那奈を演じた武田梨奈

那奈を演じた武田梨奈

【インタビュー】『三十路女はロマン
チックな夢を見るか?』武田梨奈「こ
の映画を経験して、30歳になることが
楽しみになりました」

 夢なし、彼氏なし、仕事も単調…。30歳を目前に、満たされない日々を送る独身女性・那奈。だが、その退屈な人生は突如、逃亡中の3人組の銀行強盗犯に拉致されたことをきっかけに変わり始める…。そんなロマンチックな痛快サスペンス『三十路女はロマンチックな夢を見るか?』が3月31日から全国順次公開となる。主演は、得意のアクションに加えて最近は「ワカコ酒」でも人気の武田梨奈。転機になったと語る本作に懸ける意気込みや、今後の目標などを聞いた。
-出演映画の公開は2016年7月の『海すずめ』以来、約2年ぶりですね。
 これまでは毎年、何らかの映画が公開されていたのですが、去年は映画館で舞台あいさつをするような機会がなかったので、少し寂しく思っていました。ようやくこの作品の公開が決まって、とても楽しみです。久しぶりなので、たくさんの方に見ていただきたくて、いつも以上に力が入っています(笑)。
-最初に台本を読んだときの印象は?
 台本を頂いたとき、最初に聞いたのが「これは原作ものですか?」ということでした。そうしたら、山岸(謙太郎)監督のオリジナルという話だったので、まずそこに魅力を感じました。今はオリジナルの作品が少ないですから。タイトルもユニークでしたし。こういうサスペンスコメディー作品はやったことがなかったので、その点にも引かれました。ただ、主人公の那奈には、極端に共感できる部分とできない部分があったので、演じるのはちょっと難しいなと思いました。
-共感できない部分とは?
 夢が持てなかったり、「自分なんか」と諦めてしまったりするところです。私も同じような気持ちになることはありますが、そういう自分が悔しくて「だったらやってやろう!」と考えるタイプなので(笑)。
-共感できない部分に対するギャップは、どんなふうに埋めていきましたか。
 「何がいい、何が悪い」というはっきりしたものはないけれど、全てが単調で何もかもうまくいかない。ちょっとしたことで「どうせ、私なんか…」と思ってしまう。そういう那奈のような経験は私にもあったので、そのときのことを思い出しながら演じました。
-山岸監督とは演技についてどんな話を?
 那奈は最初、銀行強盗に巻き込まれる形で、どちらかというと受け身な姿勢から入っていきます。その最悪な状態の中で徐々に新しい自分を見つけ出し、今の状況を楽しむようになる…。ちょっとしたところで、そういう変化をどう出すか、監督と話し合いながら作っていきました。また、撮影した当時、25歳だった私にとって、30歳の女性を演じる難しさもあったので、その辺についてもいろいろと相談しました。
-その一方で、物語にはちょっとした仕掛けがありますね。
 そうですね(笑)。私たちは結末を知った状態で演じていますが、お客さんを置いてきぼりにせず、一緒に物語を旅するにはどうしたらいいのかということも、ずっと考えていました。あと、この作品はモノローグが多いのですが、実は映画が完成した後に、再度、録り直しているんです。
-というと?
 初号試写(関係者へのお披露目)で見たとき、自分の中で違和感があったんです。そうしたら監督も同じ思いだったので、もう一度那奈の声を録音しました。それぐらい強いこだわりをもって向き合わせていただきました。
-それほどこだわったこの作品を経験して、30歳という年齢に対する意識は変わりましたか。
 変わりました。いろいろと自分の中で考える部分も多かったので、この作品をやった後は焦りがなくなりました。というよりも、30歳になることが楽しみになりました。以前は、「もうアラサーだ、早く夢をかなえなきゃ」と焦っていたのですが、そういうものがなくなって。今は「楽しくやりながら夢をかなえていこう」と思えるようになりました。そういう意味では、この映画が私にとって一つの転機になりました。
-では、30代に向かうに当たっての目標はありますか。
 今までは「これを言うのはちょっと恥ずかしいな」と思うことがたくさんあったんです。でも、去年あたりから、半歩ずつですけど、すごく遠い夢だったものに近づいているような実感があります。例えば、おととしWOWOWでアカデミー賞のレポーターをやらせていただいたとき、私を起用した理由を聞いたんです。そうしたら「僕たちは、近い将来、武田さんがこの場所を歩く人間だと思ったからです」と言ってくださって…。鳥肌が立ちました。これは本当に実現しないといけないと思って、そのときから「いつかアカデミー賞のレッドカーペットを歩きたい」と胸を張って言えるようになりました。それが30代でかなえたい夢です。
-この映画をどんな人に見てもらいたいですか。
 三十路を前にして彼氏なし、夢なし、仕事もあまりうまくいっていない。そんな中、なぜか銀行強盗に誘拐されるというハチャメチャな物語ですが、こういうロマンチックなものに憧れる部分は誰にでもあると思うんです。だから、私のように30歳を前にした方はもちろん、夢のあるなしに関係なく、皆さんに楽しんでいただけるのではないでしょうか。その上で、私がこの作品を通じて「人生もっと楽しまなきゃ損だな」と思えたように、生きていく上で何らかのヒントになったらいいですね。
-今年はこの映画を皮切りに、続々と出演作が公開されるとのこと。活躍が楽しみです。
 今年は、また皆さんと映画館で会える機会が増えると思います。しかも全部、ジャンルも、役柄も、キャラクターも違うんです。この作品のように、最近はちょっと大人の女性を演じる機会が多くなり、皆さんを驚かせるような役も増えてきたので、期待していただけたらと思います。あと、個人的にはまたアクション映画をやりたいです。今は爆発しそうなぐらいアクション欲が高まっているので(笑)。いつになるか分かりませんが、待っていてください。
(取材・文・写真/井上健一)

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