7月10日@東京・豊洲PIT photo by 米山三郎

7月10日@東京・豊洲PIT photo by  米山三郎

原因は自分にある。、
さなりを迎えての主催イベントで
新境地を提示

ダンス&ボーカルグループの概念を覆す前衛的な楽曲とパフォーマンスで、シーンに鮮烈な衝撃を与え続ける7人組ボーイズユニット・原因は自分にある。が、主催イベント『NEOげんじぶ空間;α』を7月10日に東京・豊洲PITで開催した。『NEOげんじぶ空間』は、原因は自分にある。(通称・げんじぶ)が新たに立ち上げた2MANライブシリーズで、この日、第1弾ゲストとして招かれたのは18歳のラップアーティスト・さなり。平均年齢17.4歳な上に楽曲内のラップ率も高いげんじぶとは親和性も抜群で、10代ならではの柔軟性と軽やかな表現力により、共に新時代のアーティスト像を感じさせる華麗な競演を昼夜2公演で果たした。

先攻として登場したのは、さなり。闇に射し込む真っ赤な光でステージが露わになると、なんとドラマーとギタリストを従えた初のスリーピース編成で、メジャーデビュー曲「悪戯」からロックな爆音を鳴らしてゆく。歪んだ重低音に乗るクリアボイスは、そのギャップのぶんだけ攻撃力を増して、「I AM ME」では鋭利なラップが弾丸のように突き刺さる一方、「Mayday」「Prince」といった恋の歌では、バックの生音と共に温もりのある空気を演出。痛いのに優しい――そんな不思議な効用を持った彼の声は、バンドサウンドの息吹により、より多彩な表現を叶えたようだ。「今日はメチャクチャ楽しみにしてました。コロナ禍になってから、こんなたくさんのお客さんの前でやったことない!」と喜びを表した通り、今日の彼は実に活き活きとして、回るミラーボールの光を浴びてクラップを誘う「Nights」では、客席と共に全員でジャンプ! ラストは爽快なロックサウンドに透き通ったボーカルを乗せた「BRAND-NEW」で、七色に瞬くライトのした大きく手を振り、胸のすくような眩い光景を創り上げた。

さなりからバトンを受け取った後攻・原因は自分にある。のステージは、げんじぶらしいリズミカルなピアノSEからシームレスで繋がれた「以呂波 feat. fox capture plan」で幕開け。結成2周年記念日の7月7 日に配信されたばかりの最新曲は、ピアノトリオ fox capture planを迎えた彼ら初のフィーチャリング曲で、“いろは”の名の通り古典的な“和”と令和的感性が融合したハイブリッド・ジャズロックだ。最年少・桜木雅哉の鳥居をくぐるような仕草から始まるダンスも、手元に扇が見えるかのような雅やかな振りと従来通りの激しい動きが緩急豊かに組み合わさって、一瞬たりとも目を離せないものに。メンバーカラーを取り入れた新たなライブ衣装も“和”がモチーフで、上着の赤い裾を優雅にさばく長野凌大の所作も美しい。さらに“諸行無常”と“あたおか”というワードが共存するリリックといい、難解なラップフロウとメロディックなサビの取り合わせといい、まさしく昔と現代を行き来するようなナンバーを乗りこなし、オーディエンスを沸き立たせるしなやかさは、全員10代という若さの為せる業なのだろう。

そこからデビュー曲「原因は自分にある。」に雪崩れ込んで、今度はげんじぶの“時”を超えると、疾走するピアノロックにダイナミックなフォーメーションダンス、そこに乗る哲学的リリックという、げんじぶにしか為し得ない王道ミクスチャーを高らかに提示。さらに、艶めかしい照明からクリティカルにラップを畳みかけるジャズ曲「In the Nude」では、フォーマルな空気感をセクシーに魅せ、久々披露のダンサブルな「Joy to the World」では、場内を黄色に染めるサーチライトと共に客席を挑発する。甘い香りで獲物を誘って、気を許したところで搦めとってしまう食中花のように、とにもかくにも一筋縄ではいかない。それこそが、原因は自分にある。というグループの魅力であり、中毒性だ。

病気療養中で本日は不参加となる小泉光咲を除く6人の自己紹介を経て、結成からの2年を「あっという間だったけど、今まで7人と過ごした日々は絶対に忘れない」と武藤潤が語ると、大倉空人は「2年前にデビューを発表したのが、この豊洲PIT」と2年ぶりの帰還に感慨深げ。そして吉澤要人が「2年前のあのときとは違った景色を見ながら、最高の空間を作り上げていきましょう」と宣言して、内省的ワードが詰まった「嘘から始まる自称系」からは、その2年で培ってきたげんじぶの物語力を発揮してゆく。昼公演ではYOASOBIのAyase提供による「スノウダンス」、夜公演では懐かしの夏ソング「Up and Down」と切ないナンバーを繋ぎ、「シェイクスピアに学ぶ恋愛定理」から「幽かな夜の夢」の連作では、幻想的な詞と流麗な歌でロマンティックな世界を創造。しかし、そこでも疾走感あるサウンドに添ったダンスは実にアグレッシブで、さらにメンバー同士の緻密に計算された動きが、楽曲のストーリーを鮮やかに描き出してゆく。

前日の7月9日にも、偶然さなりとイベント共演していた彼ら。同世代との共演は初とのことで、昼公演では「同世代に見えないくらいオーラがある」(吉澤)、「大人の色気に圧倒されてメチャメチャ緊張した!」(杢代和人)と口々に賞賛する一方、げんじぶの最年長である武藤だけは「ういっす!」と挨拶して、メンバーに引かれたという暴露話もあった。また、大倉いわく「一緒にインスタライブをする約束をした」とのことなので、両アーティストのファンは楽しみにしていてほしい。

そんな和気藹々としたムードのなか、「終盤、皆さん盛り上がっていけますか!」と煽りつつ、抽象的でディープなナンバーを次々投下して客席を惑わせるのも、彼ららしいあまのじゃくっぷり。5月に配信されたHIP HOPチューン「犬と猫とミルクにシュガー」では、スイートな曲名とは裏腹に現代社会の諸問題を痛烈なラップを交えて暴き出し、2021年の“今”を「柘榴」でアンニュイに皮肉ると、最後はお馴染みの2ndシングル「嗜好に関する世論調査」でラストスパートにかかる。メンバーが指を立てる“2択”のリフレインに、客席のペンライトもカラフルに閃いて、なんとも言えぬ不可思議な感慨を抱かせるが、そんな喜怒哀楽のどれにも分類できない感情を抱かせるのも、げんじぶの個性であり強みに違いない。

結成2周年を迎え、新境地を見せる新曲に、新たなライブシリーズの始動と、第二期とも言えるフェーズに突入した原因は自分にある。桜木は昼夜公演通して「こうして有観客でライブできることが本当に嬉しい」と伝え、大倉も「この『NEOげんじぶ空間』も第2弾、第3弾とやっていきたい。どんどんステージも大きくなって、また皆さんと素敵な景色を見ていければ」と気合を込めた。その未来予想図が現実になる様を、ぜひ、その目で確かめてほしい。

photo by 米山三郎
text by 清水素子


【セットリスト】
<原因は自分にある。>
M1. 以呂波 feat. fox capture plan
M2.原因は自分にある。
M3. In the Nude
M4. Joy to the world
M5. 嘘から始まる自称系
M6.1部 スノウダンス / 2部Up and Down
M7. シェイクスピアに学ぶ恋愛定理
M8. 幽かな夜の夢
M9. 犬と猫とミルクにシュガー
M10. 柘榴
M11. 嗜好に関する世論調査

<さなり>
■1部
M1.悪戯
M2. I AM ME
M3. Mayday
M4. Prince
M5. Nights
M6. BRAND-NEW
■2部
M1. Mayday
M2. Prince
M3. Nights
M4. 悪戯
M5. I AM ME
M6. BRAND-NEW
7月10日@東京・豊洲PIT photo by  米山三郎
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OKMusic編集部

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