なぜデビュー曲の歌いだしが「楽しい
時もつかの間」なのか。つばきファク
トリー『Just Try!』に込められた思

『Just Try!』はメジャーデビューシングルの中の1曲。この曲は、現在はハロプロのプロデュースから退き、楽曲だけを提供しているつんく♂が書き下ろしています。ややクセのあるメロディとリズムが、非常につんく♂らしいと言える曲。





歌いだしは「楽しい時もつかの間」という歌詞で開始。アイドルというのは楽しいだけの仕事ではない、ということを最初に示しています。「嫌なこと耳に入る 知らぬが仏なのに 世の中情報だらけ」このあたりの歌詞は、ハロプロの先輩メンバーが辿ってきた道でもありますね。モー娘。をはじめ、様々なハロプロユニットがデビューしてきましたが、人気が出ればそれだけ批判の的にもなりました。つばきファクトリーは、今はまだ無名の存在ですが、今後人気が出るにつれ、誹謗中傷をうけることもあるでしょう。そんな時は「気持ちを切り替えるしかない」。つんく♂からのメッセージなんですね。



このあたりのフレーズも、今後メンバーが直面する可能性のあることについて言及しています。「誰と誰が恋して」「誰と誰が別れて」本来は、そんなことはどうでもいいはず。ですが、有名になればなるほど、「他人のことが気になる」対象になるのです。元モー娘。の矢口を筆頭に、数々の先輩が「事実ありきの盛り話」の対象になってきました。これからつばきファクトリーが直面する世界は、「事実ありきの盛り話」があふれていると示唆しているのです。

繰り返し出てくる「ホラホラ不思議でしょう~」は一見バカみたいなフレーズ。これは、人間が「嫌なこと」や「盛り話」が好きなのは不思議だろう?と、つばきのメンバーに問いかけているんですね。



「嫌い嫌い言ってたって」「寒い寒い言ってたって」このあたりの不満を口にするだけでは何も変わらないと言っている歌詞が良いですね。そして究極のテーマともいえる「人間とは如何なる者か」というフレーズが登場。大げさにも思えるこの表現。でも、つんく♂は音楽をとおして、自分は何を伝えたいのか、いかに生きていきたいのか、自分とは如何なる者なのか、追及して発信していってほしいと考えているのです。




そして、ここまでの流れをふまえてのサビ。「とにもかくもやってみなきゃ始まんない!」デビューするこのグループに向けて、ともかくやってみろと背中を押している歌詞。三連符でリズムを際立たせます。スタートを応援する曲は、世の中にあふれています。しかし、この曲はあえて世の中のネガティブな局面から歌詞をはじめる構成。ネガティブなことは世にあふれているけれど、それでも「ダメもとでもいい」のでやってみろ、Just Try!と言っているんですね。

つばきファクトリーは、グループ名からしてこぶしファクトリーとセットの意味合いを持ちます。いち早くデビューしたこぶしファクトリーが、にぎやかなグループになっていったのに対し、当初はかなり「地味だ」「元気がない」と言われていたつばき。3人の新メンバー加入で勢いがつき、デビュー曲でようやくグループイメージができてきたところです。比較的恵まれている環境であるハロプロといえど、つばきが今後どうなっていくかは未知数。それでも、このグループが「きっと何か掴むさ」の歌詞どおりに何か掴めますように。

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