【インタビュー】デヴィルドライヴァ
ー「アウトロー・カントリーもメタル
も、同じアウトローたちの音楽」

デヴィルドライヴァーの新作『アウトローズ・ティル・ジ・エンド Vol.1』(7月6日世界同時発売)が全米で話題を呼んでいる。アメリカ人に親しまれてきたカントリー・ミュージックの中で異端的存在である“アウトロー・カントリー”のカバー作品という前代未聞の内容だからだ。
ゲスト陣も圧巻だ。ハンク・ウィリアムスを祖父に持つハンク・ウィリアムス3世、ランディ・ブライとマーク・モートン(ラム・オブ・ゴッド)、ウェンズデイ13やブロック・リンドー(36クレイジーフィスツ)、バートン・C・ベル(フィア・ファクトリー)、フィアのリー・ヴィング、さらにジョニー・キャッシュの息子であるジョン・カーター・キャッシュまで、ジャンルを超えたミュージシャンが参加している。

メタル界きってのハードワーカーのフロントマン:デズ・ファファーラに、新作のことから近況について話を聞いた。
――新作のリリースを控えて、いまの気分はいかがですか?

デズ・ファファーラ:最高だよ。今は自宅にいるんだけど、このあと次の作品のレコーディングの準備のためにスタジオに向かうところなんだ。

――ちょっと待ってください(笑)。もう次のアルバムの制作に入っているんですか?

デズ・ファファーラ:ははは、そうだ。

――新作の話を差し置いて次作について話すのは、気が早すぎるとは思うのですが、どんなサウンドに仕上がりそうですか?
デズ・ファファーラ:なんでも聞いてくれ、答えられるものは全て答えるから。ただ、次作のサウンドについてはコメントできないな。まだレコーディングに入っていない段階だからね(笑)。ただ、6月か7月にスタジオでレコーディングを開始して、ヴォーカルを録り終えるのは2019年1月くらいになると思う。7月6日に今作がリリースされて、その1年半後にはファンの手に次の作品を届けられる予定かな。俺がガキだった頃、KISSは毎年のようにアルバムを出していた。俺はそこを目指しているんだ。他のメタル・バンドみたいにファンを2年も3年も待たせたくないんだよ。

――なるほど、あなたらしい発言ですね。次作に収録するための曲はもう揃っているんですか?

デズ・ファファーラ:俺の手元だけで少なくとも35曲あるよ。そこから厳選して20曲くらいにしていくのさ。アルバム収録曲をはるかに超える数のものを用意することは、最高の作品を作るためには必要なことなんだ。そうすることでアルバムの一曲一曲のクオリティが上がるからね。Bサイドのような曲を俺たちは作品に入れない。もちろん新作『アウトローズ・ティル・ジ・エンド Vol.1』でも同じ手法で臨んだ。カバーしたい楽曲を50曲選んで、さらに参加して欲しいと思ったアウトローたちに可能な限りオファーしたよ。

――新作を語る上で外せない“アウトロー・カントリー”というジャンルは、実は日本では全くといっていいほど知られておらず、アメリカとは事情がかなり異なります。

デズ・ファファーラ:アジアやヨーロッパでアウトロー・カントリーがメジャーじゃないのは理解していているよ。だからこそ、ファンたちに興味をもってもらいたい。アメリカではメタルとアウトロー・カントリーはとても近い関係で、メタルのコンサートに行くとツアーバスからパンテラやスレイヤーと一緒に、ジョニー・キャッシュ、ウィリー・ネルソンが流れている。アウトロー・カントリーもメタルも、同じアウトローたちの音楽なんだよ。俺はずっとメタル・バンドがアウトロー・カントリーをカバーする作品がないことが不思議だった。それで前人未到の2つのジャンルを正面衝突させるクレイジーなシナリオを描いたら、多くのミュージシャンが積極的に参加してくれたんだ。『アウトローズ・ティル・ジ・エンド Vol.1』が無事リリースの日を迎えられるのは彼らのおかげだし、本当に感謝しているよ。

――新作を完成させたのはいつですか?

デズ・ファファーラ:最後に完成させた曲が「ウィスキー・リヴァー」だから、2018年2月だと思うよ。

──「ウィスキー・リヴァー」は、作品の中でも強烈なインパクトを残す一曲ですね。
デズ・ファファーラ:ゲスト参加してくれたランディ・ブライと俺の高音スクリームが聴ける曲だね。最近、お互いのバンドの曲でハイトーン・スクリームを使うことはないから貴重だよ。実は、ランディは「ゴースト・ライダーズ・イン・ザ・スカイ」のみ参加する予定だった。そのはずが、ランディがうちに遊びに来て1週間くらいサーフィンしていたときに「もう一曲やらないか?」って声をかけて曲を聴かせたんだ。そしたら“まるでブラックメタルだな!”ってすぐに参加を快諾してくれたんだよ(笑)。スタジオではランディの声を俺が録って、俺の声をランディが録ってくれた。とてもいい時間だったし、そこに強い友情があることを再確認できたよ。

――「ウィスキー・リヴァー」は、確かにブラックメタルを感じますね。

デズ・ファファーラ:まさにブラックメタルだよな。「作品の中で一番激しいアレンジにしよう」ってメンバー同士で話になって仕上げたからね。でも、オリジナルの“核”の部分はきちんと存在しているだろ?今作で大切にしたのはそこなんだ。カバーを聴いたファンが、オリジナルのアーティストに興味を持ってくれる…これも俺たちがカバー作品を作る大きな意義でもある。デヴィルドライヴァーのファンは俺たちがカバー・ソングをプレイするのが好きだってことも知っているしね。

――バンド内の関係も良さそうですね。

デズ・ファファーラ:メンバーは最高の仕事をしてくれているよ。この前、ギタリストのニール・ティーマンに「俺の手元には次作のために書いた30曲以上の楽曲がある、おまえは何曲書いたんだ?」って聞いたら、「すでに45曲あるよ」って答えやがった。なんてこった!6枚分の曲数が揃っちまってるんだ(笑)。前任のギタリストのジェフだったら、こんなことあり得なかった。家族との関係もとてもうまくいっている。今年は家族との時間を最優先に考えているからライヴの本数を30本くらいに抑えている。俺は仕事人間と言われているけど、家族も大切にする人間なんだ。家族に対して正しいことをしてきたおかげで、俺はこのクレイジーな音楽業界に25年もいられたと思っている。

――3人の息子さんはお元気ですか?
デズ・ファファーラ:ありがとう、3歳になる孫娘も含めて全員元気さ。たくましくて素晴らしい妻と子供たちのおかげで、デヴィルドライヴァーは年間280本のライヴを続けてこられたんだ。

――個人的な興味で恐縮ですが、子育ての秘訣はありますか。

デズ・ファファーラ:ははは、なんでも聞いてくれていいんだぜ(笑)。まず、俺は子供たちの“良き友”でいることを心掛けた。俺は子供たちに怒鳴ったことはないし叩いたりもしない。大きな声を出さなくても子供はきちんと理解するんだよ。親だからって理由で上から目線で話したりする人もいるけど、俺はそういうことはしない。思ったことや感じたことはなんでも話して、しっかりと信頼関係を築くことが一番だと思うね。

――今作のテーマであるアウトロー・カントリーの魅力はどこにあると思いますか?

デズ・ファファーラ:リアルな歌詞だと思う。保守的なメインストリーム・カントリーはラジオでガンガンかかっているけど、アウトロー・カントリーはそれとは全くの別物なんだ。カントリーのみならず、メタルでもドラゴンとか神殿について歌っているものもあるだろ?そういう歌詞に俺は全く共感できない。アウトロー・カントリーの歌詞は共感できるものばかりだし、メインストリームに背を向けて、常に新しい世界を切り拓いているんだ。俺も刑務所に入ったこともあるし、クソみたいな生活を送っていた時期もある。そういうリアルな人生経験を曲に反映させたいと思っているから、アウトロー・カントリーのリアルな歌詞に共鳴できるんだ。

――今後の予定を教えてください。

デズ・ファファーラ:今年は大型フェスに出演する程度で活発にツアーは行わないと思う。でも、来春からは2年にわたる大規模なワールドツアーを予定している。そのツアーのどこかで日本に立ち寄れることを楽しみにしているよ。日本に俺たちのファンがいることは知っているからね。

取材・文:澤田修
写真:Ben Hoffman

デヴィルドライヴァー『アウトローズ・
ティル・ジ・エンド Vol.1』

2018年7月6日 世界同時発売
【CD】 ¥2,400+税
※日本語解説書封入
1.カントリー・ヒーローズ
2.ウィスキー・リヴァー
3.アウトロー・マン
4.ゴースト・ライダーズ・イン・ザ・スカイ
5.アイム・ジ・オンリー・ヘル(ママ・エヴァー・レイズド)
6.イフ・ドリンキング・ドント・キル・ミー(ハー・メモリー・ウィル)
7.ザ・マン・カムズ・アラウンド
8.ア・サウザンド・マイルズ・フロム・ノーウェア
9.コパーヘッド・ロード
10.ダッズ・ゴナ・キル・ミー
11.ア・カントリー・ボーイ・キャン・サヴァイヴ
12.ザ・ライド

【メンバー】
デズ・ファファーラ(ヴォーカル)
マイク・スプリッツァー(ギター)
ニール・ティーマン(ギター)
ディエゴ・イバーラ(ベース)
オースティン・ダモンド(ドラムス)

アーティスト

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