知られざる東京のウエストサイド。多
摩エリアの魅力を『たまら・び』編集
部に訊いた
知らなかった東京が、まだまだたくさん
ある
東京って広い
ただしいざ視野を広げてみると、一度も訪れたことのないエリアや駅、ひいては利用したことのない路線がいくつもあることに気付きます。
気づきはするものの「行ってみようかな」とか「ここに引っ越してみたいな」とか決定的な揺さぶりをかけられる機会ってなかなかないです。
〜23区外への誘い〜君は『たまら・び』
を読んだことがあるか?
いまの生活圏内が東京のすべてだ、と錯覚しがちな脳に「東京ってマジで広いし、いろいろある」ことを知らしめ、視野をグングンに広げてくれる決定打マガジン。
[企画]多摩信用金庫
[発行所]株式会社多摩情報メディア
[編集・発売]株式会社けやき出版
東京の西の郊外、23区外である多摩エリアにフォーカスした雑誌『たまら・び』。これまでに発行した号数は100号を越えていて、20年以上も続いているロングセラー媒体。
なかでも印象的だったのは、多摩地域に暮らす山崎ナオコーラさんの「天国」と題したコラム。
詳しくはぜひ本誌を読んでいただいきたいのですが、この文章が、30代を目前とする男としては非常に刺さりました。
多摩エリア、今後結婚や子育てを視野に入れると、居住地としても魅力的なのでは…!?
そんな多摩について知りたい!詳しくなりたい!ということで、『たまら・び』編集部のおふたりに、話を伺いました。
――ーお忙しい時期に、突然のご依頼ですみません!
松岡 : いえ、ちょうど入稿が終わったタイミングだったので落ち着いていたんです。
(※取材は2018年12月中旬に行われました)
――雑誌を読んでいて、これまで知らなかった多摩エリアがとても魅力的だと感じました。
松岡 : ありがとうございます。
――そして、『たまら・び』で紹介されているような西東京のポテンシャルに気づいている人は案外少ないのではないか?ということで、僭越ながら多摩エリアに関する入門編として今回インタビューをオファーさせていただきました。
松岡 : うまくお話できるかどうか...! 普段は取材をする立場なので逆に緊張しますね。
多摩エリアに根ざした出版社が20年以上
にわたり制作・発行している『たまら・
び』。
松岡 : そうですね。通算20年以上続いている雑誌なのですが、編集部や中の人間は代替わりで入れ替わっていて、制作スタイルも特集するエリアの市民の方々と一緒につくっていた時期があったりさまざまだったようです。
――『たまら・び』を制作している編集部の母体は出版社なのでしょうか?
松岡 : はい。けやき出版といって、多摩にまつわる出版事業を行っている会社です。
『たまら・び』だけでなく、個人の自費出版物から、まちにまつわる本などをつくっています。
地方と都心のいいとこどり。
松岡 : ざっくりいうと、武蔵野市に入る吉祥寺から西の、奥多摩にいたるまでの間にある30の市町村のことを指しています。
松岡 : 「多摩市」や「西多摩郡」など、地名に“多摩”が含まれる地域もありますが、どこからどこまでが多摩エリアというのは、あまり認識せずに暮らしている方も多いと思います。
現在はエリアを絞らずに全域でのテーマ特集スタイルになっている。
――多摩エリアとは、◯◯である!みたいなのはなかなか言い切れないですよね。
松岡 : エリアも広いので、ひとくくりに言い表すのはなかなか難しいですね。人口規模にすると400万人が暮らすエリアなので。
「郊外」、「ベッドタウン」、「自然豊か(東京にしては)」 などのイメージを持つ人が多い地域かと思います。 そのイメージも間違いではなく、むしろ正解ですが、 まちがあれば人がいて、その景色や表情もその数だけ様々です。 都心より面白いことで溢れてる、は言い過ぎですが こっちはこっちで結構、かなり、面白い。 「ローカル」とも「TOKYO」とも少し違う、 真ん中から少しはなれた人、場所、風景、できればその空気や気配。 そんな情報を、東京のエアポケットのようなところから皆さんにお届けできればと思っています。
――ここの文面にある“「ローカル」とも「TOKYO」とも少し違う”のはどういった部分でしょうか?
松岡 : 表面的に見える部分ではないのですが、人の気質として感じることが多いです。僕は岐阜の山の中の出身なんですけど、そこと比べてみたときに、奥多摩や青梅も山ですけど、暮らしている人が“東京の人”なんですよ。
――というのは?
松岡 : 良い意味で人に慣れてるというか、ほどよいドライさがあるように感じます。これがほんとに田舎になると、同じように自然に囲まれている中でも、人が閉じていたりコミュニケーションのとり方が変わるんです。
野村 : はぁ〜、なるほど。
――野村さんとしても意外な捉え方ですか?
野村 : 私は生まれも育ちも多摩エリアの日野市なので、客観視がむずかしい部分はありますね。言われてみればまあそうなのかもな、と思います。
松岡 : お店などの取材をしていても、多摩エリアを選んでお店を開いた方もいれば、もともとこのまちで生まれ育ったからここで商売をしているだけ、といった淡々とした方も、どちらもいますね。
距離があるから生まれる、町ごとの個性
。
松岡 : 取材で各地を巡っていると、駅やまちごとの特色はハッキリしているような印象があります。というのも、中央線も西荻あたりまではわりと駅同士が隣接していて、歩けば15分~20分とかで行き来できたりする。
――そうですね。移動はなんだかんだ歩くことが多いです。
松岡 : 多摩エリアに関しては、駅と駅がけっこう離れているようなところも多くて、がんばって歩いていける距離ではなかったりするんです。そうすると、街をまたいでのはしご酒とかはできなくて、まちごとに完結しているというか…。その結果、ひと駅ちがうだけで、空気感や文化がちがうような印象を受けるのかもしれませ
ん。
野村 : 中央線で都心から下ってくると、今いる国立あたりまではいわゆる中央線の雰囲気で、立川から、西多摩と言われる青梅線の方に入るとどんどん風景が変わってきますね。山がぐんと近くなってくる。南の稲城市から八王子市にかけては多摩ニュータウンがひろがっていて、また雰囲気が全然違います。
――なんとなくイメージが湧いてきました。
松岡 : 中央線と西武線では別の文化圏が形成されている印象ですね。
松岡 : いい食堂、喫茶店、酒場が多いですね。どのまちにも、少なくともひとつずつは代表的なお店があるような気がします。
野村 : 23区内だと数えきれないほどお店があると思うんですけど、多摩エリアは都心に比べて選択肢が少ないからこそ、自分にとっていいお店というのが見つけやすいのかもしれないですね。
野村 : ほとんどは個人店ですね。店主の人柄というか、カラーが色濃く出ているとか。家族何世代かでやっていたり、建物の雰囲気が良かったり…あと私たちの好みなんですけど、年季の入ったお店が多いかも。
松岡 : わりと好みが偏ってます。いまの「たまら・び」も編集部の好みがやはり反映されているので、多摩を代表して!的なことは言えないですね…。
――いえいえ、ビバ偏愛!です。
暮らしに溶け込む。新旧が入り交じる。
松岡 : 最新号の表紙になっている小金井の「丸田ストアー」も面白いですよ。
――ほんとだ、武蔵小金井駅徒歩25分、と書いてあります。
野村 : それでもいつも賑わっていますね。イートインスペースで常連のおじいちゃんがコーヒーを飲んでいたり、近所の小学生も毎日のように遊びにきたり。地域の日常の風景になっているんだろうなあと、多摩らしさを感じる場所のひとつですね。
温泉、図書館、山、湖、団地。
野村 : この号で紹介していますが、多摩エリアはいい図書館が多いです。武蔵境にある武蔵野プレイスや、個人的には日野市立中央図書館が多摩的休息スポットです。歴史のある建物も周囲の環境も落ち着くんです。
――本好きにはたまらないですね。この勢いで、多摩エリアのここがイチ押し!を教えてください。
野村 : 100%個人的なおすすめになっちゃいますけど、奥多摩方面に向かうのが好きです。奥多摩湖とか。奥多摩のなかでもいちばん奥ににある湖です。あと奥多摩湖の手前にある白丸湖も、湖の色がすごくいい。
野村 : 東大和にある多摩湖の周りも好きです。
松岡 : 湖の話になるとだいぶ前のめり(笑)。
野村 : 第2弾、3弾でミーティアさんが湖取材いくならついていきたいくらい(笑)。
松岡 : いや、一部の湖好きだけかもしれないです...(笑)。ちなみに「多摩的休息」つながりだとこのあたりは温泉もおおいです。
松岡 : 温泉に関連して、「東京に泊まる」特集でいろいろご紹介したのですが、ユニークな宿泊施設も多いですよ。川沿いだったり廃校に泊まることができたり。
――ここすごいですね。
松岡 : あと、多摩は丘陵地が多くて山全般おすすめなのですが、御岳山って行かれたことありますか?
――ないです!
松岡 : 奥多摩のほうの山で、観光地としての知名度はそんなに高くないんですけど、江戸時代からお寺のある、霊山なんです。
上のほうに集落があって、もともと僧侶や神社の信者のための「宿坊」という宿泊施設が20軒ぐらい今も稼働していますね。、高尾山とちがっておもしろいのが、山の上なんですけど、住宅もあって、ふつうに人が暮らしているんです。
松岡:そこに住んでいる子供とかは、バイクとかで山を下って、学校に通ってたりして。標高はたしか900mぐらい。御嶽駅からバスが出ていて、ケーブルカーで行けるので、そこまで不便ではないです。
松岡 : 武蔵村山にある「村山団地」は特徴的ですね。団地の住民がほぼ高齢者になっていて、駅からは徒歩15分とアクセスがいいとはいえない。マンモス団地なだけあって、そのなかにお店が立ち並ぶ商店街があるんですね。
松岡 : 送迎サイクルを運転しているのも、60-70歳だったりと高齢の方々です。ここはおもしろいですよ。
『たまら・び』のこれから。
松岡 : 実は、2019年の春に発行する号で、いまの雑誌形態からは変更になることが決まっているんです。
――そうなのですか!
松岡 : まだはっきりとは決まっていないんですけどね。形が変わるのか、WEBに移行するのかとか、いま話し合っているところです。変わらず多摩地域に特化したコンテンツをつくっていきます。
松岡 : はい、何かお力になれることがあればぜひご連絡ください!
編集部のお二人にインタビュー場所をご相談して、挙げていただいた「ロージナ茶房」。国立屈指の老舗大箱喫茶店で、席数も多くゆったりとくつろぐことができる。近隣に一橋大学があることも関係してか、名物のザイカレーをはじめ食事メニューはどれもボリュームたっぷり。
住所:国立市中1-9-42 / JR中央線国立駅すぐ
電話:042-575-4074
営業時間:9:00~22:45
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知られざる東京のウエストサイド。多摩エリアの魅力を『たまら・び』編集部に訊いたはミーティア(MEETIA)で公開された投稿です。
ミーティア
「Music meets City Culture.」を合言葉に、街(シティ)で起こるあんなことやこんなことを切り取るWEBマガジン。シティカルチャーの住人であるミーティア編集部が「そこに音楽があるならば」な目線でオリジナル記事を毎日発信中。さらに「音楽」をテーマに個性豊かな漫画家による作品も連載中。