わかりやすく態度に出てしまう女にウ
ンザリ:鈴木詩子連載13

ため息が全部お金になったらいいのに…

鈴木詩子の「私が出会ったウンザリ女」

第13回「わかりやすく態度に出てしまう
女にウンザリ」

 先日、ある女性に「鈴木さんですか?いつもTwitter読んでます!」と声をかけてもらったんですよ。
 なんでも彼女は私がTwitterでオススメした漫画を実際買って読んでくれたそうで、
「すごく興味をそそられるツイートでした…どうしたらあんな風な感想が書けるのですか?」
 なんて…嬉しい事を言ってくれるのです。
 そのツイートがコレなんですが…↓

『筒井ヒロミさんの『トロミちゃん』ゴミでも一生懸命なトロミちゃんがカワイイ!私にも幸せが何かなんてさっぱり分かりませんが、なんか幸せの正体のしっぽを一瞬掴めたような…そんな気持ちにさせてくれる作品と思います!』

 なんとなく「幸せの正体のしっぽ」の部分を褒めてもらえたのかな?と思ったので、
「私は、愛とか幸せとかの事を考えようとするとなんか難しい感じがするし…よく分からなくなってくるので、自分の想像しやすく分かりやすいモノに置き換えて考えるようにしてるんです。なのでこの時は『幸せ』を『白くてふわふわした猫』に置き換えたんですよ。そうすると…白くてふわふわの猫は、時に自分からすり寄ってきてくれたり、仲良くなれたかな?と思ってこちらから触ろうとするとスルリと逃げてしまったり…幸せもそんな感じかな?…と、考えやすくなるんです」
 そう話すと彼女はビックリした顔で
「えっ…そんな風に考えてたなんて…」
 と、なんだか気まずそうにしてるんですよ。
 あれ…?なんだか変な空気です。
「さすが作家さんは考え方が独特ですね…まさか、幸せをそんな風に考えないと分からないからとか…なんか、ホント独特です!」
 笑顔で必死に褒めようとしてくれる彼女を前に、私はうつむくことしか出来ませんでした。
 彼女はどうも…私が詩的でロマンティックな作家だと思っていてくれたみたいなんですよ。でも、実際は『幸せ』を等身大では受け止めきれないから…自分の処理の可能な所に落とし込めて考えてるだけで全く詩的でもなんでもなかったのです。
 …きっとガッカリさせてしまった事でしょう。
 なので当然、彼女の期待してたような素敵な返事が出来ず…私は申し訳ない気持ちでいっぱいです。
 (なんか…ごめんなさい…)
 そう思いながら、彼女からそっと離れたのでした。

【鈴木詩子:プロフィール】
すずきしいこ…漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなアイドルは嗣永桃子。著書に『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)

チヤホヤされたい女子高生・桃子は、いつだって残念な感じだった。でも、そんなのもうイヤ! 立ち上がった桃子の熱い想いは、クラスのみんなに届くのか!?
オススメコミック:『女ヒエラルキー底辺少女』[コミック](青林工藝舎)/著:鈴木詩子
 

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