尾崎亜美、コラボレーション・アルバム『Life Begins at 60』インタビュー

尾崎亜美、コラボレーション・アルバム『Life Begins at 60』インタビュー

尾崎亜美、コラボレーション・アルバ
ム『Life Begins at 60』インタビュ

1976年にシングル『冥想』でデビューした尾崎亜美。「第二のユーミン」と言われ、翌年リリースした『マイ・ピュア・レディ』が資生堂のCMに起用され脚光を浴びると、「オリビアを聴きながら」(杏里)や「天使のウィンク」(松田聖子)などを楽曲提供し、次々にヒットを飛ばす。柔らかい歌声と洋楽テイストのポピュラリティは聴く人に鮮烈な印象を与えた。そんな尾崎が昨年『Life Begins at 60』というタイトルで還暦イヤーを祝うライヴを開催し、今年1月17日にはコラボレーション・アルバムとして同名の『Life Begins at 60』をリリース。若手女性シンガーソングライターとして人気のmiwaやchay、シンガーソングライターとして尾崎同様、高いクオリティを持つ槇原敬之、レジェンドの小坂忠、スターダスト☆レビューの根本要、オペラ歌手グループLa Dill等の実力派アーティストと、自身の名曲たちをコラボレーション(以下:コラボ)する他、新曲“Harmony”も収録。今回アルバムでコラボしたアーティストたちの話や、音楽への想い、松任谷由実の言葉など多岐にわたり語って頂いた。

ー 昨年は今アルバム『Life Begins at 60』と同名のライヴを7月と12月に開催。普通はアルバムリリース後に同名のライヴをすることが多いじゃないですか。

あ、確かにそうですね。

ー だから意外に思っていたんですが、アルバムリリースについてはライヴがきっかけだったとか。

そうなんです。みんなが「還暦おめでとうの企画でライヴをしよう」と言ってくれたので演ってみたら評判が良くて。それなら音源化してはどうだろうというアイデアがディレクターからも出たし、私自身も面白いと思ったんです。ただライヴに出演して頂くよりもCDに参加して頂く方が、正直ハードルは高いんです。 レコード会社間の問題もあって。

ー そうですよね。

ただ、お友達だけど一緒にコラボをしていない。でもコラボしたらきっと面白くなるだろうと思う人たちが何人かいたので、折角だからと思い声をかけてみたんです。そしたら「尾崎亜美さんなら」と言ってくださる方が多くて、ハードルをわりとすぐに越えることが出来ました。それは本当に嬉しかったし、何より少々難しくなりそうになってもアーティストの方から「是非コラボをしたい!」と強く言ってくださって実現に至ったんです。

ー アーティストからの熱望というのは、かなり大きいですよね。

そうなんです。本当にありがたかったし、尾崎亜美とコラボしても決してつまらないことにはならないだろうし、何か楽しそうと思ってくれたことが嬉しいんです。例えばもっと私がビッグアーティストだったら、変な話ですがそこにあるメリットを考えてOKしてくれたと思うんです。でも私の場合、尾崎亜美というアーティストだから皆さんオファーを受けてくれた。しかも参加してくださったアーティストの方がそれぞれに私への想いがあって。例えばmiwaちゃんはお母さんが私の大ファンだったこともあり、彼女自身子供の頃からずっと聴いてきてくれたので「大好きなんです!」と言ってくれたり、chayちゃんもご両親の影響で私やユーミン(松任谷由実)の曲をよく聴いていたこともあって「ずっと聴いていた方とご一緒出来るのが本当に嬉しいです!」と言ってくれたり。

ー やはり尾崎さんの存在感ですね。

嬉しいです。マッキー(槇原敬之)も「日本のキャロル・キングだと思っているから、そういう人とコラボ出来るのが嬉しい!」と言ってくれて、レコーディング中もずっとテンション高かったんです。「フー!尾崎亜美がそこにいる!」って(笑)。

ー アハハ。でもその気持ちは分かりますね。ではレコーディングはそれぞれ楽しい現場だったんですね。

ええ。それと皆さんマイクにはこだわりを持っているので、マイマイクを持ってこられる方も結構いて。要くん(根本要/スターダスト☆レビュー)にも「何かこだわりのマイクがあれば持ってきてもらっても良いし、こちらでも用意出来るものがあれば用意しますから。」と言ったら「どんなマイクでも大丈夫です!何だったらマイクなくても良いです!」って(笑)。

ー アハハ!

「それじゃ録れないから!」ってツッコんだんだけど「それくらい嬉しいんです!」って言ってくれて。要くんはレコーディング中も時もずっと笑っていたので、きっと歌に笑顔が入っているかもしれない(笑)。「学生時代に尾崎亜美さんの音楽を聴いて、良い曲だと思っていたしすごく好きだった。そのデビュー曲を自分が歌っている!もうそれだけで笑える!」って。

ー「笑える」と表現する気持ちは分かります。テンションが上がる感じというか。

そういう姿を見ていると、逆に私も嬉しくなってくるんですよね。製作中、皆さんのそういう想いをずっと浴びているんです。だからかなりタイトなスケジュールだったけど、頑張れた!

ー 皆さんからの愛情がエネルギーとなったんですね。

そう!私は必ず良いミュージシャンと一緒にお仕事をしたいという気持ちがあるので、わがままですが続けられる限りはその部分を大切にしていきたいんです。たまたま配偶者(小原礼)が、私の中でのファーストオプションのベーシストだし、 屋敷豪太くんもファーストオプションのミュージシャンなので、三人でベーシックを録ってあとはゲスト・ミュージシャンという形で本当に素晴らしい方々に集結してもらいました。そういう意味でも最高に贅沢な音に仕上がったと思います。こういう作品を作れたのはスタッフ含め、本当に皆さんのお陰です。

ー 確かに参加ミュージシャン<小原礼(Ba)、屋敷豪太(Dr)、マイケル・トンプソン(G)、鈴木茂(G)、佐橋佳幸(G)、是永巧一(G)、小林香織(Sax)、尾崎博志(P.S.G)>が錚々たる顔ぶれですよね。

贅沢!

ー でも小原さんは勿論ですが、参加されたミュージシャンの殆どが、音源やライヴで尾崎さんの音楽を一緒に作ってこられた方々でしょうから、尾崎さんとしては贅沢でもありリラックス出来るメンバーでもありというところでしょうか。

そうですね。贅沢が日常になっていてすみません(笑)。まるで毎日キャビアやトリュフを食べているみたい。本当にそんな食生活していたら逆に身体に悪いけど、音楽ならね(笑)。

ー 確かに音楽なら身体にも心にも良いですよね。尾崎さんにとって「良いミュージシャン」とはどういうことでしょうか?

クリエイティブなことを一緒に楽しんでくれて、力を発揮してくれることが私にとっては良いミュージシャンです。私の音楽にいかにエネルギーをかけてくれるかどうかはすごく大切。殆どの方に「事前に音源をください。 自分なりに作戦を立てておきたいから」と言われたんです。

ー ビジネスライクな感じではなく。

そうそう。皆さん真剣に向かってくださって。それってすごく大事じゃないですか?

ー 大事です!

巧くてギャラが高い人は沢山いるけれど、プラスどれくらい私の音楽と真剣に向かい合って頑張ってくれるか?そこです。そういう意味では本当に恵まれています。参加することをみんなが楽しんでくれたので、その積み重ねがもしかしたら音に出ているんじゃないかと思うんです。

ポップシーン

ポップシーンは、ポップカルチャーからカウンターカルチャーまで、流行にとらわれない独自の目線で、編集部オススメのピックアップ記事や、インタビュー、ライブレポートなど、音楽を中心としたカルチャー情報をお届けするFANZINEスタイルのウェブメディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着