【ライヴレポ】超特急、“限界”を超
えたアリーナツアーを完遂!「一瞬一
瞬を最高のものにしたかった」

6人組の新体制となって初のアリーナツアー『Sweetest Battlefield』を5月より行っていたダンス&ボーカルグループ・超特急が、最終公演を6月10日に兵庫・神戸ワールド記念ホールで開催した。2都市4公演全てのチケットが秒速完売し、5万人を動員した東西ツアーのフィナーレとなったこの日は、なんとCDデビュー6周年の記念日ということで、メンバーの気合もMAX。ツアーとしては初の挑戦となる360度ステージで、タクヤ曰く「逃げ場がない」中、歌とダンスを休みなく届け続ける限界知らずのパフォーマンスを贈り、未来へのビジョンを頼もしく提示した。また、終演後には新たなドラマタイアップも告知。会場を埋め尽くした8号車(ファンの呼称)を歓喜の嵐で包んだ。
神戸公演の2日目となったこの日は、今ツアーの総合演出を務めるユーキから「東京と神戸で全く異なるライヴになる」と予告されていた通り、東京公演とは曲目も並びもガラリと変わって、グッとクールな印象の強いメニューで届けられた。大人のムードを漂わせるオープニング映像が流れ、アリーナ席ど真ん中のステージに設置された円柱型のLEDモニターが上昇すると、ステージ奥の通路を通って光の中からゆっくりと6人が登場。白一色の王子様ルックで現れた東京とは裏腹に、黒いラメジャケットを纏って危険なオーラを撒き散らしながら「Kiss Me Baby」を投下し、セクシーな表情やキスを投げるモーションで幕開けから8号車を悩殺する。また、円形の回り舞台を備えたステージに瀟洒な模様のライトが当たると、まるで魔法陣を目にしたような錯覚も。結果、その上で歌い踊る6人をより妖しく、魅惑的な存在に見せていた。
しかし、ユーキの「最終日、みんな声出していくぞ!」の号令から変顔満載のファニーな「BREAK OFF」が始まると、会場の空気は一変。巧みにフォーメーションを変えながらコミカルな百面相を四方へと披露して、超特急の振り幅を頭から全開にする。続いてメンバーがトロッコに乗り込み、アリーナ席を横断した「Burn!」では、客席のペンライトが一斉にバッテンに振られて実に壮観。カッコ良さ、ダサさ、そして8号車との一体感という超特急の“三種の神器”を詰め込んだオープニングに、早くも場内は熱狂の渦だ。さらに、お馴染みのナンバーも驚きのアレンジに。スタンド客席に隣接するエンドステージでミステリアスに「Believe×Believe」が始まると、曲中センターステージに駆け出して、最後にはリョウガ以外の面々がコミカルに倒れ込むが、彼のフィンガースナップひとつで再び覚醒。噴き上がるスモークの中、床を叩いて「SURVIVOR」のアクロバティックなダンスへと続く想定外の展開には、こんなクールの表現があったのかと改めて超特急というグループのポテンシャルに感服させられる。
“Battlefield=戦場”の名の通り、全力投球必須のハードなメニューに早くも全員汗だくだが、この日は記念すべきCDデビュー6周年。また、神戸ワールド記念ホールでのライヴは2年ぶりということで、「今か今かと待ってくれていたと思う。360度ステージなので全部前ですから。ひとり残らず全員で最高の幸福を感じていきたいと思います」(リョウガ)と、一層、気合を入れる。中でも聴かせる曲が続いた中盤ブロックでは、新体制でバックボーカルを一手に担うタカシの進化が明らかに。優しいメロディに乗る甘い歌声で心温める「Yell」に、巧みに形を変えながらステージがリフトアップする「EBiDAY EBiNAI」では、安定感を増したボーカルで切なさと笑顔が交錯する不思議な感情を掻き立てる。負けじとメインダンサーたちもソロダンスで魅せ、「Billion Beats」ではタクヤがエモーションを爆発させて熱い余韻を残し、その中にせり上がったタカシは「HOPE STEP JUMP」をひとりで披露。普段は6人で盛り上げて幸福感を醸すナンバーを、満場のペンライトとコールを受け止めて堂々と歌い上げ、全方位に微笑みかける姿は、“末っ子担当”のイメージからほど遠い頼もしさだ。開演前の囲み会見でも「もっとイケるなっていう気持ちを年末のアリーナツアーに向けて、これからひとつひとつ大事にしていきたい」と語ってくれていただけに、更なる成長を期待したい。
また、今や超特急ライヴの武器となりつつあるメドレーも、存分に趣向の凝らされたものに。カイ、リョウガ、タカシによるスタンドマイクを使ったソロダンスも斬新な「STYLE」に、タクヤ、ユーキ、ユースケでペンライトを使ったエクササイズを繰り広げた「Shake body」。ソロで「FLASHBACK」を歌ったタカシにダンサー5人が加わって、太いビートでダイナミックに魅了する「Seventh Heaven」など、瞬時に色を変える目まぐるしい展開が成り立つのも、彼らの高いスキルがあってこそだ。そのスキルは歌とダンス以外にも発揮され、「fanfare」の曲中では今ツアーの目玉として挑戦したカラーガードのパフォーマンスで見事なフラッグさばきを実演。互いに宙に投げ合い、キャッチする巨大フラッグが風をはらんで雄々しくはためく様は、曲のメッセージと相まって観る者の背中を押し、ユーキの「みんなに明るく前を向いてもらうために、僕たちはファンファーレを鳴らし続けます!」という叫びを深く胸に沁み込ませた。
後半戦では超特急の豊かなバラエティを、時空を超えたクールな味付けで提示。最先端のスタイルでダンサー陣が躍“動”するダンスナンバーから、一転「Feel the light」では光が差し込むスモークの中でタカシが“静”かにファルセットを響かせ、その声に呼び戻された霊魂のように舞うダンサーが太古の聖域をステージ上に出現させる。かと思えば近未来感たっぷりの「Beasty Spider」ではユーキを筆頭に挑発的な冷笑を浮かべ、「Gravitation」では色気たっぷりの動きとMUSIC VIDEO同様に炎の上がる演出が8号車を限界までヒートアップ。さらに「さぁ、そろそろみんなの声を聞きたくなってきた。聞かせてちょうだいませ!」と雄叫びを上げたユースケを特攻隊長に、「バッタマン」からはライヴ鉄板曲を三連続でドロップして、リーダーのリョウガが「いや、怒涛ですよ。みなさん生きていますか?」と心配するほどの盛り上がりを生み出していく。ラストは最新シングルの「a kind of love」。他メンバーの振りを無茶ぶりしたりと、自由にアドリブを取り込んだパフォーマンスに6人の嘘のない笑顔が輝いて、序盤のリョウガのMC通りに観る者を幸せな心地にしてくれた。
普段は元気いっぱいに始まることの多いアンコールを、「Starlight」でしっとり幕開けたのもひとつの進化の形。トドメとばかりにラストの「Party Maker」ではメンバー全員が着ていたTシャツを引き裂き、露わになった素肌にペットボトルの水を被る前代未聞&掟破りのアクションで8号車を絶叫させた。タカシに至ってはテンションブチ切れて「お前ら、騒げ!」と別人格が登場。「完全燃焼しました、限界を超えました!」というリョウガの言葉も納得で、それこそが今ツアーの目的だったのだと実感させる。このパフォーマンスについては、ユーキも「ステージで命削るくらいの想いで、この一瞬一瞬を最高のものにしたかった」と会見で告白。他人が、誰よりも自分自身が決めてしまいがちな“限界”を壊して、どこまでも先へと進もう――つまりは、何があっても諦めないという強い意志こそが、今の超特急の最大の武器なのだ。
2時間半に及ぶステージの終演後には、8月8日に発売されるニューシングル「Jesus」がテレビ朝日の土曜ナイトドラマ『ヒモメン』の主題歌として、7月より放送されることも発表。会見では主演の窪田正孝と共演歴もあるカイが「超特急としても関われたことが嬉しい。「Jesus」はドラマの内容にピッタリの歌詞で、ダンスは超特急らしくポップとクールが混ざったもの。ちなみに窪田くんが一番好きな超特急の曲は「Snow break」らしいです!」と暴露してくれた。東京国際フォーラム・ホールAにて、シングル発売日から2Days開催される主催イベント『“超”超フェス』に、念願だったさいたまスーパーアリーナを含む年末のアリーナツアーも既に決定。最後のMCでも「このツアーを次に繋げていきたい」と口々に語っていた6人のレールは、8号車の熱いエールを受けて、まだまだ続いていく。
写真/米山三郎、深野輝美、山下陽子 文/清水素子

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