「ここは、俺たちとあなたの居場所で
す」 オメでたい頭でなにより、バン
ド史上最大規模のワンマンで届けられ
た熱狂のステージと感謝の気持ち

オメ道楽2018 ~鯛獲るレコ発編~本店

2018.7.16 Zepp DiverCity
赤飯「しんどいこと、迷ってしまうことがあったときは、ここに戻って来てください。そして、“幸せになろうという意思”を、ここでもう一度掴んでください。それが、オメでたい頭でなによりで、俺がみんなに伝えたいこと、やりたいことだと気づけました」
4月4日にシングル『鯛獲る』でメジャーデビューを果たし、同日からリリースツアー『オメ道楽2018 ~鯛獲るレコ発編~』をスタートさせた、日本一オメでたい人情ラウドロックバンド・オメでたい頭でなにより。そのツアーファイナルとなったのは、7月16日、バンド史上最大規模となるZepp DiverCityでのワンマンライブだ。また、ファイナル直前の7月7日には、配信シングル「We will luck you」も発表。万全の体勢でライブ当日を迎えた。
オメでたい頭でなにより  撮影=竹内光司
開演前には「オールナイト開場」という赤飯によるラジオ番組風のSEや、映画館の上映前に流される「NO MORE 映画泥棒」をモチーフにしたマナームービー「NO MORE 思いやり泥棒」が放映された後、今回のツアーに参加したバンドによるカウントダウン映像がスタート。ゼロになると、「浮世舞台のオメ道は~」と、某演歌番組を思わせる赤飯の口上から、「鯛獲る」が始まった。そして、ステージにかけられていた紗幕が落とされると同時に、もはや音玉なのか、楽器の音なのかわからないほど強烈な音が鳴り響き、5人はハイテンションで駆け出していく。赤飯がこぶしを効かせて歌い上げる横で、ぽにきんぐだむがマイクを持ってフロアを煽れば、ミト充が叩くドラムの前で、324とmaoが楽しそうに爆音を轟かせ、オーディエンスと共に「ZEPPワンマン、獲ったどー!」と雄叫びをあげる。
オメでたい頭でなにより  撮影=竹内光司

オメでたい頭でなにより  撮影=Yuto Fukada

間髪入れず、楽器隊によるパワフルかつスキルフルなソロ回しと、大迫力なレーザービームがステージから放たれて「えんがちょ!」へ。続く「憂き浮きウォッチング」では、「Zeppワンマン始まってるで!」「そうですね!」、「もっと声出せるよな!?」「そうですね!!」とコール&レスポンスを巻き起こす。また、フロアの上手側を“シャリ”、下手側を“ネタ”として、ウォールオブデスならぬ“ウォールオブ寿司”を発生させた「wosushi~ウォールオブ寿司~」や、ぽにきんぐだむがラップを繰り出した「海老振り屋」では、オーディエンスはタオルを激しく振り回すなど、凄まじい熱狂が延々と場内に渦巻き続けていた。
オメでたい頭でなにより  撮影=竹内光司

オメでたい頭でなにより  撮影=竹内光司

膨大なネタの数々をとんでもなくラウドな音でぶっ放し続けていることもあり、フロア前方は終始大暴れな状況になっていたのだが、後方にはライブを落ち着いて観たい、暴れ疲れてちょっと休憩したいというオーディエンスのための場所、その名も“デリケートゾーン(通称:デリゾ)”では、各々がゆっくりと5人のステージを楽しんでいる。そんな「デリゾの人たちが主役になれる曲を」と届けられたのは、「七夕リアン☆リターンズ」。曲調的にはロマンティックなミディアムナンバーなのだが、歌詞の登場人物はゾンビで、頭を銃で撃たれるという場面も飛び出すギャップの激しい曲で魅せると、暗転後に「う~~~」とサイレン音を口で言いながら赤飯が登場。「銃声が聞こえたという通報を受けてやってきた」と、赤飯演じる“湾岸署のヤナギサワ”が、「お前がやったのか?」とメンバーをひとりひとり尋問する寸劇から「歌謡サスペンス劇場~わたしがやりました~」がスタート。あの手この手でフロアを徹底的に楽しませていく。
オメでたい頭でなにより  撮影=竹内光司

オメでたい頭でなにより 撮影=竹内光司

オメでたい頭でなにより  撮影=竹内光司
とにかくいろんな演出が飛び出すオメでたい頭でなによりのライブだが、もちろん禁止されていることもある。一般的なライブマナーはもちろんなのだが、バンド側が大きく掲げているのが、「サイリウムの使用禁止」だ。とはいえ、場内ではサイリウムを無人販売(商品名:使用禁止サイリウム)。もはやどう考えてもフリじゃないかというのは置いといて、普段はNGなものの、ここから数曲の間はサイリウムの使用がOKということに。「なぜなら次の曲は、とっても甘くてフルーティーな曲だからです」と披露されたのは「さくらんぼ」。赤飯がまるで女性のような可愛らしい声で歌いながらも、突如極悪パートを放り込むカオティックなアレンジで届ける。また、ポップなアイドルソングとハードなラウドナンバーを行き来する「推しごとメモリアル」では、サビでメンバー全員が楽器を置いて、激しくダンス! ギターソロでは、324がギター型のバルーンを持って、エアギターでフロアを盛り上げた。曲を終えると、赤飯はハイトーンな女性の声で「ありがとー! サイリウムをしまってくれる? つ、ま、り……ここからは拳で語り合おうぜ!」と、後半はどぎつい声でシャウトし、「ふわっふー」に突入。エグすぎるスクリームに、クラウドサーファーが続出した。

オメでたい頭でなにより  撮影=Yuto Fukada

オメでたい頭でなにより  撮影=Yuto Fukada

オメでたい頭でなにより  撮影=Yuto Fukada

まだまだ見せ場が続く。ライブ終盤では、7月15、16、17日生まれの来場者をステージにあげて、「大誕生日会」と称して「VIVA!ハピバ」をプレゼント。2階からは大量の風船が降り注ぎ、曲を終えてオーディエンスがステージから降りるときには、舞台袖にいる制作チームも手でアーチを作ってお見送りするという見事なまでの祝いっぷりだった。「ダルマさんは転ばないっ」では、オーディエンスとの「大だるまさんが転んだ大会」が行なわれる中、途中で曲尺が数秒のため一瞬で終わるファストコア「湯冷ます」と「湯冷ます 2018」を連発。さらに、CO2が勢いよく噴き出した「スーパー銭湯~オメの湯~」では、ビニール製のアヒルに乗った赤飯がフロアの海に出航……するも早々と転落(苦笑)。オーディエンスが作る波で、綺麗にステージへと打ち上げられていたのだった。
オメでたい頭でなにより  撮影=Yuto Fukada

オメでたい頭でなにより  撮影=Yuto Fukada

さらにアンコールでは、赤飯がブルースハープを、ぽにきんぐだむがアコギを手に、アコースティック色強めで披露された「笑うユメの生活」や、メンバーがフロアに降りて盛り上げた「生霊の盆踊り」に、金テープが発射された「宴もたけなわプリンセス」と、ライブにおけるエンタメ系演出をやり尽くすような勢いで、徹底的にオーディエンスを笑顔にしていた5人。しかし、そんな彼らのライブで唯一なかったものが「マジメな話」だった。

オメでたい頭でなにより  撮影=竹内光司
オメでたい頭でなにより  撮影=竹内光司
そもそも、オメでたい頭でなによりの楽曲がネタを満載に盛り込んでいるのは、「俺がマジメな曲を作れなくて、すぐにちょけてしまうんですよね」と話す赤飯。しかし、「マジメなことをちゃんと話さなきゃいけない場面が来ると思っていたんだけど、それが今日だと思っていて……俺、いまマジで心の底から幸せなんですよ」と、自分の思いを赤裸々に話し始めた。自分の言葉で歌えていること、その言葉を曲に変えてくれるメンバーがいること、それを届けるために頑張っているスタッフがいること、ライブをすることでバンド仲間が増えてきていること、たくさんの人たちがライブに来てくれること。それが心の底から幸せだと、フロアに熱く語りかけていく。
オメでたい頭でなにより  撮影=Yuto Fukada

オメでたい頭でなにより  撮影=Yuto Fukada

「初めて観に来てくれた人もいるかもしれませんが、あなたはもう俺にとって大事な人のひとりです。これからお互いどんな未来になっていくかわからないけど、たとえ遠く離れてしまっても、みんなが幸せになることを祈っているし、この場所でみんなが幸せになっていくのを見守らせてください。ここは俺にとって一番大事な場所です。この居場所を与えられて、俺は幸せだなと思うことが初めてできました。俺に居場所を与えてくれて本当にありがとう。ここは、俺たちとあなたの居場所です」
オメでたい頭でなにより  撮影=Yuto Fukada
オメでたい頭でなにより  撮影=竹内光司
そんな赤飯のMCから始まったのは、「We will luck you」。「最初はみんながただ笑ってくれたら楽しいなと思っていたけど、だんだん目の前の人が幸せになってくれたら嬉しいと思うようになっていた」と話していた赤飯。この曲は、自分の大切な人達に向けて、感謝の気持ちを込めて作ったそうだ。おふざけは一切なし。5人はいまの思いをまっすぐに届けていた。また、この記事の冒頭に記した赤飯の言葉は、本編の最後を飾った「オメでたい頭でなにより」に入る前のMCで話していたもの。それは、マジメな発言を避け続けてきた彼が、活動を続けていくことで芽生えた思いであり、自身の決意宣言ともいえるものだろう。そんな彼らと共に、オーディエンスは大合唱をしながら、ダブルピースを掲げ、柵で区切られたセクションごとに手を繋ぎ、たくさんのサークルを作りだした光景は、なんとも幸せそうで、感動的なものだった。
オメでたい頭でなにより  撮影=竹内光司
オメでたい頭でなによりは、ここから『ROCK IN JAPAN FES. 2018』『RISING SUN ROCK FESTIVAL 2018 in EZO』『MONSTER baSH 2018』といった各地夏フェスに出演することになっているが、この日、秋には2ndシングルをリリースし、11月には東名阪3マンスプリットツアー『幸三昧2018』を行なうことを発表した。笑顔から幸せに繋がっていく彼らのライブを、是非とも全身で体感してほしい。

文=山口哲生 撮影=竹内光司、Yuto Fukada
未掲載カット含む全ライブ写真は【 コチラ 】
オメでたい頭でなにより  撮影=Yuto Fukada
オメでたい頭でなにより  撮影=Yuto Fukada

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