【かりゆし58・山人音楽祭 2018】音
と言葉に浄化された緩やかで穏やかな

山人音楽祭 2018【榛名ステージ】 かりゆし58
ボーカルの前川真悟は朝から会場に入っていて、こちらが行くステージ、行くステージ、色々なところで見かけた。『山人音楽祭』を、ライブを、音楽を、心から楽しんでいる。本番前のサウンドチェックの時から、観客エリアはみっちり人で埋まっていて、そんな中、前川は相変わらず楽しみながら、こう言った。「あなたたちのような人がいるとミュージシャンは死にません」。聴いてくれる人がいるから、演者は音楽を鳴らせる。そんな基本的な事を改めて感じさせられた。
本番ステージに登場して、1曲目「手と手」を歌いだす前、前川は自分のマイクがケーブルに繋がっていて、そこからスピーカーを通して、観客の鼓膜に届き、そして心へ、魂へ届くと語る。ひとりひとりと向き合う事は物理的に無理なわけだが、そんな中でも可能な限り、音楽を通して逢う人々とコミュニケーションをはかろうとしてる事が伝わってきた。そして、曲の途中で「《手をつなごう》なんて歌ってますが、隣の人と手を繋ぐように言われないか、ドキドキしてませんか?! そんな野暮な事は言いませんよ!」と茶目っ気たっぷりに語りかける。ひとつにならなくても、別々の人間が同じ場所にいるという事が奇跡だと思うと胸の内を明かす。
かりゆし58
自由に楽しんでいいんだとすっかり観客が安心できたところで、「ウクイウタ」、「アンマー」と人気曲が披露される。口ずさみだす観客の姿を観てると、楽曲が発表されて10年や12年という年月は全く関係なく、それぞれの中で楽曲が生き続けている事がわかる。もちろん全力を尽くしてるのだが、バンド自体が良い意味で肩の力が抜けたリラックスした状態だからこそ、自然に観客との関係性も作れるのだろう。
かりゆし58
まるで同期サウンドを駆使したかのような浮遊感を人力で鳴らした「証」など、サウンド面でもリラックスさせてくれた彼ら。最後に「初日よりも良い2日目を。そして、今日以上の明日を」と前川は温かい言葉を。
ライブを観ていた出演バンドたちやスタッフたちが「浄化される感じだった……」とつぶやくように言っていた光景に、何だかとってもほっこりした。

文=鈴木淳史 撮影=半田安政[Showcase
かりゆし58

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