ART-SCHOOL、踊ってばかりの国、pol
ly『オルタネイティブ・サーキット』
音楽が彩ったオルタネイティブな大阪
の夜

『オルタネイティブ・サーキット』2018.10.20(SAT)梅田Shangri-La
ART-SCHOOL踊ってばかりの国pollyという3組による東名阪ツアー『オルタネイティブ・サーキット』の大阪公演が、10月20日、梅田Shangri-Laにて開催された。“オルタネイティブな精神を持つ”3バンドがそれぞれの音楽を競い合うように、そして高め合うように鳴らしたライブの模様を紹介しよう。
■polly
polly
「沈めてくれたら」の圧倒するイントロからいきなり彼らの音世界に引き込み、ハイトーンの澄んだボーカルと溶け合う、荒々しくもはかない音像でライブは幕開け。そしてそのまま新曲へとなだれ込み、今度はスピードをあげたポップな質感でオーディエンスを小刻みに揺らし始める。コーラスの浮遊感も心地よく、徐々に会場の温度も上昇。そして「今の自分に近い曲をやります」という越雲の言葉から、最新のアルバム『Clean Clean Clean』の曲を続けてもっと深いところへ! 語りかけるように綴る、ゆったりとした「東京」では、観客はジッと動きを止めてステージを凝視。ライトは雲間からさす太陽の光のように見え、幻想的な光景が生まれる。
polly
途中、MCでも“ため”たっぷりで、緊張と緩和が共存する楽曲同様の独特な空気感。越雲(Vo&Gt)は「思春期に聴いていた2バンドと一緒にツアーを回れるのは、この上ない喜びだなと思います」と競演する2組へのリスペクトを表しつつ、「個人的な話をすると(木下)理樹さんにはお世話になっていて……たまにお世話もするんですけど(笑)」と日頃の親密さも伺わせる。そして、後半も最新作からのナンバーを鳴らし、耳なじみのよさもオリジナリティもある「花束」では光ある側面を見せ、温かみもあるメロディの「生活」では《生きるとは喪失です》と深遠な言葉を印象付ける。すると今度は攻撃的に「バースディ」から熱をいっきに発散させてラストスパートへ! 最後は「狂おしい」で怪しげかつ軽快に駆け抜けて、あっと言う間の約40分間を締めくくった。
■踊ってばかりの国
踊ってばかりの国
pollyの力が入ったステージからムードを変えて「No ESPer」のシャッフルビートで開放感を生み出すが、その後はトリッキーに展開して独自のグルーヴで会場を満たし、大きな揺れを作り出す。さらに続くのは「風と共に去りぬ」と「サイクリングロード」。下津(Vo&Gt)が行進するようにステップを踏んで変幻自在のボーカルを響かせ、《唄になれ!》と高らかに歌いあげれば、サイケデリックな色合いも爽快感もあるメロディとビートにのせられた観客たちは自由に跳ね始める。2曲の楽しげな雰囲気は、そのまま次の「世界が見たい」へとリレーされ、3本のギターが折り重なる美しいメロディで棘のある言葉を包んで、聴く者を別世界へ誘い、曲後には歓声を引き出す。
踊ってばかりの国
そして次は「もう会えない人に1曲」(下津)と、やさしくせつなく「シャクナゲ」でゆっくりと温度をあげてから「Oh、Yeah」の叫び。そしてここで下津は地元・関西出身らしく昨晩は実家に泊まったことを話し、「家の近くに川が流れてるんですけど、その川を見てオルタネイトして作った曲です」と「Water」をセレクト。どこかノスタルジックな風景を脳裏に呼び起こすナンバーはセンチメンタルな響きもありつつ再び観客を躍らせると、続く「サイケデリアレディ」の熱唱で畳み掛け、さらに人々を強力に加熱。拳を突き上げる人の姿も見られる。そして「いつまでも子どもの心を忘れずに空を見上げて生きていってください」(下津)と人気の「Boy」をプレイ。エモーショナルで清涼感もあるこのラストナンバーで観客を脳内トリップへと送り出し、5人は舞台を後にした。
■ART-SCHOOL
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イントロから「Fu!」の声があがりスピード感十分に「BOY MEETS GIRL」からスタートすると、「LOST CONTROL」を立て続けて疾走続行。鋭利なギターや重いビートにフロアのテンションは急上昇し、アグレッシブな「Dreaming Of You」には4人に向かって多くの手が伸びる。これにこたえ「オルタネイティブ・サーキットで大阪に来れてうれしいです」(木下/Vo&Gt)と発すると次は「DIVA」。その高揚感でますますパワフルに彼らの音楽を浸透させていく。さらに「OUT OF THE BLUE」の緩急や「LITTLE HELL IN BOY」のサビへ向かっての高まりで絶大な爆発力も見せ付け、今度は観客をハンズアップさせる。しかし、そんな緊張感も少し漂うなか始まったMCはいつもの調子。ボソッとひと言で終わろうとする木下に、戸高(Gt)が「話すとこ、ここしかないけどいーのそんなんで(笑)?」とニヤリ。
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結局「俺、MCヘタだ(笑)」(木下)と苦笑いで終わる。だが「MISS WORLD」が始まると熱量高く疾走していく、続く「スカーレット」の“青さ”で観客の心をがっちりつかんで曲後には大きな拍手も起こる。さらに「SANDY DRIVER」ではクラップも発生して全員で大きく弾み、ついに最終「刺青」へ! きらめきもまとうエモーショナルな曲は一種カタルシスも感じさせ、観客の気持ちを強く引きつけたままライブは終わりを迎えた。
しかし余韻たっぷりの空間には手拍子が響いてアンコール! 再度ステージ前に人の塊ができ、「ロリータ キルズ ミー」と「FADE TO BLACK」が気迫のこもったパフォーマンスで繰り広げられる。するとそれに反応して髪を振り乱すようにして踊るファンも……。誰もが全力でライブ楽しみ切り、熱い火花を散らして『オルタネイティブ・サーキット』は幕を下ろした。
ART-SCHOOL
取材・文=服田昌子 撮影=田浦ボン

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