古川日出男×管啓次郎×小島ケイタニ
ーラブ×柴田元幸による「コロナ時代
の銀河 朗読劇『銀河鉄道の夜』」 
3/11、14時46分に無料配信

2021年3月11日(木)14時46分に、「コロナ時代の銀河 朗読劇『銀河鉄道の夜』」が無料配信されることがわかった。
2011年、東北の地を思いつつ、生まれた朗読劇『銀河鉄道の夜』。小説家の古川日出男が、宮沢賢治の原作を公演ごとに新たなオリジナル脚本に仕上げ、詩人の管啓次郎、ミュージシャンの小島ケイタニーラブ、翻訳家の柴田元幸とともに、上演時期や上演する土地にあわせて脚本や演出を変容させながら、東北をはじめ全国20か所以上をかけめぐり、10年にわたり上演活動を続けてた。
「コロナ時代の銀河 朗読劇『銀河鉄道の夜』」 (C)朝岡英輔
世界をも大きく変容した2020年、古川の呼びかけにより2年ぶりとなる新作公演が決定。2011年から10年目の、そしてコロナ時代の2021年、新たに書き下ろした脚本による映像作品が「コロナ時代の銀河 朗読劇『銀河鉄道の夜』」だ。「コロナ時代の銀河」は、多くの方に安心して楽しんでもらえるよう、無観客野外朗読劇として上演。河合宏樹監督が、その映像をとらえ編集したライブ映像作品を、無料配信という形で、3月11日14時46分に発車=公開される。
「コロナ時代の銀河 朗読劇『銀河鉄道の夜』」 (C)朝岡英輔

「コロナ時代の銀河 朗読劇『銀河鉄道の夜』」 (C)朝岡英輔

廃校を舞台に、体育館、校舎、校庭をかけめぐる三幕のライブ公演は、リアルタイムでカメラが追いかけ、ときにカメラを奪われながら、音、声、風、光までもが重層的に物語と重なる、躍動感あふれる55分のドキュメント朗読劇となった。
また、新作公演を記念して、公式WEBにて、3月11日(木)19:00より、本屋B&Bオンライン配信 イベント「 コロナ時代の銀河―朗読劇「銀河鉄道の夜」と10年」が開催される。震災への反応としてはじまったこの活動のこれまでやこれからにまつわる出演者・監督トーク、「コロナ時代の銀河」の脚本を特別アレンジしたリーディング劇を上演する。
チケット特典として、全員に古川日出男オリジナル脚本2作品PDFファイルつき。その他、河合宏樹監督の朗読劇『銀河鉄道の夜』ドキュメンタリー映画「ほんとうのうた」DVD(未ソフト)付きチケットも販売中だ。
なお、銀河鉄道公式WEBでは、銀河公演に並走する写真家・朝岡英輔の写真に出演者ほかがコメントを寄せた「銀河鉄道 写真館」を開館中。全5回でその軌跡を紹介する。
「コロナ時代の銀河 朗読劇『銀河鉄道の夜』」 (C)朝岡英輔
古川日出男(小説家) コメント
それは昨年の4月のことだったが、日本中が緊急事態宣言下に置かれた時に、どうしてだか分析はできないのだが「ああ、『銀河』をやらないとな」と思った。
思いついた瞬間に脳裡に閃いている絵(情景)があった。
それはソーシャル・ディスタンスがいかにも可視化されていて、にもかかわらず「人に会えない」ことや「移動が禁じられている」ことを無効にしてしまう絵であり、作品であるようにも感じられた。
ちなみに私は「ああ、『銀河』をやらないとな」と考えたわけだけれども、その銀河とは銀河鉄道(賢治の創造物)のことでもあるしこの銀河(天の川)のことでもあると、どこか意識の深いところで了解していた。
やれるかどうかはわからないが、やるぞ、と昨年の12月に思い、それが今回のこれである。
これはコロナ時代以前の朗読劇「銀河鉄道の夜」とは異なる作品であって、しかし、時代に合わせたオーダーメイドであるのだから、本質的には何も変わっていない。
言えることは二つだ。不動であるとは、どういうことか?
銀河系(天の川銀河)は回転運動をしているのに、私たちはつねに「いえ、僕は(わたしは)動いていませんよ」と認識する。そのことに私は希望を見る。二つめ、この作品はオーダーメイドになる。
が、しかし、いったい誰がオーダーしたのだ?
私たちはこのクイズに「えっとね、時代がしたんですよ」と回答する。
管啓次郎(詩人) コメント
ガタゴトと音を立てて走っている。ぼくらが乗った車両は1両だけの単独運行。
だと思っの大きなカーヴで見えたところでは、列車はずっと前にもずっと後ろにも伸びていて、それぞれはつつましい窓の光が星の行列のように見えた。乗客はほとんどいない。
と思ってていたら、その前にも後ろにも車両がついていた。
夜の野原いたら、ずっと会っていないなつかしい顔のすべてが、きみが思い浮かべると同時に、どこかの窓に現れる。
銀河鉄道は記憶装置。ぐるぐる回るこの10年を、改めて空に走らせることができるなら。
小島ケイタニーラブ(音楽家) コメント
北上川の流れにリズムを合わせながら書いた主題歌「フォークダンス」が生まれてから、短くはない月日が過ぎました。
朗読劇の脚本に導かれるように、花巻を一日中歩き回り、イギリス海岸に座ったあの日。
曲が完成した喜びよりも、"何か"を自分なりに受け止めることができたという気持ちに包まれました。
音楽人生で初めてのことでした。10年近くが経っても、その“何か”はまだ僕には言語化できません。
そのかわり、歌の中にはしっかり真空保存されています。
この曲を奏で歌うたびに、いつでも北上川のあの景色が脳内に鮮やかによみがえるのです。
10年目も、変わらずあのイギリス海岸からこの歌を歌いたいと思います。
柴田元幸(翻訳家) コメント
メンバーとは、雑誌に作品を寄稿してもらったり、翻訳書に推薦文を書かせても らったり、一緒に共訳書を作ったり、と、いろいろ接点はあったけれど、4人一 緒に――ソーシャル・ディスタンスを保ちつつも――集まるのはやっぱり格別。それ に4人だけじゃなくて、支えてくれるみんなもいるし。
……って、自分たちのこと ばっかりですけど、そこからいろんな人の心に届くことができれば。
河合宏樹(映像) コメント
朗読劇「銀河鉄道」の活動をカメラで追いかけてもうすぐ10年になるだろうか。
2011年12月24日、今は無き渋谷・SARAVAH東京での公演を私は見ていた。
2012年明けたころ、唐突に古川さんから「東北に一緒に行かないか」と声をかけてもらい、被災地を目の当たりにし、ショックを受けた私にできることは、銀河メンバー、彼らの葛藤を収めること、それだけだった。映像にできることを見誤らないこと、決してカメラに映ったものがすべてだと信用しないこと。その時期から作家としての意識を持ち始めたのだと思う。
私は、2014年にこのプロジェクトについて一旦リミックス映画を作ったが、銀河の活動は2018年まで各地で引き続き行われており、見続ける必要を感じ、必ず足を運んだ。
2020年、コロナ禍の中、「銀河をやる」と古川さんが宣言したとき、しかもそれが映像を介して世に羽ばたかせるとのアイデアだったとき、やはり映像にできることは?と自答せざる負えなかったが、先述の遠隔対話のように、何年か訪問できていない上演を、東北の被災地と接続することができるかもしれないと、一つの希望を持った。
コロナがなかったら、映像を使用した上演はなかった、いま東北にも接続できなかった、そういう意識を持ち、2021年、私は銀河の上演を追いかける。
朝岡英輔(写真家) コメント
初めて撮影した朗読劇『銀河鉄道の夜』の写真を見返してみて、あぁこの時はまだ、あの本やあの歌は書かれていないのだなと不思議な気持ちになった。自分自身も独立して月日の浅いときだった。ここから始まって「銀河」からは本当にたくさんのものをもらった。自分には行く理由がないからと訪れていなかった東北へ行く機会をもらったのも「銀河」からだった。
「銀河」は他のどんな被写体にも似ていない。その例をひとつを挙げるとすれば、4人ーーー古川さん、管さん、柴田さん、小島くんーーーの中から発光する少年性とでも言うべきもので、それがまるで彗星の尾のように輝いて見えるときがある。もし写真を見て、少しでもその光を感じていただけたなら、これほど嬉しいことはありません。

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