パトリック・シュワルツェネッガー

パトリック・シュワルツェネッガー

【インタビュー】『ミッドナイト・サ
ン ~タイヨウのうた~』パトリック
・シュワルツェネッガー「父は僕の師
。この作品をきっかけに、いろいろな
顔を持つ俳優になりたい」

 世界的大スター、アーノルド・シュワルツェネッガーの息子パトリック・シュワルツェネッガーの初主演映画『ミッドナイト・サン ~タイヨウのうた~』が、5月11日から全国公開される。本作は、難病で日に当たることができない少女と、彼女を支える少年のみずみずしい恋の行方をつづった日本映画『タイヨウのうた』(06)をハリウッドでリメークしたラブストーリー。記念すべき初主演作の舞台裏や、偉大な父に対する思いなどを聞いた。
-オーディションを勝ち抜いて初主演が決まったそうですが、そのときのお気持ちは?
 やっぱり興奮しました。それと同時に、オーディションを勝ち抜いた自分のことを誇りに思い、先が楽しみになりました。
-オーディションを勝ち抜く秘訣(ひけつ)は?
 一番大事なのは、「役に成り切る」という強い気持ち。しっかり準備をして、オーディションの瞬間にベストな自分を出す。それに尽きます。ただ、自分ではどうにもならないこともあります。ルックスが役のイメージに合わない、他の俳優との相性が良くない、などです。とはいえ、オーディションを受ける人はたくさんいるので、その中で自分が役に最適と思われるかどうかは、やっぱり努力次第です。
-演じたチャーリーというキャラクターの魅力は?
 恋人のケイティが難病を患っていることを知った後でも、愛し続けてより絆を深め、彼女の人生を充実させるために自分を捧げる。自己中心的な人とは対極です。僕もそういうふうに、自分よりも他人のことを優先できる人になりたいです。
-撮影中、最も大変だったことは?
 クライマックスの撮影です。感情に訴える場面なので、どうやって気持ちを作ればいいのか、とても悩みました。初主演ということで、プレッシャーも大きかったですし。ただ、ケイティを演じたベラ・ソーンが、僕が集中できるようにサポートしてくれました。経験豊富な彼女には、カメラが回っていないときも含めて、とても助けられました。
-ベラ・ソーンさんとはもともと知り合いだったそうですね。
 そうです。とはいえ、友人として一緒にいるときと、仕事で現場にいるときとでは、印象はかなり違います。現場の彼女は、まさにプロフェッショナル。その姿を見て、改めて尊敬しました。
-チャーリーは水泳選手なので、役作りのために水泳も練習されたとか。
 水泳選手らしい体形を作る必要があったので、週4回ほどプールで特訓をしました。水泳はもちろん、ハイキングやサイクリング、ウエートリフティングなど、体を動かすことは何でも好きなので、楽しくできました。
-そういうお話を伺うと、お父さんのようにアクション映画にも挑戦してほしい気がします。
 ぜひチャレンジしたいです(笑)。ただ、出たい作品や、演じたい役はたくさんあるので、ジャンルを決めるのではなく、もっと幅の広い俳優になりたいです。
-話を戻します。スコット・スピアー監督は、この映画を『ムーラン・ルージュ』(01)や『ロミオ&ジュリエット』(96)、『シェルブールの雨傘』(64)のような王道のラブストーリーにしたかったと語っています。監督からそういう話はありましたか。
 僕が参加したときには、映画をどんな構成でどんな雰囲気にするかということは既に決まっていました。監督のビジョンが明確だったので、僕はそこに乗っかった感じです。だから、その辺りは監督やスタッフの力によるところが大きいです。ただ、監督のアイデアで『草原の輝き』(61)や『波止場』(54)といった作品を、キャストのみんなで一緒に見ました。
-撮影の中で最も印象に残ったことは?
 ケイティの父親を演じたロブ・リグルとの共演です。彼はアメリカでは不動の地位を築いているコメディースター。共演できたことは忘れられない思い出です。
-この映画は日本映画のリメーク作品ですが、オリジナル版を見て、どんなことを感じましたか。
 日本でヒットした映画のリメーク作品で来日できたことは、とてもうれしいです。とはいえ、僕は違うバージョンだと考えています。日本とアメリカでは高校生の日常もだいぶ違いますし、原作に登場したヒロインの母親がこの作品には不在で、より父親にフォーカスした内容になっています。日本の映画を見て、アメリカ版の脚本を読んだら、そういった違いが面白く、がぜんやる気になりました。
-この映画をきっかけに注目を集めると思いますが、今後はどんな俳優を目指していますか。
 いろいろな顔を持つ俳優になりたいです。この作品はラブストーリーですが、その前に演じたのは、イラクの戦場を舞台にしたテレビ作品でアメリカ兵の役。この映画とは真逆です。だから、また全然違う作品で来日できたらいいですね。
-父親が大スターということで、プレッシャーを感じることはありませんか。
 この苗字は目を引くので、良し悪しですね。ただ、損なことばかりとは限りません。僕は父の子として生まれたおかげで、この上なくいい人生を送れています。父は僕の師。いろいろなアドバイスもくれますし、たくさんのことを学びました。プレッシャーが大きいと考える方が多いようですが、僕は父と同じ道を歩むつもりはありません。ボディビルダーとしてアクションスターになるわけではありませんから。結局は自分が満足できるかどうか。好きなことを追求し、自分が楽しめればいい。それが僕の考えです。
(取材・文/井上健一)

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