童謡100年! 心に優しいピアノを奏で
る小原孝が、日本のメロディーCDをリ
リース、全国ツアーをスタート!

大正~昭和初期に、良質の童謡や童話を掲載して人気を博した児童雑誌『赤い鳥』。今年は創刊100年にあたり、これにちなんで「童謡100年」と銘打ったCDやイベントなどが多数予定されている。先陣を切って、7日にCDアルバム『ピアノ名曲フォーユー 日本を奏でる』(キングレコード)をリリースするのは、ピアニストの小原孝。9日から全国ツアーもスタートする。
CDは工夫を凝らした選曲、アレンジで、童謡や唱歌で知られる作曲家のピアノ作品が聴けるのが興味深い。
「成田為三が『浜辺の歌』をもとに作った『浜辺の歌変奏曲』、山田耕筰が『からたちの花』をアレンジした『ピアノのためのからたちの花』など、ピアノ作品を5曲。童謡や唱歌は、滝廉太郎の『お正月』、中山晋平の『シャボン玉』、中田喜直の『めだかの学校』など、歌いながら聴いていただけるように25曲をワンコーラスメドレーで。そしてNHK『みんなのうた』で放送されたオリジナル曲『私はブランコ』の弾き語りも収録しています。明治・大正・昭和・平成から次代へ伝えたい日本のメロディー集です」
二葉あき子が歌ってヒットしたクラシック調の歌曲『水色のワルツ』を、作曲者の高木東六が編曲した『水色のワルツ変奏曲』が収録されているのも興味深い。楽譜は全音ピアノピースにあるが、ピアノの名手だっただけに即興アレンジで弾いていたのか、小原の知るたくさんの音源には楽譜通りの演奏は見当たらなかったそうだ。
日本の名曲を高音質のUHQCDで聴ける『ピアノ名曲フォーユー 日本を奏でる』(KICC-1439、¥2778+税)
小原は「ピアノを言葉で弾くのが基本」と、よく口にする。「“ドレミ”ではなく、“あなた”とか“楽しい”とかで弾くと、ニュアンスが生まれるでしょう」と。それゆえ、彼の紡ぐ音色は美しく、心に優しい。歌の演奏に関わるのも早かった。ソロデビュー前の86年から「由紀さおり・安田祥子童謡コンサート」のピアニストとして9年間活躍した。
「おかげさまでソロ活動を始めてからも、ピアノで演奏する日本の歌は、大切なレパートリーになりました」
今回のレコーディングは、昨年9月にEテレ『ららら♪クラシック』で演奏した『浜辺の歌変奏曲』が好反響だったことから実現した。
「僕が国立音楽大学の大学院生だった84年に、大学図書館倉庫で保管されていた初代学長の遺品の中から楽譜が発見され、学内ホールで初演した思い出の曲です。歌をピアノ曲として弾く僕の原点の曲となりました」
成田は晩年に同校で作曲を教えており、楽譜は初代学長に拝呈されたものだった。
「この曲のCDは、これまでに2回、91年と95年に発売しましたが、ソロデビューから30年以上経ってテレビで取り上げられて3度目の録音だなんて、これも運命でしょうか。新たな発見がたくさんあり、今までとはまた違う味わいを醸し出せたと思います」
コンサートは、日本と西洋の名曲を用意したぜいたくな構成のようだ。リスナーのリクエスト曲を即興演奏し続けて早19年になるNHKーFM『弾き語りフォーユー』(月~木)でも、新たなアレンジで聴けるかもしれない。
文=原納暢子

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