尾崎亜美、コラボレーション・アルバ
ム『Life Begins at 60』インタビュ
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ー そういえばchayさんとコラボした“初恋の通り雨”ですが、chayさんの歌声がオリジナルの、当時の尾崎さんの歌声のニュアンスに少し似ている気がしました。
chayちゃんって高い声が出るんですけど、少しハスキーなんですよね。ハスキーなまま高い。私も当時は今よりすごく高い声が出たから近いところはあるかもしれない。あんなに可愛くないけど。
ー いやいや。
ただ私自身、ハスキーだけど色々な表現が出来るように心がけています。あまり血とか汗とかを人になすりつけるような歌を歌いたくないという気持ちがあるから、自然とそうなっているのかもしれませんが。力強さは必要だけど優しい気持ちや切ない気持ち、愛おしい気持ちを表現出来る歌い方が出来たら良いなと思っているので、自分で育てているかもしれない。この声で何が出来るか。
ー このアルバムの中でも尾崎さんの表現力を本当に曲ごとに感じました。例えば“マイ・ピュア・レディ”と”風のライオン”では本当に全く違う表情ですし。個人的に”風のライオン”が大好きなんです。『Natural Agency』でのオリジナルも『Amii-Phonic』で福山雅治さんがカヴァーしたヴァージョンも。でも今回の小坂忠さんとのコラボは特別素晴らしかったです。
ありがとう!忠さんも病気を押して歌って下さって嬉しいですね。まだご本人としてはキツイ状態だったと思うんです。でもレコーディングに合わせて一生懸命リハビリをして下さったこ
ともみんな分かっているので、それだけでちょっとウルウルしちゃいます。
ー そうですよねぇ。でも小坂さんもこのレコーディングがあったからこそリハビリも頑張れたのかもしれませんね。
そう、すごく頑張ってくれて。あとは看護師さんが可愛かったのもあるかな(笑)。
ー 小坂さん!(笑)
男子は色々なことをモチベーションにして良いんです!
ー 勉強になります!(笑)
だからその2つ…2つっていうの嫌だな(笑)。看護師さんの話は別として(笑)、私の曲を絶対に歌いたいということで頑張ってくださったのが嬉しかったです。それでもやはり絶好調の
小坂忠さんの声ではないんです。だけどその時、一番頑張った忠さんの歌声です!それで十分です!宝物を頂きました。まるでこの歌詞は今の忠さんの為に書いたもののように感じるくらい。そう思わせる忠さんです。忠さんがレコーディングの時は見学者が多かったんですよ。ギターの佐橋(佳幸)くんなんて「今日、忠さんが歌うって聞いたから」って、全然時間前に来て忠さんのレコーディング見てウルウルしていました。
ー そういうお話を聞いただけで、ウルウルきちゃいます。
本当に嬉しかったですね。
ー そしてアルバムの最後を飾るのは新曲の“Harmony”。改めて曲についての想いをお聞かせいただけますか。
このアルバムにどういう曲を入れるか少し決まって、アレンジも始めていた頃からのアイデアだったんです。本当に個性的な色を持ったアーティストの方々が集結してくださるので「調和」という言葉が頭には浮かんでいたし、ずっと自分の中から消えなかったんです。だから、ダイレクトなんですが“Harmony”という曲を書いちゃえ!と思って。本当に個性的な「あなた」と自分が最高の瞬間を迎える時がハーモニー。そういうことをテーマに作った曲です。
ー メロディも歌声も瑞々しくて、すごく胸が踊りました!それに先程のお話ではありませんが、やはりそこは尾崎さんの表現力なんでしょうね。
自分が飽きっぽい性格だということもあるんですが、プロデューサーとしての私が、
尾崎亜美というシンガーに何をさせたいかを追求していて、「こんな歌い方もしてみたら?」「こんな歌も歌ってみようよ」って自分からの命令で歌っています(笑)。そうすることで色々な色合いが出せるようになってきたんだと思います。
ー それとブログを拝見させて頂きましたが、尾崎さんは物凄い料理上手で、アルバムにまつわることの参考で読んでいるはずが、いつの間にか料理の写真に釘づけになっていて(笑)。
アハハ!確かに私のブログは料理の写真多いよね(笑)。
カラスミ作っていたり。
ー そうそう、あれは凄いですよね!
もう一種の病気です(笑)。このアルバムの制作で猛烈に忙しい最中にカラスミを作っていました。
ー アハハ!
だけどそのくらい好きなお料理までも出来ないと思うと、私の中で危険信号が鳴ってしまうから、お料理が出来ているということで何とか平静を保っているかもしれません。
ー 今回のアルバムを料理に例えるとしたら、何でしょう?
自分のソロアルバムだともっと我儘なコース料理を創りますけど、今回はアラカルトでありながらどれもメインになっていますよね。
ー 確かにそうですね。
それでもストーリーは作らなければいけなかったので、ちょっと変わったコース料理になっているかな(笑)。全部がメインになりうる、でもコース料理。
ー『Life Begins at 60』(=人生は60から始まる)タイトルも素敵ですね。勿論大勢の方に届いてほしいとは思いますが、特にどういう方に聴いてもらいたいですか?
よく「もう○歳になったから」と、年齢を考えて色々なことを諦めるようなことをおっしゃる方がいますよね。それが案外40歳とか50歳とか、私からすればまだまだと思う世代だったり。でも世の中もどんどん変わっているから、そういう中でも「まだ70歳だから」と言われる方もいる。それならせめてアーティストくらいは「60歳でもやんちゃですよー!」とハッキリ言っても良いじゃないですか。露悪的な意味ではなく、還暦を隠すつもりもないから「60」と言っていますが、幾つになっても「大人の音楽を目指します宣言」はしない。逆に「大人だからやんちゃしています宣言」になれば、元気を失くしている人も「そういえば尾崎亜美がそんなこと言っていたな。」となるだろうし。私自身、新しいことにチャレンジする気持ち満々なんです。
ー いいですね。
私、自分の過去作品も大好きなんですよ。愛情もあります。でもそれだけで生きていくことは出来ないし、それだけで活動も出来ない。留まった水は濁って、やがて腐るでしょう。
ー ええ。
でも流れていれば濁らないし腐らない。感性は動かしていないと腐ると思っているんです。だから自分がいかに何かをキャッチして、新しい世界を作ろうとするか、その意欲を持っていられるかを総称して、シンボリックな意味で『Life Begins at 60』というタイトルを付けさせてもらいました。礼さんのお義姉さんに「『Life Begins at 60』というアルバムを出すんだ。」と伝えたら「何言ってるの、亜美ちゃん。Life Begins at 70よ!」って(笑)。
ー 素敵ですね!
だからどの年齢でも「人生はこれからだ!」と、それぞれが思えるヒントにちょっとでもなれたら嬉しいです。おこがましいけど、これは理想というか夢というか「そうだったら良いな」という願いです。
ー ありがとうございました。
interview&text:秋山昌未
■ 尾崎亜美オフィシャルサイト
http://www.ozaki-amii.com/■ リリース情報
尾崎亜美
「Life Begins at 60」
2018年1月17日発売
-収録曲-
1. 1グラムの歌/
槇原敬之 & 尾崎亜美
2. マイ・ピュア・レディ/
miwa & 尾崎亜美
3. 冥想/根本 要 & 尾崎亜美
4. Smile/La Dill & 尾崎亜美
5. 初恋の通り雨/chay & 尾崎亜美
6. 風のライオン/小坂 忠 & 尾崎亜美
7. Harmony/尾崎亜美
All Songs Written and Arranged by 尾崎亜美
Produced by 尾崎亜美 and 小原 礼
CD
CRCP-40541 / ¥2,500+税
■ インフォメーション
静岡『SBSラジオ開局65周年特別コンサート』
2018年2月24日(土)
16:30/17:30
富士市文化会館ロゼシアター大ホール
出演:尾崎亜美・杏里・
中村あゆみ東京『オールナイトニッポン50周年記念 あの素晴らしい歌をもう一度コンサート』
2018年3月4日(日)
15:00/16:00
日本武道館
□ 出演
泉谷しげる・イルカ・
宇崎竜童・
太田裕美・尾崎亜美・
海援隊・
きたやまおさむ・
坂崎幸之助・
南こうせつ・
森山良子・
渡辺美里 ほか
□ ニッポン放送パーソナリティ
上柳昌彦・高嶋ひでたけ・松本秀夫