[第42回]宮澤佐江、地球ゴージャス『
ZEROTOPIA』大切な人たちと過ごす、
稽古場の舞台裏

地球ゴージャスプロデュース公演Vol.15『ZEROTOPIA』。"舞台の基礎"を教えてくれた、大切な人たちと過ごす"稽古前の1時間半"。舞台裏をたっぷりお聞きしました!

ーーさあ、佐江ちゃん。今回もよろしくお願いします。
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よろしくお願いします!
ーーさっそく今回は、いよいよお稽古がスタートした舞台『ZEROTOPIA』について、お聞きしていきたいと思います!
はい、ありがとうございます!
ーー地球ゴージャスの舞台は、4年前の『クザリアーナの翼』に続き、2度目の出演となる佐江ちゃん。お稽古には1週間前に合流したとのことですが、初日はやっぱり緊張したようですね。(編集部註:取材日は2/28)
はい。新しい現場に入るときは、やっぱり緊張します。前の日は緊張して眠れませんでした。「地球ゴージャスに出演する」っていう、特別な気持ちもあると思うんです。
「2度目だから、もう慣れてます」なんて思っていないし、そんな雰囲気も、もちろん出せないです(汗)
でも、前回と変わったかな? と思うところもあるんです。
稽古が始まって2、3日目くらいの早い段階で、現場の空気感になじめました。それはやっぱり、前の出演があったからだと思います。
今回と前回では、作品も違うから、ピュアな気持ちで臨みたいと思っています。
ーー地球ゴージャスといえば、その「舞台稽古」について『クザリアーナの翼』のときにもお話が出ましたが、他の作品とは、ちょっと違うところがあるようですね。
私も、地球ゴージャス以外の作品に出て初めて知ったんだけど、地球ゴージャスならではといえるやり方があるというか。稽古に入る前に、1時間半くらいかけて体操や、マット運動や、発声練習とかを「全員」でするんです。
その1時間半は、運動やストレッチを、ただしているだけではなくて。肺活量を鍛えるための動きや、「受け身」の姿勢も教えてくれたりするんです。
ーー「受け身」を?
「床と友だち」
はい。本番中は舞台で何が起こるかわからないから、もしかしたら、どこかにつまずいて倒れてしまうかもしれない。
そのときに、「バンッ」と腕をついて倒れるんじゃなくて、「受け身」の姿勢で倒れられるように、やり方を教えてくれるんです。稽古中にマット運動で「床と友だち」になったのを思い出せば、「床で頭を打たなくていいでしょ? 」って。
体操のときは、前後に並んだキャストさんと、仲良くなれたり。これも、ゴージャスならではの「人とのコミュニケーションの取り方」というか。
「あぁ、これだ、これだ! 」
って、以前の感覚を思い出したり。他にも、テレビドラマや映像とは違って、舞台では大きい声を出すので、声の出し方がどう違うかを、(岸谷)五朗さんや寺(脇康文)さんが教えてくれるんです。
だから、稽古前の1時間半は、ただ身体を温めるだけの時間ではないんです。毎回、「舞台の基礎」を学ばせていただいてます。
ーーその時間で、誰がどんなコンディションなのかも感じられますね。
本当にそうです。
その1時間半がなかったら、他の舞台作品と同じように、
本読み

立ち稽古

振り入れ

歌の練習
という感じだと思うんです。
だから、その1時間半があっての地球ゴージャスというか。そう言っていいくらいだと思ってます。このやり方でスタートしているから、今も自分の基本になっているんです。
他の作品のときも40分くらい前に入って、ひとりでアップしてます。ゴージャスがあったから、早め、早めの行動ができるようになったと思います。
舞台に関しては…、ですけどね(笑)
ーー(笑)。早め、早めの行動は大事ですよね。地球ゴージャスのアップの様子を聞いていると、佐江ちゃんがSKE48だった頃に「舞台には、舞台裏の関係性が出る」と言っていたのを思い出します。(第94回)(第9回)
丸4年前のこと
そうですね。それはもう、AKB48の頃からずっと思っていて、舞台に上がる前は、自分の時間を大事にしているメンバーも多くて、楽屋でイヤホンをしてる子もたくさんいるんです。
もう、いろんなところで言ってるけど、私は、そんなメンバーのイヤホンをはずして、
「オハヨーーっ!! 」
って、言うんです。チームKの頃から普通にやってました(笑)
本番前の舞台裏では、コミュニケーションも大事だけど、やっぱりストレッチの大切さも感じてました。それは、前回の地球ゴージャスの舞台が終わってすぐに、SKE48のお仕事に入ったから。余計にその大切さを感じてたんです。
SKE48では、周りのメンバーが若かったし、ダンスも激しかったから。舞台に上がる前に、自分で体操するのが当たり前になっていたんです。
ーー『クザリアーナの翼』の大阪での大千秋楽が、2014年の3月31日ですから、丸4年前のことですね。
そうですね。
『クザリアーナの翼』の千秋楽翌日に、大阪から新幹線に乗って、東京へ戻る出演者さんたちと別れを惜しみながらバイバイして、横浜で途中下車して。SKE48の単独コンサートのリハーサルに参加しました。
あのときは、舞台が終わってホッとして、熱が出たままずっとリハーサルしてたなぁ。弱った姿は、さすがに後輩には見せられなかったから、マスクを二重にして、完全防備してました(笑)
…って、話がそれちゃったけど。
佐江として挨拶を
作品によって違うと思うんだけど、私が経験したグランドミュージカルでは、「役」になってから、舞台上で、その日初めて顔を合わせることになるんです。
私はそれができなくて。
『王家の紋章』のときは、そうならないように、本番前に、ステージ裏で皆に声をかけていました。当時、もうそれが自分の習慣になっていたから。そうしないと気持ちが落ち着かなくて。
役のキャロルになってから、皆に「おはよう」と言うんじゃなくて、まず、佐江として挨拶をして。「また後で、ステージで!」って、まず言わなきゃいやだった。
でも、イムホテップ役の山口祐一郎さんへは、言えませんでしたけど…(汗)。イムホテップ様へは、キャロルとして「おはようございます」と「おつかれさまです」を言わせていただいてました。
本番前にコミュニケーションをとるかどうかは、本番前にステージでリハーサルをやるかどうかによっても違います。
ーーなるほど。
例えば『TOKYO TRIBE』では、殺陣のシーンもあったので、前日のよくなかった箇所を、必ず本番前に舞台上で確認しました。舞台転換もあったので、事故がないように、毎日、本番前に確認したりもして。
本番前にステージでリハーサルがあったのは、『朝陽の中で微笑んで』のときもそうだったな。
ーーやっぱり、作品ごとにやり方が違うんですね。
ッふぁっはっはっは!!
そうですね。やっぱり私は、本番前に皆が集まって「おはよう」って言える環境が好きだな。
ーー『ZEROTOPIA』は、まさにその環境といえますね!
はい! 『ZEROTOPIA』、すごいですよ! すっごく、おもしろいですし!!
皆で、本読みしてるだけで笑っちゃうんです。もう、今から本番が心配。ステージ上で、他の人の台詞を聞いて笑っちゃうんじゃないかって(笑)
ーービジュアルからすると、コメディではないような感じですが…。
そうですね。船が沈没して、色のない世界に、ある理由があって集められた8人の話なんです。シリアスな話なんですけど、そのシリアスな部分も楽曲を使って表現していたりするんです。
地球ゴージャスらしさが、すごく芝居に出ているというか。もう、めっちゃおもしろいッ!!
五朗さんが書いた台本が本当におもしろくて、その前提があって、さらに演じる出演者の方々がプロの集団すぎるんです。エグいです。役名もおもしろい…。
ッふぁっはっはっは!!(大きめの思い出し笑いをする佐江ちゃん)
地球ゴージャスに何回も出演しつつ、振り付けも担当している、藤林美沙さんと、原田薫さんと、大村俊介(SHUN)さんの、この3人もスゴ過ぎて!
3人は五朗さんの考えを察知するのも早くて、チームワークもすごくて。地球ゴージャスならではというか…、さすがというか。
ーーメインキャストの方がお稽古に合流したのは1週間前ですが、他の出演者の方々は、もっと前から、お稽古をスタートしていたそうですね。
「五朗さん、前回も同じこと言ってた」
はい。2月の初旬から稽古が始まっていたんです。だからもう、1週間前に合流したときには、すでに、半分以上の楽曲の振りが仕上がってたんです。
それを目の当たりにしたとき、思い出したんです。
『クザリアーナの翼』の稽古が始まったばかりのとき、冒頭の「行進」のシーンを見せられて、そのすごさに圧倒されて。「このシーンを作るために、ひと月も前からずっと稽古してたんだ…、スゴい… 」って。
そこから稽古がスタートした感覚を思い出しました。
やっぱり、五朗さんや寺さんは、舞台裏をサポートするところから経験を積んで、いろんな先輩方から厳しく言われて学んでいる方だと思うので。そんな方たちに教えてもらえるのは本当に嬉しいし、すごく勉強になります。
基礎的なことは、現場に入ってしまうとなかなか教われないですから。他のキャストさんへ言っている言葉も、聞いているとすごく勉強になることばかりで。
「この台詞をこう言ってください」というのではなくて、その台詞を言うために、どういう感情や、どの部分を大切にすればもっとよくなるかを教えてくれるんです。それは、どの台詞に対しても当てはまることで。
だからメモは必須です。
でも、正直言うと『クザリアーナの翼』のときは、意識してやっていたことも、4年経つと忘れている部分もあって。。
「五朗さん、前回も同じことを言ってた(汗)」
って。五朗さんが毎回言うってことは、相当大切にしなければいけないことだと思うんです。この4年間、そんな大事なことを、なんで忘れていたんだろうって、今、稽古をしながら思うこともあります。
ーーちなみに、それはどんなことですか?
「コ…、コ…、コルリのときも…」
一行の台詞の「最初のひと文字」と、「終わりのひと文字」を上手に言える人はいい役者だ、って。
「〜〜だから」という台詞なら、「終わりのひと文字」の「ら」を自分の内側に向けてしまって、「だから。。」となる人が多かったりするんです。だけど、最後の「ら」までを大切に言う、とか。確かに、前回も言われていたんです。
実際、今回は違う方にそういう話をされていて、「あ…! これは五朗さんが前回も言っていたことだし、自分も気をつけなきゃいけないことだ」と思って。今自分も意識してやっています。
あと、今回、私の役名は「サンディー」と言うんですが、サンディーは、本来の宮澤佐江より頭の回転が早いんです。それは、前回の役柄の「コルリ」と同じなんです(第45回)。だから、
「佐江ちゃんの間(ま)で台詞を言っていたら遅い」
って、五朗さんに言われるんです。
ーー確かに、以前の「ミラチャイ」でその話が出ましたね!
そうなんです。「自分で考える、さらにひとつ前から、台詞を言うことを考えていないと、サンディーとしては成り立たない」って。さっそく今回も言われて、
「コ…、コ…、コルリのときも、ぃわ、ぃわ、言われたぁぁ… 」
と、思いつつ(笑)
五朗さんは、台詞の「間(ま)」とか、テンポをすごく大切にする方なんです。
台詞を言うときの「間(ま)」は、演じる方はすごく大切にしたいけど、観ているお客さんにとっては、「まだ次の台詞言わないの?」って、長く感じることもあると思うんです。
その間がしっくりはまって、身体にしみ込んで、やっと自分の言葉になるんだなって、すごく感じてます。
そういった面では、稽古が始まってまだ1週間なので、サンディーの言葉がまだ、自分の言葉になっていないかな、と思ってます。
ーー佐江ちゃんにとって、「舞台の基礎」を教えてくれる、岸谷さんや、寺脇さんは、先生というか、師匠というか、どんな存在でしょう?
メモは大事だけど…
本当に、「恩」しかないです。ふたりは「恩師」です。
いまだに寺さんに、『クザリアーナの翼』の頃のこと、言われるんです。「言われること、ずーっと全部、メモしてたよね」って(笑)
ーー(笑)。メモは大事です。
今も、もちろんメモしつつですが、頭の中で整理できるようにならなきゃいけないって、思い始めてます。そこは今、意識してやっているところです。
ーー佐江ちゃんから『ZEROTOPIA』の舞台裏を聞けば聞くほど、本番が楽しみですね。
そうですね!
ーー今回も、たくさんのお話をお聞きしましたが、もう少し『ZEROTOPIA』のお稽古場の様子をお聞きしたいと思ってます。また次回、お願いできますか?
はい!!
ーーそれでは今回も、たくさんのお話ありがとうございました。次回もまたよろしくお願いします!
ありがとうございました! 稽古が始まって1週間。やっぱり地球ゴージャスってすごいです。『クザリアーナの翼』のときは、右も、左も、何もわからなかったけど、今回は、2度目だからこそ気づけることもたくさんあります。
次回は、私にとって1年の始まりともいえる「春」をテーマにしたお話もしていきます。次の「ミラチャイ」も、どうぞお楽しみに!
撮影:山田大輔 スタイリング: 藤井エヴィ ヘア&メイク: 小林依里香
次回の更新は、3/23(金)予定です。

ウレぴあ総研

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