【ねごと】切なさ、トキメキ――これ
が、ねごとの音楽
音楽ってひとつじゃないから楽しい そ
のことを伝えていきたい
みなさん意外とリアリストで。だからこそ、ファンタジックな世界観に説得力と切なさを滲ませることができるのかも。
藤咲
12曲目の「Time machine」とか、歌詞もサウンドもほんとに切なくて! おかげでレコーディングでも感情移入できて、すごくノッて弾くことができました。
Bメロの《いつかはみんな星になる日がくるんだろう》というフレーズは強烈ですよね。あまりに切なすぎて、次の「憧憬」がアッパーに始まると救われた気持ちになります。
蒼山
「憧憬」はバンドの今のモードみたいなものが表れている曲だったんでラストに置いたんですよ。次に向かう力強さもありつつ、切ないところもあるという。でも、それってすごくリアルだと思うんですね。誰だって生きていれば楽しいことばかりじゃなく、いろんなことがあるじゃないですか。それでも懸命に生きている人たちを後押しできるメッセージを、この曲には込めたかったんです。
蒼山
そう。あれが入って結構景色が変わったんですよ。疾走感と鮮やかさが増したから、冬から春へと季節が変わる曲にしたくなって“花びら”って言葉を使ってみたり、その春の景色に憧れるという意味で、タイトルも“憧憬”と付けたんです。苦しい冬の時期って誰もが“もう、この先はないんじゃないか?”って嘆くけれど、冬が終われば必ず美しい春が来るってことを書きたかったんですよね。
リリースも春ですし、アルバムを締め括るにはぴったりの曲ですね。季節の移り変わりと人生の悲喜こもごもを重ね合わせたメッセージも力強くて、サビ頭の《ああ!》の叫びにはリアルな想いを感じました。魂がこもっている。
そう。ねごとってバンドなんだなと改めて実感しました。アレンジは繊細で世界観はファンタジックだけれど、バンドならではの生々しさもしっかりとある。
沙田
そこはほんとに目指していたところなんですよ。生きてるというか、呼吸が感じられるくらいの生命感だったり、生き物感を出したくて。で、それを左右するのは曲に対する4人のモチベーションだったり、演奏してる瞬間のエネルギーなんですよね。自信を持って弾いたフレーズには、ちゃんとソレが出る。音楽って、やっぱり生き物なんですよ。
同じ音でも出した時の想いがちゃんと表れていると。
沙田
そう。だから、今は歩みを止めたくないんですよね。
蒼山
今までは“全部出し切ったら尽きてしまうんじゃないか?”って怖かった時期があったんですよ。それで良い曲は出し惜しんだりしてたのに、今は何も見えないところへ突っ込んでいけば、もっと豊かな泉があるって感じられるんです。
もう出し惜しみをする必要はない、と。だから“全部良い曲”と言えるんですね。
澤村
そうですね。実際、すでに次の作品も作り始めてます。
となると、3月に始まる初の全国ワンマンツアーでは未発表の新曲もいち早く披露されたり?
蒼山
それも考えてます。地方のファンの方から“来てほしい”という声ももらっていたので、全国をワンマンで回れるのは嬉しいですし。演奏面では挑戦の多いアルバムですけど、その分ベストの状態で演奏できたら、私たちのビジョンも音源以上に伝わると思うので、頑張ってやり切りたいですね。
澤村
もう、全部楽しみなんですよね。ライヴ自体も、一本一本のライヴで自分たちが成長していくのも…もちろん、ごはんも(笑)。香川に行ったら、うどん食べたい!
藤咲
良いライヴをした後のごはんって、やっぱり美味しいもんね。これだけ良いアルバムができたので、それをどこまで最高潮に持っていけるか楽しみです。
沙田
ワンマンということは、ねごとの色だけで一夜を染められるわけで。それってほんとに幸せなことだから、じっくり良い景色を見せてあげたいですね。恐れることなく自分たちの殻も破っていきたいし、ゆくゆくは“ねごと”という音楽の楽しみを伝えられるバンドになれたらいいなと。音楽ってひとつじゃないから楽しいんですよ。いろんなかたちがあって、同じ曲でもきっと人によって感じ方が違う。それでいいんだってことを、これからも伝えていきたいと思ってます。
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『VISION』2015年03月04日発売Ki/oon Music
- 【初回生産限定盤(DVD付)】
- KSCL-2546 ~ 7 3996円
ねごと:『閃光ライオット 2008』(SonyMusic × TOKYO FM『SCHOOL OF LOCK!』)で審査員特別賞を受賞したガールズロックバンド。10年9月、1stミニアルバム『Hello!"Z"』でメジャーデビュー。蒼山幸子の透明感あふれる唯一無二の歌声と、オルタナティブなロックエッセンスを軸にエレクトロサウンドを融合し、ポップでファンタジックな世界を作り出す。ねごと オフィシャルHP
SonyMusic