W杯開幕直前! 各種公式ソングや応
援歌を比較してみた

 まずは、FIFAから公式認定を受けた今大会のテーマソング、『We Are One (Ole Ola)』から。手がけたのはクラブ・シーンで話題のラッパー、ピットブル。ジェニファー・ロペスとブラジルのシンガー、クラウディア・レイチをフィーチャーした楽曲は、ラテンビート全開の仕上がり。“お祭り男”の異名をとるピットブルらしいアガる1曲となっている。しかし、これに異を唱えたのがブラジルの英雄でありサッカーの神様ペレ。氏はこの曲が気に入らず、オリジナルの楽曲を制作中とのことだが、果たして……?

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 もうひとつ、公式認定を受けているのが全世界でブレイク中のイケメンDJアヴィーチーと、“泣きのギター”でおなじみカルロス・サンタナという異色のコラボが実現した『Dar um Jeito (We Will Find A Way)』。こちらは名義上オフィシャル・アンセムという立ち位置となっており、7月13日の閉会式で実際にパフォーマンスされることも決定している。しかし、このオフィシャル・アンセム、先の公式ソングより実際に耳にする機会はかなり少ない模様。前回の2010年大会でも公式ソングだったシャキーラ feat. Freshlyground 『WAKA WAKA (THIS TIME FOR AFRICA』に比べて、ソマリア出身アーティスト、ケイナーン『Wavin' Flag』はそれほど耳にしなかったという人も多いのではないだろうか。EDMサウンド全盛の今、こちらのアヴィーチー版のほうがシーン受けしそうな印象も受ける。

 公式と言えば、FIFAと長くパートナーシップ関係にある、コカ・コーラ社がこの時期CM用に起用する楽曲も公式アンセムの名で呼ばれている。今年選ばれたのはブラジル出身アーティスト、デヴィッド・コーリーが歌う『The World is Ours』。この曲を原曲に、各国のアーティストがコラボし、それぞれの国のバージョンがリリースされるという。今回日本版を担当するのはナオト・インティライミ。各国バージョンを聴き比べできるという意味では、大ヒット中の映画『アナと雪の女王』の『Let It Go』と同じ楽しみ方ができる楽曲と言えるのかもしれない。

 一方、日本はというと、これまた多くのW杯がらみの楽曲がリリースされている。まず話題となったのが、全64試合のうち32試合を地上波で放送するNHKのテーマソング。手がけたのは椎名林檎で、タイトルも『NIPPON』とド直球だ。また、Mr.Children桜井和寿GAKU-MCのユニット「ウカスカジー」による『勝利の笑みを 君と』にも注目が集まっている。こちらは日本代表への応援ソングということで、すでに各所でヘビロテ中。もともとサッカーが縁でユニットを組んだふたりだけに、今大会、ひいては日本代表への思い入れの強さも感じ取れる。

 加えて、中島美嘉加藤ミリヤという女性歌手ふたりがコラボした『Fighter (Tachytelic World Cup Brazil 2014 Remix)』は、2014 FIFAワールドカップ公式アルバムアジア代表ソングに決定。開催期間中は日本という枠を超えてアジア全土でこの楽曲が鳴り響くかと思うと胸熱だ。

 また、公式なものではないものの、自国代表へ向けた応援ソングを、ミュージシャンが独自に発表するパターンも多い。前大会では、Weezerがアメリカ代表のために『Represent! 』をリリース。イギリスでも、ラッパーのデイジー・ラスカルとTVタレント・プロデューサーのジェイムズ・コーデンによる即席ユニット、Shout for Englandの『Shout』がチャートを大いに賑わせた。これらの楽曲は、会期直後などギリギリで発表されることも多いので、今後の動向に期待が高まる。

 こうしてみても、ワールドカップでは1度の大会に際し、数多くの楽曲が生み出されている。これは、オリンピック含め、ほかのスポーツでは見られないこと。サッカー及びワールドカップというお祭りがもたらす独特の状況とも言えるだろう。事実、音楽によって選手の士気があがることもあれば、応援する観客の一体化もより強まることもある。また音楽業界サイドにしても、大会の盛り上がりとともに、楽曲も広く知れ渡るのだとしたら、相当な宣伝効果となるだろう。開幕後の動きも含め、音楽面からワールドカップに注目するのも新しい楽しみ方かもしれない。(板橋不死子)

リアルサウンド

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