撮影:稲澤朝博

撮影:稲澤朝博

草なぎ剛×太田光、“確かな信頼”が
生む傑作の予感―『クソ野郎と美しき
世界』を現場&コメントから読み解く
:Vol.3

『クソ野郎と美しき世界』で見せる、3人の新たな姿とは? 草なぎ剛編をお届け!

SMAP稲垣吾郎香取慎吾、草なぎ剛がトリプル出演する話題の映画『クソ野郎と美しき世界』。本作は3人がそれぞれに出演する3つのエピソードと、全員が共演する最終エピソードからなるオムニバス・ムービー。
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3人の新たな魅力が気鋭のクリエイターや映画監督によってどんな形で開花するのか? ここでは特にそこにスポットを当てて、撮影現場の模様や彼らと監督、共演者のコメントを紹介していく。
俺、光栄だなと思いましたよ(太田)草なぎ剛が主演するepisode3『光へ、航る』は、かつては暴力的だったオサムとその妻が、失われた息子の右腕を探しながら沖縄の海まで旅を続ける異色のロードムービー。
草なぎが主人公のオサムを、その妻を『そして父になる』(13)、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(17)などの尾野真千子が演じているが、このパートの最大のトピックはお笑いタレントである爆笑問題・太田光が脚本と監督を担当していることだ。
2月14日(水)、埼玉県某所で公開された本作の撮影現場では、妻役の尾野も「今回は台本で出演を決めてないですね。太田さんがこの台本でどんな演出をするんだろう? 草なぎさんが太田さんの演出でどんなお芝居をするんだろう? というところに面白さを感じたんです」と強調する。
それを受けて、草なぎが続ける。
「僕らも太田さんに歌を書いてもらっているし、太田さんは本も書かれているので、芸術的なセンスは抜群の方だと思っています。それに長くおつき合いをさせていただいてますけど、太田さんの毒舌は優しさの裏返しですし。
監督としての太田さんとお仕事をするのは初めてですが、さっき尾野さんとのセリフのかけあいのリハーサルをしたら、ちゃんと監督の顔になっていたので、これからの撮影が楽しみになりました(笑)」
ふたりから絶大な信頼を寄せられている太田だが、今回、監督のオファーがあったときには「俺、光栄だなと思いましたよ」と振り返る。
「この映画は、3人が新しく旅立ついちばん重要なところにあるものじゃないですか。3人が掲げた『新しい地図』の始まりとなる映画の監督のひとりに僕を選んでくれたわけですから、それは素直に嬉しかったですね」
しくじった人間は面白い
草なぎと太田、優しく強い信頼関係草彅と太田のつきあいは長くて太い。「最初に会ったのは剛が子供のときだもんな」と太田は述懐するが、その後もバラエティ番組などで何度も顔を合わせ、草なぎ自身が語ったように、10年7月にはSMAPの19枚目のオリジナルアルバムでは表題曲『We are SMAP!』に歌詞を提供している(作曲は久石譲)。
その歌詞の中には、まるで現在の草彅や稲垣、香取にエールを送るようなフレーズが幾つもある。
「この冒険を繋げよう。」
「エンジンは、好奇心さ。科学でもなくて。
笑い声。歌の音。魔法のエネルギーさ。」
「あの日行けた場所の、遠くよりも遠く。
『行けるよ』ってキミが言ったんだ!
何度も。」
「先へ…」
今回の撮影現場で、草彅は奇しくも「この『クソ野郎と美しき世界』は未来に繋がっていくような感じがします」と公言している。それに、こんなに優しく力強いメッセージをくれる太田が監督なのだから、草なぎが全幅の信頼を寄せてついていこうと思うのも当然だ。次の言葉からもそのことが伝わってきた。
「映画全体のタイトル通り、僕が演じているツヨシはめちゃくちゃクソ野郎ですけど、“美しき世界”も夫婦愛や子供をめぐる家族愛という形でちゃんと表現しているので、太田さんってやっぱりスゴいなと思います。
それに太田さん特有のブラックショークが散りばめられていて、後になってその皮肉めいたところが分かってくるのも最高です。(稲垣)吾郎さんも(香取)慎吾も台本を読んで、“太田さんはやっぱりスゴいね”って褒めていたし、とてもやり甲斐がありますね」
それを聞いて、太田も「嬉しいですね。僕も監督が夢でしたから」と笑顔を見せ、「愛すべきは人間の営みだし、しくじった人間というのはやっぱり面白いですから」と持論を展開させた。
ところが次の瞬間、舞い上がってしまったのか、お笑い芸人の性なのか、「剛くんと尾野さんが現場に入った瞬間から恋人同士みたいだったので安心したんだけど、実は昨日、ラブホテルで一発やってもらおうと思っていたんですよ。必要なかったですね」と太田らしいいつものジョ―クを炸裂。
尾野に「そんなことを考えていたんですか?」と失笑をかい、草なぎからも「流石、名監督ですね。いま、そんなことを言うのは、園子温しかいないんじゃないですか?(笑)」と冷ややかな視線を浴びたが、そこでまたおかしな火がついて、「園子温には負けません。あいつには絶対負けたくない!」と本気と冗談が入り混じった妙な闘志を燃やしていたのが印象的だった。
剛くんが大人の表情になっていた
映画館から“温かいもの”を持って帰ってもらえると思う(草なぎ)太田が映画のメガホンをとったのは、91年の『バカヤロー! 4 YOU! お前のことだよ』への参加以来2度目のこととなる。
「でも、『バカヤロー!』のときはまだ27歳だったし、本当にペーペーだったから、現場でもあたふたしていて、よくイジメられましたよ。いや、そんなことはないけれど(笑)。
製作総指揮と脚本を担当された森田芳光監督のスタッフの方々から、分からないことをいろいろ教えてもらいながらやったあのときと違って、今回は妥協せず、“ここはもう1回やった方がいいな”と思うときはテイクを重ねるようにしているので、自分が撮りたいものが撮れているような気がします」
撮影初日のこの日は、息子役の子役が投げるボールを尾野がキャッチャーミットで受けるシーンと、このパートの終盤にあたる夫婦のシーンの撮影だったが、太田は早くも手応えを感じたようで、「さっきモニターを見ていて、剛くんがすごく大人の表情になって、カッコいいなと思いましたよ」と打ちあける。
「それこそ、俺の中では名画を観たなという感覚になっていて。後はここに向かって撮っていくだけだから、これは期待できます。全米が泣くんじゃないですか?(笑)」
そう冗談っぽく自信を覗かせた太田監督だが、そこは草なぎが「タイトル通りハチャメチャな映画ですけど、最後は映画館から温かいものを持って帰ってもらえるものになると思うので、楽しみにしていてください」とビシッと締めくくった。
果たして、それぞれ単独のエピソードで主演した3人は、気鋭の映像ディレクター・児玉裕一がメガホンをとる最終話のepisode4『新しい詩』にどんな装いで集結し、クソ野郎★ALL STARSとどんなスパークを見せるのか!? お楽しみはこれからだ。

ウレぴあ総研

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