【ライブレポート】サンダー、ブリテ
ィッシュ・ロックの正統ここにあり

ブリティッシュ・ハード・ロックの王道を邁進してきたサンダーが2018年1月、正月が明けたばかりの日本列島を“リップ・イット・アップ”した。<Mix It Up - Then & Now Tour 2018>と名付けられた今回のツアーは、『リップ・イット・アップ』(2017)『ワンダー・デイズ』(2015)という最新盤2作からの楽曲=“ナウ”と、ファンからのリクエストによるクラシックス=“ゼン”を取り混ぜてプレイするという構成だ。川崎×2公演と大阪公演の全3公演、それぞれ異なる選曲で臨んだ彼らだが、本稿ではジャパン・ツアー初日の大阪公演をレポートする。
バンドにとって2018年の一発目となるライブは「ノー・ワン・ゲッツ・アウト・アライブ」から始まった。最新作『リップ・イット・アップ』は全英チャート3位というヒットを記録しており、1992年に『ラフィング・オン・ジャッジメント・デイ』が2位となって以来のセールスはサンダーが新たな絶頂期を迎えていることを如実に物語っているが、アルバムの1曲目を飾るこの曲は、現在進行形のバンドならではの生の躍動感に満ちるものだ。
1989年に結成し、30周年にリーチのかかった彼らだが(前身バンドのテラプレインを入れるともっと長い)、とにかく元気だ。ダニー・ボウズの声の伸びとハリは絶好調であり、満面のスマイルを浮かべながら「グッド・イヴニング!」と観衆をあおる。ルーク・モーリーのギターもシブくなり過ぎることなく、味わい深い大人のハード・ロックで魅了した。
前回、2015年11月の来日では病み上がりでありながら元気なギターを聴かせてくれたベン・マシューズは、今回もタイトなギターとキーボード、そして安心させるスマイルで、バンドの演奏をがっちり支えている。ハリー・ジェイムズはお馴染みのギャグを封印し、ドラムキットに向かってプレイに専念しているようだ。クリス・チャイルズのベースと共に、ストロングでスウィング感あふれるイングリッシュ・ハード・ロックのリズムを叩き出している。
“ゼン”と“ナウ”のバランスを取りながら、新旧のナンバーを次々と繰り出すショーは、「リヴァー・オブ・ペイン」「バックストリート・シンフォニー」「ハイヤー・グラウンド」など初期からのフェイバリットは大きな声援で迎えられ、前作からの「リザレクション・デイ」ではダニーに導かれて「オー、オー♪」と合唱、<ラウド・パーク14>で日本プレミア披露された「ザ・シング・アイ・ウォント」は既にファンをワイルドにさせる定番ナンバーとなっていた。
1970年代のグラム・ロックを偲ばせる「リップ・イット・アップ」、大人も泣かせる「ライト・フロム・ザ・スタート」など新作からの曲も、往年のナンバーに劣らぬ感情の昂ぶりをもたらしてくれる。「ラヴ・ウォークド・イン」でドラマチックな盛り上がりを見せ、そのユルさに中毒性がある「アイ・ラヴ・ユー・モア・ザン・ロックンロール」で本編を終えると、バンドは一息をついてからステージに戻ってきた。アンコールでは「アン・イングリッシュマン・オン・ホリデイ」から本日のサプライズであるザ・フーのカバー「サブスティチュート(恋のピンチ・ヒッター)」が飛び出す。ボーカル・ハーモニーがかなりラフだったりしながらも、そのあたりはライブならではのご愛敬で、レアなカバー曲に場内の温度が急上昇していった。
そして、この曲をやらねばサンダーのショーは終わらない!というのが「ダーティー・ラヴ」だ。もったいぶったイントロから本編に突入、バンドと観衆が一丸となって歌い、飛び跳ねながら、大団円へと向かっていく。1990年、この曲でサンダーの歴史は幕を開けたが、当時の熱気が今もなお、この曲に宿っている。
この大阪公演を成功に収め、サンダーは川崎クラブチッタ2DAYSを敢行。「ラフィング・オン・ジャッジメント・デイ」や「ルーザー」、バッド・カンパニーの「キャント・ゲット・イナフ」やワイルド・チェリーの「プレイ・ザット・ファンキー・ミュージック」などのカヴァーも日替わりで披露された。“ゼン”と“ナウ”の新旧ナンバーに熱狂するジャパン・ツアーは、彼らがブリティッシュ・ロックの正統を未来へといざなっていく先導者であることを証明する祭典でもあった。

THUNDER<Mix It Up - Then & Now Tou
r 2018>

2018年1月10日@大阪・梅田クラブクアトロ

1.No One Gets Out Alive

2.The Enemy Inside

3.River Of Pain

4.Resurrection Day

5.Right From The Start

6.Backstreet Symphony

7.Higher Ground

8.In Another Life

9.The Thing I Want

10.Don't Wait For Me

11.Rip It Up

12.I Love You More Than Rock 'n' Roll

EC1.An Englishman On Holiday

EC2.SubstituteThe Whoのカバー)

EC3.Dirty Love

サンダー『ステージ』

3月23日発売予定

【完全生産限定盤Blu-ray+2CD+ボーナスDVD+ボーナスCD】¥8,500+税

【初回限定盤Blu-ray+2CD】¥6,800+税

【初回限定盤DVD+2CD】¥6,800+税

【通常盤Blu-ray】¥4,800+税

【通常盤DVD】¥4,800+税

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