明治座が壮大な宇宙空間に! 舞台『
銀河鉄道999』~GALAXY OPERA~ 囲
み取材&ゲネプロレポート
「後列の方々の衣装をよく見せて!」というリクエストに応えて。左から、平方元基、染谷俊之、松本零士、美山加恋、凰稀かなめ
中川晃教(写真左)につられて思わず笑顔になる凰稀かなめ(写真後)とお宮の松(写真右)
「この作品(銀河鉄道999)が40周年を迎えた記念すべき2018年に、私たちのカンパニーで舞台版としていよいよ幕が開きます。老舗である明治座という劇場で、お客様にこの999の旅をお届けできることを今からワクワクしています。鉄郎だけではなく全出演者がこの物語の中で旅をしているということを実感しています。そして終わらない旅、お客様の心に感動が届くように頑張っていきます。」
「ずっと迷いながら作ってきましたが、松本先生ご自身が『僕もまだ旅の途中だ』とおっしゃっていて、それが私の勇気になりました。迷いながらも最後まで走り抜けたいと思います。」
「僕たちにしかできないこの『銀河鉄道999』という作品を皆さんにお届けしたいと思います。」
「ガラスの役(注:クレアの体はクリスタルガラスで出来ている)は初めてで、もう一生ないだろうなという気持ちですごく楽しんで演じさせていただいています。千秋楽まで精いっぱい演じ切りたいと思います。」
「ドラマでもなく、アニメでもなく、舞台でしか見せられない『銀河鉄道999』があると思いますので、みんな心は一つになっています。皆様に楽しんでいただけるよう、精いっぱい頑張っていきたいと思います。」
「作品をゼロから作っていくという中で、皆さんと話し合いながら有意義な時間を過ごすことができました。それは原作が素晴らしいものであるからこそ、最後までぶれずにここまでやってこれたのだと思っています。みんなの力を信じて、そしてお客様の前に立って、お客様が素晴らしい拍手をしてくださることを信じて、最後までやっていけたらと思っています。」
「遂に初日を迎える日が来ました。精いっぱい最後まで、終着駅に向かって走り続けたいと思います。」
この舞台への思いを聞かれた松本零士は、
「私は18のときに行きだけの切符を持って、帰りの切符を持たず、『俺は死んでも帰らねえ』と言って鉄郎と同じように上京しました。このあたり(明治座周辺)は私の青春の地。そんな場所で皆様にがんばっていただけるのは、とても嬉しいです。どうかお身体に気を付けて、終わりない夢を果たすためにがんばってください。」と語った。
「3年前まで男役をやっていて、今回は女性の役、しかも男らしさのある女性ですが?」と質問を投げられた元宝塚歌劇団宙組トップスター・凰稀かなめは「男も女も、結局一緒なんです。一つ芯が通っていれば強く見えます。自分を信じて突き進んで行くだけです。」と力強く答えた。
スラム街の住民たちと鉄郎によるヒップホップ調の歌とダンスによる物語の幕開けは、始まりのワクワク感にあふれて舞台の熱量が徐々に上がっていくのを感じさせる。
鉄郎役の中川はのっけからその圧倒的な歌唱力と表現力で、日本のミュージカル界のトップスターである実力を見せつける。
「あなたはどこに行きたいの?」
その問いかけは同時に「あなたはどう生きたいの?」という意味にも聞こえてくる。
メーテル役のハルカは、メーテルの謎めいた雰囲気そのままのたたずまいで、物語の重要な存在感を発揮する。また、のびやかで確かな歌唱力が、メーテルの隠された強い意志を表現しているようで、そのキャラクターに広がりを感じさせる。
メーテルは共に旅することを条件に、鉄郎に999の乗車券を与える。こうして二人の旅は始まる。
999車内のシーンでは、クレアと車掌が登場し、ここまで重厚に進行してきた物語の中でホッとするような明るさを加えてくれる。それは、クレア役の美山と車掌役のお宮の松が見せる軽やかさに因るところが大きい。
しかし美しいガラスの身体を持つクレアは、実は元の血の通った体に戻りたいと願っている。その悲しみを滲ませる美山の瑞々しい演技が胸を打つ。
鉄郎は旅をする中で様々な人々と出会い、その触れ合いの中で時に苦悩しながら成長していく。
撮影:源かつみ
撮影:源かつみ
そして鉄郎は、大山トチローと出会う。トチローは優しい心の持ち主で、かつてはキャプテン・ハーロックとクイーン・エメラルダと共に宇宙を駆け巡り、彼らの心の支えになっていた。そしてトチローもまた機械伯爵を倒す機会をうかがっていたが、宇宙病に冒されてしまいその思いを鉄郎に託すのであった。
撮影:源かつみ
撮影:源かつみ
この物語の中でもっとも人間らしい心の持ち主であるトチローを、入野自由が見事に演じて懐の深さを見せている。
精一杯命を燃やした人間だけが見ることのできる光があり、肉体は滅びてもその思いは消えることはなく受け継がれて永遠に残るのだ、ということをトチローは鉄郎に伝える。
トチローの遺志を継いだ鉄郎は、ハーロックとエメラルダスと会い、あらためて機械伯爵を倒しに行く決意をする。鉄郎にとっては憧れの存在であるハーロックとエメラルダスの孤高の強さや美しさを、平方元基と凰稀かなめがそれぞれ舞台映えする容姿と、スケール感のある演技力で表現する。情感こもる歌唱も魅力的だ。
そして遂に機械伯爵と対決する鉄郎。しかしここで、ひたすら冷酷非情と思われた機械伯爵の哀しい過去が明かされる。
機械伯爵との対決を終え、メーテルの元へ戻った鉄郎。
さて、彼はこれからどうするのか?
当初の目的通り、機械の体を手に入れに行くのか?
この旅を通して鉄郎が見つけた答え。それはぜひ、劇場で確かめてもらいたい。
誰もがまだ旅の途中であること、そして限りある命を燃やして生きることの意義を、この舞台を通して教えられるはずだ。さあ、あなたも『銀河鉄道999』への乗車券を手に入れて、乗り込もう!
(c) 舞台『銀河鉄道999』実行委員会2018
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