[第37回]宮澤佐江の2017年「初めて『
よくがんばったね』と自信をもってい
える年」4つの舞台を振り返る

2017年、4つの舞台に出演した佐江ちゃん。初めて自分に言える「よくがんばったね」。自信をもってそう言えるようになった、それぞれの作品を振り返り、今年ラストを締めくくります。

ーーさあ、佐江ちゃん。今回もよろしくお願いします。
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よろしくお願いします!
ーー早いもので今回は、今年最後の「ミラチャイ」更新となります。
ついに来ちゃいましたね。今年も、もう終わり! あっという間の1年でしたね。
ーー本当に。今年は舞台に始まり、舞台に終わった1年でしたね。
そうですね。こんなにたくさんの舞台に出演するのは、これから先、もうないんじゃないかって思えるくらい、今年は舞台イヤー(YEAR)でしたね。
ーー「お稽古」と「本番」をくり返して、4つの舞台に出演しました。
2月から12月まで「お稽古」と「本番」をやっていましたからね。本当にありがたいです。
「ミラチャイ」では何回も言っているけど、数カ月後のお仕事が決まっていて、先のことを見通せているというのは、私にとって初めての経験だったから。
48グループを卒業して、「やっと、ひとりで仕事をしているな」って思えた1年だったかもしれません。
私は、「自分のために」というより、「人のために」がんばって生きてきているところがあるんですが、今年は、
「あなたが今までやってきたことが、1つひとつ着実に形になった1年だったよ。よくがんばったね」
って、自分自身に初めて言えるというか。自信をもって総括できる1年だったと思います。
ーー『王家の紋章』と『朝陽の中で微笑んで』は、いずれも帝劇での舞台でしたね。同じ大劇場に2度立つというなかなかできない経験もありました。
まったく違う作品なので、同じ舞台に立っているという感じではないんです。でも、帝劇の楽屋は畳の部屋なので、楽屋に入ると「ああ、帝劇にいるんだ」って、改めて思います(笑)
今年を振り返ると、この1年出演させていただいた作品の「順番」も素晴らしかったと思うんです。
ーー今年の1作目は『王家の紋章』再演でしたね。
いい勉強、初めての経験
プレッシャーを感じながらも、自分よりもすごい方たちしかいない世界で、とにかく皆さんの背中を見て、その方々から何か盗めるものはないかと思いながら臨みました。
再演ではあったけど、初演と言ってもいいくらい作り直していった作品だったから。「悔しい」「苦しい」という思いがあったり、痩せるところまで痩せたりした作品でもありました。
でも、最終的には悔いもなくて、大阪公演までやり終えることができて。楽しかったし、すごくいい勉強になった作品でした。
ーーその次は、夏にあった『ピーターパン』の舞台でしたね。
はい。観てくれるお客さんが「子ども」をメインとする作品だったので、いかに分かりやすく伝えらえるかを考えた作品でした。
私が演じた「タイガー・リリー」は、感情の動きが毎回ある役ではなくて、いかに毎回同じことをし続けることができるかを考えました。
「これまでの役のなかで、一番難しいかもしれない」って、「ミラチャイ」でも話したと思うけど(第26回)、ありのままの宮澤佐江ではダメで、タイガー・リリーとしていかに生きるかが、すごくむずかしかった。
「役を演じた」っていう感じのお芝居は初めての経験でした。
『ピーターパン』が終わった後、夏にロサンゼルスへ行って、パワースポットにも行って。気分転換をして、頭を切り換えて。(第30回)
ーーいよいよ3作目の『TOKYO TRIBE』です。
そうですね。稽古に入るまでは、「共演する人たちは、女子も少ないし年下だし。男子ばっかりだから、友だちなんてできないかな」
って思ってたんです。それまでの作品では、カンパニーにずっと恵まれてやってきたけど、とうとう『TOKYO TRIBE』で「ひとりカンパニー」になっちゃうかもなぁって。もし、取材で聞かれても、
(鼻をつまんだような、作り声で話す佐江ちゃん)
「ホントにぃ、いいカンパニーにぃ、恵まれてぇ」
って、自分を作らなきゃいけない作品がきちゃったなぁって。そうしたら案の定、初めての稽古場で、
うわッ……、男ばっかりだ…。ど、どぉしよう……
って、めっちゃ「人見知り」が出てきちゃって。なのに、なのに。フタを開けたらビックリ!
「ビックリのカタマリ」すぎた
な、なんだ?! このスゴい人たちは??
カッコよすぎ…、ラップすごッ…、ダンスすごッ…
B-BOY B-GIRLすごォッッ!!
あら? あらららら〜って(笑)
目がいくつあっても足りないし、気づいたらそこに笑いの渦がいっぱいあって、一生の友だちが「わんさか」いて。掘れば掘るほど、ザックザック、出るわ、出るわという感じで。
初めてでした。こんなに幸せで、楽しくて、大爆笑に包まれていたカンパニー。だから稽古に入る前に、あんなことを考えていた自分を、皆に謝りたいくらいです(笑)
ーー取材のときも、稽古前と稽古に入ってからとでは、『TOKYO TRIBE』についての佐江ちゃんの反応が、明らかに違っていました(笑)
いや、いや、いや(汗)。『TOKYO TRIBE』は、「ビックリのカタマリ」すぎた。
最初は、「ファンの人のために出よう」と思っていたくらいで。作品は確かにおもしろそうだし、ファンの人へ、踊っている姿をずっと見せられていなかったから。
でも、48グループにいたとき、SKE48になってからは、ダンスの振りをなかなか覚えられなくなってしまって。昔は先生が2回踊っただけで、暗記できていたのに。今は、3、40回踊ってもらわないと覚えられない。
そういうのを『TOKYO TRIBE』でまた繰り返すのか…。という気持ちも正直あったんです。
だから「ファンの人を思って出演する」が一番の動機ですからねッ! っていう思いが、正直最初はあったんです。
でも実際には、ファンの人より、誰より、自分が一番に楽しんじゃって。アッハハハハハハ、ハハハハァッー(豪快に笑う佐江ちゃん)
振りや楽曲をつくる瞬間を、リハーサルからずっと間近で見て。
ラッパーさんたちが、作品に合ったラップの歌詞を作るという宿題をもらったり、その宿題を提出したりする瞬間も見ました。
「ラップって、自分で歌詞考えるの? 韻をふむのも自分で考えるの? 」
っていうところから始まり、歌詞に合わせてビートボックスも自分たちで考えて。BBB(Beat Buddy Boi)も、シーンの雰囲気に合った挑発的なダンスを考えて、その場で振り付けをし始めたんです。
梅棒はジャズっぽい包み込むようなダンスを考えて。私は、創り出されるダンスの1つひとつにビックリ。
それぞれが「個々」で作ったものを、ひとつの作品にしていく経験は、それまでになかったことだから。
ーー同年代の共演者の方が多い作品でもありましたね。
作品の”順番”
全然違う世界で活躍している同年代への興味があって。『TOKYO TRIBE』では、出ていた人たちが皆そう思っていたところがあったと思います。だから、毎回皆で食事をするときも楽しかったんです。
あるときは、私がアイドルから女優になった過程を話す。
あるときは、どうしてB-BOYになったのかを聞く。
今日は、SHUNはなんでラッパーになったのかを聞く。
今日は、BBBは何でダンスを始めたのかを聞く。
というように、毎回、「へぇーーー!! 」「えーー!? そのとき佐江も出てたよ! 」とか言いながら皆で話すんです。そういうのがすっごく楽しかった。
もちろん、プライベートと本番とでは、ちゃんと切り替えもできていて。そこにも皆のプロ意識をすごく感じられました。それで自分も、「お芝居でこの作品を引っ張っていく存在に立ちたい」って、恐れ多いけど思えたんです。
それが終わってからの『朝陽の中で微笑んで』の舞台だったんです。
『朝陽の中で微笑んで』では、周りの方は、ほぼ、大ベテランの方ばかりで。もちろん同世代の人もいるけれど。そのなかで、たまたま私がヒロインをさせていただいていて。
『TOKYO TRIBE』で学んだ「芝居をがんばらなきゃいけない」という「意識感」というのかな。その「意識」をもてたおかげで、『朝陽の中で微笑んで』では、すごく柔軟性をもって作品に臨むことができたんです。
ーーもしも、作品の順番が違っていたら?
いや、いや、もう、ムリ、ムリ、ムリ(汗)
今年の4作品は、もし順番が変わっていたら、どの作品もできなかったんじゃないかな。しいて言うなら、『TOKYO TRIBE』の…、いや、いや、ないな、ない。
『王家の紋章』で学んだことも、今、すごく生かせているし、『TOKYO TRIBE』で学んだことも生かせているし。
ーー『ピーターパン』もそうですよね。演出家の松任谷正隆さんが、『ピーターパン』で佐江ちゃんのダンスをご覧になって。それが、『朝陽の中で微笑んで』のダンスシーンにつながったわけですから。
「朝陽〜」から「地球ゴージャス〜」
そう、そうそう! ほんとにその通りです。正隆さんがたまたま『ピーターパン』を見に来てくださって、「この子踊りもできるんだ」って認知してくださった。
『朝陽の中で微笑んで』のダンスシーンを創るとき、想像を膨らませる鍵になるものがあったのかもしれません。
ーー『王家の紋章』ではダンスシーンはありませんでしたから、作品の順番はやはりこの順番でよかったんですね、きっと。
本当にそうですね。
来年は、『朝陽の中で微笑んで』を終えてからの、「地球ゴージャス」2度目の出演です。どうなるんだろうなぁ。。
ーーちょうど明日は、地球ゴージャスプロデュース公演vol15.『ZEROTOPIA』の製作発表会見ですね。(編集部註:取材日は12/4)
そうなんです。明日、(新田)真剣佑に会えるんですよぉっ、つ・い・に!
ーー「ミラチャイ」スタッフも、記者会見にうかがいます。
そうなんですね! ありがとうございます! 2度目の地球ゴージャスは、いろんな意味で一番プレッシャーを感じちゃうかも。
「佐江ちゃんは成長して、もうできるもんね」って見られるだろうなって思いますし、そこで自分がどれだけ自由に動けるのか、どれくらいの発想力をもてるのか。。
(岸谷)五朗さんが書いた脚本を、どれくらいいろんな視点で見られるか、どれくらい役に入り込めるか。それをどういう形で観せられるのかは、これまでとは変わってくると思うんです。
初めてのときは、ただただ楽しくて、ただただがむしゃらで。言われたことに対して、ただただ必死だったから。動きひとつとっても「自分の意思で動く」という感じではなかったから。
自分では動けなかったので、五朗さんに1つひとつ細かく動きを付けていただいて。寺さん(寺脇康文さん)にいろいろ教わったことを、全部メモに書いていた時代だったので(汗)
2度目のときは変わっていくだろうなと思います。
ーー2018年の舞台のお話も出たところで、そろそろ2017年のラストを締めくくりましょうか。
「いい、加減」
はい! 達成しましたよ、「自然体」!(第14回)
(一同、拍手)
「結果よければ、すべてよし」というわけではないんですが、2017年を終えようとしている今が、めちゃくちゃ自然体なんです。
めっちゃ「いいかげん」に生きられています。「いい、加減」ですよ!
あっ!!
ーー えっ??
こういう1年を送ることができたのも、「神さま」のおかげだと思っています。今年から毎月、月の初めに神社へ手を合わせに行っているんです。今月はまだ行けてないのを今、思い出しました(汗)
1月1日からずっと同じ神社に手を合わせに行ってます。手を合わせて報告しているだけなんです。
「先月も1カ月ありがとうございました。今月はこういうことがあるので、どうか見守っていてください。見守ってくださるだけで十分です」
という感じで「報告形」で手を合わせます。1月1日だけ、
「今年はこういうことがあります。私は幸せになります。作品大成功します」
という感じの「宣言形」です。そのおかげで、今年もここまで過ごして来られたんだと思います。
ーーとってもいい習慣ですね。
ありがとうございます。ああ、もう4日も経っちゃった。早く手を合わせに行かないと!
ーー早く行けることを願ってます! それでは、最後になりましたが、ファンの方へ、2017年ラストのメッセージをお願いします。
違う役の「宮澤佐江」
ファンクラブイベントは「年に4回やりたい」っていう希望は叶えられなくて、ファンの人が宮澤佐江に会える機会より、宮澤佐江が違う役になっている姿しか見せられなかった1年だったなって思ってます。
でも、いつから応援してくれているかは、それぞれ違うと思うんだけど、この1年、とくに夏以降の『TOKYO TRIBE』や『朝陽の中で微笑んで』は、ここ数年のなかで、佐江が一番生き生きして呼吸している姿を見せられていたと思います。
苦しい、もがいている瞬間もあったけれど、自分自身がそう感じているから、ファンの人はそれを自然と気づいてくれているんじゃないかなって思います。だから今、ファンの人はとっても安心できていると思うんです。
それを見せられてよかったなって思いますし、それを感じてもらえるファンの人がいることはすごく嬉しいです。
舞台のときも毎回、大量のファンレターをいただいて。今年は皆、宮澤佐江の舞台に対するお金が減りまくったでしょう。。
「そろそろ佐江ちゃんに会いたいよ」
っていうお手紙ももらいます。でも、それよりも「佐江ちゃんが新しい世界を見せてくれているし、プライベートで楽しいSNSを更新できてもいる。舞台上で生きている佐江ちゃんが、しっかり自信をもってやり始めている」
「そんな佐江ちゃんを見られるのが幸せだから、このスタンスでも全然耐えられるじゃん、私たち」って、思ってくれているファンの人が多くなっているのも、本当にこの1年で感じられました。
会いたい気持ちは一番にあるかもしれないけど。。
「数字がすべてじゃない」
でも、この人たちは、きっとこの先もずっと応援してくれる人たちだろうなって感じているから。そういうファンが何千人もいるかといったら、そうではないけど、そう思ってくれる人がひと握りでもいてくれたらそれでいい。
そう思えるくらい、「数字がすべてじゃない」ってこれまで以上に思えるようになりました。自分も大人になったのかなって思います。
48グループにいるときもそう思っていたけれど。順位とか、票数とか、結果に残るのは数字かもしれないけど、そこじゃない。一歩外に出ても、やっぱりそう感じているから。
それはファンの人たちからも伝えてもらっていて。一生付いてきてくれるっていう人たちのためだけにがんばる。その人たちがもし減ったとしても、減れば減るほど、私の愛は増えていくだけだから。
仮に100人いて1パーセントのものが、50人になったら2パーセントずつになるわけですから!
来年は、自分の中ではもう決めつつあることもあって、それはとても前向きなものです。来年の抱負をお話するときにまた言いますが、その抱負がファンの人にも、前向きな抱負として聞こえてくれたらいいなと思っています!
ーー2018年初回の「ミラチャイ」連載は、佐江ちゃんの新年の「抱負」からお聞きすることになりそうですね。
はい! よろしくお願いします。
ーーそれでは佐江ちゃん、今年も1年、たくさんのお話をありがとうございました。来年の「ミラチャイ」連載もよろしくお願いします!
ありがとうございました! 皆さん、今年はどんな1年でしたか? これからクリスマスそして、お正月ですね。皆さんが素敵な年末年始を迎えられますように。2018年の「ミラチャイ」でまた、お会いしましょう!
撮影:山田大輔 スタイリング: 藤井エヴィヘア&メイク: 伊藤遥香
次回の更新は、1/5(金)予定です。

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