池部幾江役の大竹しのぶ

池部幾江役の大竹しのぶ

「勘九郎くんの芝居が、お父さまにそ
っくりで驚きました」大竹しのぶ(池
部幾江)【「いだてん~東京オリムピ
ック噺(ばなし)~」インタビュー】

 ストックホルムから帰ってきた金栗四三(中村勘九郎)は、故郷・熊本で幼なじみのスヤ(綾瀬はるか)と結婚する。だがそれは、病気で亡くなったスヤの夫の家・池部家に四三が養子に入り、改めてスヤを嫁に迎えるという、四三にとって予想外の展開によるものだった。一騒動がありつつもこの話をまとめたのが、池部家を取り仕切り、四三の義母となった幾江。演じる大竹しのぶが、四三&スヤ夫妻との関係を中心に、撮影の舞台裏を語ってくれた。
-第15回で幾江は、四三とスヤを結婚させました。結婚式の場面の感想は?
 (中村)勘九郎くんと(綾瀬)はるかちゃんと3人で、記念写真を撮りました。ただ、撮影にはものすごく時間がかかったんです。はるかちゃんは着物を着ているのに大変だろうな…と、そっちの方が気になって、感慨に浸るどころではありませんでした(笑)。でも、花嫁姿は本当にかわいかったです。
-幾江はスヤが大のお気に入りですが、綾瀬はるかさんが演じるスヤの印象は?
 あんなにかわいい人は他にはいません(笑)。はるかちゃん本人がかわいいので、きっと宮藤(官九郎/脚本家)さんはそのあたりも踏まえた上で、脚本を書いているのではないでしょうか。私も、はるかちゃんとスヤの区別がつかなくなくなっています(笑)。せりふも、ほんの一言、二言だけということも多いのですが、その一言、二言がまたかわいくて…。実際にスヤさんの娘さんたちが「自分たちのお母さんなのに、幾江さんに取られたような気になった」と話していたそうですが、こんなにかわいいお嫁さんですからね…。手放したくなかった気持ちはよく分かります(笑)。
-一方、幾江が養子に迎えた四三の印象は?
 暑苦しい男だな…と(笑)。スヤと一緒に暮らしたいから養子にしただけで、幾江自身は四三のことをこれっぽっちも好きではないので…。でも、演じているうちに、だんだんその暑苦しさが好きになってきました(笑)。
-そんな四三を演じる中村勘九郎さんの印象は?
 とても真面目に役に取り組んでいます。走る練習を始めたときから、ご飯を控えたりして体作りに取り組む勘九郎くんをずっと見てきたので、オリンピック選手を演じている姿を見ると、本当に感動します。四三が水分を絶つ「脂抜き走法」に挑戦する場面(第4回)では、勘九郎くん自身も24時間水を飲まず撮影に臨んだそうです。そんな人に出会ったのは、高倉健さん以来。私にはとてもできません(笑)。でも、そういう覚悟を持って大河の主役を務める勘九郎くんの気持ちは、画面にも表れていると思うので、皆さんに伝わるといいですね。
-大竹さんは「元禄繚乱」(00)で、勘九郎さんのお父さまの中村勘三郎(十八代目)さんとも共演していますが、親子二代と共演した感想は?
 勘九郎くんの芝居がお父さまそっくりだったことがあって、びっくりしました。お父さまを尊敬しているから似るのか、DNAがそうさせるのか分かりませんが、熱い芝居が本当にそっくりで…。思わずグッときました。やっぱり、勘九郎くんの中にお父さまがいるんだな…と。スタッフを大事にして、みんなから愛されるところもお父さまに似ています。
-幾江を演じる上で心掛けていることは?
 幾江さん本人に関する資料はほとんど残っていないので、ドラマの中の幾江は宮藤(官九郎/脚本家)さんが作り上げたものです。だから、宮藤さんが考えた通りの幾江を演じようと心掛けています。見た目はなにを考えているか分からない怖そうな人ですが、心の温かい大きな人間として演じられたら…と思っています。
-今後の見どころは?
 幾江は今のところ、あくまでもスヤが一番で、オリンピックも四三もどうでもいい、という人です。そこから徐々に、四三の一生懸命さを認めて、息子として愛するようになっていきます。その過程をぜひ見ていただきたいです。最終的には、四三と心を通わせるような場面も出てきます。ただ、普段から私が勘九郎くんの家に遊びに行ったりして、親子のような感じで接しているので、改めて2人でそういう場面を演じるのは不思議な気分でした(笑)。
-四三への思いと同時に、幾江はスポーツに対する考え方も変わっていくようですね。
 当時はオリンピックの見方も、今とは全く違います。後々、女子の水泳の試合をラジオで聞くような場面も出てきますが、幾江さんは相手の外国人選手の名前を聞いて、男と戦っているのかと勘違いしてしまいます。それぐらい、世の中にはオリンピックが知られていませんでした。その上、今はテレビの衛星中継で競技の様子がすべて分かりますが、当時はラジオだけ。それでも、「たいしたものだ。水の音まで聞こえる」というせりふがあるぐらい画期的なことでした。それを必死に応援する四三を見て、「こいつはこんなところで頑張っていたのか」と幾江は理解していく…。そういうことが分かったのは、面白かったですね。
-幾江にとっては“暑苦しい男”である四三が、マラソンに一生懸命取り組む姿について、大竹さん自身はどんなふうに感じていますか。
 「こうでなければいけない」と思わせてくれるものがあります。私自身も、今までお芝居に対してはそういう気持ちを持って生きてきました。一生懸命やらなければ、何も見えてきません。だから、一生懸命というのは、とても大事なこと。そういう姿勢は、必ず人に伝わるはずですから。
(取材・文/井上健一)

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