【Fuki Commune】“私が歌っていない
時は演奏陣を映してください”って映
像チェックの時にお願いした

昨年11月に行なった『Fuki Fes. Vol.2』のライヴDVD『Fuki Fes. 2016 LIVE』をリリースするFuki Commune。同時にFuki名義でシングル「ログアウトしないで!」も発表する。その両アイテムについて語ってもらった。
取材:土内 昇

『Fuki Fes. Vol.2』がDVD化されましたが、Fukiさんがすごく楽しそうで。ずっと笑顔ですよ。

Fuki CommuneとかFukiの曲ってカッコ良いんですけど、内容とか曲調的にニコニコするものが多いので、自然とそうなりました。

とはいえ、この日のライヴというのはアンコールなしの“攻めのセットリスト”でしたよね。

大変でした(笑)。『Fuki Fes.』は私とキーボードのMaoくんとでセットリストを考えているんですけど、アンコールに相応しい曲がまだないよねって。『Vol.1』の時は私が別でやっているバンド…Unlucky MorpheusやDOLL$BOXX、LIGHT BRINGERの曲っていう、おまけ的なものにしたのでアンコールとして成立したんですけど、本編の最後に相応しい曲はあってもアンコールに相応しい曲がまだないわけだから、本編とアンコールを分ける必要があるのか?ってなって、だったら全部くっ付けようってことになったんです。

アンコールなしで約20曲を歌うのは大変ですよね。Fukiさんの場合は1曲に使うパワーが尋常ではないし。

あんまり楽な曲はないですね(笑)。でも、この日のライヴは途中にポップスのカバーもあったりしましたけど。

“Fuki Fes.”と掲げるからには自分が歌いたい曲を歌うということで、そのカバーも歌われたと思うのですが。

正直言って“思い入れがあるから選びました”ではなくて、単純に“歌いたい”からですね。何曲かピックアップして、Maoくんに“バンドでやるならどれがいい?”って相談して、それで決まったのが「ゆずれない願い」「Believe」「ロマンスの神様」の3曲でした。

「ロマンスの神様」は意外でしたよ。「ゆずれない願い」も「Believe」もアニメ主題歌ですが、この曲はCMソングだったとはいえ、アニメ系ではないので。

広瀬香美さんとか、浜崎あゆみさんや華原朋美さん、SPEEDとか90年代のJ-POP全盛の曲を聴いて育ってきたので、このカバーセクションの中で一番のルーツって、むしろ「ロマンスの神様」なんですよ。なので、選曲する時もマストで、一番最初に決まりましたね。

「ゆずれない願い」は? 『Vol.1』の時も歌ってましたよね。

歌ってました。アニメ『魔法騎士レイアース』を観ていたこともあって、もろ世代なんです。『Vol.1』で歌った時にファンの方から“名アニソンを歌ってくれてすごく嬉しかったです”って言っていただけたので、映像収録がある今回もぜひ歌おうって。

そうか、“名アニソン”になるわけですね。どうも田村直美さんの曲っていうイメージが強くて。

聴く人がどうカテゴライズするかってことになると思うのですが、私としては“昔の名曲を歌う”という意識だったんですよ。歌って楽しい、名曲、名アニソン、名ポップスを選ぼう!という感じでした。

なるほど。この日はBULL ZEICHEN 88の栄二郎くんとのツインヴォーカルも目玉で。

「カルマ」は『CRザ・キング・オブ・ファイターズ』というパチンコの曲として“Fuki & 栄二郎”名義で何年か前に出させたもらったものなんですけど、当然ライヴで披露する機会が1度もなかったんです。で、『Vol.1』に引き続きゲストギタリストに若井望さんを呼ぶことは決まっていたんですけど、ヴォーカリストのゲストを呼ぶのも面白いかもしれないってことになり、となれば栄二郎さんしかいないじゃん!って。ツインヴォーカルでフロントがふたりっていうのは新鮮でしたね。私、BULL ZEICHEN 88のライヴを何回も観ているんですけど、栄二郎さんが超カッコ良いんですよ。どうしても演奏陣…特にベースのIKUOさんとドラムの淳士さんがフィーチャーされがちですけど、栄二郎さんのステージを走り回ったり、お客さんを煽るステージングが大好きなので、それもあってぜひ呼びたかったんです。なので、“自分のバンドのライヴだと思ってやってください”って言って。期待をはるかに超えるパフォーマンスだったので、呼んで良かったです。

撮影クルーのカメラを奪い取って、お客さんを撮ったりしてましたしね(笑)。

あの映像も使えて良かったです(笑)。

しかも、「カルマ」だけじゃなくて、DOLL$BOXXの「KARAKURI TOWN」も。

1曲で退場してほしくなかったので。で、栄二郎さんも歌える私の持ち歌って何があるだろう?と考えた時に、もともとツインヴォーカルの曲だし、栄二郎さんの音楽性にもマッチしているし、ライヴでも披露しやすいっていうことで、栄二郎さんにも選んでもらって「KARAKURI TOWN」になったんです。男性にあのキーの曲を歌わせるのはちょっと酷かなと思ったんですけど、頑張って歌ってもらいました(笑)。でも、それをものともしない栄二郎さんってすごいなって。「KARAKURI TOWN」という曲もベストチョイスでした。

あと、さっき話に出ましたけど、『Vol.1』に引き続き若井望くんがゲストギタリストとして登場したわけですが。

若井さんにも2曲やってもらおうってことになって、『Vol.1』の時にやらなかった「Breaking the Fire」も加えて。「No Surrender」も「Breaking the Fire」も全編英語詞なんで…発音がきれいかどうかは置いておいて、英語詞って歌いやすいんですよ。この2曲はメタルだし、英語詞だし、歌っててすごく楽しかったです。って、歌ってて楽しくない曲はないですけど(笑)。

ISAO×若井望というツインギターも観どころですね。

めちゃくちゃ華やかでしたね。このセクションは私よりも若井さんのほうが映っているのかも(笑)。“私が歌っていない時は演奏陣を映してください”って映像チェックの時にお願いしたし。若井さんは観た目でもオーディエンスを楽しませることにすごく長けている人なので、お客さんもその迫力に圧倒されたと思います。

ギター陣もすごいですけど、長谷川淳さんのベースと下田武男さんのドラムというリズム隊にも圧倒されましたよ。長谷川さんはGERARDだし、下田さんはNuovo Immigratoだし、プログレバンドの方々ですからね。

もうそこは安心してます。そうやって観てくれる人のルーツとかによって着眼点も違うんでしょうね。私も異質なタイプのシンガーなので…アニソンを歌っててメタル雑誌『BURRN!』の人気投票の上位に名前があるなんて、きっと他にいないと思うので(笑)。だから、メタルのシンガーだと思われていたり、アニメソングの人だと思われていたりするので、観てくれる人の立場によって評価が全然変わるんですよ。そういうこともあって、ライヴでどの曲をやれば喜んでもらえるかって…特にさっきのカバーセクションところとか、すごく選曲に悩むんです。まぁ、最終的には“名曲ならそういのは関係ないだろう。カッコ良ければいい”ってことになるんですけどね。メタル好きの人には物足りなくて、アニメ好きの人にはうるさいっていうふうにはしたくないんで、そうするためにはどうすればいいかってなると、結局は私自身が輝いていて魅力的であることだなって。なので、ライヴでも何でも、カッコ良いと思ってもらえるものを魅せていきたいと思ってます。

Fukiさんのヴォーカルの迫力の前にメタルファンもアニメファンも関係ないですよ。

分からないんですよ。“ビブラートをかけすぎてうざい”とか“シャウトがキンキンしてうるさい”と思うポップスのリスナーさんがいるんじゃないかって。万人が満足するものって難しいと思うんですけど、なるべく満足率を100パーセントに近づけていきたいと思ってます。どっちかを切り捨てるってことは絶対にしたくないので。

7月30日に『Vol.3』が決定していますが、構想とかは?

まだ全然です(笑)。Fuki Communeってリハーサルが少ないんですよ。みんな忙しいし、職人肌なので、ゲネプロとリハーサル2回ぐらいでワンマンをこなしてしまう…私は個人練習をしっかりやってますけど、みなさんそれぐらい演奏力があるプレイヤーなので、セットリストも6月くらいまで決まってないかもしれないです(笑)。でも、曲数は増やしたいと思っているので、それをどこまで実現できるかって感じですね。

次はどんな曲をカバーしてくれるのか楽しみです。

ぶっちゃけてしまうと持ち曲が少ないからカバーを入れている部分があるので、今回はシングルも出るし、曲数が足りるならカバーはやらないかもしれないです。カバーの是非もあるかもしれないし…。

でも、「ゆずれない願い」はもう持ち曲ですよ(笑)。

あはは。この曲、毎回やれると嬉しいですね。「ゆずれない願い」はメタルファン、アニソンファン関係なく、みんなに喜んでもらえた感触があるので。逆に、“Fukiにこの曲を、この人の曲をカバーしてもらいたい”というのがあれば聞かせてほしいですね。今、私の中でのマイブームがSPEEDなんですよ。このままいくとSPEEDのカバーをするかもしれない…と言っておきます(笑)。

Fukiさんが歌いたい曲を歌うのが一番ですよ。

自分のルーツの中にないものは選ばないでしょうね。ほんと、カバー曲は悩みます。なので、これを読んでくれている方は、ぜひリクエストをください!(笑)。

そんなライヴDVDと同時発売でシングル「ログアウトしないで!」もリリースされるわけですが、これは最初からPS4ゲーム『四女神オンライン』のED曲として?

ED曲を私が歌わせていただけるということで作りました。そのゲーム自体は名前だけは知っていて、アニメ化もされた人気ゲームなので、“あのゲームの最新作のED曲をやらせてもらえるんだ!”って嬉しかったですね。さらに、光栄なことに作詞も担当させていただいて。

歌詞はゲームに寄せて?

そうですね。昔からテーマを決めて、そのテーマに沿って歌詞を書くっていうスタイルなので、先にテーマが決まっているのは書きやすかったです。おちゃらけた部分もあるポップなゲームなので、言葉遊びとかも入れて、いい意味でふざけた感じがあったほうがいいだろうなって、そのテーマから妄想してイメージを膨らませていくのがすごく楽しかったです。服をコーディネートする感じっていうか。“このモデルさんには、こういう服が絶対に似合うだろうな”みたいな感覚でしたね。

言葉遊び的にオンラインゲーム用語が入ってますしね。

オンラインゲームをプレイしているというストーリーなので…自分はオンラインゲームをやったことがないんで、一生懸命調べて入れました(笑)。掛け声的なところにそういう言葉を入れているので、覚えてライヴの時に叫んでほしいですね。

では、この曲の歌入れはどうでしたか?

かわいらしさの比重がかなり大きい曲だと思ったので、アニメ声に近い感じで歌おうと考えていたんですね。実際、それも視野に入れて歌詞を書いたし。でも、サウンドディレクターさんに“Fukiちゃんの声の魅力はストロングなところだから曲に寄せず、むしろカッコ良く歌ってみない?”って言われて。ライヴでやってみても思ったんですけど、楽曲自体がロックでカッコ良いんですよ。キラキラした音色のせいでかわいく感じるんですけど。なので、この歌い方に着地して良かったですね。

カップリング曲は「Start Dash」なのですが、「ログアウトしないで!」がアッパーでテンションの高い曲なので対照的なものがくると思っていたら、それ以上に疾走感があってハイテンションなものだったから驚きました。

私の中では「ログアウトしないで!」がFuki史上最高にハイテンションなイメージがあるんですけど…確かに、「Start Dash」も負けてないですね。でも、ギターが引っ張っていく感じの曲なので、そこで差は出ているかなと。2曲しか入っていないと物足りなさがあるじゃないですか。どっちもテンションの高い曲になったことで、お腹いっぱいになれるんじゃないかなって(笑)。

確かに(笑)。この曲の歌詞はどんなものにしようと?

これも今までの自分の歌詞の書き方とまったく一緒で、この曲にはどういう歌詞が合うかを考えて、ポジティブなものがいいなって。だけど、ちょっと切ない感じも入れたいなって考えて。LIGHT BRINGERのメジャー1stアルバム『genesis』に「Just kidding!」という曲があるんですけど、それっぽいと思ったんですよ。ポジティブでアッパーで元気で、でもちょっとだけ青春の切なさが混じっているという。なので、普通に書くと「Just kidding!」と同じような感じの歌詞を書きそうだなって思ったから、私の勝手な妄想でアイドルに提供するつもりで書いていきました(笑)。

なるほど。かわいいというか、フレッシュさがありますものね。それでいて言葉がしっかりと残るのも印象的でした。

ありがとうございます。秋元康さんとか松本隆さんが大好きなんで、その影響が出ていると思います。

《世紀の発明は いつもの日にも愛ってこと》の一節も“12世紀の偉大な発明は愛”という言葉を彷彿させるし。

そういう言葉をアイドルに歌わせるのって、いかにもって感じじゃないですか(笑)。

でも、この歌詞で一番言いたいことは、最後の《最後に私は 私でいたいよ》なのかなと。

まさに、この曲の主題は最後の2行ですね。そこのリフレインが肝だと、歌詞を書く前に思ったんですよ。そこにどんな言葉を入れるかによって歌詞の方向性が決まるって。4文字が4回続くんで、一人称は3文字の“私”にしようってなって、じゃあ主人公は女性にしようって決めて、そこから書いていきましたね。こういう青臭いこと言っている歌詞が好きなんですよ(笑)。理想に対してもがいている、まさに青春の感じが滲み出ているような歌詞が好きで…そこは松本隆さんとか、80年代ポップスの歌詞の影響が出ていると思います。それが自分の中でのアイドルソングのかたちというか。

この曲の歌入れはどうでした?

これも「ログアウトしないで!」と同じ道を辿ったんですよ。「ログアウトしないで!」がカッコ良くなってしまったので、「Start Dash」はかわいく歌ってみようかって、Maoくんとサウンドディレクターさんと相談しながら歌い進めていったんですけど、結局“カッコ良いほうがいいよね”って(笑)。最後の転調部分のキーがすごく高いし、サビが2回続くからめちゃめちゃしんどかったです。でも、私の歌声の溌剌(はつらつ)とした部分とパワフルな部分の両方がいい感じに出たんじゃなかなって思います。

そういう意味では、Fuki名義で出るこのシングルは、そんなFukiさんの特性が出たものになりましたね。

結果的にですけどね(笑)。あと、ソロでのシングルって初めてなんですよ。off vocalバージョン…カラオケが入るんですけど、そんなのメタルバンドはやらないじゃないですか。だから、すごく新鮮で。カラオケって楽器がよく聴こえるから、普通に楽しめる音源だと思っていて…むしろメタルバンドこそ入れたほうが面白いいんじゃないかって。“歌の後ろでこんな音が鳴っているんだ!?”っていう聴き方もできるし、実際にカラオケとして自分で歌ってもらえればなって思います。

いや〜、普通の人は歌えないですよ。

あはは。でも、ミーハーな感じですけど、普通の歌手みたい!って(笑)。そんな嬉しさがあります。
「ログアウトしないで!」
    • 「ログアウトしないで!」
    • USSW-0030
    • 2017.03.22
    • 1620円
    • 【通常盤】
    • VIBL-837
    • 4644円
    • 『Fuki Fes. 2016 LIVE』
    • 【初回生産限定盤(Tシャツ付)】
    • VIZL-1134
    • 2017.03.22
    • 7560円
Fuki Commune プロフィール

フキ・コミューン:2014年12月に無期限活動休止となったLIGHT BRINGERの紅一点ヴォーカリスト、Fukiのソロプロジェクト。“Fukiとその仲間たちがひとつの共同体を形成するイメージ”がプロジェクト名の由来。日本の若手ヘヴィメタル界でも群を抜いた声量と、突き抜けるハイトーンヴォイスには定評がある。また、天外冬黄(テンゲフユキ)名義でUnlucky Morpheusにも所属し、コミックマーケット等でのファンとの交流を08年より続けている。Fuki Commune オフィシャルHP

LIGHT BRINGER プロフィール

ライトブリンガー:2005年4月結成。Fukiのキュートなルックスと確かな歌唱力、メロディアスでテクニカルなメタルサウンドで注目を集める。11年11月にシングル「noah」でメジャー進出を果たし、デビューアルバム『genesis』を引っ提げての東名阪ワンマンツアーは追加公演も含めて全会場ソールドアウトに! その後、メンバーチェンジを経て、新体制で2枚のアルバムを完成させるも、14年11月1日に年内をもって無期限の活動休止を発表した。LIGHT BRINGER オフィシャルHP

OKMusic編集部

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