中村倫也インタビュー 公式アンバサ
ダーを務める『バンクシーって誰?展
』に寄せて思うこと

神出鬼没の覆面アーティスト・バンクシー。世界各国のストリートを主戦場として活躍するバンクシーのまわりは、いつもセンセーショナルな事件で溢れている。このタイミングで、この場所に、こんな絵を描くのか! という絶妙なシニカルさ。そして、目が飛び出るような超高額で落札されるニュースなど……。多重に用意された仕掛けで人々を驚かせ続けるバンクシーは、まさに、現代アートシーンをリードする存在の一人だと言えるだろう。

そんなバンクシーの足跡をたどる『バンクシーって誰?展』が、2021年8月21日(土)から12月5日(日)まで、天王洲アイルの寺田倉庫G1ビルにて開催される。謎の多いバンクシーの世界へと鑑賞者を誘う公式アンバサダーは、変幻自在の演技で“カメレオン俳優”と称される中村倫也だ。バンクシー作品やアートとの関わりについて、『バンクシーって誰?展』記者発表会直後の中村から話を訊いた。
『バンクシーって誰? 展』
俳優・中村倫也と『バンクシーって誰?展』
ーー今回の展覧会の舞台は「アートの街」とも言われる天王洲ですが、天王洲エリアへは行かれたことはありますか?
天王洲で舞台をやったことがあります。でも、それ以外ではあまり行く機会が無かったですね。天王洲と聞いてイメージするのは……倉庫がいっぱいあって、モノレールがあるところ、かな。
ーー展覧会のキャッチコピーは “それはまるで 映画のセットのような展覧会” とのことで、ストリートを再現した体感型の展示となるそうですね。中村さんは、日頃俳優として数多くの映画・ドラマのセットに足を踏み入れていると思いますが、“セットに入る”って、どんな感じがするものですか?
どんな感じ、かぁ…… 。最初の頃は「わあっ!」て思っていたかもしれないけど、今は少し慣れちゃったのかもしれないですね(笑)。ちょっとした通りとか屋外っぽいセットだと「これ画面で見たらバレないのかなー?」って感じることはありますね。間近で見ると「よく作ってあるなぁ」と思うものもあるんですよ。
中村倫也
メッセージとの向き合い方を探って
ーーバンクシーの作品は、メッセージ性を強く感じるものも多いかと思います。本展を通じてその作品に触れるなかで、ハッとしたことや新しい気づきなどはありましたか?
そういう様々な問題が世界で起こってたんだ、っていうことを知る機会にはなりましたね。まあでもなんか……漠然とした答えになっちゃうんですけど、ひとつの面なんでしょうね。
ーーひとつの面とは……モノの見方ってことでしょうか?
バンクシーの作品から何を感じるかは個人の自由だと思うんです。どう受け取るかは人それぞれであって。作品から僕がどう思ったのかより、皆さんがどう解釈するかを大事にして欲しいです。
中村倫也
ーーもしも、世界中のどこにでもバンクシーのようにストリートアートを描いていいと言われたら、どこに描きたいですか?
えっ、描きたいですか? 僕は別に描きたくないです(笑)。考えたこともないなあ。
ーー先ほどの記者発表会で、中村さんは「撮影現場で特徴的な顔立ちの人を見つけると、似顔絵イラストを描いて現場のいろんなところに貼ったりする」とのことでしたが……?
それって多分、剥がして捨てられるからいいんでしょうね。描いたら残っちゃいますからね。残んないほうがいいです(笑)。
中村倫也
アートの力を感じるとき
ーーこれまでにジャンルを問わず、“アートの力” のようなものを感じたことはありますか?
以前、映画のロケでフランスのヴェルサイユ宮殿を訪れたことがあるんですけど、廊下も部屋も全部、天井の絵がすごいんですよ。これだけのもの用意されたら、もうね、ここに君臨する人には頭が上がらなくなるよなって。権力の象徴というか、パワーに圧倒されましたね。
あと、カナダにある教会で見たステンドグラスも印象に残っています。産業革命より前につくられたものだから、一個一個職人さんが手作りしてはめこんだもので、すごく美しいんですよね。そこに自然光が降り注ぐと、息をのむというか。空間に飲み込まれるような……。あのとき、そういう体験があったのを覚えてます。
中村倫也
真摯に、自由に向き合う時間
ーーでは、この展覧会に足を運ぶ方々に、どんなことを受け取ってほしいと思いますか?
鑑賞する人が勝手に解釈して自由に楽しんでもらえたら何よりで。僕はもちろんアンバサダーとして展覧会を広めることはしますけど、僕自身が(鑑賞者に)何を感じてほしいかっていうのは全く無いです。作品の中にはバンクシーの意図が何かしら隠れているかもしれませんけど、別にそれと違うことを皆さんが感じたっていいんじゃないかな。アートってそういう自由があるものだと思います。僕は僕できっと、勝手に解釈してることはたくさんあるし。だから作品と向き合って、自由に感じてほしい。展覧会って、その権利と時間を買うわけですから。

「バンクシーって誰?展」30秒SPOT映像

『バンクシーって誰?展』は、2021年8月21日(土)から12月5日(日)まで、天王洲アイルの寺田倉庫G1ビルにて開催。その後、名古屋、大阪、郡山、高岡、福岡での巡回の予定だ。なお、中村は音声ガイドを担当することが決定している(おひとり様税込600円)。アートと対話する豊かな時間を、ぜひ体感してみては。

取材・文=小杉美香 撮影=大橋祐希
衣装協力:コート¥52,800(HOMME PLISSÉ ISSEY MIYAKE / ISSEY MIYAKE INC.)
その他、スタイリスト私物
スタイリスト 中井綾子(crêpe)
[問い合わせ先] ISSEY MIYAKE INC.(03-5454-1705)

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