ORANGE RANGE 3年ぶりアルバム『EL
EVEN PIECE』全曲を解説しながらライ
ブ披露

今夜も STAY UCHINANTUNE スペシャル ORANGE RANGE SHOWCASE LIVE 018 ~ELEVEN PIECE~

2018.8.23 マイナビBLITZ赤坂
オリジナルとしては3年ぶりのニューアルバム『ELEVEN PIECE』をリリースしたORANGE RANGEが、アルバムの楽曲をいち早くお披露目する『今夜もSTAY UCHINANTUNE SP ORANGE RANGE SHOWCASE LIVE 018 ~ELEVEN PIECE~』を赤坂ブリッツで開催した。RYO扮するDJ RYOOがパーソナリティを務める架空のラジオ番組という体(てい)で進行したこの日のステージでは、アルバムの楽曲を収録曲順に披露しながら、各曲についてメンバーが解説するという一夜限りのスペシャルな内容。初披露の新曲が多い緊張感漂うステージのうえ、演奏と曲を交互に繰り返すというテンションを持続するのが難しい特殊なスタイルではあったが、メンバーの和気藹々とした雰囲気を楽しみながら、普段は直接聞くことのできないアルバムの制作秘話や聴きどころを知れるレアなライブになった。以下のレポートでは、全曲のライブと解説の内容をお届けする。
ORANGE RANGE 撮影=平野タカシ
「今日は楽しんで行こうね、赤坂!」。HIROKIが客席に呼びかけて披露したのは、アルバムのオープニングを飾り、彼らの地元・沖縄を本拠とするサッカークラブ・FC琉球のために書き下ろした熱気あふれるナンバー「Ryukyu Wind」。続く2曲目は、NAOTOのギターとYOHのベースが痛快にユニゾンした、レンジらしい夏ソング「センチメンタル」だ。曲解説コーナーには、その楽曲に関わりが深そうなメンバーが登場するということで、まずはHIROKIが登場。「Ryukyu Wind」については、「サッカーだけじゃなく、がんばってる人を応援できるような曲になればと思って作りました」と説明した。沖縄の海を臨む崖のうえでの撮影については、「小柳ゆきMr.Children以来かと思いますね(笑)」と、有名な作品を引き合いに出して笑いを誘う場面もあった。
3曲目はステージの照明が激しく明滅を繰り返すなかで繰り出したダークなナンバー「Destroy Rock and Roll」、4曲目はYOHのスラップベースが躍動した「Hopping」。フロント陣の攻撃的なラップが炸裂する2曲を解説したのは、YAMATOとNAOTOだった。「Destroy Rock and Roll」について、DJ RYOOが、「(前作アルバム)『TEN』 の「リアル・バーチャル・混沌」に通じるビートがあると思うが?」とNAOTOに話を振るも、「『TEN』の「リアル・バーチャル……」と台本をそのまま読んでしまうNAOTO。フォローに入ったYAMATOの「NAOTOが映画『シン・ゴジラ』を見てイメージした曲です」と解説するが、DJ RYOOは「ちょっとよくわからない……このふたりを呼んだのは間違いだったかな?(笑)」と首をかしげると、会場からもクスクスと笑い声が起こった。「Hopping」は、WOWOW NBAバスケットボールイメージソングということで、YAMATOが「小中高でバスケをやってて。バンドをやってないときはバスケをやってるぐらい、ORANGE RANGEはバスケが大好きなので、こういうふうに関われて嬉しいです」と語った。
ORANGE RANGE 撮影=平野タカシ
軽やかなビートとキラキラとしたシンセのフレーズに<イーヤーサーサー>と沖縄のかけ声が威勢よくのる5曲目「楽園Paradise」、オレンジ色の光に包まれて、ありふれた幸せをテーマにした6曲目のミドルバラード「Happy Life」については、HIROKIが解説。「楽園Paradise」は「いまのORANGE RANGEが作る、大人の夏ソング」、「Happy Life」は「年を重ねて経験したことが素直に楽曲に投影できてるんじゃないかと思います」と説明した。どこか穏やかな曲調も多い今回のアルバム『ELEVEN PIECE』には、結成17年を迎えたORANGE RANGEだからこその大人っぽいムードの曲がたくさん詰まっている。
ORANGE RANGE 撮影=平野タカシ
そのまま、次の曲「大きな夢の木」について、YOHが解説。「自分なりの風景が浮かんで、それに題名をつけるつもりで書いた」というこの曲は、YOHが2014年ごろから向き合い続けてきた楽曲だ。もともと東北についての想いに端を発しながら、今年、児童養護施設を訪れたことで、かたちにすることができた曲だという。HIROKIがアコースティックギターを掻き鳴らしながら歌い出し、しおれた気分を元気づけるような、<僕らと歌い続けよう>というフレーズが温かい。曲の途中、RYOも「みんなが支え合ってのORANGE RANGEです。これからもよろしくお願いします!」と、想いを重ねた。
ORANGE RANGE 撮影=平野タカシ
事前にお客さんから募集した質問に答えるコーナーでは、質問に対して、メンバー全員がマイペースすぎる珍回答で会場の空気を和ませると、ラスト4曲は最後までぶっ通しでライブを披露。叫ぶようなトリプルボーカルが激しい衝動を叩きつけた「ワジワジ」では、曲を終えてから、ワンテンポ遅れて喝采が起こるあたり、初披露ならではの反応だ。ユニークなシンセの響きががどこか懐かしくもある「Theme of KOZA」と「KONNICHIWA東京」、RYOがカホンを叩いたORANGE RANGE流の「みんなのうた」とも言えそうなスローテンポな曲「Girl/Boy Song」を終えると、最後はメンバー全員で曲解説をした。
ORANGE RANGE 撮影=平野タカシ
「ワジワジ」は、沖縄の方言でイライラという意味だと、NAOTO。沖縄本島の街・コザ市をテーマにした「Theme of KOZA」については、RYOが(DJ RYOOとして司会をしているので、RYOの仮面をつけた身代わりの人物が録音したRYOの言葉に合わせて喋るという手の込んだやり方で、)「コザのディープさを伝えるために作りました。シンセの音の気持ち悪さがコザと合ってるなと。華やかになれない街、でも深い街、そういうのを出せたと思います」と熱く語った。「KONNICHIWA東京」については、YAMATOが「僕たちは沖縄在住ですけど、東京を心配している曲です」と解説。アルバムを締めくくる「Girl/Boy Song」については、YAMATOが「“助け合いの心”っていうフレーズと歌詞をNAOTOが書いて、僕にパスしたんですよ。思いやりの歌ではありますけど、日常に渦巻いている疑問を書きました」とコメント。それはORANGE RANGEなりに、寛容や思いやりが欠けた社会に対して、アンチテーゼを訴えるメッセージソングでもあるのかもしれない。
アンコールでは、HIROKIが「ここからはいろいろな重圧から解放されたORANGE RANGEを楽しんでもらえたらと思います(笑)」と言うと、「チェスト」「イケナイ太陽」「キリキリマイ」というライブアンセムを立て続けに披露して、ライブは終了した。
ORANGE RANGE 撮影=平野タカシ
ORANGE RANGEの11枚目となるアルバム『ELEVEN PIECE』は、これまで17年にわたり、独自の感性でオリジナリティに満ちたロックを鳴らしてきた彼らが、バンドが刻んだ年輪の太さを誇り、歳相当の感覚を大切にしながら自然体で作り上げた作品だ。この日、作品に込めた想いをメンバーから直接聞けたからこそ、大切に聴き続けたいと思った。

取材・文=秦 理恵 撮影=平野タカシ

>>【インタビュー】ORANGE RANGE 11作目のフルアルバムが“自然体であったかい”一枚になった理由

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