嵐のライブDVDが特別であるワケ 一
流スタッフの手で「芸術作品」の域に

 「ベスト・ミュージック・ビデオ」に選出された作品のひとつ『ARASHI LIVE TOUR Popcorn』は2012年11月から2013年1月にかけて全国5大都市ドームにて行われた、ライブツアー「ARASHI LIVE TOUR Popcorn」の中から12月に東京ドームで行われたコンサートの模様をDVD化したもの。ドーム公演を収めたライブDVDは「ARASHI 10-11 TOUR "Scene"〜君と僕の見ている風景〜 DOME+」以来およそ2年ぶりとなるので、待ちわびていたファンも多かったようだ。もうひとつの作品「アラフェス」は2012年9月20日と21日の2日間に渡って国立霞ヶ丘競技場で行われた「ARASHI アラフェス NATIONAL STADIUM 2012」を完全収録したもの。ファンへの感謝を込めて「の恩返し」として行われた同ライブ、リクエストで選ばれた曲だけで構成された貴重なものということもあって、初週で62.4万枚を売り上げ、音楽DVDの歴代記録を更新したことも話題となった。

 嵐のライブが毎回チケットの争奪戦となるのは周知の事実だ。昨年のツアー「ARASHI Live Tour 2013“LOVE”」では転売チケット問題もニュースとなった。また遠方に住むファンの場合どうしてもライブを観に行けないという事情もある。その点、毎年リリースされるDVDは嵐のライブを確実に楽しむことができる貴重な方法だ。また幸運にもライブに行けた方であっても、手にとって観る価値は充分にある。というのも、嵐のライブを収録するカメラマンや編集するディレクターは日本でも指折りのメンバーによって構成されているからだ。

 嵐のライブDVDの場合、まず撮影用に準備されるカメラの台数が通常のミュージシャンの倍近くになる。またクレーンや空中から撮影することができる特機と呼ばれるものの台数も多い。ここまでの規模感で収録が行われるライブは日本ではサザンオールスターズやB’z、Mr.Childrenなどごく一部の限られた大物ミュージシャンだけだ。それぞれのメンバーには張り付きのカメラマンが複数人準備され、彼らの一挙手一投足が余すことなく収録される(これも通常のライブ収録では考えられないこと)。そしてそれらを撮影するカメラマンや収録された映像を取捨選択し構成するスイッチャーやディレクターにはジャニーズ事務所からご指名の歴戦の猛者が選ばれる。パッケージに記載されているクレジットを見れば分かるが、彼らスタッフは先に挙げた大物ミュージシャンなども担当する業界内でもトップクラスのメンバーなのである。そんな一流スタッフの手によって作られるライブDVDはコンサートとはまた別物の、素晴らしい芸術作品に仕上がっているのだ。

 もちろんライブで実際に本人たちを目にすることとライブDVDを鑑賞することは全く異なる。しかしどちらが優れているというわけではなく、全くの「別物」として両者とも楽しめるものだと断言できる。またDVDであれば過去のライブと見比べてメンバーの成長を見るという楽しみ方もできる。嵐ファンでなくても一流の職人たちによる映像作品として非常に満足できるものであるはずだ。例年のスケジュールで行けば春頃には昨年末のツアー「ARASHI Live Tour 2013 "LOVE"」も映像化されることが予想される。リリースまで待ちきれない方は是非これまで見逃していた過去のライブDVDも手にとってみて欲しい。(北濱信哉)

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