森山直太朗、15thアニバーサリーツアー『絶対、大丈夫』千秋楽大成功で幕を閉じる!

森山直太朗、15thアニバーサリーツアー『絶対、大丈夫』千秋楽大成功で幕を閉じる!

森山直太朗、15thアニバーサリーツア
ー『絶対、大丈夫』千秋楽大成功で幕
を閉じる!

どれも確かに彼にとっては節目となる曲だ。「君は五番目の季節」は、その「さくら」の大ヒットを受けて悩んでいた彼が新しい季節に向かって歩き始めた曲だ。「どこもかしこも駐車場」は、シーンのど真ん中に立ち続けてきた彼のポップスに対する新しい挑戦でもあった。「さくら」の人、というパブリックイメージに抗ったり背を向けたりしながらも、彼は常にポップスと戦い続けてきたのだ。その歩みを自分自身で振り返り、噛みしめるような思いで彼は歌っているようだった。

アンコール。「12月」を昨年リリースしたベストアルバム「大傑作撰」に収録された新アレンジバージョンで歌った後、ハイタッチでバンドメンバーを迎え入れる。そして「実は、このツアーで一度たりとも『絶対、大丈夫』と思えたことはなくて」という本音で会場の笑いをとってから新曲「絶対、大丈夫」が披露された。音楽家としてサラブレッドの血筋と才能に恵まれた男。日本のポップスを代表するシンガーソングライターであるだけでなく、サービス精神旺盛なエンターテイナーでもある。それでも彼はずっと居所のなさのようなものを抱えながら、自分が本当に歌いたいことを探しながら走り続けてきた。不安や葛藤は多かったに違いない。なかなか曲が書けない時期もあった。「絶対、大丈夫」と誰かに言ってもらいたかったことは幾度もあっただろう。公演中、彼はこの掛け声をなんども叫んでいた。もちろんそれはシリアスとコミカルが交差するステージの、単なるコミュニケーションツールだったかもしれない。なんたってラストが「土曜6時は~? ぜった~い!」「ダイジョウブ!」である。しかし、彼は、その言葉を誰かにずっと言ってもらいたいと思いながらここまで来たのではないか。「森山くん、キミはそのままで大丈夫だよ」と。そして彼自身、15年のキャリアを総括することで、こう思いたかったのではないか。「俺は、これからも、絶対、大丈夫」だと。そんな思いを引き寄せるためのアニバーサリーツアーだったのだろうか。予定になかったダブルアンコールでみたびステージに表れ彼が歌った「花」は、そんな自分のことを見守ってくれきたファンに対する感謝の気持ちに溢れていた。森山直太朗のアニバーサリーイヤーはまだ続く。
text by 樋口靖幸(音楽と人)
カメラマンクレジット:植本一子


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