東京二期会オペラ劇場『サロメ』開幕
へ 稽古場レポート&指揮者ヴァイグ
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オペラ『サロメ』のリハーサルが、都内の稽古場で行われた。このプロダクションは、ハンブルク州立歌劇場と二期会の共同制作で、演出は世界的活躍をみせるヴィリー・デッカー。演奏はフランクフルト歌劇場総監督セバスティアン・ヴァイグレが指揮する読売日本交響楽団だ。ヴァイグレは今年、同楽団の常任指揮者に就任したばかりで、就任後初のオペラとなる。

指揮 セバスティアン ヴァイグレ

サロメ 指揮者ヴァイグレよりコメント
まず目に飛び込んでくるのは、舞台全体に敷き詰められたむき出しの巨大な階段だ。無駄なものは一切置かれず、殺風景といえるほどシンプルなステージだが、その威容に圧倒される。この舞台に照明が入って、さらにいかなる変化が起こるのかに期待が膨らむ。また奥行きと高低差が十分にあるため、登場人物の動きが平面的にならず、よりダイナミックな演技が生まれ、目を引きつけた。

舞台の様子
この日は、6月6・9日公演キャストによる通し稽古だったが、圧倒的存在感を放ったのが、サロメ役の田崎尚美だ。全編出ずっぱりの彼女は、ヨカナーンとの出会いで生まれた愛情から狂気に至る心情を見事に演じていた。
サロメ 田崎尚美

(左から)サロメ 田崎尚美、ヘロデ 片寄純也
激情が溢れ出す絶唱から一転、冷静にただ状況を見つめる表情、妖艶な〈7つのヴェールの踊り〉など、ひと時も目を離せない。クライマックスの凄唱は、ぜひとも劇場で体感してもらいたい。萩原潤、片寄純也、清水華澄らも好演。
ヨカナーン 萩原 潤
ヘロデ 片寄純也
ヘロディアス 清水華澄

演出のデッカーは、次のように語る。
(左)演出 ヴィリーデッカー
「サロメは、非常に退廃的な環境にあって、純粋で悪のない女性。しかし、周りからは放置された存在であり、そのために野生的。高い地位にあり、自身の意志を通せる立場にいるが、愛情や恋というものを感じたことがない。
そこに、自分とはまったく次元の違うヨカナーンが現れる。彼は人間を超越した存在を信じ、他の人とは違う神聖さを持っており、サロメが憧れている愛情がすべて彼に注がるようになっていく。彼女の期待を叶えられる唯一の存在であると。
だからこそ、サロメをヨカナーンが拒絶したとき、彼女が選べる道は、自分と彼を殺すことしかなかった。それが彼女の希望と絶望をすべて満たす道だった。彼を殺し、首にキスをする。彼を殺すという現実的な次元を超え、精神的な次元での結びつきを達成した。この瞬間に、オペラのキーワードとなっている“愛”と“死”の結合が表される」
(左から)サロメ 田崎尚美、ヘロディアス 清水華澄
(左から)ナラボート 西岡慎介、ヘロディアスの小姓 成田伊美
本公演は6月5日(水)~9日(日)まで東京文化会館大ホールにて上演される。チケットは好評発売中。

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