【ライブレポート】<VISUAL JAPAN
SUMMIT 2016>1日目前半「この3日間
でみんな“無敵”になれそう」

10月14日(金)、15日(土)、16日の3日間にわたって千葉・幕張メッセ9-11ホールにて、約10万人の観客を動員して開催される日本最大のヴィジュアル系音楽フェス<VISUAL JAPAN SUMMIT 2016 Powered by Rakuten>。その初日となる10月14日、あの伝説のイベント“エクスタシー・サミット”が復活した。
エクスタシー・サミットとは、LADIESROOMZI:KILLLUNA SEA,、GLAYなどYOSHIKIによって設立されたインディーズのレコード会社、エクスタシーレコードに所属していたバンドが一堂に集まり、行なっていた無敵のライブイベントのこと。1988年に大阪のライブハウス、バーボンハウスでスタートして以降、東京・目黒鹿鳴館を中心に定期的に開催していたこのイベントが、1992年に大阪城ホールと日本武道館で開催されて以来、24年ぶりに復活した記念すべき一夜をレポートする。
午前8時50分。ステージに突然MUCCの逹瑯(Vo)とLADIESROOMのGEORGE(Ba)が揃って姿を現し、前説が始まった。どうやらこの2人が今日のMC担当に選ばれたようだ。これから始まる<VISUAL JAPAN SUMMIT>について、逹瑯は「この3日間でみんな“無敵”になれそう」と伝え、GEORGEは前代未聞の早朝から深夜に及ぶ長丁場イベントに対して「水分補給だけは忘れるなよ」とアドバイス。この後、GEORGEの掛け声で、恒例の「WE ARE」「X!」で気合い入れを行なったところで、いよいよ<VISUAL JAPAN SUMMIT>1日目が開幕する。
午前9時。初日トップに登場したのはX JAPANのコピーバンド、X-SUGINAMI。ヴォーカルにDancho(NoGoD)を迎え、ギターはMiya(MUCC)、ヒロト(A9)、リズム隊はベースがAkane(PLINK?ex.THE★SCANTY)、ドラムがMajyu(Devil Kitty、SHAPE SHIFTER)という布陣で初期Xのルックス、楽器、演奏、パフォーマンスまでほぼ完コピ状態で「BLUE BLOOD」、「VANISHING LOVE」を演奏。その完成度の高さに驚く観客に向かって「よく見てください。偽物です」とDanchoが筋肉Tシャツを見せて笑いを誘った後は、「X」のXジャンプで早朝とは思えない盛り上がりを作ってみせた。
続いてVANIRUがステージに登場すると場内の空気は一転。今年デビューしたばかりの新人とは思えない存在感を放つヴォーカルのLEONEILは、ウェービーな髪を揺らしながら妖艶なオーラを身体中から放ち、客席を支配していく。耽美でエレクトロなダンスチューン「コズミック・ナイト」では鞭を振りながらステージを歩き回るなど、VANIRUならではの浮世離れしたステージングで、デカダンで妖しい夜のムードを振りまいていった。
アニメ映像がバンドのスタートガイドになるというポップなオープニング映像が終わり、メンバー全員がお揃いの真っ白い宇宙服に身を包み、ヘルメットをかぶってやってきたのはSPEED OF LIGHTS。スペーシーな広がりを感じさせるシンセ、オートチューンで加工した歌声で、どこまでも飛んでいけそうなコズミックで明るく爽やかなポップチューンを次々と披露した。
続いては、エクスタシー・ジャパン出身、今年4月に復活を果たしたばかりのBEASTの5人が、ガラの悪そうな大人の雰囲気を携えてぞろぞろとステージに登場。そんな彼らが最新鋭のデジタルをフィーチャーしたモダンなミクスチャーサウンドを次々と奏でていく姿をみて、彼らを知らない観客は呆気にとられる。「Chemical」や、YOSHIKIがプロデュースしたデビュー曲「LR—7」などのアクトでフロアを揺らし、舞台を後にした。
お次は、若手ヴィジュアル系から4人編成になったAnli Pollicinoが登場。「LUNA SEAさん、GLAYさんに憧れてここまできました」と挨拶をしたShindy(Vo)。赤をテーマにしながらも4人各々の個性を象徴したヘアスタイル、衣装の着こなしなどは、いまの時代のヴィジュアル系ならでは。人気曲「白百合ヴァネッサ」など、現在のV系シーンのど真ん中をいくような王道サウンドを堂々パフォーマンス。
続いても若手世代を代表して、5人組のCLØWDが登場。ピアノのイントロが印象的なキラーチューン「狼煙」で幕をあけると、 KØU(Vo)が「さあ拳を上げろ」と煽ると、フロアからはたくさんの拳が突き上がり、若いオーディエンスたちはたちまち熱狂。ラップとシンガロングを取り入れた「Tomorrowland」、伸びのある声と美メロがマッチした「#夏の微熱」とタイプの異なる曲を集まったオーディエンスにアピールした。
そして、初日にメインステージとなるSUMMIT STAGEの1番手として現れたのは再結成したPsycho le Cému。さすが元祖エア&エンタメバンド。冒頭には5人のモンスターのキャラ紹介を交えた寸劇を用意。そのストーリーの中にボスキャラ役でYOSHIKI(YOSHIKIに許可をもらい写真までもらってきた)が登場すると、場内は大爆笑に包まれた。メンバー全員で踊る「BLADE DANCE」ではお客さんを踊りに夢中にさせ、みんなが知っているヒット曲「愛の唄」からはバンド演奏も楽しませる。見て、踊って、歌って、聞いても楽しいパフォーマンスは彼ら最大の武器。再結成後は「もう1度夢を追いたくて。日本武道館を夢見ています。みなさんの力を貸してください」とDAISHI(Vo)が熱い気持ちを伝えると、観客は大きな拍手でそれに応えた。
続いては、ビジュアル系の中堅どころからクセ者HEROが登場。まず始まったのは曲ではなくJINのMC。“のってるふう”に見えるジャンプやモッシュの仕方などユニークな話を面白おかしく語っていき、その巧みな話術と曲のイントロだろうが間奏だろうが途切れることのないマシンガントークで、オーディエンスの注意を惹きつけたら最後まで離さない。「ALIVE」、「カントリーロード」などHEROの歌や曲調は超爽やかに弾けるJ—POPなのだが、それもJINの手にかかると「次折りたため」、「隣と肩組め」、「細かく横モッシュ」などたちまち激しいノリに変貌。そんなHEROのクセになる魅力をきっちり観客に刻み込み、彼らはステージを後にした。
来年10周年のアニバーサリーイヤーに突入するDaizyStripperは、ドラムの風弥が弾くピアノの弾き語りで幕開け。抜けのいいハイトーンヴォーカルが特徴的な夕霧が歌い出したのがhideの「MISERY」のカバーだと分かると、観客がざわめく。「短い時間ですけど“瞬間の美学”でいこう」とこのイベントならではの言葉で夕霧が煽った後は「STARGAZER」「STAY GOLD」など、希望感がたっぷり詰まったメロディックチューンを投下。「VISUAL系最高だよ。これからは俺たちとお前たちでVISUAL系を守っていくぞ」と最後に宣言した夕霧の言葉は、格別の響きがあった。
次にSUMMIT STAGEに現れたのは、かまいたち。昨年一夜限りの再結成を果たした彼らが、再びこのステージでも復活。ドラムのCRAZY DANGER NANCY KENchanは当時のように髪の毛を赤く染め、ツインテールにまとめてスカート姿で可愛く登場。「かMARCH」からサウンドはどこどこゴリゴリと気合十分。こんなヴィジュアル系がいたんだぞといわんばかりに当時と変わらないパンキッシュで疾走感あるスラッシーな音を会場いっぱいに放つ。来年1月14日に新宿ロフトでワンマンをやることを伝えた後「I LOVE YOU」の感動を再び「KILL YOURSELF」で吹き飛ばし、大人になったいまもみにくいあひるの子らしく場内をぐしゃぐしゃにして彼らは舞台を去った。
次のアクトはユナイト。メンバー全員黒い衣装で登場し、「small world order」でライブは幕を開けた。ヴォーカルの結が“幕張メッセの皆様、いただきます”と手を合わせて始まったのは「ice」。曲からは想像できないような切れ味鋭い言葉を並べた刺激的な歌詞に耳が奪われる。「夢のような空間に立てて嬉しいです」と結が挨拶した後はヘヴィな振り付きナンバー「Love Duck Core Nothing」、アッパーチューンの「ジュピタ」など、メンバー全員が楽曲制作をするバンドらしく、様々なタイプの曲を披露。最後はXジャンプをしてライブを締めくくった。
照明でステージが真っ赤に染まった頃“ノクブラ”ことNOCTURNAL BLOODLUSTがやってくると、フロアにはサークル、モッシュなどの熱い肉弾戦を待ち受ける部隊がひしめき合う。1曲目の「DESPERATE」からヴォーカルの尋は上半身裸で、その体は血まみれ状態。ゴリゴリの低音が響きわたる中、彫刻のような筋肉を使い分けて繰り出していく彼ならではの歌とシャウトの七変化も、メタルコア、デスコアなどテクニカルに変化していく轟音サウンドも、ノクブラがやるとすべてが荘厳なアートを見ているかのような美学を放っていく。歌、演奏、動き、それも圧巻のステージングだった。
そして、SUMMIT STAGE3組目に現れたのはBY-SEXUAL。4人はティーンエイジャーの頃、衝撃的デビューを飾ったバンド。そのときのトレードマークだったヘアを懐かしむように、この日SHO(Vo)は金髪、RYO(G)は赤、DEN(Ba)は緑、NAO(Dr)は青と髪の毛をド派手なカラーに染めて登場。「来たぜ幕張! 僕たちBY-SEXUALは5年ぶりなんですけど(笑)、お互い手加減なしに楽しもうぜ」とSHOが伝え、「HYSTERIC」など懐かしいナンバーをスピーディーに連発。そして「今日はスペシャルゲストを招いてやってみよう」といってSHOが呼び込んだのはGLAYのHISASHI(G)。予想外のゲストに客席がヒートアップするなかで、デビュー曲にして代表曲「BE FREE」をコラボ。HISASHIは積極的に舞台を走り回り、バイセク再復活のステージに花を添えた。
メタルバンドの重鎮Gargoyleはステージに現れるなり「完全な毒を要求する」、「HALLELUYAH」を続けてアクト。頭からKIBA(Vo)の力強い歌と、KENTARO(G)の凄まじい速弾きソロで観客の心を鷲掴みにしていく。KIBAは来年30周年を迎えるバンドについて「俺らは他のバンドと違って1度も休んだことがない。好きなことをやりたいようにやってれば楽しくやれるからさ」と説得力あるアドバイスを後輩バンドたちにプレゼント。30年走り続けても変わらないエネルギッシュなステージを幕張に刻みつけた。
lynch.です。よろしくお願いします」と葉月(Vo)の丁寧な挨拶から始まる彼らのライブはこの日「LAST NITE」でスタート。「今日は僕が尊敬する大先輩たちの首を取りにきました。ここにいる全員lynch.を好きになってもらいます。ようこそ処刑台へ!」と葉月がいい「GALLOWS」を投下。続く「pulse_」では「全員やらせてもらえませんかね。SEXしようぜ! いただきまーす」と葉月らしい丁寧語の煽りが炸裂。シャウトと歌心を持った艶っぽい歌声、安定した演奏力で観客をどんどんヒートアップさせていき、最後に葉月が「今日初めて観た方、どうか末長くお願いします。幸せな人生をお約束します」という言葉で観客全員のハートを見事に奪い、彼らはステージを後にした。
取材・文◎東條祥恵

写真:VISUAL JAPAN SUMMIT 2016 Powered by Rakuten

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