あいみょん『TELEPHONE LOBSTER』愛
と性のエビ
Text_Sotaro Yamada
Photography_Torii Yosuke
性と不安と愛というテーマ
この日、あいみょんが1曲目に演奏したのは『ふたりの世界』。この曲が性と不安を歌っているように(「まだ眠たくないのセックス」「自己中心的に進む恋愛とこの先の不安」といった歌詞を参照)、ダリの『ロブスターテレフォン』とあいみょんの楽曲テーマには近しさがある。
ダリとあいみょんが描く性と不安が、相手に対する深い愛情の反映であることも共通している。ダリは妻のガラを偏執的なまでに愛していた。「わたしはガラなしではダリになれない」という言葉も残している。
そうしたことを考えると、本ツアー『AIMYON TOUR 2018 -TELEPHONE LOBSTER-』の裏テーマは性と不安、それらを導き出す「愛」なのではないかという気がしてくる。
歌詞と音と、歌声の魅力
先に述べた豆知識やテーマなど関係なしに、良い音楽が良い音で演奏されれば、オーディエンスはしぜんと身体を揺らすものだ。フロアを見渡すと、女性が多いように感じられたが、男性もかなりいたし、ヒールにロングスカート姿のあまりライブに来たことがなさそうな人たちも見受けられた。幅広くあいみょんの音楽が浸透し始めていることの証だろう。
中盤ではバンドメンバーが一旦退き、ギターの弾き語りで『生きていたんだよな』と、4月25日に発売される4thシングル『満月の夜なら』のカップリングに収録される『わかってない』が披露された。シンプルな演奏であるからこそ、あいみょんの伸び伸びとした歌声が強調され、あらためて彼女の声の魅力に気付かされる。とくに『わかってない』では、その透明感ある高音が際立っていた。
(余談だが、Radio Bestsellersのメンバーは、あいみょんのほか、クリープハイプの尾崎世界観、sumikaの片岡健太、04 Limited SazabysのGEN、UNISIN SQUARE GARDENの斎藤宏介、そしてスガ シカオの6人。めっちゃ豪華)
ブックオフの常連がブックオフの上でラ
イブする?
これも余談だけれど、あいみょんはツアー中にもよくブックオフに行くほどのヘビーユーザーらしい。以前行ったインタビューによると、自由が丘のブックオフで買った官能小説が、その後のあいみょんに大きな影響を与えたという。性と不安と愛というテーマが、ここでも繋がる。
その後、今回のツアーのためにつくった新曲『夢追いベンガル』や、『風のささやき』『君はロックを聴かない』などを演奏し、大きな拍手と声援に包まれて本編は終了。
アンコールでは4thシングルとなる『満月の夜なら』を披露。『貴方解剖純愛歌〜死ね〜』とは違う角度からの甘いポップなラブソングは、あいみょんの名をさらに世間に広めることになるだろう。「新曲どうですか?」というあいみょんの呼びかけに、フロアからは「最高ー!」という声があがった。最後は『どうせ死ぬなら』で駆け抜けるように締めた。
君はロックを聴く
各方面から2018年最も注目すべきアーティストだと注目されているわけだが、あいみょん旋風はまだまだこんなところでは終わらなそうだ。ツアーはファイナルを迎え、4月10日より番外編が行われる。6月には台湾にて初の海外公演も開催予定。
「死ぬほど言葉があふれてくるから、もし歌わなくなっても曲はつくり続けると思うし、ずっと残るような曲をこれからもつくっていきたい」
こんなふうにあいみょんがMCで述べたとき、オーディエンスの心臓のBPMはおそらく190になっただろう。これから先、もっともっと多くの人があいみょんのロックを聴く。そう確信させる夜だった。
セットリスト
1. ふたりの世界
2. 幸せになりたい
3. ジェニファー
4. 好きって言ってよ
5. マトリョーシカ
6. 愛を伝えたいだとか
7. 生きていたんだよな
8. わかってない
9. 分かってくれよ
10. 〇〇ちゃん
11. 憧れてきたんだ
12. 貴方解剖純愛歌〜死ね〜
13. 夢追いベンガル
14. RING DING
15. 風のささやき
16. 漂白
17. 君はロックを聴かない
En 1. 満月の夜なら
En 2. どうせ死ぬなら
あいみょん公式サイト
あいみょん『TELEPHONE LOBSTER』愛と性のエビはミーティア(MEETIA)で公開された投稿です。
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ミーティア
「Music meets City Culture.」を合言葉に、街(シティ)で起こるあんなことやこんなことを切り取るWEBマガジン。シティカルチャーの住人であるミーティア編集部が「そこに音楽があるならば」な目線でオリジナル記事を毎日発信中。さらに「音楽」をテーマに個性豊かな漫画家による作品も連載中。