志麻「またやりたいと思ったし、やれ
ると思った」 大きな成長が絶対的な
自信となったワンマンをレポート

志麻ワンマンライブ『First Order』<昼の部>

2018.5.4 新宿ReNY
浦島坂田船のメンバーとして活動している志麻が、4月28日に1stソロアルバム『First Order』をリリース。それにあわせて、5月4日に新宿ReNYにて二部制のワンマンライブを行なった。今回レポートに入ったのは昼の部なのだが、両公演ともにチケットが即日完売したこともあり、フロアは超満員状態。志麻のイメージカラーである紫色のサイリウムを手にした“志麻リス”(志麻ファンの総称)が開演を待ちわびていたのだが、突如、スクリーンに映像が流れ始めた。するとそこには、キャップ、サングラス、マスクで顔を完全に隠した男性のアップが……! 映像の内容としては、サバイバル系海外ドラマを彷彿とさせる一風変わった物販紹介だったのだが、そんな細かなサービス精神からも、来てくれた人たちをとにかく楽しませたいという志麻の気持ちが伝わってくる。フロアからは何度も大きな笑い声があがっていた。
志麻  撮影=小松陽祐(ODD JOB)
映像が終わってほどなくすると、場内は暗転。バックバンドを務めるSum(Gt.)、たいちょう(Gt.)、YSK(Ba.)、noza(Key.)、横山惠士(Dr.)が登場した後、くるりととターンしながら志麻がステージに姿を現すと、大歓声があがった。そして、ライブは『First Order』に収録されている「コノ手ニ」からスタート。アップテンポなロックナンバーで勢いをつけると、そのまま「ヒバナ」へ。まだ2曲目だというのに、会場の興奮が一気にピークまで突きあがる。
MCでは、「緊張で口の中がパッサパサなんですけど!」と叫んでいた志麻だったが、そう感じさせないほどに堂々としたパフォーマンスを繰り広げていた。「ロストワンの号哭」ではオーディエンスのシンガロングを巻き起こし、「twitter」では疾走するセンチメンタルなバンドサウンドを、切なげな声で曲を彩っていく。なかでも、マイクスタンドを握りしめながら歌い上げた「recoup」は、途中で少し感極まってしまうほど情感たっぷりに、自身の歌声を届けていた。

志麻  撮影=小松陽祐(ODD JOB)

他にも、アコースティックギターの心地よい音色と共に繰り広げられた「ドナーソング」や、椅子に腰をかけ、キーボードと2人で披露された「Mermaid piano arrangement ver」で感動的なミディアムを届ければ、ライブ中盤では志麻の特技である“声マネ”をフィーチャーした映像を放映。メンバー紹介では、Sumのギターを志麻がストロークすると、その音に反応したバンドメンバーが自然とセッションを始め、それにあわせて志麻が即興で歌うという場面もあり、彼の様々な魅力が存分に堪能できるライブになっていた。また、MCではオーディエンスとコミュニケーションを何度も取っていたのだが、「お前、すごいブサイクだな(笑)」といった、やや強めな言葉によるイジりにも歓声が沸く。
後半戦は再びギアをあげ、オリジナル曲の「千日紅」や、「東京テディベア」「曇天」といったカバー曲など、アップナンバーを立て続けに繰り出していき、あっという間に本編ラストナンバーに。「一番輝いている星があるその陰で、小さく輝いている星を見つけてくれてありがとう」と、自身の思いを込めた「ニバンボシ」で締め括った。
志麻  撮影=小松陽祐(ODD JOB)
「敗北の少年」で始まったアンコールでは、「ちょっと僕のこと話しましょうか」と、これまでのことについて振り返る志麻。
志麻「初めてワンマンライブをしたのは今から5年前だったんですけど、ぶっちゃけると、100人もお客さんが来なかったです。俺、当時自分のこと最強やと思ってたけど(笑)、まあ、不完全燃焼というか、そこからワンマンって怖いなと思いまして。アルバムも初めて出したけど、これも怖くてね。売れるかなっていう心配もあったんですけど、おかげさまでネット通販分は全部なくなってしまったみたいで、みんなすごいなと思ったんですけど。こんな大勢の人たちに応援されるとは、まさか思ってなかったです。とりあえず、今僕ができる精一杯の力でこの会場を埋めることができて、まだもうちょっといけるんじゃないかなっていう自信にもなりました」
そんな心の内をしっかりとリスナーに伝えた後、「みんなもいろんな思いがあって、他にも応援している好きな人がいると思いますけど、僕のことを一番と思っている人も、そうじゃない人も、愛してもいいかい?」と披露したのは、もちろんオリジナル曲の「愛してもいいかい?」だ。
志麻  撮影=小松陽祐(ODD JOB)
この日のMCで、「愛してもいいかい?」の作詞作曲を手掛けたバンドメンバーのSumに、志麻がこの曲はどういう思いで作った尋ねる場面があった。Sumいわく「志麻さんは普段素直になれない人で、志麻リスさんに“ブサイク”とか強く当たっているけど、本当はみんなのこと好きなんだろうなと思って」とのこと。そんな志麻の思いを代弁したこの曲で、約2時間に及ぶステージは幕を下ろしたのだった。
この日のライブで「またやりたいと思ったし、やれると思った」とMCで話していた志麻。浦島坂田船としては、今夏に日本武道館2デイズを組み込んだワンマンツアーを開催することになっているが、その発言であり、全曲終了後も名残惜しそうに客席とコミュニケーションを取っていたその姿を見るに、再びソロでステージに立つことを期待してもよさそうだ。とはいえ、まだそういった告知などはされていないので、それはあくまでも憶測の話。しかし、志麻がこの日、ひとつの大きな“自信”を積み上げることできたのは、彼にとって大きな出来事であり、まぎれもない事実だと思う。このライブを糧に、彼はさらなる成長を遂げてくれるはずだ。

文=山口哲生 撮影=小松陽祐(ODD JOB)
志麻  撮影=小松陽祐(ODD JOB)

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