【ライヴレポ】11ヶ月ぶりに平手友梨
奈がワンマンのステージにカムバック
!!『欅共和国2018』最終日は新曲をサ
プライズ披露!

欅坂46の真骨頂とは闘いにあり――。そんな想いを新たにした2時間半のステージだった。7月20から22日の3日間にわたり、昨年に続き2度目となる野外ワンマンライヴ『欅共和国』を山梨・富士急ハイランド・コニファーフォレストで開催した欅坂46。青空の下で客席に伸びる3本の花道やセンターステージを縦横無尽に駆け回り、各日1万5千人の欅共和国民たちを熱狂させ、中盤にはけやき坂46も登場して夏の思い出を築きながらも、彼女らの持つ孤高の魅力は真夏の太陽のように輝きを放っていた。
懐かしのディスコソングが並ぶ開場BGMが荘厳なOvertureへと変わると、数十人のダンサーたちの中から、白のマーチング衣装に身を包んだメンバーが登場。集団行動のパフォーマンスで一糸乱れぬ動きを見せるが、はみ出し者を許さない世の中に対する反抗を歌い上げてきた彼女ら故に、それは単なるエンターテインメント以上の意味を持って、ひとりダンサーらと対峙する指揮官・平手友梨奈のアクションを、より説得力あるものとする。彼女にとっては昨年末の『第68回NHK紅白歌合戦』出演以来、11ヶ月ぶりとなるワンマンのステージでもあり、欅坂46のセンターが帰ってきたという意味でも、このライヴの意義は大きい。
しかし勇壮たるオープニングから一転、白の制服に早着替えして「欅共和国、ブチ上がれ!」と小林由依が叫んでの1曲目「危なっかしい計画」では、夏らしいパッションで国民たちを席巻!航空ショーの戦闘機のような勢いで水柱が噴出する中、花道をダッシュしてホースから放水&バブルマシーンで客席を泡まみれにしていく。その後は1stの「サイレントマジョリティー」に2ndの「世界には愛しかない」と、シングルを並べて甘辛なふり幅を提示。加えて後者では水柱が虹を出現させて、小池美波も「<僕らの上空に虹が架かった>のところで綺麗に虹がかかっとった!」と興奮を隠さない。また、今日は富士急ハイランドのお化け屋敷「絶凶・戦慄迷宮〜収容病棟篇〜」をメンバーで訪れたとのことで、一番怖がっていた尾関梨香が「てち(平手)が“しっかり掴まって!”と言ってくれた」と話すと、「そんなに私のトーク入れてこないで」とはにかむ平手に、場内からは大きな歓声が湧いた。
続いて菅井友香、守屋茜、渡辺梨加、渡邉理佐がひまわりを持って花道を渡る「青空が違う」や、尾関、小池、長濱ねるがトロッコで客席を一周する「バスルームトラベル」、上村莉菜、尾関、小池、長沢菜々香、米谷奈々未がファンタジックに踊る「バレエと少年」と、キュートな色の強いユニット曲も。長濱はソロ曲の「100年待てば」でも、花道を自転車で横断して風船を飛ばすという可憐なパフォーマンスを見せてくれた。こうしたユニット曲で、シングル曲とは異なる意外な個性が覗けるのも、大規模ワンマンならではだろう。
そして「太陽は見上げる人を選ばない」では、けやき坂46の面々も合流。この曲を合同で歌唱するのは2期生加入後初であり、「みんな一緒に歌って!」の声が国民を巻き込んでの大合唱を生み出していく。欅坂46の菅井とけやき坂46の佐々木久美によるキャプテン同士のMC以降はけやき坂46のターンとなり、1stアルバム『走り出す瞬間』収録の「期待していない自分」から3曲を届けるが、驚かされたのはそのタフネスだ。1期生の全員がソロダンスを披露した「誰よりも高く跳べ!」に、佐々木久美が「もっともっと叫べ!」と煽り立てた「NO WAR in the future」では国民たちも緑のペンライトを振り上げてジャンプ!シリアスなメッセージは欅坂46と同様でも、さらにパンクかつパワフルなパフォーマンスで客席を虜にするのが“ひらがなけやき”の特性のようだ。
それに触発されてか、黒スーツに着替えた欅坂46の後半戦も、よりクールかつダンサブルなものに。ソロダンスをフォーメーションに組み入れた「東京タワーはどこから見える?」に、人間不信を歌う「エキセントリック」では髪をほどく小林の凛とした瞳に心を射抜かれる。視界が霞むほどの紙吹雪が舞った「風に吹かれても」のあとは、再びオープニングと同じ衣装に着替えてダンサーたちと集団行動で魅せ、会場後方から花火が上がって本編は終了。
アンコールを幕開けた「二人セゾン」では、すっかり陽の落ちた空を緑から赤へと色を変えた客席のペンライトが照らして、野外ならではの自然の演出効果を存分に活用する。振り付けからして幻想的な「もう森へ帰ろうか?」に続き、さらに圧巻だったのがラストソング。1stシングル「サイレントマジョリティー」時の緑の制服に身を包み、バレエの所作で舞う平手がモニターに映って、その動きを追うようにスポットライトが無人のステージを照らしていく。と、中央の花道を進んだところで耳を劈く破壊音が!赤く染まる場内に映像上の平手が倒れ伏して暗転すると、花道を照らすスポットライトの中でMA-1姿の彼女が起き上がるという魔法のような演出に場内はどよめき、「ガラスを割れ!」のパワーコーラスが鳴り響いて、他メンバーがステージに現れる。デビュー曲から最新シングルへ――。成長を果たしたのはビジュアルだけでなく、<おまえはもっとおまえらしく 生きろ!>とロックに歌い上げるメンバーの様に、ガラスのような脆さは一欠片もなかった。己と戦い続けた彼女らは、ようやくひとつの答えを見つけたのだ。
となれば、気になるのは次の展開……ということで、最終日だけのダブルアンコールでは8月15日にリリースされる7thシングル「アンビバレント」がサプライズ披露された。黒のロングスカートにオーバーサイズの白シャツを羽織って、ダイナミックな群舞の中でセンターの平手が翻弄されたり、かと思えば側転したりといった前衛的パフォーマンスは、彼女らが次なるゾーンへと進んだことを示すもの。終わることなく続く彼女たちの闘いを、これからも見つめていきたい。
写真/上山陽介 文/清水素子

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