【MISIA ライヴレポート】
『MISIA BIG BAND ORCHESTRA
SWEET & TENDER』
2020年2月2日 at 横浜アリーナ
クラブカルチャーからシンガーのキャリアが始まったこともさることながら、彼女は子供の頃から教会でゴスペルに触れていたというから、MISIAが幾度目かのベストアルバムとなった『MISIA SOUL JAZZ BEST 2020』において再びソウルジャズをフィーチャーしたのは必然であったのだろうが、デジタル技術が行き着くところまで来た感のある今日の音楽シーンにおいて、このタイミングでルーツミュージックを提示してきたのは興味深いことだし、これもまた必然と言っていいと思う。
このノリはコンピュータでは作ることができない…ということでもないのだろうけど、少なくとも生のステージにおいて演者同士のアンサンブルによって生まれる複雑なグルーブはその場限りのものでしかない。その意味では同作を携えてビッグバンド編成によるコンサートを行なうというのは時代へのカウンターでもあると言える。MISIAの歌もミュージシャンの演奏もAIになんか絶対に真似できない。
歌声に圧倒されて何度も鳥肌が立った。本来、感動した時に“鳥肌が立つ”とは言わないらしいが、本当にそうだったのだから仕方がない。正直に告白すると、ダンサーもいないので派手なパフォーマンスもないだろうし、スクリーンがないということは映像演出もないだろうから、総勢30名に近いミュージシャンがバックを務めているとは言っても、今どきのコンサートとしては地味じゃなかろうか…と事前にはそんなことも思っていた。少なくともアリーナ向けのライヴではないだろうと。だが、そう思ったことを反省するし、後悔すらしている。
ビッグバンドを従えようが、1万5,000人を前にしようが、MISIAの歌はそれらに引けを取らないばかりか、大人数のバンドメンバーおよび大観衆と対峙することで、そのスペックが何倍か増したようであった。全ての楽曲がハイライトと言えるような公演で、彼女の歌はどれもこれも素晴らしかったが、その中でも観客の多くに強烈なインパクトを与えたのは「オルフェンズの涙」だったと思う。特にアウトロで見せたMISIAとサックスとの掛け合いは凄まじいまでの迫力に満ちていた。
楽曲がバシッとカットアウトで終わると、驚嘆に近い息遣いが大勢のオーディエンスの口から漏れるのがはっきりと分かった。そこから一拍を置いて、文字通り割れんばかりの拍手が鳴った。その時の場内の空気はまさに筆舌に尽くし難く、強いてビジュアル化するなら“……!!!!!!”という感じであっただろうか。長年いろんなライヴを拝見させてもらってきたが、こんな瞬間に立ち会ったのは間違いなくこれが初めてである。
このノリはコンピュータでは作ることができない…ということでもないのだろうけど、少なくとも生のステージにおいて演者同士のアンサンブルによって生まれる複雑なグルーブはその場限りのものでしかない。その意味では同作を携えてビッグバンド編成によるコンサートを行なうというのは時代へのカウンターでもあると言える。MISIAの歌もミュージシャンの演奏もAIになんか絶対に真似できない。
歌声に圧倒されて何度も鳥肌が立った。本来、感動した時に“鳥肌が立つ”とは言わないらしいが、本当にそうだったのだから仕方がない。正直に告白すると、ダンサーもいないので派手なパフォーマンスもないだろうし、スクリーンがないということは映像演出もないだろうから、総勢30名に近いミュージシャンがバックを務めているとは言っても、今どきのコンサートとしては地味じゃなかろうか…と事前にはそんなことも思っていた。少なくともアリーナ向けのライヴではないだろうと。だが、そう思ったことを反省するし、後悔すらしている。
ビッグバンドを従えようが、1万5,000人を前にしようが、MISIAの歌はそれらに引けを取らないばかりか、大人数のバンドメンバーおよび大観衆と対峙することで、そのスペックが何倍か増したようであった。全ての楽曲がハイライトと言えるような公演で、彼女の歌はどれもこれも素晴らしかったが、その中でも観客の多くに強烈なインパクトを与えたのは「オルフェンズの涙」だったと思う。特にアウトロで見せたMISIAとサックスとの掛け合いは凄まじいまでの迫力に満ちていた。
楽曲がバシッとカットアウトで終わると、驚嘆に近い息遣いが大勢のオーディエンスの口から漏れるのがはっきりと分かった。そこから一拍を置いて、文字通り割れんばかりの拍手が鳴った。その時の場内の空気はまさに筆舌に尽くし難く、強いてビジュアル化するなら“……!!!!!!”という感じであっただろうか。長年いろんなライヴを拝見させてもらってきたが、こんな瞬間に立ち会ったのは間違いなくこれが初めてである。
撮影:Masaaki Miyazawa、Junichi Itabashi、Santin Aki/取材:帆苅智之