熊木杏里、今の時代だからこそ届ける
「幸せを込めた音楽」

数々のタイアップを手がけるたび話題になっているシンガーソングライター、熊木杏里(くまきあんり)が12thアルバムとなる『なにが心にあればいい?』を11月11日にリリース。また11/21、11/22には『熊木杏里コンサート#An_semble 〜再会〜/〜再開〜』も開催予定だ。今回のインタビューでは、彼女がどのような想いを込めてアルバムを制作し、ライブに臨むのか。その心境について語ってもらった。

Photography_Kiruke
Interview & Text_Misaki Ito
Edit:Miwo Tsuji

これがあれば幸せだよ、と思える要素を
たくさん詰め込めたアルバムなら、今作
る意味がある

――12作目となるアルバム『なにが心にあればいい?』のテーマは「希望・生命力」だそうですね。テーマに込められた想いを聞かせてください。

熊木杏里(以下、熊木) : 元々アルバムを作ろうとしていた中で、新型コロナウイルスによる自粛期間が始まりました。ライブもできないし、私自身落ち込んでしまうこともあって。そんなときに、どんなことがあれば自分は幸せなんだろうと考えたんです。「これがあれば幸せだよ」と思える要素をたくさん詰め込めたアルバムなら、今作る意味があるかなと思いました。

――熊木さんにとって「これがあれば幸せ」と思える要素とはなんだったのでしょう?

熊木 : 私の場合は「子供が元気に過ごしていること」。朝起きて元気に学校に行くという、当たり前の中に埋もれてしまいそうなことが、きっと「幸せ」なんですよね。それと同時にこの曲は、あなたにとって幸せとはなんですか?という問いかけでもあって。人でも物でも趣味でも幸せを見つめ直すきっかけになればと思っています。

――なるほど。アルバムのテーマに「希望」とあるように、アルバム全体を見ても前向きな要素が詰まった楽曲が多いなと感じました。

熊木 : そうですね。楽曲から「生命力」を感じて、楽しい気持ちになってほしかったので、意図的に前向きな要素をたくさん入れています。ネガティブな言葉や元気のない状態から一歩前進して、これからも一緒に生きていこうよという想いで制作していました。
――逆にご自身が落ち込んでしまったときは、どうやって乗り切っていましたか?

熊木 : もう受け入れるしかないと思って割り切ってましたね。たとえば、周りのアーティストさんたちが配信ライブをやっているのを見て、私もやったほうがいいのかな……? と悩むこともありました。でも、やっぱり私は曲を作ることに自分の100%の気持ちを込めたいと思って。今回のアルバムを作ること自体が、私の生きがいやモチベーションになってたと思います。自分が何をやりたいのか、何をやりたくないのかを見つめ直すきっかけにもなりましたね。

――これまでと違う状況下の中で、楽曲制作はスムーズに進みましたか?

熊木 : 私の場合、楽曲を作る上でこれまでと変わったところはあまりなくて、いつも通りスムーズに制作できましたね。1番最初に完成したのは『幸せの塗り方』でした。今回のアルバムでいうと『ことあるごとに』は今の状況を象徴するような曲だと思っています。この先も“ことあるごと”に乗り越えていかなきゃいけないことがあるんだろうなあと。

――その度に聴ける曲ですよね。

熊木 : そうあって欲しいですね。あと今回のアルバムでは、なかなかライブが開催できない分、バンドサウンドを意識した曲も入れています。『光のループ』などがそうですね。動きのある曲とすごく静かな曲をアルバムの中に組み込んでいます。

――全部通して聞くと1つのライブを見終わったような感じになりますよね。アルバムの曲は全て自粛期間に作成した曲になるのでしょうか?

熊木 : そうですね。だからといって曲の全てがコロナに関連しているわけではないですが……。『ノスタルジア』のような故郷を思ってみた曲もあれば、友人と会ったことをきっかけに作った『青葉吹く』があったりと、気持ちの趣で作っています。

――『青葉吹く』は自粛期間に行われた高校の友人との「ZOOM飲み」がきっかけで作られたんだとか。

熊木 : ZOOM飲み自体は、20分くらいで退出しちゃったんですけどね(笑)。

――(笑)

熊木 : でもZOOMだと住んでいるお部屋や子供など、普段は見えない友人の生活が見れた感じがしました。月日が経ったんだなとしみじみしちゃいましたね。

――今回のアルバムの中で特に思い入れのある曲は?

熊木 : 故郷と両親について歌っている『ノスタルジア』ですね。自分が親になってはじめて親の言ってたことがわかるなと、改めて思いましたし、こういった普遍なテーマはこれからも作り続けたいなと思います。

――両親には、もう聴いていただいたんですか?

熊木 : まだなんです。後から「あの曲って実は……」って言おうと思ってます。言わなくても“父が言ってた”って歌詞に出てくるのでバレると思うんですけど(笑)。
――(笑)。普段、両親から曲について何か言われることはあるんですか?

熊木 : ありますね。父が音楽好きのバンドマンなので、音楽にはうるさくて(笑)。「この曲いいね」って言ってくれることもあれば、「これはもうちょっとこうしたほうがいいんじゃないか」とアドバイスを受けることもあります。

――親とバンドマン、2つの視点で曲を聴いてくださっているんですね。

熊木 : そうです(笑)。父だけでなく、両親とも音楽好きなので、影響を受けてきた部分はたくさんあると思いますね。今こうして歌えていることも、父が「好きなことを見つけて生きなさい」と言ってくれたことがきっかけだったりするので、その点すごく感謝はしています。だから私自身も、子供には、好きなことをやって生きてほしいと思いますね。

今回はとにかくライブができることへの
喜びを噛み締めるだけ

――今回のアルバムには、スタジオライブ映像も収録されていますね。

熊木 : 実際のライブ音源を収録したことはあるんですけど、スタジオでライブ収録したことはなかったので、初めての試みでした。

――お客さんがいない中でのライブ収録はどうでしたか?

熊木 : 今回の収録はアルバムを買ってくださった方に見てもらうということで、目的がしっかりとしていたので、あまり寂しくはなかったですね。多分、私の場合配信ライブの方が寂しいと感じちゃうと思います。

――11月21日、22日には、いよいよ東京でお客さんを入れてのライブ『熊木杏里コンサート#An_semble 〜再会〜/〜再開〜』が開催されますね。

熊木 : ライブはずっと我慢していたので、今からすごく楽しみです。『光のループ』はライブで楽しく歌う姿を思い浮かべて作っているので、みんなが手拍子をしてくれるといいなと思っています。

――11月のライブは、どんなライブになりそうですか?

熊木 : 1日目がアコースティック編成で、2日目はアルバムをそのまま表現するようなバンド編成になっています。今回はとにかくライブができることへの喜びを噛み締めるだけですね。みんなもきっと同じような気持ちで来てくれると思うから、気持ちを共有できたらいいなと思っています。今回は東京だけでの開催なので、ライブに来れない人も多いかと思います。いつか必ず全国でライブ出来ると思うので、今はアルバムを聴いて楽しみに待っていてくれたら嬉しいです。

アルバム『なにが心にあればいい?』

2020年11月11日発売

<初回限定盤>
CD + DVD
YCCW-10376/B / ¥4,800(本体)+税

<通常盤>
CD [11曲]
YCCW-10377 / ¥2,727(本体)+税

DISC1(CD) 01. life 02. 幸せの塗り方 03. ことあるごとに 04. 星天の約束 05. 光のループ 06. 一輪 07. 見ていたいよ 08. ノスタルジア 09. 青葉吹く 10. 雪〜二人の道〜 11. 秤 – Bonus Track – 12. ことあるごとに(STUDIO LIVE Ver.) 13. 時の列車(STUDIO LIVE Ver.) 14. 誕生日(STUDIO LIVE Ver.) DISC2(DVD 43分) 熊木杏里『なにが心にあればいい?』 SPECIAL DVD STUDIO LIVE ことあるごとに 青葉吹く ノスタルジア 時の列車 誕生日 RECORDING DOCUMENT

熊木杏里

公式サイト
https://www.kumakianri.jp/
STAFF Twitter
https://twitter.com/KUMAKI_STAFF

熊木杏里、今の時代だからこそ届ける「幸せを込めた音楽」はミーティア(MEETIA)で公開された投稿です。

ミーティア

「Music meets City Culture.」を合言葉に、街(シティ)で起こるあんなことやこんなことを切り取るWEBマガジン。シティカルチャーの住人であるミーティア編集部が「そこに音楽があるならば」な目線でオリジナル記事を毎日発信中。さらに「音楽」をテーマに個性豊かな漫画家による作品も連載中。

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