「出家詐欺の実態」あなたの菩提寺も
狙われている!?

戸籍の名前変更を悪用した詐欺

「出家詐欺」という新たな犯罪が生まれているのをご存知だろうか!? 簡単に言うと出家すると戸籍の名前が変更できるというのを悪用し多重債務者を僧侶に仕立てて名前を変えて、金融機関から多額の住宅ローンを騙し取るというのが「出家詐欺」の手口。
 日本には7万以上のお寺があり、それぞれの土地で檀家と密接な付き合いをしていた。お寺が色々と教えをするというよりも、それぞれの檀家がお寺を養っていたのが現実。しかし葬儀や法事に対する一般的な考え方が変化し簡素化が進んでいる昨今、経営に行き詰まったお寺は多く、その苦境に多重債務者を仲介する悪徳ブローカーが暗躍しているという構図らしい。
 具体的な犯罪手口は、まず借金を帳消しにしてやると多重債務者に持ちかけ、その後は経営の行き詰まった寺に依頼し「得度」を受けさせる。それも1日だけ白い服を来て、さも何年も修行したような顔をした写真を撮る。得度を終え僧侶としての法名を与えられたら、得度を証明する書類をお寺に用意してもらい、写真をもって家裁に行き、戸籍の下の名前を変更。ブローカーが言うには「書類が整っていて修行の様子がわかる写真があれば家裁は信用する」と。
 名前を変えた多重債務者は偽造された源泉徴収証を銀行に提示し、マンションなどを購入する住宅ローンを組む。例えば実際は2500万円程度の価格しかない物件でも、500万円程度を水増しした分が銀行から不動産業者に支払われる。これを不動産業者や住職らの詐欺グループ関係者で分け合うといった詐欺だ。もちろん、多重債務者は姿を消してローン返済は滞るのだが。

檀家や後継者の不足から廃寺に…

 詐欺グループは多重債務者に対して、改名するメリットを説明し「ブラック」を消して人生をやり直しましょうなどと出家することを進めている。「50万円の費用を支払えばあなたは改名して新しい人生に進める」という文句がネットにも踊っているのだ。そのために得度を受け出家しましょうと。
 後継者不足や檀家不足などの理由から経営に行き詰まったお寺が、簡単に出家させて法名を与える事例が今後増えていくのかも知れない。
 都会に住んでいるあなたには関係ないと言えないかも…。檀家としての責任を果たさないあなたの、生まれ故郷にある菩提寺が悪徳ブローカーの手先となって「出家詐欺」の一味になってるかも知れないのだから。そしてあなたの家が持っていたと思われていたお墓には永代供養料が支払われていたはずなのに、いつのまにやら住職が逮捕され、坊主が存在しない廃寺になる可能性だってあるのだから。

※オススメ書籍は出家を学ぶ本で、本文とは一切関係ありません。

(文・旅人世之介)イラスト:イラストAC/せいきち

オススメ書籍:出家の覚悟―日本を救う仏教からのアプローチ (サンガ選書) [単行本](サンガ)

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