつ大きな体験だったのが、中3か高校1年の時に聴いたJames Blakeです。ファースト(『James Blake』)を聴いた時、“やばい…”みたいになって。ほんとに言葉にならなかったんですけど、圧倒的な孤独みたいなものをあのアルバムから感じました。僕は歌への目覚めがモー娘。で、ソングライターとしての目覚めがミスチル、そしてアレンジやサウンドへの目覚めがJames Blakeでした。
ーJames Blakeとミスチルは、どの作品にも反映されてる気がします。
そうですね。もう血みたいなものかなって思います。
ー曲を作り始めたのがその頃ですか?
3歳くらいの時から、​​鼻歌でボイスレコーダーに吹き込んだりしていたんですよね。それからギターを使ってコードを付けて曲を作り始めたのが13歳でした。その時初めて作った曲のタイトルが「ヒーローショー」で、別の曲なんですけど、今回収録した「ヒーローショー」はそこからタイトルを引用しています。
ーちなみに、Dirty Projectorsからの影響も公言されていますね。
2017年に出たセルフタイトルのアルバムの1曲目、「keep your name」に出会った時に“これだ!”ってなったんですよね。俺はこれが聴きたかったんだ、俺もこれをやりたい!って思って、当時バンド組んでたんですけど、その時ソロで活動してみたいと思いましたから。
ーそれぐらい衝撃的だった。コーラスワークや音楽的な面で凄く影響を受けていて、前作の『無口な人』に収録した「不純」という曲は、僕にとっての「keep your name」ですね。『無口な人』ができたのはDirty Projectorsのおかげだと思っていますし、僕がワールドミュージックっぽい音を入れたくなっちゃうのも、あのバンドからの影響ですね。あと、 Dirty Projectorsは曲によってメイン・ボーカリストが変わるバンドなので、今後の僕の野望として、自分の作った曲を誰かに歌ってもらうことは考えています。
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