Rude-α ハッピーに盛り上げるパフ
ォーマンスと熱いメッセージ、新世代
ラッパーが見せたいくつもの輝き

Rude-α Christmas One Man Live 2019

2019年12月20日(金) 東京/TSUTAYA O-WEST
12月20日金曜日、渋谷・TSUTAYA O-WESTでRude-αを観た。名前をググれば音楽のみならず、エンタメ界のトピックにもヒットする人気者だが、ラッパー・Rude-αが真に輝くのはやっぱりステージの上。フロアを埋めたティーンズ男女のキラキラ目線が見つめる中、19時15分、『Rude-α Christmas One Man Live 2019』のスタートだ。
まずステージに現れたのは、凄腕揃いの4人編成バンド。プラス、DJもラップもこなすISSEIの5人ががっちりバックを固め、「東京、調子はどう!」と煽りまくり、フロアが温まったところへいざRude-α見参。白のTシャツに白のオーバーオール、バネのような身のこなしでステージを飛び回る、その姿はまるで小さなホワイトタイガー。最前列の観客が掲げたスマホを奪い取り、自撮りして返すパフォーマンスにどっと湧き上がるオーディエンス。情熱、熱風、嵐のようなオープニング。
Rude-α 撮影=Hiroyuki Dozono
「沖縄出身、22歳、Rude-αです。今日はこんなに来てくれてびっくりしてます。キャパ500人に応募5000も来ちゃって、どーすんだよ!」
飾らないウチナーグチのイントネーション、親しみやすさとかっこよさの絶妙なバランスでライブは進む。セットリストは、20歳の2018年にリリースしたミニアルバム『20』と、22歳の今年世に出たメジャーデビューEP『22』からの楽曲を立て続けに。そうかと思えば、「新曲やります!」と宣言して、誰も知らない新曲「Tokyo Circus」を披露して大喝采を浴びる。何がどこから飛び出すかわからない、痛快なパフォーマンスだ。
「みんな楽しんでますか? その笑顔を見るために俺は歌ってます。めっちゃ嬉しいです」
陽気に煽るだけじゃない、ぐっとくる話もしっかりする。3年前に上京した時の、つらくて不安だった自分。もう沖縄に帰ろうかと言った俺に、おじいは「後悔を残してやめていいんか。男だったらカマしてみろ」と言った。おじいは2年前に亡くなったけど、今こうしてみんなが俺を待っててくれる。止まるよりも前に進んだほうが、いい景色が見れるんだ。「自分は一人だと思わないでほしい」と、そう言って歌った「Happiness」の、限りない強さと優しさ。Rude-αの歌には、22年ぶんの人生がしっかりと詰まってる。
Rude-α 撮影=Hiroyuki Dozono
「クリスマスなのに、プレゼントないんだと思ってるでしょ? カバーやります」という前振りは真っ赤なウソ。最新配信曲「It’ s only love」へ繋ぐ展開にフロアは大うけ。さらに男女2人のダンサーを呼び込み、自らも加わったフォーメーションダンスの切れ味は圧巻の一言。高校生ラップ選手権でその名を全国に知られる前は、ストリートダンスから始めたというキャリアは本物だ。
「あの時から俺の言ってることは変わらない。武道館までお前たちを連れていく。俺と同じ時代を駆け抜ける準備はできてますか!」
こんなかっこいいセリフ、誰もが言ってハマるものじゃない。フロアはもう大騒ぎ。火に油を注ぐように、「3月4日、ファーストアルバム『23』リリースします! そして、初の全国ツアー決定!」と高らかに宣言。そして「このペースで行けば武道館は再来年ぐらいだな」とニヤリ。最後はISSEIとギター、ベースもステージ最前線に上げて総攻撃、疾風怒濤で駆け抜けた60分強。エクササイズを終えたような、爽やかな汗を感じる豪快なパフォーマンスだ。
Rude-α 撮影=Hiroyuki Dozono
アンコールでは、Rude-αの名をぐっと広めた『オオカミちゃんには騙されない』に引っ掛けたジョークを飛ばしたり、グッズのパーカーをフロアに投げ込んだり、メンバー紹介で全員をいじったり。彼にとってステージは晴れ舞台であり、同時に家のようにくつろぐ場所でもあるんだろう。「さっきはウソついたけど、ちゃんとクリスマスプレゼントあるんですよ」という前振りからの新曲「アイスクリーム」の初披露は、正真正銘初披露のクリスマスプレゼントだ。ドラムンベース系のリズムでがっつり踊らせ、なおかつ可愛らしくキャッチーなラブソングに仕上げた自信作。配信リリースは2月8日(土)、忘れずにチェックしよう。
俺はみんなのことをずっと覚えてる。大人になっても、こうやって楽しんだ日々を忘れるなよ--とことんハッピーに盛り上げるパフォーマンスと、要所を締める熱いメッセージ。確かなスキルのラップ、ダンス、そして天性の華やかさ。ラッパーとして人間として、いくつもの人を惹き付ける魅力を備えた男、Rude-α22歳。次のライブは12月27日(金)、ここから道をはさんですぐ向かい側、しかしキャパは軽く2倍以上のTSUTAYA O-EASTだ。『Rude-α One Man Live 2019 FINAL』は、飛躍の1年となった2019年を経て、2020年に高く飛ぶためのジャンピングボード。来た、見た、飛んだ、Rude-αを体験するのは今だ。
取材・文=宮本英夫 撮影=Hiroyuki Dozono
Rude-α 撮影=Hiroyuki Dozono

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