本気でぶつかりあってきたからこその
感動がある。ミュージカル『RENT』ゲ
ネプロレポート〜平間壮一、甲斐翔真
、遥海らver.
ミュージカル『RENT』のゲネプロの様子
ミュージカル『RENT』のゲネプロの様子
ミュージカル『RENT』のゲネプロの様子
「未来もない。過去もない。今日という日を精一杯愛し、生きていく」。いまのコロナ禍や分断された社会の状況から鑑みても、そのメッセージは初演から20年以上経った今も色あせることはない。
メッセージ性の強さに加え、やはり『RENT』が熱狂的に支持される理由の一つは楽曲の良さだろう。2幕冒頭でキャストが舞台上に一列に並んで歌う「Seasons of Love」をはじめ、R&B、ロック、タンゴまで、幅広いジャンルの名曲がそろっている。脚本のみならず、作詞と音楽も手掛けたジョナサン・ラーソンの才能を感じてほしい。
ミュージカル『RENT』のゲネプロの様子
ミュージカル『RENT』のゲネプロの様子
☆マーク:平間壮一
☆ロジャー:甲斐翔真
☆ミミ:遥海
☆コリンズ:加藤潤一
☆エンジェル:RIOSKE(COLOR CREATION)
☆モーリーン:鈴木瑛美子
★ジョアンヌ:宮本美季
☆ベニー:吉田広大
(☆はWキャスト、★はシングルキャスト)
実際にみて見ると、いい意味で「普通」で「地味」で「どこまでも第三者」なマークだった。これはそう簡単にできることではない。この『RENT』はいろいろな登場人物のストーリーが群像劇的に折り込まれているが、中でもマークはそれをずっと映像に撮っている。人生を主体的に動かしているようでそれほど動かしてこなかった、ある意味一番観客に近い、「普通の」存在。演出の妙もあるのだろうが、平間マークは、自身の役割を理解し、とても軽やか。感情を出すときとは出すけれど、存在感を消すときは消す。その差し引きがうまく、この作品の世界観に完璧に溶け込んでいた。終盤で歌われる「Halloween」の曲がこれほど染みたマークが他にいただろうか。これまでのどの日本人キャスト版のマークとも違う、平間が作ったマークそのものだったと思う。
ミュージカル『RENT』のゲネプロの様子
安定の宮本美季のジョアンヌ、加藤潤一のコリンズ、初キャストの鈴木瑛美子(モーリーン)、吉田広大(ベニー)も健闘していた。
初日を前にした囲み取材で、ロジャー役の甲斐が言っていたが、日本版リステージのアンディ・セニョールJr.はリモート稽古のなかで「君たちの潜在能力の限界を突破したい。そこに僕は興味があるんだ。それはとても苦しくて気持ち悪い作業だから覚悟しておいてね。でも、その代わりにその先にあるものはとても素晴らしいものだから、楽しみにしていくれ」と語っていたという。
つまり、それぞれの配役はあるけれど、それ以上に役者としての、人間としての生き様や思いや悩みや感情が垣間見える演出になっているわけだ。本気でぶつかりあって生まれてきたからこその感動がここにはある。ぜひ劇場で体感してほしい。
ミュージカル『RENT』のゲネプロの様子
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