爆音アワー

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いい音爆音アワー vol.73「ハイレゾ
・クイーン祭」

いい音爆音アワー vol.73「ハイレゾ・クイーン祭」

2016年12月14日(水)@風知空知

今年はクイーン結成45年、フレディ・マーキュリー生誕70年&没後25年という節目の年でありました。

クイーン自体はまだ解散してなくて、ジョン・ディーコンはやめましたが、ブライアン・メイとロジャー・テイラーの2人で、今はアダム・ランバートというボーカリストと共に、がんばっていますね。今年の9月にも来日コンサートが開催されました。しかし、その際も「クイーン+アダム・ランバート」と(「クイーン+ポール・ロジャース」もありましたね)、フレディの代わりではなく、別のボーカリストとのジョイントだということを明示しているこだわりが泣かせます。

実にフレディ・マーキュリーは、声質、歌唱力、作曲能力、カリスマ性、どれをとっても唯一無二、不世出の音楽人でした。そして他の3人も合わせたバンドとしての、卓越した演奏力、コーラス力、アレンジ力。何よりもすごいのがスタジオ・ワークの完成度の高さです。おそらくレコーディングに、大量の時間と労力と精神を費やしたことでしょう。まさに録音芸術と呼ぶにふさわしいと思います。

今回は、この素晴らしい作品群を、ハイレゾ音源で改めて聴いてみて、その魅力を再確認しました。

選曲は、今年の来日時のセットリスト(9月21日と23日分)に準じてみました。

これ以外にもまだまだいっぱいいい曲はありますが、それはまた別の機会で。

福岡智彦 (いい音研究所)

セットリスト

“Queen”メンバー・プロフィール

●ブライアン・メイBrian May:1947年7月19日、英国ミドルセックス州ハンプトン生まれ。

インペリアル・カレッジ・ロンドンで数学と物理学を学び、大学院で宇宙工学を研究。クイーンの活動が軌道に乗るまでは中学で教鞭をとっていた。2007年から天文物理学研究を再開し、博士号を獲得。愛用のギターは「レッド・スペシャル」。知人の家にあった100年以上前の乾燥した暖炉の木材を材料に、エンジニアだった彼の父と自作したオールカスタムギターである。それをピックの代わりに6ペンス・コインや、1990年代後半からはオーストラリア・5セントコインで弾く。アンプはVOXのAC30にトレブル・ブースター経由で繋いでいる。
●ロジャー・テイラーRoger Taylor:1949年7月26日、英国ノーフォーク生まれ。

ロンドン・ホスピタル・メディカル・カレッジで歯学を学ぶが、2年後、ノース・ロンドン工芸大学に入学し直し、生物学を専攻、理学士号を取得。ドラムの他にベース、ギター、キーボードもこなす。
●フレディ・マーキュリーFreddie Mercury(本名:ファルーク・バルサラFarrokh Bulsara):1946年9月5日、アフリカ・ザンジバル生まれ。

父親が英国植民地の会計係だった。8歳からインドの学校に入る。17歳の時、英国ミドルセックス州フェルサムに移住。イーリング・アート・カレッジで芸術とグラフィック・デザインを学ぶ。1991年11月24日、HIV感染合併症によるニューモシスチス肺炎のため死去(享年45歳)
●ジョン・ディーコンJohn Deacon:1951年8月19日、英国レスターシャー生まれ。

ロンドン大学のチェルシー・カレッジ電子工学科を首席で卒業、名誉学位を与えられた。ブライアンが使用した"DEAKY AMP"は彼が作製した。ベース以外にピアノも弾くが、音痴らしく、コーラスには不参加。「フレディの声以外でクイーンの曲を演奏するのは考えられない」と言い、音楽活動から事実上引退。
Seven Seas of Rhye(輝ける7つの海)
「Rhye」とはフレディが考えた想像上の国の名前らしい。


3rd シングル(1974年2月23日発売)

2nd アルバム『Queen II』(1974年3月8日発売)収録

1st アルバム『Queen(戦慄の王女)』にまず短いインスト・バージョンが収録された。

作詞・作曲:Freddie Mercury

全英10位

アルバム『』はA面が「WHITE SIDE」、B面が「BLACK SIDE」と名づけられている。それで以前、「ホワイト・クイーンとブラック・クイーンの啓示」という邦題がつけられていた。
Hammer to Fall
“Free”みたいな曲ですよね。ポール・ロジャースは歌いやすかったんじゃないかな。


第4弾シングル・カット(1984年9月10日発売)

11th アルバム『The Works』(1984年2月27日発売)収録

作詞・作曲:Brian May

全英12位
Stone Cold Crazy
”スラッシュ・メタル”という言葉ができる前の”スラッシュ・メタル”と言われた曲。


3rd アルバム『Sheer Heart Attack』(1974年11月8日発売)収録

作詞・作曲:John Deacon / Brian May / Freddie Mercury / Roger Taylor

クイーン結成前からフレディが自分のバンドでもう演奏していたという古い曲。あれこれ直している内にはっきり誰の曲とも言えなくなり、全員の作詞・作曲とした。
Fat Bottomed Girls
ジャケットの女性の赤いパンツは後から描いたもの(笑)。


先行シングル「Bicycle Race」と両A面(1978年10月13日発売)

7th アルバム『Jazz』(1978年11月10日発売)収録

作詞・作曲:Brian May

全英11位 全米24位
Don't Stop Me Now
この手の速い8ビートはふつうギターがリズムを刻むものだけど、これはフレディのピアノ。でもってすごいスピート感♪


第2弾シングル・カット(1979年1月26日発売)

7th アルバム『Jazz』(1978年11月10日発売)

作詞・作曲:Freddie Mercury

全英9位 全米86位


アルバム発売前には「僕を止めないで」という邦題がつく予定だったが、何らかの事情により取りやめられたらしい。

映画「SHAUN OF THE DEAD」(2004)のクライマックスでこの曲が流れるが、そのシーン、めちゃ面白い(私の感想)。
Killer Queen
最初のインターナショナル・ヒット。クイーンらしさが完成した曲。


先行シングル(1974年10月21日発売)

3rd アルバム『Sheer Heart Attack』(1974年11月8日発売)収録

作詞・作曲:Freddie Mercury

全英2位 全米12位

ロックにはなかった曲想、華麗なコーラスとギター・オーケストレーション。いわゆるクイーンらしいユニークな世界はここから始まった。
Somebody to Love
華麗なコーラスワークがここではさらに凄みを帯びてます。


先行シングル(1976年11月12日発売)

5th アルバム『A Day at the Races(華麗なるレース)』(1976年12月10日発売)収録

作詞・作曲:Freddie Mercury

全英2位 全米13位


フレディが敬愛するアレサ・フランクリンを念頭に作ったゴスペル調の曲。

収録アルバム『A Day at the Races』は唯一のオリコン1位。
Love Of My Life
こういう王道のバラードでも、フレディのメロディはなんか一味違いますねぇ。


4th アルバム『A Night at the Opera(オペラ座の夜)』(1975年11月21日発売)収録

作詞・作曲:Freddie Mercury


ライブ・アルバム『Live Killers』(1979)からのテイクで、1979年6月にリリースされたシングルが、南米ツアーを行った1981年、アルゼンチンとブラジルではチャート1位となった。

収録アルバム『A Night at the Opera』のタイトルは”マルクス・ブラザース”の映画「A Night at the Opera」(1935)から拝借。
Teo Torriatte (Let Us Cling Together)(手をとりあって)
なぜか「Toriatte」じゃなく「Torriatte」。日本語じゃなくてイタリア語みたいね。


日本のみシングル・カット(1977年5月25日発売)

5th アルバム『A Day at the Races(華麗なるレース)』(1976年12月10日発売)収録

作詞・作曲:Brian May

収録アルバム『A Day at the Races』のタイトルも、”マルクス・ブラザース”の映画「A Day at the Races」(1937)から拝借。この縁で、1977年3月、グルーチョ・マルクスはクイーンのメンバーをロスの自宅に招待した。クイーンはお礼に「’39」をアカペラで歌った。
These Are the Days of Our Lives(輝ける日々)
この曲のプロモーション・ビデオがフレディ最後の出演となりました。だいぶやつれてますね。


米国では1991年9月5日にシングル・カット

「Bohemian Rhapsody」と両A面シングル(1991年12月9日発売)

14th アルバム『Innuendo』(1991年2月5日発売)収録

作詞・作曲:Queen(実際はRoger Taylor)


フレディの死の約2週間後、シングルでリリースされ、全英1位となり、初回出荷の収益約100万ポンドは、フレディの遺言に従い、AIDS基金「テレンス・ヒギンズ・トラスト」に寄付された。

本曲収録アルバム『Innuendo』とその前作『The Miracle』は全曲、作詞・作曲クレジットが”Queen”とされた。
Under Pressure
「Under Pressure !」 このフレーズだけの曲なんだけどね。


シングル(1981年10月26日発売)

10th アルバム『Hot Space』(1982年5月21日発売)収録

作詞・作曲:Freddie Mercury, Brian May, Roger Taylor, John Deacon, David Bowie

プロデュース:Queen and David Bowie

全英1位 全米29位


当初、クイーンの別曲のコーラスに参加するために、スイスのモントルー・スタジオにやってきたデヴィッド・ボウイだが、それは自分のパフォーマンスが気に入らなくてなしにした。その代わり、ジャム・セッションをしている内にこの曲が生まれた。クイーンが他のアーティストとコラボした音源はこれが初。

全英1位はクイーンにとっては「Bohemian Rhapsody」以来の2曲目、ボウイにとっては3曲目。
Crazy Little Thing Called Love(愛という名の欲望)
フレディが風呂場で2分間で作ったらしい?それが全米1位。


シングル(1979年10月5日発売)

8th アルバム『The Game』(1980年6月30日発売)収録

作詞・作曲:Freddie Mercury

全英2位 全米1位(バンド初)

収録アルバム『The Game』は唯一の全米1位獲得アルバム。
Another One Bites the Dust(地獄へ道づれ)
Chic”の「Good Times」に感化されて、ジョン・ディーコンが作った曲だが、彼自身も自信なく、ロジャーも不満だったらしい。でも全米1位(笑)。


第4弾シングル・カット(1980年8月22日発売)

8th アルバム『The Game』(1980年6月30日発売)収録

作詞・作曲:John Deacon

全米1位 全英7位 クイーンの米国最大のヒット曲

ロスでのコンサートを見に来たマイケル・ジャクソンがフレディに、この曲をシングル・カットしたほうがいいと提案し、発売すると、1980年10月4日から3週間全米1位となった。
I Want It All
私の苦手なメタル色全開な曲だけど、クイーンは許せる(笑)。


先行シングル(1989年5月2日発売)

13th アルバム『The Miracle』(1989年5月22日発売)収録

作詞・作曲:Queen(実際はBrian May)

全英3位
Who Wants to Live Forever(リヴ・フォーエヴァー)
ストリングス、美しいです。何やるにしても完成度高いね。


第6弾シングル・カット(1986年9月15日)

12th アルバム『A Kind of Magic』(1986年6月2日発売)収録

作詞・作曲:Brian May

全英24位


映画「Highlander」のサウンドトラックとして作られた曲のひとつ。以前「Flash Gordon」のサントラがあまり成功しなかったこともあり、サウンドトラックの依頼を断るつもりだったブライアンだが、脚本と途中まで撮影されたフィルムを見て感動し、打合せの帰りのクルマの中でこの曲が浮かんでしまったという。

クイーンの曲として初めてオーケストラを導入=ナショナル・フィルハーモニック管弦楽団(編曲:Michael Kamen & Brian May)
1986年夏、「the Magic Tour」を敢行。東欧、ハンガリーのブタペストでも行われ、世界で100万人、英国だけでも40万人を動員した。これがフレディ生前の最後のツアーとなった。

1987年、フレディがHIV陽性と診断されるが、それは死の前日まで公表しなかった。
The Show Must Go On
身体が衰えていた中でのこの歌唱はすごい。涙出る。


第5弾シングル・カット(1991年10月14日発売)(『Greatest Hits II』1991年10月28日の先行シングル)

14th アルバム『Innuendo』(1991年2月5日発売)収録

作詞・作曲:Queen(実際は主にBrian May)

全英16位

非常に高い音があるので、ブライアンは今のフレディには歌えないかもしれないと心配したが、フレディは「もちろん、やるよ!」と完璧に歌ってみせた。
Tie Your Mother Down
ブライアンが大学院で宇宙工学を学んでいた1968年に作った曲だと。


第2弾シングル・カット(1977年3月4日発売)

5th アルバム『A Day at the Races(華麗なるレース)』(1976年12月10日発売)収録

作詞・作曲:Brian May

イントロのギター・セクションの後に出てくるハルモニウムで作ったリフは「Teo Torriatte」のエンディングと同じ。これはハルモニウムで弾いたものを逆回転して使っている。
I Want to Break Free(自由への旅立ち)
女装ビデオは強烈でした。


第2弾シングル・カット(1984年4月2日発売)

11th アルバム『The Works』(1984年2月27日発売)収録

作詞・作曲:John Deacon


南米やアフリカなど民衆が抑圧されている国々のいくつかで、解放にむけてのシンボルとされ、支持された曲だが、ミュージック・ビデオは英国のソープ・オペラ「コロネーション・ストリート」風に女装したもので、ライブでビデオと同様の衣装でステージに上がった際、オーディエンスは、そのギャップからステージにブーイングを浴びせたという。
1984年10月、「The Works ツアー」の一環で、南アフリカのサンシティで9日間ライブを行ったが、これがアパルトヘイトに反対する国連及び各国の努力に反するものだとして、非難を浴び、英国音楽家組合から罰金、国連のブラックリスト・アーティストとなった。

しかし、1985年7月13日、Wembleyスタジアムで行われた「Live Aid」でのパフォーマンスは絶大な反響を呼び、世界各国でアルバムがチャートを急上昇した。
I Was Born To Love You
日本ではこの曲がいちばん人気かもね。クイーン・バージョンはド派手です。


フレディのシングル(1985年4月8日発売)(al『Mr. Bad Guy』1985 収録)

日本のみシングル(1996年2月28日発売)

15th & the last アルバム『Made In Heaven』(1995年11月6日発売)収録

作詞・作曲:Freddie Mercury


フレディのソロ・バージョンに、3人が音を差し替えて再レコーディングした。

1980年代に「ノエビア」のテレビCMでフレディのソロ音源が使用された。

1996年以後、「キリン一番搾り生ビール」、「アサヒスーパードライ」、「日清カップヌードル」のテレビCM、2004年のTVドラマ「プライド」のテーマ曲としてクイーンのバージョンが使用された。

収録アルバム『Made In Heaven』は、未発表音源やデモ、各人のソロ・アルバムの音源に3人が追加録音をして制作したアルバム。オリジナル・アルバムの中で最大の2000万枚以上の売上となった。
Bohemian Rhapsody
こんな面白い曲をよく作ったし、それをまたイギリス人はよくこんなに買った。


先行シングル(1975年10月31日発売)

4th アルバム『A Night at the Opera(オペラ座の夜)』(1975年11月21日発売)収録

作詞・作曲:Freddie Mercury

全英9週間連続1位 全米9位(1992年に2位)


この曲はElton JohnCandle in the Wind 1997」(493万枚)、BAND AID「Do They Know It's Christmas?」(1984 378万枚)に次いで、イギリスで3番目に売れた曲(250万枚)である。

2002年、ギネスブックを発行しているギネス・ワールド・レコーズ社が31,000人以上から取った「英国史上最高のシングル曲は?」というアンケートで、「Imagine」「Hey Jude」「Yesterday」を抑えて1位になった。

『Queen II』のジャケットをモチーフにし、映像エフェクトを駆使したプロモーション・ビデオが制作され話題になった。それまでのポピュラー音楽の動画プロモーションは演奏シーンが主であったが、これは世界で初めての「プロモーションを目的としたビデオ」として認識されている。
Radio Ga Ga
”Lady Gaga”の名はこの曲が由来。


先行シングル(1984年1月23日発売)

11th アルバム『The Works』(1984年2月27日発売)収録

作詞・作曲:Roger Taylor

全英2位 全米16位 19カ国で1位


ロジャー初のシングル・ヒット。

「ga ga」は「夢中になる」意。
We Will Rock You
コンサートではここからアンコールでした。


先行シングル「We Are the Champions」と両A面(1977年10月7日発売)

6th アルバム『News of the World(世界に捧ぐ)』(1977年10月28日発売)収録

作詞・作曲:Brian May

全英2位 全米4位

有名な「ドン・ドン・チャ」のリズムは教会を改造したスタジオで、足音と手拍子を何度も重ねて録音された。
We Are the Champions(伝説のチャンピオン)
1回聴くと、一日中頭の中で鳴ってしまうんだな。


先行シングル「We Will Rock You」と両A面(1977年10月7日発売)

6th アルバム『News of the World(世界に捧ぐ)』(1977年10月28日発売)収録

作詞・作曲:Freddie Mercury

2011年に英ゴールドスミス大学の研究チームは、音楽心理分析学の観点から、この曲はポップ・ミュージック史上最もキャッチーな曲だという研究結果を発表した。次点はヴィレッジ・ピープルの「Y.M.C.A.」。何を研究してんだか(笑)。


                        

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