『Mステ』出演のコールドプレイ、大
ヒット曲「Viva La Vida」から最新作
までに起こった変化とは?

(参考:大物公演続く「洋楽」来日事情 若手~中堅公演の実現には課題も)

 ここ最近の2作では、打ち込みの要素を取り入れるなど、新たな試みに意欲的に取り組んでいるコールドプレイ。彼らが2008年の『美しき生命』でバンドとして確固たる地位を築いたあと、作品はどのように変化していったのだろうか。音楽ライターの麦倉正樹氏は、以下のように語った。

「コールドプレイは2000年にリリースした『パラシューツ』、2002年の『静寂の世界』、2005年の『X&Y』という初期三部作で、内省的なバンドとして海外でブレイクしているため、ブライアン・イーノをプロデューサーに迎えた『美しき生命』と、2011年にリリースした『マイロ・ザイロト』のような力強くてカラフルなイメージは、彼らのディスコグラフィー的には異質なアルバムだったように思えます。そして『ゴースト・ストーリーズ』という作品は、初期の内省的な彼らに戻っているような印象を受けました。ただ、『美しき生命』『マイロ・ザイロト』を通り抜けたので音楽の高揚感は消えておらず、暗そうだけどギリギリ暗くない、クールなアルバムになったと感じました。アヴィーチーとコラボした『A Sky Full Of Stars』もそこまで明るい曲ではないですが、不自然には聴こえません。これは作曲を手掛けるボーカルのクリス・マーティンが鍵盤で美しいメロディを作ることを得意としているため、あくまで要素の一つとしてEDMを取り入れつつ、上モノの音が前に出ているからだと思います」

 コールドプレイはこれまでのキャリアを踏まえて、今作で彼らにとって、新しいサウンドを加えることで、初期の内省的なムードを取り戻しつつも高揚感のある、バランスのとれたサウンドになっているということだろうか。さらに、今回のアルバムでプロモーション活動やライブのスケールを抑えている理由として、同氏は作風の変化を挙げる。

「今回、『ゴースト・ストーリーズ』のリリースタイミングでは、彼らはほとんどインタビューを受けていません。また、リリースツアーに関しても、『美しき生命』『マイロ・ザイロト』の時はスタジアムで『ザイロバンド』という光る腕輪を観客に配り、会場を巻き込んだ視覚的な効果や祝祭感を演出していたりしましたが、今回は中小規模の会場でじっくりとライブを行っています。作品としてもしっかり作りこんだコンセプチュアルなアルバムですし、ボーカルのクリス・マーティン自身の内省的な部分が出たアルバムのため、なるべく手狭な会場でじっくりやりたいということなのかもしれません。しかし、今回のTOKYO DOME CITY HALLのライブでも『Viva La Vida』をセットリストに組み込んでいるように、彼ら自身は過去を否定しているわけではないと思います」

 6月12日に行ったTOKYO DOME CITY HALLのライブでも、彼らは代表曲を披露しつつ、要所要所でしっかりと聴かせる曲を演奏していた。また、同氏はコールドプレイが今回の『ミュージックステーション』に出演する際の見どころについて、以下のように語った。

「日本の一般的なファンは、iPodのCMに起用され、彼らを日本で一躍有名にした『Viva La Vida』の印象が強いと思うのですが、今回出演する『ミュージックステーション』では、現在のテンションで同曲がどのように演奏されるのかというところに注目してみると面白いかもしれません。また、2011年のフジロックで彼らを見ている方は、当時の雰囲気と比べて、彼らの変化を感じ取ることもできるのではないでしょうか」

 3年振りの来日に歓喜するファンも多い中、『ミュージックステーション』ではどのようなパフォーマンスを披露してくれるのか、しっかりと注目していきたい。(リアルサウンド編集部)

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