[第48回]宮澤佐江が新「ミラチャイ」
連載で振り返る、舞台とともに駆け抜
けた2年間【大切なお知らせあり】

2年前の7月、リニューアルして再スタートした「ミラチャイ」連載。『王家の紋章』初演にはじまり、現在公演中の『ZEROTOPIA』まで。舞台とともに駆け抜けた、佐江ちゃんの2年を振り返ります。

ーーさあ、佐江ちゃん。今回もよろしくお願いします。
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はい、よろしくお願いします!
ーーさて今回は、いつも「ミラチャイ」連載を見てくださる皆さんへ、大切なお知らせからスタートしたいと思います。
はい。
ーー「ミラチャイ」連載は、2012年12月に取材を開始し、2013年3月から連載がスタートしました。2016年4月、AKB48グループ卒業までの旧連載。そして、2016年7月に開始した新連載と、約6年にわたり続けてきました。
連載は、先日発表のあった佐江ちゃんが芸能活動を一時休止することにともない、7月の更新をもって最終回となります。
「ミラチャイ」連載は、佐江ちゃんの「お仕事」「成長」とともにありました。そして何より、いつも連載を応援してくださった方々とともにあって、連載回数は新旧合わせ200回を超えました。
連載担当者としては、最終回までに改めて、”連載”という形でかかわってきた「宮澤佐江」という一人の人間を、すべての連載を読んでいただいているファンの方はもちろん、途中で知ったという方にもわかっていただきたいと思っています。
ですので、これまでの連載の軌跡を振り返りながら、「ミラチャイ」連載の最終回を迎えていきたいと思っています。6月分の更新では新連載に関すること、7月分は新連載と旧連載すべてを振り返ってもらいます。それらを踏まえた上で、最後にこれからについて語ってください。佐江ちゃん、お願いできますか?
はい、お願いします!
ーーそれでは、第48回、スタートしましょうか!
はい! よろしくお願いします!!
ーー今日は、連載を振り返りやすいように、「連載の一覧」をプリントアウトしてきましたよ。その時々で印象的だった佐江ちゃんの言葉もピックアップしてみました。
※取材の新連載一覧のプリントアウトデータは、こちら[PDF]で見られます。見ながら連載をお読みいただくと、さらによいかも。
(プリントアウトや、これまでの言葉の一覧を見ながら)
わあ! ありがとうございます!
ーープリントアウトを見ると、ボリューム的には、毎週更新していた旧連載の方が圧倒的にありますね。でも連載期間は新旧とも、そんなに変わらないんですよ。
「ああ! この言葉、言った、言った! 」
ああ…、本当にそうですね。
取材は、連載スタートした当初から、毎月1回ありましたよね。「ミラチャイ」の取材で、その月にあったことを話すので、いつも1カ月間の「おさらい」をしているみたいでした。
こうして一覧を見ると、そのときのことを思い出します。「ああ! この言葉、言った、言った! 」って。
ーー本当にどの回も記憶に新しいです。これから最終回に向けて、200回を超える連載を振り返っていきたいと思います。記憶力との勝負ですね。
任せてください! 記憶力はすごくいい方なので!! 連載が再開したのは2016年7月からだから、もちろんその時どきの感情もすごく覚えてますよ。
ーーさすが佐江ちゃん! 連載が3カ月のお休みを経て再開したのは、ちょうど、『王家の紋章』初演のお稽古がスタートして間もない頃だったんですよね。(第1回前編)(第1回後編)
そうですね。
(当時の取材で言った言葉を見ながら)
『王家の紋章』初演も再演も、キツかった。本当にキツかった!
でも今思うと、キツかったのは、何も知らない状態でミュージカル界に「ポンッ」と飛び込んだから、というのが一番大きかったと思います。あと、「キツい、キツい」って、自分で勝手に思い込んでいたところもあったと思うんです。
『王家の紋章』に出演後、いろんな作品に出させていただいて。今また、自分の「ホーム」…、というと過言ではありますが、地球ゴージャスに2度目に戻って来られて。改めて『王家の紋章』の頃を振り返れるようになりました。
今回の『ZEROTOPIA』の舞台で、「やっていてよかった」と思うことがあるんですよ。
それは、『王家の紋章』で新妻聖子さんとWキャストで組ませていただけたこと。そして、同じくWキャストだった、イズミル役のマモ(宮野真守)さんと、(平方)元基さんのふたりを、客観的に見ていたことが本当によかったなって。
マモさんは声優さんで、元基さんは役者さん。マモさんの声優のお仕事が大変なスケジュールだったところを、ふたりでカバーしあって、すごくいい関係性を作っていたんです。
ふたりのそういう関係性を見ていたから、今、Wキャストで組んでいる花澤香菜ちゃんの声優のお仕事の忙しさも、すごく理解できるんです。
そして、聖子さんとのWキャストで勉強になったことを、今、ようやく『ZEROTOPIA』で生かせてるなって感じてます。生かせてる…、というか、あのときの聖子さんと私の関係性が、『ZEROTOPIA』では逆になっているというか。
舞台のことを知らないできた香菜ちゃんと、いくつか舞台を踏んでいる私。役をありのままで生きる香菜ちゃんと、役づくりをして演じる私。その関係性が、『王家の紋章』のときとは、逆になっているなって思うんです。
『王家の紋章』では、私はありのままでキャロルを生きてたけど、聖子さんは役づくりをしていて、それを私はすごく間近で見ていて。もちろん、聖子さんは大ベテランの方だから、自分と一緒にしてはいけないのだけど。
“ああ、二度とあのときには戻れないんだ”って、今すごく感じてます。
ーーあの頃、とくに連載が再開した初回の取材では、佐江ちゃんのかなりヘコんでいる様子も、ミラチャイスタッフは目の当たりにしました。
当時は苦しかったけど…
ちょうど、取材の前の日に落ち込むことがあったの! 前前日だったかな? それは覚えています。その2日間くらいは、食事も全然してなかったから。もう、超〜、気持ちが落ちてた!!
「ミラチャイ」連載だからこそ、いつも話を聞いていただいているスタッフさんだからこそ、取材では隠さずにあのときの気持ちを話せたんです。「ズンーーッ」って、落ち込んでる姿も見せられた。
いつもなら隠してるところだけど、それすらもできないほど、あのときはひどかった(笑)
ーー次の取材で会うまでは、「どうなっちゃうんだろう…、佐江ちゃん」と、心配しました。
初回の取材のときは、台詞もまだ全部頭に入ってなかったから…。本当に気持ちが落ちていたときだったんです。
ーーでも、2回目の取材のときは、だいぶ元気になっていて。ホッとしたのを覚えています。(第3回前編)(第3回後編)
もう…、恥ずかしい。
ーー取材では毎回、1時間半から2時間くらいお話をするので、気持ちが落ちていたら、隠したくても隠せないと思うんです。
「つくり笑顔」をしていたらツラいですからね(汗)。きっと、「白目」になっちゃう!
ーー(笑)
でも、本当によかった! 当時は苦しかったけど、今はこう思えるようになった。
ーー取材といえども、落ち込んでいる気持ちを深追いするようなことは聞きませんし、ひと月後の取材でも、まだ振り返るには早いタイミングで。2年経ってみてようやく、笑いながら「あのときはこうだったね」と、話せるというか。
「あれ? 私、今、本番中だよね?」
そうですね。
今は、『王家の紋章』が卒業後の最初の作品でよかったと思っています。その後、他の作品をやるときも、だいぶ楽になりました。
今は『ZEROTOPIA』の地方公演が始まっていて。
私が出るのは、もうあと10回しかないんです(編集部註:取材日は6/4)。10回になった今になって、いろんな舞台でWキャストを演じる経験のある役者さんたちに、聞いてみたくなってきました。
ーー??
Wキャストの役者さんたちは、舞台期間中、どういうふうに毎日を過ごしているんだろう?? って。私は、もう大変! すごく。『王家の紋章』のときは、毎日どう過ごしてたんだろう? って、今、思ってます。
Wキャストだと舞台を離れている時間がだいぶあるので、例えば、舞台に立たない日が3日間続くと、「あれ? 私、今、本番中だよね?」って、思っちゃうんです。
だから、Wキャストの経験をもっている役者さんに聞いてみたいんです。
舞台から離れているときは、どうやって毎日を過ごしているんですか? って。Wキャストどころか、トリプルキャストとかクワトロキャストの人は、どうしてるんだろう?
ーー佐江ちゃんが数日間お休みしている間も、他のキャストの方は毎公演、ずっと舞台に立っているわけですからね。
そうですね。今回は、役の「つかみ」の感覚がこれまでと違うというか。何日かお休みして、久々に舞台に立って、「この台詞、今までのなかで一番自然に言えた!」っていう感覚が、いまだに続いています。
『王家の紋章』の再演のとき、大阪公演があったけど、1日お休みがあったときは何をしてたんだろう。たった1年前のことなのに、すごく考えちゃった。
ーー確かに、『王家の紋章』のときには、今、佐江ちゃんが話したような話題はまったく出なかったように思います。
やっぱり…、何というか、プレッシャーがずっと自分のなかにあって、自分自身が重かったというか。再演で、東京公演が終わって大阪へ行ってはじめて、やっと慣れてきたというか。
以前も言ったけど、台本を毎回読まなくても大丈夫になったとか。東京公演のときは、帝国劇場に立つこと、歌うこと、観客の皆さんの評価…すごくプレッシャーに感じていて。
毎公演、幕が上がる前に絶対、ひとりで台本を全部読み直してステージに立たなきゃ怖かったんです。だけど大阪公演が始まって、やっと怖さがなくなって。台本を読み直さずに舞台に臨んでみようという思いが出てきたり。(第24回)
清々しい気持ちで作品に臨めていました。
ーーやはり、あれから経験をかさねて佐江ちゃんが成長したから、「毎日をどう過ごすんだろう」って気になるようになったのでは? 前もそう感じていたかもしれないけれど、その他の課題があり過ぎて、意識がそこにいかなかったとか。
「オンとオフ」の差
それもあったかも。
ーー今は、新しいところに課題を感じているのかもしれませんね。
そうですね。ありのままの自分でいられる作品と、役づくりを考えて芝居をする作品と。役柄の違いもあるのかもしれません。自分のなかで、「オンとオフ」の差が、今回はすごく激しいんです。
ーー確かに、役柄の違いもあるのかもしれませんね。
そうだと思います。今、お話していて気づきました!
普段のお仕事でも「オンとオフ」の差は激しくないほうなんです。だけど、今回のサンディーは、日常では出てこないものをもっている役柄だから。その差もきっとあるんだろうな。今、しゃべっていてそう感じました。
どっちが、いいとか悪いとかではなくて。今、そんな経験もさせていただいてます。
ーー『ZEROTOPIA』のサンディー役は、『ピーターパン』で演じたタイガー・リリーと通じるところがありますね。
いい「気」をもらった
そうですね。確かに『ピーターパン』のときにもった感情と似てる。『ピーターパン』は固定された芝居をどうやるか、毎日必死だったから。(第26回)
(再び、連載一覧に目を走らせている佐江ちゃん)
でも、『王家の紋章』のときの私は、あの後、『ピーターパン』、『TOKYO TRIBE』、『朝陽の中で微笑んで』、『ZEROTOPIA』の舞台に立つことなんて、まったく予想もしてなかったな。。
『ピーターパン』の出演が決まったのが、2016年の年末だった(第17回)。歴史ある作品で、出演させていただいたのは、リニューアル第1回目の作品でした。今年の『ピーターパン』も、主演は去年と同様、吉柳咲良ちゃん。
昔からずっと長く続いている作品で、自分も観ていた作品に出演できて、出演した後も、同じ作品を観られるというのは、『ピーターパン』だからこそできる初めての経験です。
ーー自分が立っていない舞台を観る点では、Wキャストとはまた違う感覚ですね。
違いますね。だから、今年の『ピーターパン』を観るのが今からすごく楽しみです。役者さんも、去年とは違う方が出ているので、それも楽しみ。
(連載一覧のタイトルをなつかしそうに読み上げる佐江ちゃん)
ロサンゼルスで起きた大きな変化…。去年は、『ピーターパン』の後に、ロスに行って、セドナにも行ったんだった。(第30回)
セドナに行った後、去年の後半戦はすごく変わった気がする。セドナでもらった「気」、素敵だったなぁ。。
ーーそのいい「気」をもって、『TOKYO TRIBE』のお仕事に入ったわけですね。
全然違ったでしょ??(笑)
そうですね。『TOKYO TRIBE』は、わりと早い段階で決まっていたんです(第21回)。『王家の紋章』初演のときのスタッフさんが、たまたま梅棒さんとも関わっている方だった、というところから始まっているんです。
『王家の紋章』では、ダンスのシーンがなかったので、そのスタッフさんが「佐江ちゃん、本当はダンス踊りたかったよね?」って、言ってくださって。
「ダンスのある作品があるんだけど」って言われて、いつかお仕事できたらいいな、と思っていたんです。そうしたら、『TOKYO TRIBE』で実現して。でも、初めに『TOKYO TRIBE』のお話を聞いたときは、
「え?? ラッパーと? ストリートダンスと? 台詞がない? は? え?? どういうこと?」
みたいな感じだったんです(笑)。ダンスシーンがすごくある作品だと聞いたので、「ファンのためにがんばらなきゃ」となって。
ーー『TOKYO TRIBE』は、佐江ちゃんのテンションが、お仕事に入る前と後とで、だいぶ変わったのをすごく感じた作品でした。
全然違ったでしょ??(笑)。ここ2年半近くで、一番楽しかったお仕事は『TOKYO TRIBE』でした! というよりも、自分自身びっくりしたんです。
だって、180度? いや、360度?? いや180度だ。作品に入ったときの気持ちと、入った後の気持ちが、本当に違うんだもん。お仕事に入る前は「ファンのために出演します」って、言ってたけど、入った後は自分が一番楽しんでた!
ダンスも、最初は「久々に踊っている姿をファンに見せたい」って、言ってたけど、ふたを開けてみたら、私はあんまりダンスシーンはなかった(笑)
ーー(笑)。「楽しい」っていうワードが、一番出ていた時期だったと思います。
やっぱり「刺激があってこその自分」なんだと思った作品でした。
インプット>アウトプット
私って、刺激のインプット、アウトプットの、「イン」はよくできるんです。だけど、「アウト」の方は、相手が刺激を受けてるって感じられないと、「アウト」できてるって思えないんです。
それまでいろんな方と共演させていただいて、自分は刺激をいっぱいインプットさせていただいて。
だけど、舞台で共演する方々は、すごい方たちばかりで。その方たちの中で、私がやっていることに対して、「刺激をもらっている」という人がいるのかいないのか。アウトプットできているのかどうかが、わからなかったんです。
それを『TOKYO TRIBE』では、インプットもアウトプットも両方感じることができて、すごく嬉しかったんです。
これまでに何度も言ってるけど、共演した皆のなかでは、私に「お芝居」の経験がたまたまあったから、皆に先輩風を吹かせてお芝居を教えて。その一方で、自分が知らない音楽の世界や、ダンスの世界を語れる人たちがいて。
いろんなプロたちがいて、本当におもしろかった。(第32回)
あと、芸能のお仕事をしている人だと、お仕事以外で会うときも、どうしてもお芝居の話になりがちなんです。だけど『TOKYO TRIBE』では、お芝居の話をせずに遊べる友だちができました。
本当に、普通に食事をしたり、お酒を飲んだりできる友達関係が続いているのは、『TOKYO TRIBE』だけかも。
こうして見ると、去年は、よくやった1年だったな。あ! あっという間に、2017年の後半まで振り返っちゃった!
2017年のお仕事だけを見たら、「宮澤佐江は舞台女優になりたいんだね」って、誰もが思いますよね。
スケジュールが合わずに出演できなかったテレビドラマのお仕事もいくつかあって、残念ながらご縁がなかった作品もあるんです。
「自信をもつこと」が大事
でも、今考えると、出会わなきゃいけない人には、ちゃんと出会っているなぁって思うんです。「ミラチャイ」の連載を読み返しても、なにげなく言っていることがちゃんと叶っているし。
例えば、普段の生活でも「犬っていいな」と話していたのが、今はちゃんと家族の一員になっていたり。そういう意味で、言っていたことって、叶ってるなと思います。
ーー佐江ちゃんは、言うことによって叶えたいことを引き寄せるのか、叶いそうな予感があって言っているのか、どちらですか?
やっぱり「言わなきゃダメだ」って、信用している占い師さんは言ってました。「運がない」と思えば思うほど、ダメなことしか起きないので、「自信をもつこと」が大事なんだそうです。
このお仕事を始めてから、「自分、ツイてる! 風が吹いてる」って思ったことが、一度もないんです。もし、その風に乗れば、いい具合に乗っていけそうなんですが(笑)。まだその風が吹いてないからなぁ。むずかしいぜっ!!
ーー(笑)。むずかしいものですね。でも、まずは佐江ちゃんのように「叶えたいことを言葉にしてみる」「運がないと言わずに自信をもつ」ところからやってみようかなと思いました!
はい(笑)
ーーではでは、最後になりましたが、今回もたくさんのお話、ありがとうございました。この続きはまた、次回の「ミラチャイ」連載でといたしましょうか。
はい、ありがとうございました! あっという間に2017年を振り返りましたが、まだまだ次回も、連載リニューアル後の2年間をお話していきます。皆さん、次の「ミラチャイ」も、どうぞお楽しみに!
撮影:山田大輔 スタイリング: 藤井エヴィ ヘア&メイク:伊藤遥香
次回の更新は、6/22(金)予定です。

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