『マンハント』 (C)2017 Media Asia Film International Ltd. All rights Reserved

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【芸能コラム】街の魅力を再発見! 
日本で撮影された外国映画 『マンハ
ント』『ブラック・レイン』『007は
二度死ぬ』ほか

 現在公開中の『マンハント』は、福山雅治をはじめとしたアジアのスターが顔をそろえ、無実の罪で追われる男と、彼を追う刑事がたどる運命を描いた物語。この作品の見どころは、巨匠ジョン・ウー監督ならではの迫力のアクションだが、もう一つ、全編が大阪を中心とした日本国内で撮影されている点にも注目したい。
 見慣れた風景でも、日本人とは異なる感覚を持つ外国人の監督の手にかかると、新たな魅力を生むことがある。例えばこの作品では、水上バイクを使ったアクションシーンを大阪の中之島、堂島川周辺で撮影しているが、水上アクションの映像は、今まで見たことがないような街の表情を垣間見せてくれる。
 100年を越える映画の歴史において、日本で撮影された外国映画は数多く存在する。ここでは、そのいくつかを紹介したい。
 まずは『マンハント』に先立つことおよそ30年、1989年に大阪で撮られたハリウッド映画『ブラック・レイン』。『エイリアン』(79)、『ブレードランナー』(82)のリドリー・スコット監督ならではの光と影のコントラストに彩られた大阪は、まるで異国の雰囲気。バブル景気真っただ中の街の風景を収めた映像も、今となっては貴重な資料といえる。『マンハント』と見比べてみるのも面白いだろう。不世出の名優・松田優作の遺作としても知られる本作だが、松田が演じたやくざの手下の1人を、『マンハント』にも出演した國村隼が演じているのもポイントだ。
 一方、2月23日に『007』シリーズの監督を務めたルイス・ギルバートの訃報が伝えられたが、その監督作の一つ、『007は二度死ぬ』(67)の主な舞台は日本。シリーズ第5作に当たるこの作品では、初代ジェームズ・ボンド役のショーン・コネリーが来日し、東京、神戸、鹿児島など、日本各地で大々的なロケ撮影が行われた。
 東京の地下鉄・丸ノ内線が諜報機関の秘密列車となり、姫路城で忍者が訓練するなど、日本人には思いもつかない奇抜な描写がユニークだ。“トンデモ日本”的な描写も、時代による日本に対する見方の変化として楽しんでほしい。アカデミー賞撮影賞を三度受賞したフレディ・ヤングが撮影監督を務め、ところどころに息をのむような美しい風景が挿入されているのも見どころだ。
 さらに時代をさかのぼれば、戦前の1937年に製作された日独合作映画『新しき土』や、昭和30年代の広島を舞台にしたフランス映画『ヒロシマモナムール(二十四時間の情事)』(59)といったシリアスなドラマでも、当時の貴重な風景を目にすることができる。
 反対に最近の作品として有名なのが、『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』(06)、『ウルヴァリン:SAMURAI』(13)などのハリウッド映画。東京や広島など、なじみのある風景の中で大掛かりなアクションやカーチェイスが楽しめるのも、ハリウッド作品ならでは。
 4月13日にはハリウッド大作『パシフィック・リム:アップライジング』が公開されるが、日本のロボットアニメに影響を受けたこの作品では、クライマックスの舞台が東京になる模様。CG主体の作品だけに、実景が収められているかどうかは不明だが、現在のハリウッドから見た東京の風景がどのような形でスクリーンに再現されるのか、期待して待ちたい。(井上健一)

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