THE TOMBOYS 可能性みなぎるロックバ
ンドーーミニアルバム『NOW‘N’RUN
』は「いつも以上に今の思いをこめた
」という自信作

2018年10月にリリースした4thミニアルバム『Wherever We Want』が好評を博し、同年12月には大阪・心斎橋BIGCATでのワンマンライブで平日にもかかわらず500人の動員を達成するなど、今、勢いのある4人組バンド、THETOMBOYS。2019年1月からワンマンツアーを行い、若々しくてハッピーなロックンロールサウンドを各地に届けてきた彼女たち。そして、そのツアーの中に書きためてきたという楽曲を集めたのが、5枚目のミニアルバム『NOW‘N’ RUN』だ。22歳の飾らない言葉をぶつけた渾身の7曲。同世代に生きる若者にとってはどこかその気持ちに共感ができ。また上の世代にとっては活力を取り戻すきっかけとなりそうな、エナジーあふれる作品となっている。どこまで飛躍するか分からない、可能性しかないTHETOMBOYS。今回は、この『NOW‘N’ RUN』についてタバタヒナ(Vo.&Gt.)、ワキマドカ(Gt.)、GGワカナ(Ba.)、のん(Dr.)に話を訊いた。
THE TOMBOYS 撮影=森好弘
――今作は、1曲目「RUN」などみなさんの現在、そしてこの先をテーマにした楽曲が印象的でした。そのあたりはやはり意識的に制作していきましたか。
タバタ:いつも以上に、自分が今思っていることを歌詞にしました。私たちはちょうど今、社会に出て行く年齢(22歳)。今までのこと、これからのこと、そういう人生について考える機会が増えてきたんです。

THE TOMBOYS 撮影=森好弘

――収録曲「なんにもない」では十年後の自分にメッセージを送っていますよね。
タバタ:10年後、自分は何をしているかなと興味を持ったのですが、一方でもし自分たちの未来のことを知ることができたとしても、それって安心感はあるけど面白くないなって。先のことより、まずちゃんと今を感じたい。で、点としての今じゃなくて、線をしっかりとたどって今と向き合いたい。
GG:でも、30歳を過ぎた自分はやっぱり想像できない。その頃には結婚をしていたいし、バンドとしてもいろんな国でライブをやっていたい。夢はたくさんあるけど、現実になるとまだ何もイメージできない。だけど、想像できないくらい大きいことをしていたいですね。
ワキ:私は逆に先のことをよく考えます。私たちの年齢になると、周りの友人たちも将来に向かって着実にプランを立てている。でも自分たちは今、安定するものはなくて、とにかく挑戦ばかりで、それを達成するためには「これだけのことをしなくちゃいけない」と想像ばかりして、期待と怖さがある。これから10年のうちにどれだけのことができるのか。その状況を楽しみたいです。
のん:でもさ、20代ってもっと大人だと思わなかった? 私は、自分はまだまだ子どもだなと感じることばかり。
THE TOMBOYS 撮影=森好弘
――というか、TOMBOYSは大人になりきれないところが魅力ですよね。
GG:なりたくないんじゃなくて、なれていないんですよね。大人って、何事もテキパキしているイメージ。事務的なことから家事まで全部できる。たとえば、誰かが飲み物をこぼしたらすぐにタオルを出せるような。
――タオルですか(笑)。
GG:はい(笑)。準備が良くて何でも気がすぐ利く感じですね。
ワキ:あと本当の大人は、自分の好きなことに対して責任を持てる。やりたいことに対して突き詰めている。そして、最後まで責任を持ってやりきる。
タバタ:だけど、周りを見わたしても「この人は大人だな」という人は少ない気もします。悪い意味ではなく。みんな、「きっと子どものときからこうなんだろうな」という無邪気な人ばかり。私自身は理想の大人像はなくって、何となくいつの間にか大人になっているんだろうなって感じです。
のん:私も大人とは程遠いですね。すぐダラけちゃうし。お母さんを見ていたらいつも「すごいな」と感心します。それに比べたら自分なんて全然ダメ!
THE TOMBOYS 撮影=森好弘
――「RUN」や「なんにもない」はそういった部分が色濃くでていますよね。みなさんの現時点での人生観というか。2曲目の「Vilgilia」もどこか生き様を感じる楽曲ですが。
タバタ:「Vilgilia」はイタリアで宿泊したホテルのオーナーの女性をモデルにした曲なんです。ビルジリアさんという方で、彼女との別れ際、すごく明るいんですけど、どこか寂しそうにも見えました。またここに帰ってきたいなと強く感じるくらい、自分たちのなかでも彼女と出会い、そして別れたのは大きな出来事でした。
ワキ:ツアーでヘロヘロの状態になってその宿に着いたんだよね。そうしたらホテルの外見が、失礼な言い方になってしまうのですが、馬小屋のような佇まいで、最初は正直びっくりしたんです。
のん:うん、本当に馬小屋のように質素な見た目だったよね。
ワキ:でも中に入るとすごくきれいで、ビルジリアさんも私たちを孫のように温かく迎えてくれた。彼女にとっては、私たちに対してそこまでする必要なんてないはず。でも、何でも親身になってくれた。旅の途中でこんな素敵な人と出会えるなんて、と感動しちゃって。だけど、簡単には再会できない距離。それ以来、ずっと心の中に彼女がいるんです。旅って本来こういうものなんだなと実感しました。いつまでも同じ場所にいることができないものなんですよね。
GG:内装もかわいくって、アンティークがたくさんあったよね。あと、彼女自身にもたくさんの歴史がある。そのホテルのこともたくさん話してくれて、そういうことってあまりないから嬉しかったです。
のん:朝食も、私たちメンバーとマネージャーだけのために、20人分くらい並べてくれたんです。1日の宿泊でここまでやってくれて、そのおもてなしの気持ちに感動しました。

THE TOMBOYS 撮影=森好弘

――ビルジリアさんのホテルの外装と内装のギャップもそうですが、表面をなぞるだけでは物事の本質はつかめないですよね。3曲目「やんなっちゃうわよ」の歌詞、<正しいか間違いかは自分で選ぶもの>のように、周りに流されず、結局は自分がどうのようにその物事をとらえるのか、そして自分自身の実感こそが正解なんだと思います。
ワキ:たとえば、目指している物事が一緒で、熱量も同じくらいあったとしても、「こうしたい」という意思、「こうするべき」という方法論が噛み合わないことも多々ありますし、どちらが正しいのか、間違っているかは分からないですよね。実際に私たちもそういう経験をしました。
タバタ:何か決断をするときに、他人から見たら間違いであっても、自分では正しいことってたくさんあるし、その逆もある。それを押し付けるのは違うし、自分がどうするか、どう考えるかによって正しくなったりする。ただ一つ言えることは、未来は行動によって決まる。結果論なんてない。とは言っても、現実はなかなかうまくいかないから、「やんなっちゃうわよ」って。
THE TOMBOYS 撮影=森好弘
――なるほど。「やんなっちゃうわよ」もそういう意味で、自分たちの未来とか人生観を反映させていますよね。で、先ほどもお話に挙がった「なんにもない」ですが、これはアルバムの象徴的な曲で、生きる上で「これさえあれば何もいらない」という曲ですね。
ワキ:音楽はもちろん私たちにとって絶対必要。そして、私は今まわりにあるものすべてが音楽にとって必要です。一つでも何かが欠けちゃうとコントロールができなくなるし、バンドもできないです。
GG:私も音楽はもちろん欠かせません、あと、実は電車が大好きで、これは生きる上で絶対に必要です! 見た目が格好良くて、ドキドキさせてくれる。車両の“顔”が好き。あと路線図も好きなんです。いろいろ想像がふくらむんです。大阪メトロの路線図は特にたまりませんね(笑)。
タバタ:「なんにもない」はまさにバンドや音楽以外、自分には何もないなと思って作りました。私は、「バンドの他に」というより、「まさにバンドしかない」という感覚。もともとこの曲はミニアルバムに入れる予定がなかったんです。でも、朝起きて思いついて2時間くらいで作り、「これをアルバムに入れます」とみんなに連絡したんです。
のん:レコーディングとレコーディングの合間の中日(なかび)に連絡が来て、2日間で準備をして急遽作ったよね。
タバタ:絶対に入れたかったんです。本当に強く思ったことを曲にしたので。特に私たちの今を象徴している曲なので、この作品の締めくくりとしてぜひ聴いてほしいです。
THE TOMBOYS 撮影=森好弘
取材・文=田辺ユウキ 撮影=森好弘

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