我が子をアレルギーにさせないために
は?「原因・対策・対処法」を専門家
に聞いた

アレルギーを抱える子どもは、5年間でなんと2倍に増加。かわいい我が子のアレルギーをどうしたら予防できるのでしょうか? 免疫学教授の中尾篤人先生に伺いました。

スーパーの試食コーナーでさえ、「アレルギーはございませんか?」と聞かれることが出てきたこの頃。
アレルギーを抱える子どもは、この5年間でなんと2倍に増加(*1)。食物から花粉症、アトピーまで種類は多々あれど、誰もが何らかのアレルギーを持っているのでは無いか、と思うほど当たり前のようになってきました。
この記事の完全版を見る【動画・画像付き】
近年すさまじい勢いでアレルギー人口が増えている原因は、過度な清潔思考、抗生物質の使い過ぎ、そして化学物質にあふれる環境だと考えられているそう。
親としては、かわいい我が子がアレルギーにならないように考えてあげたいものですが、どうしたら予防できるのでしょうか?
調べてみると、何と、妊娠中・授乳中からできるアレルギー対策もあるのだとか。その方法は? 山梨大学医学部、免疫学教授の中尾篤人先生に伺いました。
*1)2013年文部科学省「食物アレルギーに関する研究報告書」より
赤ちゃんにも増える「アレルギー」とは?
改めておさらいしてみましょう。アレルギーとはいったいどういうものなのでしょうか?
対象となる物質は、食品をはじめ、花粉やダニ・ホコリなど様々。
症状についても、くしゃみや咳、皮膚のかぶれ、じんましん、といったものから、重大なものではアナフィラキシーショックまで原因物質や体質によって異なるようです。
中尾先生によると、最近は「口腔アレルギー」という、果物を食べて口の中や唇のまわりだけイガイガする、といった口のまわりでのみ反応がおこるアレルギーも増えてきているそう。
アレルギーは発症後すぐにアレルギーだと断定することは難しく、このような症状が何度か繰り返す、もしくは2週間以上つづくような場合はアレルギーの可能性があるそうです。
子どもの場合、自分では体調の変化に気づきにくいので、親が見て気になる症状があれば、発生した日時や様子、その日の食事や行動を都度メモにとっておくといいかもしれません。
自分では気づきにくい症状が軽度であっても、睡眠不足、外出できない、勉強がはかどらない、など重大な問題になることも多く、放っておけばアナフィラキシーショックの危険性もあるため、早めに気づいてあげたい所ですね。
しかし、最近ではアレルギーを発症する年齢が下がってきている事も問題となっているそう。まだ自分の意思を表現することができない赤ちゃんまでも、アレルギー発祥件数が増えてきているというのです。

なぜうちの子がアレルギーに? アレルギーの予防方法とは
なぜうちの子がアレルギーに?
病院で、「ご家族にアレルギーの方はいらっしゃいますか?」と聞かれる事もありますよね。しかし、親子間でアレルギーが遺伝するのかについては、はっきりと分かっていないそう。
実際、親子そろってアレルギー持ちではあっても、その対象となっているものが違ったりすることも多いですよね。
では、なぜ生まれたばかりの赤ちゃんまでがアレルギーになるのでしょうか?
それには母乳が関係している可能性が高いそうなのです。

母乳でアレルギーが予防できる!?
母乳の中には、TGF-βと呼ばれる、過剰な免疫反応を抑える大切な成分がたくさん入っているそうです。
中尾教授によると、お母さんの母乳の中にこの成分が多いほど、飲んでいる赤ちゃんのアレルギー発症率が低いということが明らかになっているそうです。
なぜこのTGF-βに個人差がでるのかというと、それはお母さんの身体と母乳が密接に関係しているから。お母さんの身体自体にこれを増やすことで、母乳の中にもこのアレルギーを抑える成分が増えるそうなのです。
因に、お母さんがアレルギー体質だとこの成分の値も変わるのか? というと、その関係があるのかについては、まだはっきりとはしていないそう。どちらにしても、子どもの為にできる予防策はしてあげたいですよね。

アレルギーを予防する母乳のつくり方
さて、ではアレルギーを予防できる成分とは。
ご存知の方も多いかと思いますが、近年「花粉症やインフルエンザに効く」などと話題の“乳酸菌”。これが、免疫を鍛えてくれ、様々なアレルギーを抑えるのにも役立つそうです。
但し、ここからが肝心。この乳酸菌にも様々な種類があり、その種類によって効き目が違うそうなのです。
一時話題になった明治のヨーグルト「R-1」の1073R-1乳酸菌、「LG21」のLG21乳酸菌、おなじみヤクルトの乳酸菌シロタ株(ヤクルト創始者である代田博士の名前からとったそう)、ビフィズス菌などなど、乳酸菌は分かっているだけでも350種類以上はあるのだとか。
また、よく耳にする「プロバイオティクス」というのは、これら、腸の中で働いて身体によい作用をもたらす、乳酸菌を含む微生物の総称だそうです。
中尾教授によると、母乳中のアレルギーを抑える成分を増やすには、お母さんが複数の乳酸菌を摂取することが効果的なのではと考えられるそう。
そして、この乳酸菌摂取は、妊娠中の胎児や、お母さん自身にも同じように効果が期待できるのだとか。
母乳研究を60年続けているビーンスターク・スノーからは、母乳を飲む赤ちゃんのアレルギーリスクを軽減する「3つの乳酸菌」という商品も登場しており、今後も赤ちゃんのアレルギー予防に注目が高まりそうです。
アレルギーの原因は「お母さん」なの?
おっぱいは大切な“センサー”
昔は母乳より粉ミルクの方が優れているという時代もありましたが、今では混合を含めた母乳育児の割合は95%近くになるのだとか。
「ほ乳類の発明のひとつが母乳です。」と中尾先生。
「母乳には、栄養的な役割はもちろん、免疫成分があります。そして、授乳中に出るオキシトシンという成分はお母さんを穏やかにします。お母さんが受けている精神的なストレス、周囲の環境の状況、さまざま情報が、母乳を通じて赤ちゃんに伝わります。おっぱいは赤ちゃんにとって、大切なセンサーのような役割なのです。」
日本人の母乳と、乳発展途上国で豊かな自然の中暮らしている人の母乳を比べると、その成分には大きな違いがあるそう。
日本人の母乳には、化学物質に反応して増えるというアレルギー因子が高い数値で含まれていたのだとか…
大気汚染や添加物、目に見えない様々なものが、日本人の母乳成分を、アレルギーを誘発するようなものに変えてしまっているのではないかと言われています。
ここまでの話を聞くと、子どもがアレルギーになるのは、親の不摂生のせいではないか、と申し訳ない気持ちになりますよね。
実際私自身も子どもが生後3ヶ月でアレルギーを発症。突然全身に真っ赤なじんましんが出てしばらくは原因が分からず、涙を流したこともありました。
しかし、「あまり神経質になりすぎないように」と中尾教授は言います。
「今はアレルギーになる子がほとんどになってきました。その大きな原因は、お母さんがファストフードばかり食べていた事や、オーガニックではない化粧品を使っていたことではありません。遺伝の可能性もほとんど無いと言われています。
一番は環境の問題。個人レベルで解決できる問題ではなくなってきています。
WHO(世界保健機関)でもアレルギーに対して勧告が出され、もはや世界的な傾向としてアレルギー増加が危険視されています。私たちは地球規模のレベルで予防策を講じていかなければなりません。
そのため現在も、アレルギーになった人への対処療法を含めた、様々な研究がなされています。
家族でアレルギー対策として乳酸菌を摂取したり、添加物を避けたり、予防を考えるのはとても良い事ですが、子どものアレルギーは、半分ほどの割合で大人になると治ります。
あまり神経質になりすぎるとそれも身体には良くありません。様々な雑菌にもふれながら身体を強くし、免疫を鍛えていってはいかがでしょうか。」
赤ちゃんを母乳で育てたくても、どうしても母乳が出なかったり、様々な都合で母乳育児ができない人もいます。確かに母乳が赤ちゃんに与える成分も大切ですが、粉ミルクもなるべく母乳に近い成分へと日々進化しています。
赤ちゃん、子どもにとっても一番の栄養はお母さんの笑顔。出来る事から、無理の無い範囲で対策をしつつ、環境問題についても目を向けていきたいですね。

アーティスト

ウレぴあ総研

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着