『美味しんぼ』はやく終われ:ロマン
優光連載5

ロマン優光のさよなら、くまさん

連載第5回『美味しんぼ』はやく終われ

 今、巷で話題の『美味しんぼ』。編集氏の「とりあえず、いっちょかみしときましょう」との指令のもと、「今から書いたって、まともな意見なんか出尽くしてるよ。まともな話すると脱原発運動の足を引っ張るようないい加減なものだし。だいたい小学館の炎上狙いでしょ…」と思いながら久しぶりに読んでみたら、怒りがふつふつとこみ上げてきました。許せない! こんな漫画は許してはおけない!
 まず、第一に糞つまらないこと!  ほんとにつまらない。だいたい、『美味しんぼ』なんて金上編以降は残りカスみたいなもんで、いや金上編ですら最後っ屁みたいなもんで、実質漫画としては終わってるようなもの。なんで俺がこんな糞つまらないストーリーに起伏もなければ熱さもまったくない、平坦でだらだらした漫画読まなきゃいけないんだよ!

 反抗的な左翼青年だった雁屋哲が『男組』で反権力思想を描いた後で、団塊元左翼が大会社に入社して拝金主義に転じたかのごとく、ひたすら権力へのあくなき野望を描いた『野望の王国』を執筆。そしてあの世代の元左翼にありがちなエコ思想及び金持ち趣味でしかないグルメ好みと、雁屋の中にくすぶってた反抗期の名残が絶妙にブレンドされて初期『美味しんぼ』という傑作が生まれたわけであるが、初期の『美味しんぼ』では雄山=大人=権力=悪、山岡 =若者=反体制=善という姿勢が徹底されており、『男組』の血をひくバトルストーリーとして非常に極上のエンターテイメントであった。それが、雁屋が年をくって親父になり息子がデカくなるにつれ、父親側である雄山への感情移入が強くなったのか、雄山=父親=成熟した大人、山岡=息子=未熟な若者という視点で描かれるようになり、対立軸がブレたせいで漫画としての面白さは日に日に削れていったわけで、今の『美味しんぼ』なんてオーストラリアに住む金持ちの元左翼爺の自分最高語りでしかなく、そんなん読んでられるかよ。という話である。

 そもそも『美味しんぼ』の世界感なんて超能力者がテレポーテーションしたり、白人至上主義の陰謀があちこちで張り巡らされてるような与太話であって、あすかあきおの『ショック・サイエンス』シリーズと全然かわらないのであります。あれも現実の人物が登場してるし。あすかあきおが真実めかしてオカルト話を語っても与太でしかないのと一緒で、雁屋哲が真実の福島とか言ってもそれは与太でしかないとはなから扱うべきだと思う。

 

ロマンの考える最終回

 同じ与太話なら、こんなつまらない紛らわしい話を書かずに、

 日本の核武装を狙う闇の総理の一味が、真実に近づきすぎた雄山を消すために美食倶楽部を爆破。
「とーさーん」
 美食倶楽部の跡地で立ち尽くす山岡は父の復讐を誓う。
 東西新聞、帝都新聞も襲撃を受け、地下に潜伏した大原社主たちもヒトシを人質にとられた富井副部長の裏切りによりあえなく最期をとげる。
「拙者に任せるでゲスよ」
 山岡を取り囲む闇の総理の軍勢の前に進みでて、小咄をはじめるブラック師匠。闇の軍勢がブラック師匠の小咄のたくみさに引きつけられている間に辛くも脱出に成功するも、ブラック師匠は尊い犠牲に…。

 逃避行を続けるうちに追い詰められたが、意外な男が山岡を救出した。
「お前は金上…」 
 金上の故郷は貧民窟。金上はそこの生活を憎み、若くして出帆していた。山岡に敗れ、久しぶりに故郷に帰った金上を待ち受けていたもの。それは闇の総理の手によって核燃料廃棄所にされた故郷の姿だった。
「俺は故郷をメチャクチャにした、あいつらに復讐がしてやりたいんだ! そのためならお前とだって手を組む」
「ヤーマオーカサーン、ボクノコト、オワスレジャナイデスカー」
 突如、海が割れ鯨の群れが出現。その一頭の上にまたがる包丁をかざした板前姿の白人が…。
「お、お前はジェフ!」
「わしらのこともお忘れじゃないですか!」
「力士の大谷さん、柔道家の大山さん、プロレスラーの大馬さん、力屋三人衆じゃないか!」
力強い味方と合流した山岡の復讐の戦いは今始まる…!

 ぐらいの話をやって打ち切りになるぐらいのほうがいいと思うのです! つーか、はやく終われ!
 そして、次の週から新連載『新・風の戦士ダン14』を始めましょう!

 【ロマン優光:プロフィール】
ろまんゆうこう…ロマンポルシェ。のディレイ担当。「プンクボイ」名義で、ハードコア活動も行っている。好きなアイドルは、イニーミニーマニーモー

オススメマンガ:『美味しんぼ 110』 (ビッグコミックス) [コミック](小学館)
オススメCD:孫/ロマンポルシェ。
2枚目のオリジナルアルバム。大泉逸郎『孫』よりもカッコいい!

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