[第32回]宮澤佐江、舞台『TOKYO TRI
BE』で受けた"未体験の刺激"の数々を
熱く語る【ロング】

舞台『TOKYO TRIBE』は現在東京・渋谷で公演中。名古屋と大阪公演を今後に控えた佐江ちゃんが、ダンサー、ラッパー、シンガーのプロたちから受ける未体験の刺激を熱く語ってくれました。

ーーさあ、佐江ちゃん! 今回もよろしくお願いします。
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よろしくお願いします!
ーーさあさっそく今回は、現在、公演中の舞台『TOKYO TRIBE』のお話をたっぷりお聞きしていきますよ。
ありがとうございます!! 早くしゃべりたくて、「ミラチャイ」取材の日が待ち遠しかったです!
ーーありがとうございます! ミラチャイスタッフも昨日、舞台を観させていただきましたよ!
来てくださったんですね! ありがとうございます!!
ーー観てからインタビューできてよかった。それほど新しい舞台を観させていただいた、そんな印象です。
うんうん。
ーー今回は佐江ちゃんにお話を聞きながら、『TOKYO TRIBE』の舞台のすごさをひも解いていけたらいいなと思っています。
そうですね。
今回共演している皆は、自分がお仕事をしている世界とは、離れた世界で活躍されている人たちだから『TOKYO TRIBE』の舞台がなければ、出会うことはなかったと思うんです。
役者としてやっている方が、たくさんいるわけでもなくて。
主演でメラ役をやっている、Beat Buddy Boi(以下、BBB)のSHUNくんをはじめ、BBBの皆も今回が初のお芝居だったんです。
BBBの皆は、“歌に合わせてダンスで表現する”梅棒さんたちの舞台づくりのシステムを知っていたけど、稽古に臨んだら、ダンスだけじゃなく、意外にも殺陣のシーンや、人を殴ったりするシーンがめちゃくちゃ多かった。
やったことがないことがありすぎて、「えーーーー!! 」みたいな感覚になったって、言ってました(笑)
ーー自分の本領域でないものが、全員に課されている感じですね。
どこでみんなを引っ張っていけばいいか…
そう、そうなの!
自分たちの得意分野と未体験の分野とが、皆それぞれにあって。「ここは俺(私)がリードします。でも、こっちはリードお願いします」っていう、関係性が自然とできていったんです。
でも、そのなかでも私は、一番得意分野をもっていないと思うから、“自分はどこで、みんなを引っ張っていけばいいんだろう” って、稽古中にすごく考えてました。
ダンスがズバ抜けてできるわけじゃない。もちろんラップもできない。お芝居の経験だって、皆のなかではある方なのかもしれないけど、人生のなかの経験としては、まだまだ。
でも、後々皆でご飯を食べに行ったときに、ちょっとしたことですが、“周りに刺激を与えられていた”って聞けたんです。よかった…と思って、今、すごく楽しく本番を迎えてます。
ーー台詞や、説明を極力排除されているようでしたが、ストーリーはすごくわかりやすかったです。
すごく嬉しいです。よかった。
ーー登城人物の関係図を見たときに、すごく複雑に話が展開していくのかな、と思ったのですが、話に太い道筋があって、そこにいろんな人が絡んでくる感じだから、すごくわかりやすくて。
うんうん。
ーーその絡み方を台詞ではなく、歌、ダンス、パフォーマンスで観せているのがすごいな、と思いました。
シナリオってどうなってる?
私自身、最初は原作のコミックを知らなかったんです。だけど、舞台のシナリオを見たとき、すごくストーリー展開がわかりやすいと思いました。
台詞があまりない分、ラッパーさんが今回の舞台のために歌詞を作ってくれたりもしているんです。
ーー台詞がないというと、シナリオはどうなっているんですか?
最初にもらったシナリオと、今作品になったものでは、設定もだいぶ変わったところがあるんです。シナリオには
渋谷の街
SARUが楽しく会話をしている
そこに現れる書記長
(編集部註:SARU=渋谷を縄張りにするトライブのひとつ、トライブ=徒党)
…という感じで、曲目ごとに箇条書きされているんです。作りながら、脚本が厚くなっていったシーンもあります。
頭の中に残るシーンがいっぱいあるのは、やっぱり梅棒さんの演出だからこそなんだろうなって、すごく感じてます。
もちろん舞台は1時間半しかないから、コミックや映画化された作品とは違って、ストーリー展開は早いと思うんです。
だけど、1時間半という短い時間のなかで、痛々しい部分もありながら、最後に気持ちがほっこりして、思わず泣けてしまう。そんな感情にまでなれるというのはすごいなと本当に思います。
ーー今回、演出されたのは、梅棒の伊藤今人さんですね。今人さんはキム役で舞台にも出演されていて。
公開処刑!?
そうなんです。演出家の方が一緒に舞台に出るのは、地球ゴージャスの岸谷五朗さんもそうだったので、驚きというものはなかったんだけど。今人さんが実際に舞台に入ったのは、ゲネが初めてだったことには驚きました。
今人さんは、本番ギリギリまで代役の方を立てて、自分は演出をされていて。五朗さんは、それよりもう少し前に自分が舞台に入っていたから。
初日の本番では、今人さんが誰よりも緊張したと思う(笑)。今人さんは、すごく細かく演出してくださるんですよ。
稽古のときから毎日のように“ダイジェスト”が送られてくるんです。“ダイジェスト”というのはいわゆる“ダメ出し”なんですが、梅棒さんの中では“ダイジェスト”と言っているんです。
「ここのシーンは、もう少しこうした方がいいんじゃないか」
って、スタッフと出演者の全員が共有できるように送ってくださるんです。例えば私への指摘も、私だけに言うのではなく、全員に。言って見れば“公開処刑”なんですが。あははははは(笑)
ちょっと心が痛むこともあるんだけど、“気をつけよう”って、危機感をもてるんです。
ーー他の人への指摘もわかるのはいいですね。
そうなんです! 相手がお芝居を変えることによって、自分もこうしてみようって思えるから。
今人さんは、今回の作品と、普段の梅棒の作品とでは違ったみたいで、やることもすごく多かったようです。「ダイジェストに書いてあることは、個々で話し合って、次には完璧にしておいてください」って言われてました。
皆で共有しなければ作れない作品だという環境を作ってくれていたこともあって、カンパニーの皆は本当に仲がいいです。とにかく素晴らしいカンパニーなんです。
ーー稽古場はどんな雰囲気でしたか?
メンズたちに助けられました
「稽古場は恥をかいていい場所だ」
って、地球ゴージャスのときに初めて言われたんだけど、そう言われても、人前でお芝居するのは、やっぱり緊張しちゃうんです。
毎回、「ミラチャイ」でも話すんだけど、稽古のときに緊張したり、“恥ずかしい”っていう思いが、やっぱり出ちゃう。
だけど今回は緊張というものがなくて。稽古が始まって3日目くらいに私も合流したんですが、すでに稽古場にフレンドリーな空間ができていて。だから緊張しなかったんだと思うんです。
ダンサーさんや、BBBの皆は、今回が初共演だけど、お互いの名前は知っているという関係だったから、初めから皆が、チームワークがよかったんです。そこはメンズたちに助けられました。
やっぱり演出の今人さんや、梅棒さんたちがそういうフレンドリーな空間を作ってくれているからだろうなって、稽古場で感じてました。
ーー佐江ちゃん演じる“スンミ”という役柄は、今回どんなふうにつくっていったんですか?
“スンミ”という役柄は、“強い女性”というキャラクターがしっかりとあるから、いい意味でも悪い意味でも、「こうして、ああして」っていう指示は、今人さんからあまり言われませんでした。
舞台では、舞台バージョンのスンミをやらせていただいてます。もちろん、スンミの芯の部分は、原作のコミックと変わりません。
“気が強くて、感情をうちに秘めている”のが原作コミックのスンミなら、舞台では“悲しい”“嫌だ”“助けて”っていう感情を、表に出していこうと思っていて。
スンミという女性が、どう物語を動かすか。稽古中はそれをすごく考えて、自分でそのときに思った感情を出してみて、どの表現がいいか今人さんに判断してもらってました。
今回は基本的には、自分から出している芝居でやらせていただいていて、その点はいつもと違う部分というか。これまでは演出家さんに言われたことに、近づけていくようにして役柄を組み立てていったから。
よかったなと思うのは、スンミの内に秘めた感情を表に出してよかったこと。“気が強いけど、心の中ではさみしさをもっている”というのだと、表現するのはとっても難しくて。
原作を読んでいる人ならわかっても、読んでいないと“ずっと気が強いままで、何だったんだろう?? ”って、観ている人に疑問が残っちゃうと思うんです。
やっぱり舞台だからこそ、感情をオープンに出せて、役としてよかったなと思います。そうじゃないと、パワフルな他の役柄たちを動かせないなとも思ってるんです。
ーー確かに全員パワフルな方ばかりですよね。役柄としてもパワフルですが、各分野のプロの方から受けるものはすごいものがありました。
TOKYO TRIBEロス、きそう?
“自分はこれで生きていく”って決めて、その道1本でやっている人たちからの刺激ってすごいんです。
『TOKYO TRIBE』では、ダンサーさんや、ラッパーさん、シンガーをしている人が芝居をしていて。もともとの自分の分野とのギャップに向かい合ってる人たちを目の当たりにするのって、すごく刺激的です。
すごく楽しいし、やりがいもあって、刺激も毎公演もらっていて。舞台が千秋楽を迎えたら、久々にすごくさみしくなりそう。稽古の中盤くらいから、すでにそう感じ始めていて、“これはもう、ヤバいやつだ! ”って。
ーー“ロス”という言葉は出ないのかな? と思ってましたがやはり…
めちゃくちゃ出ると思う! ヤバいよぉぅ、本当に。。
ーー『TOKYO TRIBE』と、次に出演する『朝陽の中で微笑んで』とでは、舞台の世界観がまったく違うようですから、感情の振り幅も大きそうですね、…というか佐江ちゃんの今年の出演作を思い返すと、振り幅がとても激しいですね。
激しいですよね(汗)。私の“ココロの波”の動きも激しくなるはずだ!! あはははは!
あー、もうそろそろ、私が嫌いな季節、“秋”が来ちゃうよー。いつも秋は気分が沈んじゃうんだよなぁ。朝陽の中で微笑むんだから、沈んでいられない!
ーーでも、『TOKYO TRIBE』で交友関係も広まって、千秋楽後も素敵な関係が続きそうですから、沈んでいられないかも!?
そうですね。私は、基本的に共演した方たちをすごく好きになって、作品が終わった後も、皆の活躍を観たいと思うタイプだから。
ラッパーさんのライブに行くとか、ソロのシンガー、ダンスボーカルユニットのパフォーマンスを観るとか。そういう“未体験”のことを、経験できる機会がこの先あるのかなと思うとすごく楽しみです。
“こんなにすごい人たちとお仕事していたんだ”
って、今も感じてるけど、作品が終わった後も、心と体で感じたいと思っているから。そう思えるプロの人たちばかりだから。
ーーそうですね。今回は男性陣もすごいですが、女性陣のパフォーマンスも本当に見応えがありました。
コミュニケーション・モンスター
最高でしょ!? (魚地)菜緒も、(當山)みれいも最高ぉっ! ふたりは17歳と19歳なんですよ!
ーーおふたりとの関係もすごくいいんですね。
年齢は10歳も離れてるけど、やっぱりそれは、48グループにいたときの経験がすごく役に立っているというか。
もともと、女性と接するうえでは、年上の方より、年下と仲良くなる方が得意だったので、ふたりといてもノンストレスです。でも、逆に菜緒とみれいの方が、私に気を使ってないかな?? とも思ったり。
でもそこは、48グループに10年いた私の“コミュニケーション・モンスター”が大活躍して。ふたりからはまったく気を使われていないのがわかります。あはははははっ! それはそれで嬉しくて、すごくラクです。
ーー年下に気を使わせないようにするには、テクニックが必要ですよね。
ええ、ええ、これはもう、テクニックっすねぇ〜〜(得意満面な笑みを浮かべる佐江ちゃん! )
菜緒&みれい「佐江ちゃん、うるさい! 」
佐江ちゃん 「あん? 誰に向かって言ってんだ?? 」
って、フツーに言ったり、言われたり(笑)。楽屋もすごく楽しくて、ふたりとも大好きです!
舞台を観てくれた方の感想が気になって、#TOKYO TRIBEで感想を見ると、女性3人のキャストについては、ダンスは菜緒が、歌はみれいが、お芝居は佐江が引っ張っていて、バランスがすごくいいって。
そういう感想をよく目にするから、すごく嬉しいです。
ーー本当に楽しそうですね。『TOKYO TRIBE』を観て、来世では自分もダンサーになりたいと思ったくらいです。
未経験のジャズに (゚o゚;)
えーーー!? 本当ですか?
私もダンスがすごく好きなんだなって、改めて感じました。
最初『TOKYO TRIBE』のお話がきたとき、自分のためもあったけど、“ガッツガツに踊っている宮澤佐江をそろそろ観たい”と思っているファンの人もいるだろうなと思って。それでこのお仕事をお受けしたんです。
だけどよく考えたら、“スンミはガッツガツには踊らない役だよな”って、後で気づいたんです(笑)
でも、ガッツガツには踊らないんだけど、今回初めてジャズで踊るシーンがあるんです。
ーーメラ役のSHUNさんとふたりで踊るシーンですね。
はい。ふたりともジャズで踊るのは未経験。なので、振り入れされたときは、鏡に映したみたいにふたりとも同じ表情になっちゃって。
クマができちゃったみたいに、急に目の下が真っ黒になっちゃって、目が半開きの状態になっちゃった(笑)
難しすぎて、毎日、めっちゃ練習しました。本番になってやっと作品になったという感じです。
本番の映像を見ると、ふたりとも同じタイミングで、同じ高さくらいまで手足を上げていたり、角度も似てきていたり。本番に入ってからさらに呼吸が合って、通じ合えてきてるんだなって感じてます。
振り付けしてくださった梅棒の方が、毎日舞台袖で見てくださって、「どんどんよくなってきてる」って、言ってくださって。それが嬉しくて!
“そう、これ、これ、これ!! この結果が出る感じが楽しいよねぇ。。”って、達成感をすごく感じました。
ーー今回の「ミラチャイ」連載の更新は10/6(金)。『TOKYO TRIBE』の東京公演は、現在上演中で10/8(日)まで。名古屋公演は10/11(水)・12(木)、大阪公演は10/21(土)・22(日)までですね。
脳が興奮したまま
はい。リピーターの方も増えているみたい。本当によかった! バトル(抗争)のときは、メインを見たくても、その横で本気のバトルをしているので、目がふたつだけじゃ足りないくらいだと思う。
2度、3度観てやっと、“ああ、この人はこういう動きをしているんだ”って、わかる感じのすごいアクションです。
ーー舞台を縦横無尽に使ってアクションされてましたからね。殺陣のシーンも多かったですし。
あれは体力使いますもん。皆、ハァハァしてます。
男の人たちは、めっちゃ動いて、めっちゃ食べるもん。たくさん食べてもすぐ消化しちゃって、皆、痩せていってたもん。
「顔がコケコケして、アゴが尖ってきてるけど、大丈夫?? 」
みたいな感じです。
ーー佐江ちゃん自身は体力的にどうですか?
男性陣は体力を使っているから、公演後も「すぐ寝られる」って言ってるけど、スンミは体力というか身体の動きじゃなくて、気持ちを使っているので、ドーパミンが出すぎちゃってるみたいなんです。
家に帰ってからも、脳が興奮したままで、3時、4時くらいまで寝られない。だから、今、大変っ!
稽古中は、“ああしよう、こうしよう”て、すごく頭を使っていたので、夜は遅くとも午前1時くらいまでには寝られてたんだけど。。
本番が始まってからは、なかなか寝られない! 真夜中に無音の中で、ずぅーーーーーーっと、ぼぉーーーーーーっとしてる。
東京ラストスパート
テレビを観る気にもなれないし、ワンッ、ワンッってすり寄ってくるワンコをなでたりしてます。(空を見つめながら、ワンコをなでなでするポーズの佐江ちゃん)本当に全然眠くないんです。
ーー眠くならない日々はもう少しつづきそうですが、終わってしまうのも惜しい舞台ですね。続編を期待したくなります。
続編、どうなんでしょうね。
でも、もし続編があって、同じメンバーでやれるなら、また出たいなって今から思います。この舞台に生きるスンミは、違う人には譲りたくないなって。そういう気持ちも、珍しく生まれました。
ーー佐江ちゃんのおがけで、ミラチャイスタッフも素敵な舞台に触れることができました! ありがとうございます!
いえいえ、いえいえ(汗)。触れていただけてよかったです。ありがとうございます。千秋楽までに、いろんな人に観てもらいたい舞台です! よろしくお願いします!
ーー『TOKYO TRIBE』のご成功願っています。今回もたくさんのお話ありがとうございました! また次回もよろしくお願いします!
ありがとうございました! 『TOKYO TRIBE』の舞台は東京、名古屋、大阪とまだまだ続きます。いろんな人に観ていただけたらいいな。
季節は秋。次回はここ数年の秋の出来事を思い返しながら、2017年ラストスパートに向けてお話をしていきます。次の更新も楽しみにしていてくださいね!
撮影:山田大輔 スタイリング:藤井エヴィ ヘア&メイク: 伊藤遥香
次回の更新は、10/20(金)予定です。

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