【インタビュー】首振りDolls、昭和
歌謡からメタルまで様々な要素を採り
入れた超個性的メジャー1stアルバム
『真夜中の徘徊者~ミッドナイトラン
ブラー』

首振りDollsは、めんたいロックの聖地、北九州市小倉で2012年に産声をあげたスリーピースのロックバンド。4月25日に発売される彼らのメジャー1stアルバム『真夜中の徘徊者~ミッドナイトランブラー』は、R&Rやハードロック、昭和歌謡、メタルといった様々な音楽的要素を採り入れた個性的な音楽性や、文学的且つシネマライクな歌詞などが溶け合って独自かつ魅力的な世界観を創りあげていることが印象的だ。退廃的なイメージのヴィジュアルも含めて、首振りDollsは興味を寄せずにいられない存在といえる。ミステリアスな彼らのリアルな姿に迫るべく、全員インタビューを行った。
■三人でアレンジして三人で形にすると

■どんな曲でも首振りDollsになる
――首振りDollsは、どんな風に結成されたのでしょう?
nao:元々は私とJohnが一緒にバンドをやっていて、Johnny Diamondが前にやっていたバンドと小倉で対バンする機会があったんです。私からするとJohnnyは年上だし、最初に挨拶した時に無視されたんですよ。それで、“感じ悪っ”と思って(笑)。
Johnny Diamond (以下、Johnny):いや、無視はしていない。たぶん、気づかなかったんだよ。
nao:……どうなんでしょうね(笑)。嫌なヤツだなと思っていたら打ち上げの時に電話番号を聞かれて、数日後に連絡がきて、今居酒屋で飲んでるから来てよと言われたんです。それで、シメられるんだと思って、仕方なく行ったら「nao君、カッコいいね」みたいな話で(笑)。その時はJohnnyのバンドのもう一人のギターの人もいて、一緒にバンドをやらないかと誘われたんです。当時は私とJohnのバンドも終わりかかっていたから、新しいバンドができるなら良いかなと思って、やると言ったんですよ。そうしたら、その場でスタジオに入ろうということになって。
Johnny:そう。バンドをやらないかと誘ったら、二つ返事で「良いですよ」みたいな感じだったから盛り上がってしまって(笑)。
nao:ただ、スタジオに入るにしてもベースがいない。そうしたら、Johnnyが「お前のバンドのベース、良いじゃん。あいつ連れてこいよ」と言って。来ないだろうなと思いつつJohnに電話したら、たまたまJohnがすぐ近くのドンキホーテにいたんですよ。それで、四人でスタジオに入って、このメンバーでバンドをやろうということになった。その後、もう一人のギターが脱退してトリオ編成になって、2012年から首振りDollsとして活動を始めました。
――出会うべくして出会った三人という気がします。首振りDollsは強い個性を持っていますが、結成した当初から目指すバンド像は見えていたのでしょうか?
nao:Johnnyの中にはあったみたいですけど、今の方向性とは違っていましたね。私が誘われた段階では、忌野清志郎さんみたいにR&Rをベースにしつつポップでロックなものをやろうみたいな話でした。
Johnny:俺が前にやっていたのがパンクバンドだったんですよ。新しいバンドでは、日本語のちゃんとしたロックをやりたいというのがあったんです。その頃は、村八分とかにハマっていたので。
nao:最初はJohnnyが歌っていたけど、私が歌うようになって変わっていったんです。私が自分のやりたいものを持ち込んだことで、音楽性が広がっていった。今は私が好きなものとJohnnyのカラーを活かしたものの両方をやっています。
――いろいろな要素が混ざり合っていることも首振りDollsの魅力になっています。それぞれの音楽的な背景なども話していただけますか。
John:僕は楽器を始めたのが19才の時でした。ちょっと遅かったんですよね。子供の頃からずっと野球をやっていて、野球一筋の人生だったんです。高校でも野球部に入っていたけど、2年生の時に一個上の先輩が好き過ぎて、先輩が引退するタイミングで僕も引退してしまって。帰宅部になったらやることがなくて、当時気になっていたJanne Da ArcのCDを買ったんです。すごく良いなと思って、そこからロックやバンドを聴くようになりました。高校を卒業した後は浪人して予備校に通うことになるんですけど、そこに中学生時代の友達がいて、ギターを弾くようになっていたんですよ。それで、自分もギターをやりたいと思っているんだという話をしたら、「俺がギターをやっているから、お前はベースをやれよ。そうしたら、スタジオに入れるから」と言われて。それで、ベースをやることにしました。大学に入ってからいろんなバンドのコピーをするようになって、そこで一番良いなと思ったのがMr.BIGでした。何度もライブに行ったし、一番好きなベーシストもビリー・シーンです。僕は派手なベースを弾くのが好きで、それはビリー・シーンの影響といえますね。
Johnny:俺は親父がビートルズとかストーンズが大好きな人で、洋楽が身近なところにある環境で育ったんです。それで、中学の頃にハードロックが好きになって、キッスとかAC/DCエアロスミス辺りを聴くようになって。そういう音楽が好きだと、友達は少なくなりますよね(笑)。唯一話が会うヤツがいて、そいつとハードロックのマニアックな音楽を探したりしている中で、バンドをやりたいねという話になって。そうしたら、ある日その友達が浜でギターを拾ったんですよ。同じ日に、俺もベースを拾ったんです(笑)。“これで、バンドやろうよ”という話になって、俺はどうしてもエアロスミスがやりたくて、エアロスミスのスコアを買ったんですよ。でも、エアロスミスの「Dream On」だったかな、イントロだけで12ページくらいあって、長いし、全然わからんし、“なんだこれ?”みたいになって速攻で挫折して。そうしたら、ギターを拾った友達が、河原でラモーンズのスコアを拾ったんです(笑)。ラモーンズのスコアを見たら「電撃バップ」とかは6ページで終わっていて、“これや!”みたいな(笑)。そこでパンクに目覚めて、ずっとパンクバンドをやっていました。最初はベースだったけど、そのうちギターに替わったんです。でも、なんで替わったかは覚えていない(笑)。
nao:私は家でよくザ・スターリンさんやサンハウスさん、ザ・ルースターズさんが流れていたんです。両親共にめんたいロックとか、パンクバンドとかが好きだったので。そうかと思うとユーミンさんとか歌謡曲も流れていて、家で耳にしていた音楽が自分のルーツになっていますね。今にして思うと、めんたいロックはルーツを大事にしている音楽だけど、東京のパンクとかはそういうものをぶち壊してできた音楽ですよね。ルーツと、それを否定した音楽の両方を聴いて育ったのは、すごく良いことだったんじゃないかなと思います。
――同感です。いろんな楽器がある中で、ドラムを選んだ理由は?
nao:親父がドラムをやっていて、私が保育園児くらいの時から「これ、できる?」といって8ビートのパターンとかをやらされていたんです。私が中学に入った頃に突然スタジオに連れていかれて、教えたことを本物のドラムでやってみろと言われて。やってみたら、最初から叩けたんですよ。そうしたら親父がセックス・ピストルズの曲を爆音で流して、私はその中でとりあえず叩くという(笑)。それから本格的にドラムをやるようになりました。歌は、元々はコーラスをやるのが好きだったんです。歌が上手い人に、きれいにハモるのがすごく気持ち良くて。でも、いかんせんJohnnyがあまり歌が上手くなかったので、歌うようになりました(笑)。
――その時に、ボーカルに専念するためにドラムを入れようとは思いませんでしたか?
nao:なんか、ドラム&ボーカルが、お客さんにウケてしまって。それで、これだろうということに、なりました。
――良い選択だったと思います。首振りDollsはヴィジュアル系に通じる匂いもありますが、三人とも通っていないんですね?
nao:通っていないです。大人になってから、黒夢さん好きになりました。
Johnny:俺も通っていない。グラムロックはすごく好きでしたけど。ニューヨーク・ドールズとか。
nao:ヴィジュアル系っぽいということは、たまに言われることがあるんですよ。1990年代頭くらいの危ないヴィジュアル系の匂いがあると。でも、全く意識したことはなくて、自分達が好きなようにやっていることが、自然発生的にヴィジュアル系と共通した部分があるみたいでそれも面白いなと思っています。
――では、1stアルバム『真夜中の徘徊者~ミッドナイトランブラー~』の話をしましょう。作るにあたって構想などはありましたか?
nao:今回は、今までと違うことをしてやろうと思って曲作りを始めました。なので、いろいろなことにチャレンジしたアルバムという印象です。私が作って、三人でアレンジして三人で形にすると、どんな曲でも首振りDollsになることが今回のレコーディングで分かって、自分達でもそれは凄いことだなと思いましたね。曲を作っていく中でキーになった曲をあげるとしたら……今回バンドで最初にアレンジを始めたのは「境界線」という曲だったけど、その前から「浮氣夜」の構想があったんですよ。あの曲はメロディーが浮かんだ時から、これはいけるやろうという手応えがあった。それに、録ってみて良いものになったのは「切花」です。
――3曲ともに昭和歌謡っぽさやレトロ感のある曲で、それが首振りDollsにすごく合うなと思いました。
nao:昭和歌謡っぽいメロディーは、私がかなり好きですね。山口百恵さんの曲はすごく良い。そういうニュアンスを自分の中に取り込みたくて、ずっと聴いていた時期があったんです。ただ、昭和歌謡っぽいメロディーであれば、どんなものでも良いというわけではない。一歩間違えるとめっちゃダサい感じになってしまうので、そこは本当に気をつけています。
Johnny:「境界線」は、最初はnaoが口でリフを言っていて、それをギターに置き換えるところから入っていったんです。リフがハードロックっぽいイメージだけど、メロディーはnaoらしい昭和チックということで、良い感じになるなと思っていたら、実際そうなりましたね。
John:僕が首振りDollsの音楽を分析していていつも感じるのは、ハードロックのサウンドに乗せた歌謡曲みたいな印象なんですよ。だから、「境界線」も違和感はなかったです。それに、この曲は僕が最初にコードを当てたんですけど、コードがきれいに繋がるからベース・ラインがすごく作りやすかった。そういう意味でも良い曲だと思います。
nao:「浮氣夜」は、ライブハウスに来たことがない層にも受け入れられるような曲が欲しいと思って作り始めました。結局首振りDollsみたいな感じのものになったけど、よくできたんじゃないかなと思います。「切花」に関しては、私にとって一番作りやすかったというか。私が首振りDollsのために一番最初に書いたのが「ニセモノ」という曲で、それと同じ引き出しにあるという感じです。
Johnny:俺も「切花」は、すごく化けたなと思いますね。最初にスタジオで合わせた時と、レコーディングした後の変化が一番激しかったのは「切花」と「浮氣夜」じゃないかな。あと、「煙突の街」もすごく良くなったし。今回は、そういう曲が多かったですね。自分の曲では「イージーライダー」は録るのが2回目なんですけど、こんなにゴージャスになるんやと思いました(笑)。アルバムの1曲目にふさわしい曲になって良かったです。「イージーライダー」は3年くらい前に作った曲で、10分くらいで出来たんですよ(笑)。職場から家に帰る間に、頭の中で出来た。“俺はポール・マッカートニーか?”みたいな(笑)。これ以降そんな風に曲が出来たことはなくて、強く印象に残っています。
John:今回のアルバムがマスターとして上がったのを聴いた時に、一番好きだなと思ったのは「切花」です。あと、アレンジの段階で良いなと思ったのは、「サンドノイズ」。ちょうどその頃は激しい音楽が自分の中でちょっとブームだったこともあって、これはカッコ良くなるだろうと思って。80年代のメタルっぽさがありつつ中近東感も入っていて、面白いものになりましたね。
nao:「サンドノイズ」は、THE SLUT BANKSと一緒にツアーを廻るようになってわかったのは、彼らはドロップDチューニングを使っているんですよね。カッコいいなと思って、ドロップDチューニングにしたギターを部屋で弾きまくっていたら、良い感じのフレーズが出てきたんです。それに、私が好むメロディーを乗せたら、こういう曲になりました。中近東っぽいフレーズはデモの段階では私が歌っていたのを、Johnnyがシタールに置き換えてくれたんです。
■歌詞を書く時は物語を創って登場人物の性別や年齢、性格まで考えます

■今回書いた歌詞は曲ごとにモデルがいることもあってイメージしやすかった
――『真夜中の徘徊者~ミッドナイトランブラー』を聴くと、いろいろな音楽的要素を採り入れて昇華することに長けたバンドだと分かります。Johnnyさんが書かれた「月明かりの街の中で」はR&Rをベースにしたキャッチーな曲で、アルバムの良いフックになっていますね。
Johnny:さっきnaoが首振りDollsのために最初に作ったのが「ニセモノ」だったという話をしましたよね。それで言うと、俺が最初に作ったのは「タイムマシーン」という曲で、「月明かりの街の中で」と同じ系統の曲なんですよ。そういう意味では、自分の最もスタンダードなところがベースになっていますね。1970年代後半の初期パンクのオマージュみたいな曲です。
――こういう曲があることも魅力になっています。首振りDollsは歌詞も面白くて、自身の心情やメッセージを託すのではなく、全曲物語を描いた歌詞になっています。
nao:私もJohnnyも情景を描いて何かを伝えるという歌詞が好きなんです。だから、私が歌詞を書く時は自分の中で物語を創って、登場人物の性別や年齢、性格といった細かいところまで考えます。今回書いた歌詞は曲ごとにモデルがいることもあって、イメージしやすかったですね。
――物語のディテールまで創り込むことでリアルな歌詞になっています。それに、女性目線の歌詞が多いことも含めて、文学的な味わいも特徴といえますね。
nao:私はオタクなので、江戸川乱歩や寺山修司、漫画では丸尾末広とか、つげ義春を始めとした“ガロ系”の作家がすごく好きなんです。それが滲み出ているというのはありますね。
Johnny:俺の歌詞は、自分が好きな世界観とか、カッコいいと思う男性像を描いたものが多いです。「イージーライダー」は、映画の『イージーライダー』の空気を若干出そうと思ったところがあったし。「イージーライダー」は最初にサビのメロディーと“気の向くままに 何処か遠くへ 帰り道なんて はじめからなかったように”という歌詞が同時に出来て、この歌詞は完璧だと思ったんですよ。だから、2番も同じにしたんです。サビが良いから、AメロとBメロはバカな感じでいってもいけるんじゃないかなと思って。だから、歌中の歌詞は殴り書きというか、勢いで書いた感じです。「悪魔と踊れ」は、ちょっと特殊というか。ツアー帰りに車を運転しながら、俺とnaoでキャッキャ言って作ったんですよ。それは今までになかったパターンで、すごく楽しかったです。
nao:あと、私の歌詞に関しては、“デビュー・アルバムで死を歌う”ということをやりたかったんです。荒井由実さんは「ひこうき雲」でデビューして、あの曲は自殺の曲ですよね。それが私の中で衝撃的で、自分もやろうと思ったんです。だから、死にたがっている人のことを描いた歌詞が結構多いですね。それに、“殺せ”とか“死ね”みたいな強い言葉を分かりやすいメロディーに乗せると、すごくインパクトの強いものになるというのがあって。たとえば、山口百恵さんとか中森明菜さんの曲は、歌詞の中に喋り言葉が入ってきます。“バカにしないでよ”とか“イライラするわ”とか。そういう手法が良いなと思って、意識して歌詞を書いている部分もあります。
――それが奏功して、死を題材にして歌詞でいながら、極端に重かったり暗いものにはなっていませんね。
nao:そう。それに、死を歌っている曲が多いけど、実は誰も死んでいないんですよ。“死んでやる”とか“殺してやる”と言ってるだけで、死んではいない。「煙突の街」も“ないはずの今 涙流して”という言葉で終わるんですけど、それは“死のうと思ったけど死ねなくて、今日泣いてしまっている”ということを描いているんです。「切花」も“剥がれる爪構わず逝け 天国へ逃げろ”みたいなことを歌っているけど、最後の“ようこそ 私のもとへ”という言葉は、“この世界にはロックという楽しいものがあるから死ぬことないよ”というメッセージなんです。
――個性的な楽曲に加えて、歌詞も要チェックです。では、続いてプレイや音作りなどについて話しましょう。
John:僕はベース・ラインを付ける時は、歌のメロディーを活かすということを一番重視しています。だから、歌のメロディーが出来上がらないとベースを付けられないんですよ。それに、まずはベース・ラインを口で歌って作るようにしています。楽器を持ってしまうと運指の面とかで制限されてしまうので、口ずさんで作ったメロディーをベースに置き換える。うちはトリオバンドで隙間がいっぱいあって、やりたい放題できるからすごく楽しいですね。たまにやり過ぎてボーカルを邪魔してしまうんですけど(笑)。そういう時は引き算するようにしています。ただ、今作に関してはプロデューサーの戸城(憲夫)さんに、もっと弾けと言われました(笑)。僕はギター・ソロのバックとかはずっとルート弾きをしたいタイプのベーシストなんですけど、そうしたら戸城さんに「つまんねぇよ、お前」と言われて。それじゃあと思って“ガッ!”と弾いたら、OKを貰えました(笑)。今回の中で特に気に入っているのは、「イージーライダー」のサビのフレーズです。この曲のサビは歌が掛け合いになっていて、2回目の掛け合いのところにオブリのフレーズを入れたいなと思って。なかなか良いフレーズが弾けたんじゃないかなと思います。あと、「煙突の街」の2番はベースが和音を鳴らしているんですよね。そういうところも、ベーシストの人に聴いてもらえると嬉しいです。
――アルバムを通してカッコいいベース・フレーズが満載で楽しめます。「浮氣世」のスラップや「ロックンロール」のイントロのベース・ソロなども聴きどころですし。
John:首振りDollsでスラップをしたのは、「浮氣夜」が初めてじゃないかな。僕は指弾きもピック弾きもするんですけど、スラップは苦手なんですよ。でも、この曲のAメロを聴いた時に、これはスラップするしかないだろうと思って入れ込みました。「ロックンロール」のソロはEのペンタトニックを弾きまくる…みたいな(笑)。僕は1コードのフレーズを考えるのが苦手なので、最初は全然弾けなかったんですよ。でも、ライブを重ねるごとに弾けるようになっていきました。
Johnny:ギターはSGとテレキャスターを使い分けようというのが、あらかじめ自分の中にあって。あと、スタッフがストラトを持ってきてくれたんですよ。その3本を曲調とか、弾くフレーズに合わせて使い分けて、さらにそれぞれの音作りも丁寧にしました。あとは、バッキングをダビングする時に、なるべく同じことはしないようにしたというのもありますね。何曲かは同じフレーズを弾いていたけど、戸城さんに違うことをやっちゃえよと言われて、全体的にステレオ感を活かしたアプローチになっています。だから、細かく聴くと、結構面白いと思う。個人的には「浮氣夜」が好きですね。後半の(ローリング・)ストーンズっぽくなっているところが気に入っています。
――一見ストレートなようで、実は丁寧に構築されていますよね。それに、エフェクターを効果的に使っていることもポイントです。
Johnny:エフェクターは結構多用しましたね。「wanted baby」や「夜の衝動」のギター・ソロにモジュレーション・エフェクトを掛けたり、「境界線」はタッチワウを使ったり、「切花」ではトーキング・モジュレーターを使ったし。ファズもビッグマフとオクターブ・ファズを使い分けたんです。「wanted baby」と「サンドノイズ」は、絶対にビッグマフやろうと思って。あと、エフェクターではないけど、さっき話が出た「サンドノイズ」ではシタールも使った。今回のレコーディングで初めて使ったものも多かったですね。元々は、ギターは“アンプ直”が一番良いと思うタイプだったけど、ちょっとずつ知識が深まってエフェクターも使ってみたくなって、最近は積極的に使っています。今回のレコーディングはいろいろ試せて、楽しかったです。
――サウンド面でも良い味付けをされています。あと、「境界線」や「悪魔と踊れ」のギター・ソロでは“ワウ止め”もされていますね。
Johnny:よく分かりますね(笑)。ワウを途中で止めた状態で弾くと、すごく良い感じの音になることをレコーディング中に発見したんです。それで、みんなで一番良い音がするポイントを見つけて、「ここや! 今弾け!」みたいな(笑)。ちょっとでもペダルが動くと音が変わってしまうので大変だった(笑)。でも、一番好きな音が出るポイントを見つけられたのは、大きな収穫でした。
nao:ドラムに関しては、自分ができることしかできないけど、その感じが好きなんです。手数とかもそんなに多くないし、カチッとしたドラムを叩くわけでもないけど、私のドラムはロックンロールだと思っているから。それに、レコーディングする時はいつも以上に“めんたいロック感”を意識するというのがあって。あえて手首を固めて、アップ・ダウンせずにハイハットを刻んだりするんですよ。それは、今回も変わらなかったです。歌は曲によってキャラクターを変えないといけない……男になったり、女になったりしないといけないし、1曲の中で両方になる曲とかもあるので、その辺の歌い分けを結構考えながら録っていきました。歌録りで印象に残っているのは、「夜の衝動」ですね。この曲を最初に私がツルッと歌ったら、エンジニアさんに「メチャメチャ嫌なことを思い出して、落ち込んで」と言われて。「わかりました」と言って、落ち込んでもう1回歌ったら、途中で止められて「ちょっと部屋の電気消してみようか」と言われて。真っ暗な中で歌うことになったので、自分の声の返しをすごく大きくしてもらって、息遣いとかも伝わるように歌ったんです。そういう風にして録ったのは初めてだったので、メッチャ楽しかったです。
Johnny:気持ちは落ち込んでいるのに?(笑)
nao:うん(笑)。こんな風に歌うのも“あり”だということに気づいて、良い勉強になりました。良い意味での気持ち悪さを出せたかなと思います。
――たしかに「夜の衝動」の歌は、いろいろなものが滲み出ている感じの歌になっています。歌に関してはパワフル&セクシーなスタイルを基本としつつ、女性らしい表現の上手さに圧倒されました。
nao:私は、実は常日頃からオネエ言葉を使うようにしているんです。別に男が好きなわけではないけど、オネエ言葉は便利だなと感じたことがあって。なにか注意したりする時にオネエ言葉だと“ズバッ”と言っても角が立たないんですよね。それに、私は子供の頃から女の子に間違えられがちだったんです。今はガサガサの声になったけど、高校生の時は女の子に間違えられるくらい声も高かったし(笑)。そういうところで、自然と女性っぽさみたいなところは身についているのかなと思って。だから、野蛮な感じに歌うのも、女性らしく歌うのも、どっちも得意です。
――シンガーとしてのスキルの高さを感じます。『真夜中の徘徊者~ミッドナイトランブラー』は、首振りDollsの魅力や奥深さが味わえる一作になりましたね。それに、本作を携えて5月に行うツアーも楽しみです。
John:首振りDollsのライブの特徴として、目でも楽しめるというのがあって。三人ともステージングが派手なんですよ。そこも含めて自分達の魅力を一番伝えられるのはライブだと思っているので、CDを聴いて良いなと思っていただけたら、ぜひライブを観て欲しいです。特に、フラストレーションが溜まっていて“スカッ!”と発散したいという人にはお薦めです(笑)。
Johnny:ライブは首振りDollsのエンターテイメントの最高峰だと思っています。いろんな形で表現できるのがライブだと思っているし、それを楽しんでもらえる自信もある。なので、少しでも首振りDollsに興味を持った人は、ぜひライブに来て欲しいです。
nao:バンドマンは、夢見てナンボだと思うんですよ。今の私達はこのタイミングだからこそ出せる“夢見てる感”みたいなものがきっとあって、同じ夢をライブ会場でお客さんと共有できるというのは本当に素敵なことだと思う。今この瞬間の首振りDollsを見てもらうことにすごく意味があるので、今度のツアーで私達が近くに行ったらぜひ遊びに来て欲しいです。
取材・文●村上孝之
リリース情報


『真夜中の徘徊者~ミッドナイトランブラー』

2018.4.25 in stores

定価:\2,315+tax/CD:KICS-3699

1.イージーライダー

2.境界線

3.wanted baby

4.切花

5.浮氣夜

6.夜の衝動

7.煙突の街

8.月明かりの街の中で

9.悪魔と踊れ

10.サンドノイズ

11.ロックンロール

12.月のおまじない
ライブ・イベント情報


メジャー1stアルバム「真夜中の徘徊者~ミッドナイトランブラー」

リリースワンマンツアー2018 「MIDNIGHT COLORS ~真夜中の極彩夢~」

2018年05月13日(日) 東京 代々木 LIVE labo YOYOGI

2018年05月18日(金) 京都 磔磔

2018年05月20日(日) 愛知 名古屋 CLUB ROCK'N'ROLL

2018年05月26日(土) 福岡 Kieth Flack

2018年05月27日(日) 小倉 LIVE SPOT WOW!
Leetspeak monsters 2nd Mini Album『Mixtured night between Life and Death』発売記念主催TOUR Mixtured night Tour~混ざり合う夜~」

4/26(木)福岡 DRUM SON Bigtwin Diner SHOVEL

出演:Leetspeak monsters / Hysteria / チャイルドプレイ
2018年05月01日(火) 名古屋 得三

出演:騒音警察(頭脳警察×騒音寺
「騒祭2018」

5/03(木)京都磔磔

出演:騒音警察(頭脳警察×騒音寺) / KiNGONS
<十一代目梅雨将軍2man series「鬼の将軍地獄」>

2018年06月01日(土) 東京 池袋 LiveGarage Adm

出演:スキッツォイドマン/純情マゼラン(Opening Act)
<怪帰大作戦~第6怪『帝都奇譚』>

2018年06月02日(土) 東京 キネマ倶楽部

出演:ストロベリーソングオーケストラ/MERRY/R指定
<RISE ABOVE Vol.6>

2018年06月04日(月) 福岡 Queblick

出演:The Folkees/NOWEATHERアルコサイト/BAN'S ENCOUNTER
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