Bentham、メジャー1stEPで紡ぐ「前に進んでいこうという意味合いを込めて」 【インタビュー】

Bentham、メジャー1stEPで紡ぐ「前に進んでいこうという意味合いを込めて」 【インタビュー】

Bentham、メジャー1stEPで紡ぐ「前に
進んでいこうという意味合いを込めて
」 【インタビュー】

小関竜矢(Vo&Gt)、須田原生(Gt&Cho)、辻怜次(Ba)、鈴木敬(Dr)からなる4人組ロックバンドのBentham。そんな彼らが4月4日に、メジャー1stEPとなる『Bulbous Bow』を発売した。今作は春先のリリースという事もあり、「前に進んでいくという事を、モチーフにした」と小関は新譜への想いを話している。
全体を通してBenthamの新しいスタートを切り開いたといっても過言ではない程、様々な表情を見せた5曲を収録。UtaTenでは、新譜『Bulbous Bow』を軸に置きながらも、バンド内でのメンバー同士の関わりや、楽曲にまつわるエピソードなどをたっぷり伺った。
「○○っぽいよね」を一番大事にしている

──メジャーデビューをして1年が経ちましたが、楽曲作りはインディーズのときと比べて変わられたりした部分はあるんでしょうか。
小関竜矢:メジャーデビューをしたタイミングから変わってきてはいるんですけど、今作は特にデータのやりとりが増えてきました。今まで培ってきた、スタジオに入って意見交換をして「こういうアレンジも良いよね」っていう試す作業を一通りこなしてきたので、データ上で遜色ないといいますか。スタジオにも入るので、そのバンド感っていうものを大事にしながらも、データ上でアレンジの幅が広がってきていますね。今作でも、想像しやすい音ネタっていうものが反映されているので、やり方的にも今のBenthamらしいものになっていると思います。

──小関さんは、曲作りの上でイメージだったり、「○○っぽいよね」というのを大事にされているとお聞きしました。
小関竜矢:そうですね。生活していく上で知識と経験している事って必ずしも一緒ではないと思っていて。テレビで見たことはあるけど、アメリカは行ったことがないとか、でもアメリカっぽさってなんとなくわかるじゃないですか。匂いとかも断片的に。それを繋げていく作業が割と好きで、「この曲何かいいよね」っていうのが僕的に一番良いと思っているんです。「この曲はこうこうこういう曲で、だから良いんだよ」っていうのはあんま良くないと感じるので、「○○っぽいよね」を一番大事にしていると思います。

──今作の『Bulbous Bow』にもその意識が活かされているのでしょうか。
小関竜矢:今作はそういうのも活かしていますが、パッと街中で流れたりとかした時に、「あれ、なんだろう?」って引っかかるようなフックのあるメロディーや歌詞を意識したので、「○○っぽいよね」っていうのからは少し離れている気がします。
須田原生:でもたまに、「○○っぽいよね」で盛り上がるときもあるんですよ。

──「○○っぽいよね」っていう話をされるんですか(笑)
小関竜矢:割とチャラい表現が多いんですけど…
辻怜次:なんかあったよね、今回も。
小関竜矢:何気ない会話から生まれる、テンションぶちあがる感じからですね。聴いている人が説明しなくとも伝わるようにといいますか、曲構成とかもどこで盛り上がるとか、どこに落とし込むとか、「学校っぽいよね」や「季節っぽいよね」とか、そういう所を大事にしていますね。

──Benthamさんはメンバー皆さんで楽曲を制作されていると思うのですが、全員で音楽を生み出すことによって軸としている部分はありますか?
小関竜矢:逆に決めごとはないです。自然とした共通項というか、歌のメロディーを活かすような感じで進めています。各パートそういうプレイを心掛けているので、自分の役目をしっかりこなしている形です。メンバーが作りたい曲に声色を寄せたりとかもそうですし、メロディーもピンとこなかったら「こうした方が良いんじゃない?」って話したりしていますね。僕、ドラム叩けないですけどドラムの事を言ったりもするので…。お互いが言う所で、新しい発見もあるし、尊敬もしているので任せられますね。
辻怜次:割と音楽の趣味とか趣向がみんな違った道筋で来ているのですが、それが逆に互いの刺激になるんです。こういうやり方があるんだっていう所もありますし。そういったものがBenthamらしさになっていたら良いなと思います。
小関竜矢:僕洋楽聴かないんですけど、この3人は聴くんですよ。そうなると「これ何か洋楽っぽいな」っていう気持ちと、「これは洋楽だからしないよ!」っていう彼らの言葉が混ざって新しい感じになるんです。それが良いですね。

──反対に音楽ではなく、バンド内で決めているルールはありますか。
小関竜矢:決めてはいないですけど、「思った事は言おうね?」っていう努力をしています。
全員:(笑)
小関竜矢:でもみんな言わないんですよ?
須田原生:空気を読んじゃう4人なんですよ(笑)
小関竜矢:ここは俺が我慢しておけばいいやって4人が思うみたいなんです。その中でストレスが溜まってもしょうがないので、そこをフォローし合っていますね。スケジュールがタイトになってきたりすると、誰が場を盛り上げて、誰が休んでとか、自然と役割分担が出来てきていると思います。

──『BenthamTV』を見させて頂いたんですが、かなり須田さんがバンド内でいじられている所が印象的でした。そういう立ち位置になっていたり…?
全員:(笑)
生Bentham TV
須田原生:いじられっぱなしなんですよ…人生…。
辻怜次:自然と横で事故ってたりするんですよ(笑)
須田原生:僕、自分でいうのもあれですけど、まったく怒らないんです。多分、みんななんでもできると思ってやってくるんですよね。
(ここで、小関が須田にちょっかいを出す)
全員:(笑)
小関竜矢:こんな感じで、やってますね。

──皆さん仲がいいんですね!Benthamさんの中で、兄弟構成を作るとしたらどのようになりますか?
須田原生:たまに冗談で兄貴って呼んでいるのは、たかさん(鈴木敬)ですね。
鈴木敬:一応生年月日順では、僕が一番早いんですよ。
須田原生:僕たち3人がダラってしちゃうときでも、ビシっと横から言ってくれるし。
鈴木敬:実際は、みんな末っ子なんです。だから兄貴感はあんまりないとは思うんですけど…。
須田原生:いや、兄貴に憧れた兄貴(鈴木敬)かもしれないですね!

──バンド活動を長くやられていると、喧嘩とかも起こると思うんですがBenthamさんはなさそうな感じがします。
須田原生:あんまないですね。
小関竜矢:ただ単に不機嫌になってみたいな事はありますけど、意見の食い違いとかはないです。
須田原生:煮詰まったときに空気が悪くなる時もあるけど、それを引っ張るとか言い合いになるとかは全くないと思います。
小関竜矢:いい大人なんで。ふざけている時が一番楽しいです。
全員:(笑)

──『BenthamTV』を見て思いましたが、小関さんのドSっぷりが凄いですね。
小関竜矢:いや彼(辻怜次)ですよ。
辻怜次:いやいやいや(笑)
小関竜矢:僕はちゃんと映像に撮られているのを計算しているので。
全員:(笑)
辻怜次:逆に腹黒いよ!!
小関竜矢:腹黒いんです。
前に進んでいこうっていう意味合いを込めて
『Bulbous Bow』
──さて、楽曲のお話しにいきます!今作のタイトル『Bulbous Bow』の意味は、船の造波抵抗を打ち消すために、喫水線下の船首に設けた球状の突起だと思いますが、なぜこのような形に?
小関竜矢:5曲を並べたときに、前に進んでいこうっていう意味合いがあるねって思ったのと、リリースが春先っていう事で何か前に進んでいくっていう事がモチーフだと考えたんです。Benthamを船に例えたときに、今誰が乗っていて、誰が乗りこんでくるのか、誰が下りてしまったのか?行き先はどこで、どういう旅をしていくのか?と置き換えていくうちに、『Bulbous Bow』というタイトルを見つけました。語感も今までで一番攻撃的だし、仕掛けているのだろうなって周りが連想するであろうワードですし。
そのあと、意味を検索したら抵抗を失くし前に進むための場所という事がわかって、ぴったりのテイストだと感じました。Bulbous Bowって普段水面に隠れている部分が多いのですが、それが今までの僕ら(インディーズのときから)の活動とも似ているし、伝わりきらなかった部分が多かったと思うんです。今作は、それらが沢山詰まった1作になっていますし、リード曲の『FATEMOTION』は運命というテーマなのですが、何か光がさす方に引っ張られているのかな?という予感がビシビシするので、そんな作品になっていると思います。

──今作では、全てタイトルの表記が英語だと思いますが、これはあえてそうされたのでしょうか。
小関竜矢:そういう風に考えてはないですね。最初に決まっている仮のタイトルから今のタイトルになっていって、最後の方に須田の考えたものが残ったんです。そしたら全部英語になっていたみたいで(笑)僕もタイトルは気にする方なんですけど、今作は英語でも良かったし、逆に外す理由がなかった。「あんま深く考えないで好きなようなタイトルでいいよ」って流れになった感じです。

──ちなみに小関さんは、長いタイトルがお好きではないんですよね。
小関竜矢:そうですね。好きじゃないです。なので、長くつけるときは理由があります。あんま長いのは付けない気がするので、「○○○○」みたいな短いのが多いです。

──では今回、ビシっとまとまられたんですね。
全員:(笑)
小関竜矢:いや~今回大分良いです。

──『Bulbous Bow』が発売された心境をお聞かせください。
鈴木敬:すごく春らしい感じになりました。これはコンセプトがあった訳じゃないんですけど、4月に出すっていうのもあるし、そういうイメージを浮かべながら詞も寄せていって。そうする事によって、春の時期にぴったりの背中を押す曲っていうものが凄く集まったと思います。ポジティブな一枚に仕上がっていますね。

──今作のドラムで一番こだわった箇所は?
鈴木敬:ドラムの音が今までと違っていて、スタジオも違うんですけど、使ったドラムセットの数とかも違うんです。その曲にあったドラムの音になったかなって思っていて、今までの中で一番自分の音には納得がいっています。

──インディーズ時代は四つ打ちが多めだと思うのですが、今作ではあまり四つ打ちを入れられていない印象を受けました。
鈴木敬:そうでもないかもしれないですね。曲にあったアレンジを考えているので、今回はあまり入れていない気もします。必要な所で出してという形なんです。
辻怜次:今回、Benthamっていうバンドのロゴも新しくなりましたし、制作チームも人が変わって、今までやってきたプロデューサーさんとは違う方とやり始めて、心機一転したんですよね。さっき言ったこれから進む新たな船出じゃないですけど、そういった作品になったと思っていますし。メンバー4人がそれぞれこだわりを持ってサウンド面だったり、フレーズの面だったりとかも、新しいことにチャレンジが出来た一枚だなと思っています。
こだわり抜いた多くの部分を「人により届けたい」、その意識は4人が共通して持っていて、制作チームや、スタッフチームも同じように考えてくださっていたので、そういう意味では一丸となれた作品になれたと思います。

──今作の中で一番見せどころとなったベースの箇所を教えてください。
辻怜次:『FATEMOTION』や、『memento』などは、割と今までの自分らしさがあります。実は、今までベースのテックさんがちゃんとついた事がなかったんですよね。だけど、今作からはテックさんが入ってくれたり、一緒にアレンジを考えてくださる人がいたので、この2曲に関しては緻密に「このコードはこうだからこうしようか?」「もっと音の感じはこんぐらいいっていいんじゃないか?」、「歪ませていいんじゃないか?」などと、結構こだわりました。自分1人じゃ出なかった事もありますし、かと言って自分じゃないと出せなかった所も多くあったりしたので、ベースのこだわりはかなり強いですね。

──須田さんはいかがですか?
須田原生:今回、メジャー1stEPなのですが、僕らBenthamと言えばEP!というぐらいインディーズの時から4作品もEPを出していて。そしてメジャーになって、その集大成じゃないですけど、今までやってきた幅の中でこの5曲をどういう曲にしていこうか?っていう選曲もしたんですよ。これまでやってきた曲たちの進化版になっているので、それが凄く伝わりやすくなっているのが、今回のサウンド面でも出ています。レコーディングを終えて自分でも聴くんですけど、その時にこだわった部分が聴こえなくても、本当にわかんない程度のものもいっぱいあるんですよ。それが聴こえなくても、こうなった為にやった事なんだっていいますか。聴いた人がそういう風に聴こえるためにしてきた事が、すごい意味があったなって思っているので、『Bulbous Bow』もそうですけど見えないことの積み重ねが凝縮された一枚です。フルアルバムだと10曲以上で聴くのが大変だったり、シングルだったら何か物足んない、だけどEPなら今の僕らを全て見せれる状態で気軽に聴ける一枚なので、沢山の人に聴いて欲しいです。

──須田さんの攻撃的なギターソロも、今作には強く反映されていますね。
須田原生:元々うちはギターソロが多いので、今回もそこはかなりこだわった部分です。今まではライブで出来ることをCDでもやるっていう風にやっていたんですが、そういう風にはせず、CDだからこそできる、CDとしての良い作品という想いが向いていました。ギターの音を2、3本増やして重ねたりとかもしましたし、そうする事によってより派手に聴こえたりとか、メインで聴こえるべき音のサポートとしての音をかなり入れました。鍵盤の曲も入れたりしましたしね。
小関竜矢:僕は5曲全部一緒なんですが、サウンド面では全然違うアプローチをかけました。今まで音の入れ方や楽曲を含め色んな事を試してきたんですが、それが広い範囲に刺さらなかった所がありました。けれど、今作では間違いなく色んな人に聴いてもらえる一枚になったので、SNSなどでも「良かったよ!」って口コミなどで広がってくれれば良いと思う程の自信作になっていますね。音が本当にメジャーっぽくなっていると思いますし、僕たちの楽曲が、靄がかかっていない状態で聴いていただけるはずです。ストレスなく聴いて頂くっていう所が一つと、1曲目の『band wagon』の最後のサビの所でドラムがドーンってなるんで、そこが最大のクライマックスです。
全員:(笑)

──今お話しにも出ました1曲目の『bandwagon』ですが、こちらはバンドそのものの事を歌ったナンバーなんでしょうか。
小関竜矢:そうですね。その曲だけ今まで通りと言いますか、自分が得意とする表現方法を好きなように、好きなだけ書いた曲です。
──曲順の進み方についてもお聞きしたいです。
小関竜矢:各自話し合ったんですが、土台となるような曲順になったときに皆が「良いんじゃない?」ってほぼ一緒だったんです。
辻怜次:みんな考えている事がほぼ一緒で、『FATEMOTION』をどの位置に置くかだったりとか、『SAYONARA』をどうするかで悩んだ気がしますね。「ここはどう?」って言えばみんな納得して、これでいこう!となりました。
須田原生:一曲一曲の理解が個人個人で出来ていたっていう感じですね。

『Bulbous Bow』で好きなフレーズ
──歌詞サイトなので、『Bulbous Bow』の中から好きな曲を一曲選んでいただき、好きなフレーズを教えてください。
小関竜矢:僕は『FATEMOTION』の最初のAメロの「幸せは途切れる事なく空回る嘘ばかり目の前にあるモノが確かな事じゃないさ」です。一番勝負のタイミングをかける曲でもあります。幸せは途切れる事なく空回る嘘ばかりは、上手く行かない事ばかりで嘘ばかりじゃないかっていう事を示していて、色んな人に説き伏せられるというか、これが正しいっていう普通な言葉がある中で、目の前にあるモノが確かな事じゃないというのは、失敗や人からアドバイスを求められたときに、言える言葉といいますか。
すごく順風満帆な人はこうは思えない。マイナスな事を知っていないと言えない言葉かなと思います。『FATEMOTION』の核心じゃないですけど、目の前にあるものが確かな事じゃないっていうのは、割とあると思うんですよ。それが運命か、運命かじゃないかなんてわからないけど、もし運命だったとしても抗っていけよっていうような曲です。序盤でグサッと刺さるフレーズですね。
──『FATEMOTION』はドラマの為に書き下ろされたと思いますが、小関さんなりの運命にまつわるエピソードを盛り込んだ形なんでしょうか。
小関竜矢:そうですね。ドラマのストーリー性を意識しました。運命っていうワードが大前提にあって、ドラマの主人公が成長していく感じと、主人公と別の登場人物にフォーカスをあてた回とかもあったので、男性目線や女性目線の事も考えました。悔し涙なのか、憎悪的な涙なのか?とか色々な描写がある中で、どこのセクションで歌詞が流れたとしても、ハマるような歌詞っていうのをイメージした形です。
バンドに対してもリンクするようにしたいとも思っていたので、「僕には出来ない無理だよ」っていうのは、音楽的に勝負はしているけれども、アイドルみたいな対応はできない、僕には無理ですよ、みたいに皮肉チックに言っていたりもします。「気がつけば収まる事なく膨れ上がったS.O.Sは何処へ」もSNSを通して膨れ上がった言葉にある、有名だから、バンドマンだからって事で押しつぶされることが結構あって。みんな普通の人間ですし思う事もある中で、活動していってというようなのも込めていますね。ドラマとバンドの今の状況や、前向きな気持ちをリンクするように書きました。

──様々な心情が織り交ざっているんですね。運命という想いが大前提に伝わってくる楽曲だと感じました。
小関竜矢:そういう風に思っていただけるのは嬉しいです。歌詞に「ダーリン」っていうフレーズが出てくるのですが、この言葉は女の人が男の人に言う言葉だと思っていたんですけど、逆でも良いらしいんですよ。なので、今回のドラマの曲にぴったりだと思いましたね。「ダーリン」を誰に問いかけている?という楽しみもあります。

──変な事をお聞きしますが、運命は信じる派ですか?(笑)
小関竜矢:僕は年齢によって色々変わってきたんですけど、物事は全て決まっている派の人です。運命派ですかね。頑張る事も怠ける事も全部決まっていると思うんです。自分主体だし、人の気持ちってわからないじゃないですか。生まれてきてから自分の中で、物事が進んでいるといいますか。その中で「なんで私だけ?」とか思う瞬間って必ずあるはずなんですよ。例えば車にぶつかってしまったとか。そこを考えると色々わかんなくはなりますけど、自分に対してという事では運命派です。運命、必然、偶然、のテーマは割と考える方なので。
辻怜次:僕も結構似ているんですよ(小関と考え方が)。割と必然的に起こることが昔からあるなって思っていて、運命論信者派ですね。
小関竜矢:占いと一緒ですね。良いことは運命で、悪い事は偶然っていう感じかな。ライトな運命派(笑)
須田原生:僕は期待する運命は信じてない派ですね。なんも予定していなかったのに、凄い出会いが起きたとか、何かがあったときは運命だなって思う事はあります。けど、運命を信じるみたいな事あるじゃないですか?「そういう人と出会えるんだ、私は」みたいなものは掴めないだろうなって。

──では鈴木さんはいかがですか。
鈴木敬:僕はあんまり考えないですね。
全員:(笑)
辻怜次:クール(笑)
鈴木敬:運命を変えていこうよっていう考え方ですかね。あんまり物事を考えすぎないと思います。「運命だよ」って言われたらそうかもしれないけど…っていうような気もします。

──話を戻しますが、お好きな歌詞のフレーズを教えてください。
鈴木敬:この流れで言うと『FATEMOTION』の「会いたい気持ちを止めないで運命に試されてる」が凄く好きです。恋愛していたらメールとか沢山送っちゃうだろうなって(笑)
全員:(笑)
辻怜次:この歌詞を見て?
鈴木敬:そう。俺メールとか送っちゃうだろうなー。この歌詞に応援されてさ。
小関竜矢:この歌詞も運命があるか、ないかっていう所を限定的にしたくなかったんです。運命があるよって決めつけたくはなかった。運命に試されるっていう表現をして、運命がないって考えている人にも抵抗がないように書きました。
須田原生:32歳(鈴木敬)にも響いた歌詞なんだね…。(笑)
辻怜次:僕は、『bandwagon』の最後に来る「抗いながら想い出と共に「時代」を変えていくよ 止まらない気持ちを朝焼けだってin my head 僕等の時代は目の前さ」が好きです。これがまさに今の自分たちを表しているといいますか。SNSなどを含みますが、抗える場所っていっぱいあるんですよね。ただ自分たちがしっかり意識を持って、バンドを組んで活動している中で、『Bulbous Bow』では広がって欲しい、もっと前に進みたいっていう想いを込めて制作したので、その部分がここに反映されていると思います。
──『bandwagon』では、俺たちやってやるぜ!というような強気な姿勢が見られるなと感じました。
小関竜矢:そうですね。売れるかもねとか、○○のイベントに出られるとかは最初の段階で感じることなんですが、今になってもその時の気持ちって残っているんですよね。ずっと長く続けていきたいって事は何年か前から言ってきているので、その為には売れないといけないとも思っていました。ちゃんと真面目に向き合っていけば、自分たちの音楽はずっと残っていくよっていう事と、今のファンに対してぶつけている想いもある曲です。嘘つかずカッコつけず、僕の性格の悪い部分も出しつつ(笑)ストレートに書きました。
須田原生:『memento』の「君は僕の沈まぬ太陽」が良いですよね。パンチ効きすぎています。僕が曲を作って歌詞を小関にお願いしました。『memento』っていう意味も、直訳すると思い出とか形見っていうんですが、語源で言うと思い出せっていう命令形だったりするんです。「君は僕の沈まぬ太陽」も例えなんですけど、オゼ(小関竜矢)の歌詞って人によってどう受けるか変わるのが面白味だと思っていて。“君”っていうのはストレートに言うとしたら付き合っている人や、好きな人という例えも出来ますが、日常生活の中でふとした瞬間に目にする思い出の写真とか、そういうものを見ても君は沈まぬ太陽って思いだす事が出来るじゃないですか。それがネガティブに感じる人もいるし、逆にポジティブに考える人もいる。心境によって、気持ちが右にも左にもいく言葉だなって思っています。
──歌詞を見たときに「君は僕の沈まぬ太陽」という存在は、小関さんが想う須田さんの事だと思っていました。付き合いが長い事もありますし。
小関竜矢:いやとてもじゃないですけど、太陽だとは思えないです(笑)
全員:(笑)
小関竜矢:でもそれ良いですね。
須田原生:あてつけで俺を太陽にするなよ(笑)
小関竜矢:沈まぬ太陽ってなんか表現的に、いいなと思っていて。輝く太陽って輝いている事を示していると思うんですけど、沈まない太陽って実は沈みかけている感じのイメージがあるはずなんです。太陽をどう捉えているか?というのもありますし、曲調や歌詞の流れも切ない作りになっていて、沈まない太陽は一体どういう事なんだ?っていうのをイメージしてほしいなっていうのはありますね。
『Reset』と『SAYONARA』に捧げた想い
──では、『Reset』はどのようなテーマ性で作られたんでしょうか。
小関竜矢:『Reset』はとにかくキャッチーに語感が良くっていう所があって、割と硬派ではない柔らかい感じに作っています。最初に「嘲笑う物陰に君が居る」っていうフレーズがあるんですが、僕らの代表曲『Public』に繋がっているんです。『Public』では、「街路樹の隙間から見て見ぬフリする怪獣が目を凝らす」という歌詞があるんですが、それに出てくる怪獣が、『Reset』にも出てくるんですよね。
──続編?
小関竜矢:続編ではないんですが、その怪物の単独出演みたいな感じです(笑)スピンオフ系。ギターのフレーズもこんなに良いフレーズ聴いた事がないくらい、力のあるフレーズだと思うので、これをどうやってキャッチ―にポップに持っていくか?ってなったときに僕が元々持っていた怪物とか、モンスターのような語感が大切だと思ってそのあたりを取り入れながら書きましたね。意味合い的には物語の主人公がいて、ラストシーンは目の前なんだけど力を緩めずも走っていけよという前向きな曲です。

──「這いつくばっているまるでゾンビ喰われちまいな」というフレーズは、かなりインパクトありますね。
小関竜矢:これを見てドキッとするか、『ウォーキング・デッド』の見すぎかな?って思われるかどっちかなってね。
全員:(笑)
小関竜矢:皮肉みたいな事も込めてはいますが、ほんの少し『ウォーキング・デッド』も入っています。
辻怜次:入ってんのかーい。どっちもじゃん!
小関竜矢:「1.2.3狙い定めて明るい未来を作りましょう」というフレーズは若干の下ネタを交えています。
辻怜次:明るい家族計画です(笑)
小関竜矢:そういったユーモアが溢れた所もありますね。若くて青臭い歌にはしたくなかったので、そこを上手くくっつけていきました。

──4曲目の『SAYONARA』は鈴木さんが作詞・作曲を担当されています。こちらは卒業シーズンに合うエモーショルな楽曲に仕上がっていますね。
鈴木敬:これは元々、辞めていくバンド友達だったりとか、スタッフ、そういう人たちへの想いを入れた歌なんです。小関のアドバイスとかをもらいつつ、もう少し広くできるようにこういった楽曲が出来上がりました。

──サウンド面で意識した点は?
鈴木敬:このアルバムの中では、割とBenthamっぽい感じでシンプルなバンド感になっています。音もそんなに重ねないでストレートな曲を意識しました。

──とてもシンプルな構成になっていますよね。鈴木さんの作られた楽曲に対し、小関さんはどんな印象を受けていますか。
小関竜矢:歌詞へのこだわりがあるのもわかっているし、ここは俺がっていうのはやらせたいっていうのもあります。僕が歌いやすいように語尾を変えたりもありますが、これから敬の中で書く単語も見つけてくるだろうし。なにより、敬にしか書けない歌詞があると思うので、それは歌っていて「よっしゃ!しっかり歌っていこう」って思いますね。
──最後に読者の皆さんにメッセージをお願いします。
小関竜矢:今回、歌詞に対してすごく力を入れています。言葉の出会いというのは、本だったり、詞だったりとかもあると思いますが、音楽からも取得できる事があります。音楽を聴いて、どういう歌詞なんだろう?と検索をかけてもらえているかな?っていう所は僕の中では毎回気になっている所でもあって。今作から「歌詞いいよね」って言っていただけたら嬉しいし、曲とリンクしているパワーワードだったりがあるはずだと思います。言葉と音楽に助けられる人はいっぱいいると信じているので、ぜひ歌詞を隅々まで読んで欲しいと思います。
TEXT:橋本美波
PHOTO:愛香

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