【インタビュー】KNOCK OUT MONKEY、
崩壊危機を乗り越えて「新しいミクス
チャーを自分たちがつくる」

KNOCK OUT MONKEYが9月19日、ミニアルバム『BACK TO THE MIXTURE』をリリースする。前アルバム『HELIX』から1年2ヶ月ぶりの新作にしてメジャー2枚目のミニアルバムは、これまで音楽ジャンルを明言せずにあらゆるサウンドをアウトプットしてきた彼らが、今一度自分たちの姿勢や作ってきた音楽と向き合ったもの。結果、そのタイトルを『BACK TO THE MIXTURE』とした。
しかし、これは原点回帰ではない。同作制作中にバンドの崩壊危機を乗り越えたからこそ辿り着いた現在進行形が封じ込められた作品だ。“ロックは、音楽は、自由でいい”という境地に至るまでの葛藤、ミクスチャーの本当の意味、そして新たな展開をみせたサウンド&アレンジについて、フロントマンのw-shunとギタリストのdEnkAに語り尽くしてもらった。まずは個々の変わらぬ本質と広がり続ける変化についての分析から。

   ◆   ◆   ◆

■もう“解散するぞ”くらいの勢いで
■行方不明状態になってしまった

──今回のインタビューは、より深くKNOCK OUT MONKEYのバンド像や個々のキャラクターに迫りたいと思っていますので、よろしくお願い致します。

w-shun:えっ、そうなんですか?

dEnkA:なんか照れるな(笑)。
▲w-shun (Vo&G)

──気楽に話していただければ(笑)。まずは、お互いにどんなプレイヤーだと感じていますか?

dEnkA:シンガーとしてのw-shunは……その前にね。ミニアルバム『BACK TO THE MIXTURE』に向けて曲作りを始めた今年2月、バンドでメチャクチャ大喧嘩をしたんですよ。もう“解散するぞ”くらいの勢いで、ほんまにヤバかった。w-shunはその後、連絡も取れない行方不明状態になってしまったし。“決まってるライブスケジュールどうすんねん……”という状況にまで発展してしまった。

──それは大ごとですね。

dEnkA:その後、4人の話し合いの場で、それぞれの意見を言い合ったんです。みんなが“わかり合えている”と思っていても、やっぱり話さないと伝わっていないこともあって。モヤッとしたものが積もっている状態だったから、大喧嘩になったと思うんですね。結果、話し合ったことで、バンドの状態がすごく良くなった。より自由でいながら、より全員を意識し合いながらライブができるようになった。特にw-shunが変わったと思うんです。前までは、彼のワガママな感じがうまくハマればいい感じに見えていたけど、一方で独りでライブをしているように見えてしまうときもあったから。今のw-shunは自由に動きつつ、ちゃんと周りを見ていることがわかる。だからバンドとして最近は、より楽しくライブができています。

w-shun:実際変わりましたね。目に見える形で変わったのが、いつもライブ前にステージ袖でメンバー全員で円陣を組むときのことなんですけど。これまでの10数年間、僕がライブにかける意気込みを言って、全員で声を出してステージに向かったんです。でも最近は、どんな舞台であれ、僕以外の3人の誰かに一言を振るようになった。というのも、今までは“自分がフロントマンとしてなんとかしないといけない”っていう気持ちが強くあったんですよ。4人のバンドという感覚を忘れてはいなかったけど、とにかく自分がしっかりせなあかんと思っていたから。

──フロントマンとしての責任感ですね。

w-shun:でも、4人で大喧嘩をして、みんなでいろいろ話し合って、“メンバー間の信頼関係をそのままライブで出していこう”ということになって。そうなったときに、“自分がこう思うから、今日はこういうライブをします”ではなくて、他のメンバーがどう思っているかを知りたいと思ったんです。自分の後ろで演奏してくれているメンバーは、どんなことを考えてライブに臨んでいるのかを訊きたい。それで、3人に一言を振るようにしたらすごく気持ちが楽になったというか、“こいつがいてくれる”と思えるようになったんです。円陣のときに他のメンバーに振ったらうまくハマらなくて、グズグズになるときもあるんですけど(笑)。

dEnkA:なにも考えてへんときもあるからな(笑)。

w-shun:そうそう(笑)。でも、それで逆に気持ちがアガるときもある。“こいつら、やっぱりおもしろいな”と(笑)。そういうメンバーが演奏してくれていることに、すごく安心感がある。フロントマンはオーディエンスと一番距離が近いと思うけど、自分1人だけでライブをしているわけじゃなくて、メンバーがいてくれることを肌で感じられるようになったんです。“今日もバンドでやれている。ありがたい”と思うようになったのは一番大きな変化といえますね。
▲dEnkA (G)

──その変化はすごくいい方向に作用しているでしょうし、お客さんも感じていると思います。では、w-shunさんから見た、dEnkAさんの印象は?

w-shun:dEnkAは、僕の思う理想のギタリストです。僕はギタリストに関して“変なヤツでいてほしい”んですよ。会話ができないようなタイプであってほしい(笑)。

dEnkA:ええっ!? 俺、会話できない(笑)?

w-shun:いやいや、そんなことない(笑)。なんていうんやろう……。

──マイワールドみたいなものを持っているということでしょうか?

w-shun:そうそう! しっかりとした自分の世界を持っていてほしい。dEnkAは、まさにそういう人間なんですよ。常に我が道をいく。見た目はゴツいし、ステージ上でジャックダニエルを飲んでいるし(笑)。そのうえですごいのは、音楽知識がしっかりしているんですよ。「こういうふうにしたいんやけど、どうしたらいい?」みたいな音楽的な質問すると、ちゃんと答えてくれる。ただの破天荒なヤツではないという。ただ、そういう人なので“変わった人やなぁ”といつも思っています(笑)。

dEnkA:たしかに変わってるよな(笑)。

w-shun:自分で言うなや(笑)。

dEnkA:ははは! でも、僕自身はこのバンドで一番マジメで標準的な人間やと思っているんです。

w-shun:いや、それはない。本当にそう思っているとしたら、“標準”の幅が広すぎる(笑)。だって、ステージでは破天荒だけど、実は超細かい。料理とかも丁寧に作るし。そのギャップが(笑)。

dEnkA:僕は、本当は超文系なんですよ。酒を飲んでいるときは荒々しくなるけど、元々は全くそういう性格じゃない。子供の頃は、学校の先生に「ノミの心臓や」と言われていたくらいですから、とにかく気が小さかった。それがロックと出会って、ギターを始めて、バンドをやるようになって爆発する術を得たんです。そういう意味では、“バンドをやるようになって良かった”と思いますね。

w-shun:そうやね。うちのバンドはdEnkAと僕が細かくて、リズム隊の2人はわりと大雑把なんですよ。僕とdEnkAがベードラとかの細かいところを決め込んで、それをナオミチ(dr)に伝えたとしても彼はスルーしたり(笑)。「いや、そこはちゃうねん。言ったやん」みたいな(笑)。

dEnkA:レコーディングとかでも、「ナオミチ、これ3連か?16分か?どっちやねん?」とかいうことが多くて(笑)。すると「どっちでもええやん」みたいな感じだったりするんですよ(笑)。

w-shun:ライブの後、みんなでナオミチに「あの曲、ミスったよね」と言ったら「えっ!?」とか言うし(笑)。でも、彼のそういう性格に救われているところはあって。バンドとしてメンバーのバランスがいいなと思いますね。
■“攻めたものにしたい”という
■全員の共通した思いがあった

──逆に自身が“一貫して変わらない”ところとは?

dEnkA:僕が変わらないのは、ずっとレスポールを弾き続けていることですね。“自分のイメージが固まってしまわないように、変えていきたい”という気持ちもあるけど、レスポールに対する気持ちは変わらない。これからも違うギターをメインにすることはないと思う。元々レッド・ツェッペリンからギターに興味を持ったというのもあって、“ジミー・ペイジといえばレスポール”みたいに同じギターをずっと弾き続けるギタリストが好きなんですよ。“リッチー・ブラックモアといえばストラトキャスター”とかね。もちろんレコーディングでは、いろんなギターを使いますけど、最初にそういうところに憧れたので自分も続けたいなと思っています。

w-shun:もうね、dEnkAが違うギターを持ったときの違和感をみんなに知ってほしい(笑)。ストラトを持ったときの違和感、ハンパじゃないんですよ(笑)。

dEnkA:うん(笑)。特にサーとかトム・アンダーソンみたいなハイエンド系ストラトタイプは、自分でも違和感しかないです(笑)。

w-shun:そうそう(笑)。

──レスポールが似合いすぎると言い換えることもできるでしょうから、それはメリットですよね。w-shunさんの変わらないところは?

w-shun:どうやろう……なにかに対して吠えていたいとか噛みつきたいという気持ちは、全然変わらないですね。それが結果的に、自分がつくる音楽に反映されることが多い。だからロックを選んでいるんだと思う。そういう人間なので、もしもこの世から音楽がなくなってしまったら、ものすごくストレスが溜まって、すっげぇ太って、ハゲるんじゃないかなと思います(笑)。

dEnkA:ははは。w-shunは音楽がなかったら、マジでヤバいと思う(笑)。それは俺も一緒かな。もし音楽がなくなったら、気の小さい自分に戻ってしまうかもしれない。僕にしてもw-shunにしても、本当に音楽に救われていますね。
▲3ndミニアルバム『BACK TO THE MIXTURE』

──音楽と共にある人生を歩んでいることがわかります。では、続いて9月19日にリリースされるKNOCK OUT MONKEYの2ndミニアルバム『BACK TO THE MIXTURE』について話しましょう。今年2月の制作初期に解散寸前まで追い込まれたとのことですが、結果、それがバンドの結束力をより強めることとなって4月中旬からレコーディングがスタートしたそうですね。まず、制作に入る前はどんなことを考えていましたか?

w-shun:元々今年はリリースの予定がなかったんですよ。リリースに関係なく曲を作っていく中で、「Black or White」ができたときに、“これはカッコいい!”という話がスタッフから上がって。“ならば、作品として出されへんか?”と会社に逆提案したところ、“夏をめどに”という返答を得たところから今回の制作は始まったんです。つまり、『BACK TO THE MIXTURE』は、自分たち発信でつくることにしたという。

──一番最初に出来た曲が「Black or White」?

w-shun:いや。4曲目の「Sailing day」はデモがかなり前にできていたけど、わりとキャッチーな曲なので、今はそういうモードではないなとも思っていたんです。

dEnkA:“次の作品は攻めたものにしたい”という全員の共通した思いがあって、ポップよりも激しめでいこうぜと。そういう中で「Black or White」が出来上がって、音源を作ろうという方向へ。

──自分たちから行動を起こされたんですね。では、その「Black or White」の話からうかがいますが、ヘヴィな歌中と高速ビートで疾走するサビの対比が印象的なロックチューンです。

w-shun:最初にリフができて、そこから広げていきました。歌詞に関しては、今回、全体を通してそうなんですけど、あまり手直しをしていないんですよ。“こういう曲だから、こういうメッセージにして……”みたいな考え方はしなかった。それぞれの曲から受けた第一印象に沿って歌詞を書いていったんです。

──「Black or White」もそうだと。

w-shun:そう。自分の中のモヤモヤしているものを、そのまま歌詞に落とし込んだだけ。バンド活動も、日常生活も、歳をとればとるほど選択を迫られる局面が増えますよね。ただ、その選択って、どっちかが絶対的に正しくて、どっちかが間違っているということでもなかったりする。僕はその両方を見極めたうえで、自分自身が答えを出すことが一番大事だと思っているんです。「Black or White」は、そこに対して自分が思っていることを書きました。

──パーソナルな思いを綴った歌詞でいながら、大きなメッセージになっているとも言えますね。今は情報で溢れかえっている時代で、自分にとって正しいものを見極める目がより必要になっていますから。

w-shun:メジャーのフィールドでキラキラしたものも見ているし、キャリアの中でドロドロしたものも見てきた。じゃあ、キラキラしているものが絶対的に良いかというと、そうでもない。煌びやかな世界には裏側があって、キラキラとブラックな部分が表裏一体だったりもする。だからこそ、自分が実際に経験して、咀嚼してから答えを出すことが大事で。思い込みだけで突っ走ったり、敷かれたレールの上をいくだけでは、本当に自分が進むべき道は見えてこないんです。それが「Black or White」の歌詞になっています。

dEnkA:ギターとしては、あまりメロディックにしたくなかったんです。だからリフ押し。コード感が出てくるのはサビからで。それにギターソロもマリリン・マンソン的なノリというか、インダストリアルな感じで、悪そうな部分を出したいなと。結果、歌中のソリッドさとサビのエモさのコントラストを際立たせることができたかなと思います。今回のアルバムでは「Black or White」はもちろん、2曲目の「It’s going down, No doubt」も僕の中では印象強いですね。この曲は不思議な作り方をしたんですよ。

w-shun:そうそう(笑)。
■様々なジャンルがバックボーンに
■そこに関するバンド内の信頼がある

──と言いますと?

dEnkA:スタジオリハーサルの残り15分くらいのときに、“テンポはこれくらい”って伝えたギターリフに乗せて、w-shunがアドリブで歌ったテイクを録っておいたんです。本当にデモのデモくらいの感覚で1コーラス分くらい。そのデモをナオミチに渡して、“ドラムだけをフルコーラス打ち込んでみてほしい”とリクエストしたんですね。で、ナオミチが打ち込んできたデモは、本当にドラムだけなわけですよ(笑)。コードも、メロディーも、構成もわからない、ひたすらドラムが鳴っているだけ(笑)。

──それはそうでしょ(笑)。

dEnkA:次にそれをベースの亜太に渡して、“こういう展開だろうな”と想像したベースを乗せてもらったんだけど、どこが間奏かすらわからへんという(笑)。他の曲はみんなで構成やアレンジを練り込んでつくったんですけど、「It’s going down, No doubt」はそういう作り方。最後に高速2ビートになるじゃないですか。最初にナオミチに渡されたデモを聴いたときに、“なんだこれ!?”と思いましたから(笑)。

w-shun:こういうテンポ感でいきつつも、最後は速くしたいと思ったんだろうね(笑)。デモはいつも歌メロから入るから、この曲は真逆。歌メロ発信ではないからメロディの乗せようもなく、ラップを多用したという(笑)。でもね、そうやってこの曲が出来上がったときに、“これこそミクスチャーやな”と思ったんです。そういう意味では「It’s going down, No doubt」は大きな1曲です。
▲亜太 (B)

──わかります。今作は『BACK TO THE MIXTURE』というタイトルですが、KNOCK OUT MONKEY独自のミクスチャーロックを形にされていますよね。

w-shun:そう。姿勢として、ミクスチャーに一度立ち返るという意味です。1990年代にミクスチャーという言葉が一般化したり、ラップメタルやラップコアが流行ったりしたじゃないですか。シーンとしてはそこで一旦ストップしてしまった。それでも当時キッズだった僕らはミクスチャーの匂いがある音楽を続けていたけど、そういうシーンはなくなってしまって、“ラウド”という言葉で、ひと括りになってしまったんですよね。そういう中で、もう一度自分の原点に立ち返って、今の感覚で自由に音楽を作ったらどうなるかなと。

──当時のミクスチャーへ立ち返るというよりも、より自由にという意味で。

w-shun:前作のときに個人的にそういうことを考えていて、それを今回はバンドとしてやったというか。本当に自分たちがやりたいのはどういうものかを追求していったら、いろんな音楽の要素を組み合わせた音楽がどんどん出てきて、“それって結局ミクスチャーやね”ということになったんですよ。だから、新しいミクスチャーを自分たちがつくるために、その姿勢を示す意味合いで“BACK TO THE MIXTURE”と銘打ちます、と。2000年代のミクスチャーをもう一度リバイバルさせたいということではないです。

dEnkA:僕ら4人は元々畑が違うし、なんでもやりたがる人間が揃っているから自然とミクスチャーになっている部分もあって、今後はそこをもっと際立たせようということです。メンタル的にも、サウンド的にも、そこを色濃く打ち出していきたいというのはギタリストとしてあります。

──自分たちなりのミクスチャーをつくるためには、メンバー全員が個性を持っているうえで、幅広いスタイルに対応できるスキルもないといけない。そういう意味でもKNOCK OUT MONKEYというバンドには似合っているというか。

w-shun:ありがたいことにそういうメンバーが揃っているんですよね。たとえば、さっきも言いましたけど、“こういうことがしたい”とか“こういうイメージで”って言うと、dEnkAがすぐに対応してくれる。彼はいろんなジャンルをバックボーンとして持っていて、ハードロックも根っこまでしっかりと勉強しているから、“それっ!”と思えるものを返してくれるんです。亜太とナオミチも同じく、そこに関するバンド内の信頼関係は出来上がっています。

──それは、『BACK TO THE MIXTURE』を聴いてもわかります。たとえば「Sailing day」のサンバになるセクションで、dEnkAさんはラテンパーカッションのようなニュアンスのカッティングをされていますよね。

dEnkA:サンバ系のパーカッションが頭の中で鳴ったので、ギターで表現できないかなと思って。それができれば、打ち込みとか外部プレイヤーを使う必要はないですから。曲が呼んでいれば、ギターで打楽器的なアプローチもするんです。

w-shun:なんとかしようとしてくれるんですよ。出来る限り自分たちだけで形にしようというスタンスも、独自のミクスチャーをつくることに繋がる。

──同感です。実験的なアプローチを楽しんだという意味では「It’s going down, No doubt」も同様ですよね。話を「It’s going down, No doubt」に戻しますが、この曲の歌詞はいろいろなバンドの曲名を織り込んでいることがポイントになっています。

w-shun:リリックは僕がキッズだった頃……それこそミクスチャーを聴いていた2000年代とかに、ヘヴィロテしていた曲たちのタイトルを使っています。当時の先輩たちも、好きなバンドの名前とかをリリックに入れ込むということを結構していて、それが楽しかったんですよ。同じように、この曲を聴いた若い子たちが、“あっ、この曲知ってる!”みたいに宝探しのような感じで新しいバンドと出会ってくれたらいいなと思って。それで、1番が邦楽の先輩方から自分が好きな曲、2番は洋楽アーティストの曲という形にしました。

──リスナーは歌詞を見るだけで終わらせずに、その曲を聴いてみてほしいですね。w-shunさんも『BACK TO THE MIXTURE』の中で印象の強い曲を挙げていただけますか。

w-shun:「sunshine」のサビができたときは、すごく嬉しかったんですよ、“こういうサビが歌いたい”と思ってたものを形にできたから。今回はメロディーの面で、自分のピークの音域をあまり使っていないんです。今まではそのピークをライブで再現するために、ブレスの仕方とか、トップの音程に気を遣う必要があった。今回は、“自分が歌いやすい得意な音域を使ったメロディー”を最初からイメージしたんです。“ピッチが高いほうが一聴したときのインパクトが強いけど、そうじゃない音域で”と考えている中で、「sunshine」のサビが出てきた。声の太さ、歌ったときの力強さ、を意識したメロディーで、高音域ではないけど物足りなさを感じさせないサビになっているんじゃないかなと思います。

dEnkA:そうだね。あとこの曲は、間奏のコード進行がすごく凝っているんです。転調しているけど自然に聴こえるようにしたいというのがあって。サビも、1990年代の西海岸ポップパンク的な匂いがあるから洋楽的に大雑把なコード進行でいこうかなと思ったけど、それをイメージしつつも、ちょっとイジったというか。結果いい感じにまとまったという意味でも、「sunshine」はコードをいろいろ考えましたね。
■4人で壁を乗り越えて
■もっともっと先へ行きたい

──「sunshine」は獰猛なイントロとキャッチーなサビとのコントラストなども含めて、緻密に作ったからこそ成立したことがわかります。ミクスチャー感覚ということでは、レゲエテイストを巧みに活かした「Tears」も注目です。

w-shun:「Tears」はスローなレゲエかと思いきや、サビはレゲエではない構成。いつもは僕発信のデモをもとに、4人でああだこうだ言いながら曲を形にしていくけど、この曲はやりたいことがすごく明確だったから、アレンジを各メンバーに託した結果、ほぼデモのままになりましたね。しっかりレゲエをしていたいし、サビはハードロック色を出したかった。今までもこういうミドルチューンもあったけど、個人的には一番好きなミディアムバラードに仕上がりましたね。

──他にない、独自の魅力を持った曲に仕上がっています。

w-shun:僕が好きなレゲエにニッケルバックの「Photograph」的な要素を足せないかなと思って、試行錯誤しながら作った曲です。それが自分の中でのミクスチャーなんですよ。自分が好きでルーツを知っているもの同士を組み合わせて、新しい良さを引き出す。「Tears」は今回の他の曲とは違うテイストだけど、ミクスチャーという言葉の中に納まっているんです。

──“泣いたっていいんだよ”という温かい歌詞や、泣きのギターなども注目です。

dEnkA:ソロはアドリブです。なんのイメージもない状態でスタジオに行って、「なに弾いてるかわからへん」とか言いながら何回か弾いて、その中からベストなテイクを選びました。

w-shun:歌にソロが被ってくる後半部分を聴いたときは、すごくグッときましたね。“こういうソロを弾けるギタリストがいるのはKNOCK OUT MONKEYの大きな強みやな”と改めて思いましたし。で、歌詞は……まぁ、エモかったんでしょうね(笑)。この歳になって、初めてわかるものもいっぱいあって。たとえば若い頃は、“男が泣くのはカッコわるい”と思っていたんですよ。でも、それを超えて、ダムが決壊するじゃないけど、涙が止まらなくなるときってあるじゃないですか。もう本心で泣いているわけで、そこに嘘は一切ないから、人として本当に美しい姿だと思う。だから、“決壊して涙がこぼれそうになっているんやったら、もう泣いてしまったほうがスッキリせえへん?”ということを歌詞にしました。自分もそういうふうになりたいという願望でもある。それに、KNOCK OUT MONKEYにはこれまで、“こう聴いてほしい”と思いを込めた曲は意外となかったんですよ、いつも本当に自分の心情を書いているだけなので。そういう意味でも、思い入れの深い1曲になりましたね。
▲ナオミチ (Dr)

──歌詞の面でも新しい面を見せましたね。さて、『BACK TO THE MIXTURE』はKNOCK OUT MONKEYの強い意志が感じられると同時に、新たな魅力も味わえる一作になりました。10月から2019年1月まで、この作品を引っ提げた全国ツアーが開催されます。

w-shun:今年前半に7都市を廻るツアーを行なったんですけど、そのときとは全然違うライブをやりたいですね。もちろん、すごくいいツアーだったけど、今回のリリースツアーでは違うことをやろうということをメンバーと話しています。

──4人の結束がますます深まったところで開催されるツアーですし。

w-shun:今までは僕だけがアイディアを発信して、それをメンバーが受け入れてくれるという形が多かったけど、最近はみんなから意見がたくさん出てくる(笑)。だから、4人でやっている感とか4人でつくりあげていく感が全面に出るツアーになる気がしていて。いろんなことをクリアして臨むライブはやっぱり楽しいし、そういう環境が“次はこうしたい”という意欲を掻き立てるんです。今はまさにそういう状態だからきっといいツアーになるはず。

dEnkA:今はメンバー全員がライブを楽しんでいて、それがフロアに伝わるくらいな感じになってきていると思うんですよ。でも、そのままで終わりたくない。想像できてしまうライブの、もっとその先へいきたい。だから、またひとつ壁にぶつかって、4人で乗り越えて、もっともっと先へ。挑戦的なことをしたいなと思っています。

w-shun:やりたいね。新しいことに挑戦するんだけど、dEnkAはいつもどおりレスポールを持っているというのもいい。

dEnkA:いや。挑戦だから、いきなりストラトを弾いているかもしれない(笑)。

w-shun:似合わへんから、それだけは絶対やめて(笑)!

取材・文◎村上孝之
■ミニアルバム『BACK TO THE MIXTURE』
2018年9月19日発売
¥1,800+税 / JBCZ-9081
01. Black or White
02. It’ s going down, No doubt
03. sunshine
04. Sailing day
05. Tears
06. FAKE
【Extra Live Track】
07. RIOT (Live)
08. One world (Live)
09. 旅人 (Live)
10. Greed (Live)
※収録全10曲


■<KNOCK OUT MONEKY TOUR 2018-2019 “BACK TO THE MIXTURE”>

10月06日(土) 千葉 LOOK
10月07日(日) 愛知・名古屋 ElectricLadyLand
10月13日(土) 広島 SECOND CRUTCH
10月14日(日) 福岡 DRUM SON
10月27日(土) 京都 KYOTO MUSE
11月04日(日) 香川・高松 DIME
11月10日(土) 静岡・浜松 FORCE
11月11日(日) 東京・渋谷 WWW X
11月23日(金・祝) 宮城・石巻 BLUE RESISTANCE
11月25日(日) 北海道・札幌 BESSIE HALL
12月01日(土) 富山 SOULPOWER
12月02日(日) 新潟 GOLDEN PIGS BLACK
01月06日(日) 大阪 BIGCAT
※全公演ワンマン
▼チケット
¥3,500(税込 / オールスタンディング / ドリンク代別途)
一般発売:8/25(土)〜


■オフィシャルFCサイト『KOMmunity コミュニティー

2018年9月4日(火)オープン
月額:400円(+税)
https://knockoutmonkey.com/
※会員になると、チケット先行への最速お申込みやここでしか見れないデジタルコンテンツの配信など、様々な特典をお楽しみいただけます。

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